ワイシャツに掛けた精液がバレて…。

カゲ

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ワイシャツに掛けた精液がバレて…。

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 この学校の女子テニス部の練習はさほどハードではない。部員のほとんどが趣味の延長・練習は嫌いだけどテニスは好き、というメンバーが多いため、言葉を選ばないのであれば、部活としてのレベルが他校と比べると大分低い。試合に勝とう、というよりは、テニスをきっかけに交流を広げよう、というニュアンスの方が強い部活だった。それこそ、ルールも知らない初心者でも大歓迎しているくらいだ。
 しかし、それでも最低限度の厳しい練習というのは存在する。学校の外に出て5キロ弱のランニング練習なんてその最たる例であった。その練習に差し掛かり、部員のテンションは明らかに下がったが、それでも誰一人サボろうとはしないのは、持ち前の真面目さゆえか、全員やってるから一応やろう、という集団心理の表れか。
 いつも通りのランニングメニューをこなすため、2列になって校舎を出ようとした時、
「イタッ!」
 何かに躓いたのか、史帆が両手を着いて地面に倒れ込んだ。前の人を巻き込まないよう横に倒れ込んだのは流石だろうが、変に庇ったせいか、足首を不自然に捻ったように見える。
 史帆の後続は目の前の史帆が倒れたことによりその足を止めて小さく悲鳴を上げる。それを聞いて前を走っていたメンバーも何事かと足を止めて振り返る。
 部員一同ランニングを中断して倒れ込んだ史帆を囲って心配するような声を掛ける。史帆はその中心で痛そうに足首を抑えたまま蹲っている。
「大丈夫? どうしたのっ?」
「ゴメン……、ちょっと足捻っちゃったみたい……」
「えーっ? 大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。でもちょっと休んでから行くね?」
「痛かったら無理せず休みなね?」
「うん、ありがとー」
 そう言って史帆は足を引きずりながら脇へと逸れると、ランニングへと向かう部員たちを手を振って見送った。


 男子生徒が一人、普通の学校生活では異様と言ってもいいくらい、人目を気にしながらある場所へと向かっていた。時間帯的には部活に入ってない生徒は既に帰宅し、部活をしている生徒は部活に励んでいる時間のため、随分と不自然な時間帯に学校内を歩いていることになる。
 もちろん、自習室で自習をしている者や委員会活動をしている者も居るため、ありえない、というほどではないのだが、それでも彼が向かっている場所が、部活動用に設置された更衣室であることを考えれば、やはり不自然だろう。何かの用事で部活開始に遅れた、という可能性も考えられるが、それであれば、人目を気にしてコソコソしていることに説明がつかない。そしてやはり、その不自然さが物語っていたかのように、彼は女子テニス部の更衣室の前で、その足を止めた。
 更衣室の鍵は当然閉まっている。それは貴重品の管理、という意味合いもあるし、こういう行為を防止するため、というのもある。
 だが、彼はポケットから更衣室の鍵を取り出すと、そのドアを容易に開けた。顧問でも部員でもない彼がその鍵を持っているのは明らかにおかしいことだった。
 合い鍵を作ること自体は、言ってしまえばそこまで難しいことではない。何せ職員室に懇切丁寧に、これはどこの部屋の鍵です、とラベルが貼られているところに掛けられている。学校関係者であれば、目当ての部屋の鍵を持ち出し、その型を作ること程度はそこまで大変なことではない。
 管理がずさんだ、と言われてしまえばそれまでだが、毎日毎日使う鍵をそんなに厳重に管理していては、使うのが面倒くさいという理由もある。そういうことはできるけど、そんなことはしないでしょ、という暗黙の信頼の基にそういう管理の仕方をしている。もちろん、こういうことが発覚してしまえば、面倒と言われようと管理を厳重にせざるを得ないが。
 そして、得てして、そういう信頼の名の基に緩く管理されていることを悪用する者、というのは出てくるものだった。ある種、信頼の裏切りとも言える行為で合い鍵を手に入れた彼は容易く女子更衣室へと侵入する。
 女子更衣室だからと言って、期待するような甘い香りがするわけではない。外から見られないようにと、窓はほとんど締め切られている関係で、決して広いとは言えない更衣室の中には汗の匂いが籠っている。ただ、嗅ぎ手側に『これは女子の汗の匂い』というフィルターが掛かることにより、どこか興奮を掻き立てる匂いになっている。
 ロッカーには使用者の名札が貼ってあるわけではないが、大体使う場所が固定になっているのだろう。彼は迷わず、目当てのロッカーを開けた。これが初めてではないため、開けた瞬間である程度の確信はあったが、それでも一応確認のため、ロッカーに雑に放り込まれているワイシャツを取り出し、その名札を確認する。
 この学校指定のワイシャツ、制服の胸ポケットには名前を書く欄が設けられており、一応校則として、そこに本人の名前を明記することが設けられている。しかしこの校則、口頭で説明されるわけではないので、認知している生徒がそもそも少ない。
 校則は知らなくとも、名前を書く欄を見れば、そこに名前を書くであろうことは推察できるが、学校内だけならともかく、その格好で学校の外も歩かなくてはいけないため、そこに抵抗を覚え、守っている生徒はごく少数。そして、彼女にとっては皮肉、彼にとっては幸運なことに、彼女はその少数に属しているため、名札の名前を見れば本人確認ができてしまう。
 ワイシャツを掴んだ瞬間は多少の疑心もあったが、こうやってちゃんと本人確認ができると、急に手に持っているそのワイシャツが宝物か何かのように思えてくる。
 誰でもいいわけではない。彼が欲しているのは彼女の物だけであった。
 まだ少し暖かい。脱いでからそんなに時間が経っていないことを表している。彼はワイシャツを自分の鼻へとおもむろに押し付ける。つけている制汗剤の匂いとは別に、彼女の地肌の匂いが漂ってくるような気がした。それは彼氏・彼女の関係にでもならなければ、到底味わえないような匂いだった。
「はぁ……、はぁ……」
 ワイシャツの匂いを嗅ぎながら、彼は大きくなり始めた自分のペニスをズボン越しに触る。もう既に自分のペニスの先端が湿り気を帯び始めているのが分かった。彼女の匂いを嗅ぎながらペニスを弄ることにより、まるで彼女に弄ってもらっているかのような錯覚を覚えた。
 脱がされていくのを想像するかのように、彼はゆっくりと自分のズボンのチャックを下ろし、手を滑り込ませて下着越しにペニスを刺激し始める。ズボンの上からでも感じられた通り、下着に染みができていることが確認できた。
 ペニスへの刺激を続けるうちに興奮が最高潮に達した彼は、下着越しの刺激では満足できなくなり、下着から自分のペニスを取り出し、シゴき始める。
 施錠もされていない女子更衣室の中で、自分の下半身を露出させてオナニーをする。こんなことができてしまうのは言ってしまえばただの慣れだった。この時間帯には誰も入ってこない、そんな根拠の無い自信がいつの間にかできてしまっていた。


「……そろそろかな」
 そう言って史帆は何事も無かったかのように普通に立ち上がると、どこかへ向かって歩き始めた。


 ズボンもパンツも膝当たりまで下ろし、下半身を露出させた状態で、彼は一心不乱に自分のペニスをシゴいていた。
「ああっ! イくっ!」
 彼は持参したポケットティッシュで自分のペニスの先端を包み込むと、そこに向かって精液を吐き出した。以前はそのまま精液を床にまき散らし、それをティッシュで拭いたものだったのだが、その際、勢い余ってワイシャツに精液を飛ばしてしまったことがある。
 その時はバレるのではないかと心底焦ったものだったが、付いた精液が少量だったのと、急いでティッシュで拭いたおかげもあってか、本人は気付いていないようだった。まぁ、汚れが残っていたとしても、まさか知らない間に自分のワイシャツに精液を掛けられたなどとは夢にも思わないのだろう。
 いつも通り、使用済みのティッシュをゴミ箱へと捨てる。この、女子更衣室のゴミ箱に、自分の精液が染み込んだティッシュを捨てていくという行為も堪らない。
 一通りの後処理が終わり、後はズボンを履き直して出て行くだけ、そう思っていた時だった。

「な~にしてるのかな?」

 心臓が止まるかと思った。それぐらい彼は驚いた。彼にとって、これはあり得ないことだったから。
 この時間帯、女子テニス部のみんなは学校の外にランニングへ行っているハズだった。だからこの時間帯であれば安心してオナニーができる。そのハズだった。
 しかし今、学校の外にランニングへと出かけているハズの彼女が更衣室のドアの前で腕を組んで立っている。そして何より、そこに立っている人物は彼が握りしめているワイシャツの持ち主であった。
 面識も無い男子生徒が女子更衣室に勝手に入り込み、下半身を露出させ自分のワイシャツでオナニーをしている。こんな異常な事態に遭遇したにも関わらず、史帆は楽しそうな笑みを浮かべていた。その笑みを浮かべたまま、史帆は彼の前にしゃがみ込み、両手を顎に添え、彼の顔を覗き込むようにして聞いてくる。
「あれ~? 質問が難しかったかなぁ~? 私は、君が今何をしてたのかな~っていうのを聞いてるだけなんだけどな~?」
 下半身を露出させ、手には史帆のワイシャツ。ゴミ箱には今吐き出したばかりの精液が染み込んだティッシュ。言い訳も言い逃れもできるわけがない。彼はせめてもの抵抗のつもりか、顔を逸らし、黙り込んだ。
「そっかそっかぁ~」
 些か反抗的とも取れる彼の行為に、史帆は特に機嫌を悪くした様子も無く、自分のロッカーの方へと移動すると、
「これ、なぁ~んだ?」
 史帆が更衣室のロッカーに入っているバッグからスマホを取り出す。スマホがバックから取り出された時、スマホのカメラは彼の方を向いていた。
「一応何回かテストはしたんだけど……、ああ、ちゃんと撮れてるね、ホラ」
 史帆がスマホで見せてきた動画には、彼が一心不乱にペニスをシゴく姿が映っていた。
「ど、どうして……?」
 まるで彼がテニス部の更衣室でオナニーするのが分かってたかのような準備に、彼は戸惑いを隠せない。史帆は相変わらずその笑みを崩さない。それが余計に彼の恐怖心を煽った。
「え~? バレてないとでも思ってたの? 君一回、私のワイシャツに精液かけたことあるでしょ? 一応拭きはしたみたいだけど、拭き方がちょっと雑だったかなぁ~。しっかり染みになってたよ。初心な小学生じゃあるまいし、染みを見れば何で汚されたかくらいすぐ分かっちゃうよ」
 それは彼が危惧していた一件だった。史帆は次の日いつも通り登校していたし、特に学校で騒ぎになっているわけでもないから、バレているなんて彼は微塵も思っていなかったが、違った。泳がされていただけだった。
「私のワイシャツに精液を掛けてく変態さんが居るっていうのは分かったんだけど、流石に誰の精液か分かるほどマニアックじゃないからさ~。現場抑えなきゃいけないと思ってカメラ用意しといたの」
「そ、それ……」
 どうするつもり? とは返事が怖くて彼は言葉を続けられなかったが、続きの言葉を察した史帆は、
「ああ、先生に言うんじゃないかって怯えてる? やだなぁ~、そんなことしないよ~」
 その言葉を愚直に信じた彼は、一度は安堵しかけたが、
「だって、それじゃ面白くないもん」
 続いた史帆のその言葉に、雲行きが怪しくなってきた。
「どうせ先生に言ったってさ、自校の男子生徒が女子更衣室に忍び込んで、女子生徒のワイシャツの匂いを嗅ぎながらオナニーしてました、なんてこと報道されたら、学校の評判とか名誉に関わるもんね。どうせ『本人間で穏便に済ませましょう』みたいな感じで終わりでしょ? それよりさ、どう? この動画、ネットに流しちゃうとか」
 そう。史帆の言うように、もしこの動画を学校側に提出したとしても、加害者・被害者ともに自校の生徒となれば、それをいいことに極力穏便に済ませようとしただろう。史帆が自分のワイシャツに精液を掛けられたことを知りつつ、学校側にその被害を訴えなかったのは、それが理由だ。穏便になんて済まされては困るのである。
 そこまでした史帆が顔や名前を隠してネットに拡散してくれるとは思わない。いや、そもそも被害者側である史帆の立場からすれば、加害者に対してそこまで気を遣う必要などどこにもない。
「お、お願いします……。そ、それだけは……、それだけは……っ」
「え~? 嫌なの? いいじゃん。世界中のみんなに君のオナニー見てもらおうよ」
 史帆はスマホを弄りながら楽しそうに言う。画面が見えないため、彼には今史帆がスマホでどういう操作をしているのかは分からないが、指一つで動画を全世界に向けて発信できるスマホを彼女がこの状況で弄っているというだけで、彼にとっては恐怖でしかなかった。
「お、お願いします……、お願いします……」
 彼はほとんど涙ながらに史帆に懇願する。史帆はう~ん、とスマホを顎に当てて考える素振りをすると、
「じゃ~あ、一旦その話は置いておいて、まずは私の質問に答えようか? ここで、何してたの?」
 拒否権は無い。彼はそう悟った。
「お、オナニーを、してました……」
「オナニーってなぁに?」
「え……っ?」
 質問の意図が分からず、彼は聞き返したが、史帆は相変わらずの笑みを浮かべているだけだった。
「私バカだから、難しい言葉使われても分かんなぁ~い。ねぇねぇ、オナニーって何? 教えてよ?」
 分からないわけはないだろうから、彼の口から説明させたいのだろう、と彼は悟った。
「じ、自分の性器を、自分で刺激して、き、気持ち良くなる、行為、です……」
「ん~、まだ難しくてよく分かんないなぁ~」
 史帆は未だに首を傾げる。そう。彼は誤解をしていた。史帆は別に彼の口からオナニーの説明をさせたいのではない。
「ちょっとやって見せてよ、今ここで」


 いつの間にか萎えて小さくなっていた自分のペニスを彼は言われるがままにシゴき始める。既に一度射精しているというのと、脅されているこの状況下では射精はおろか、勃起させるのも難しいかと思われたが、
「へ~、凄いね。最初は手で隠せるくらいだったのに、もう手からはみ出すくらいに大きくなっちゃった」
 史帆の言う通り、勃起させるまではとてもスムーズにいった。一度射精しているというハンデはともかく、状況自体は彼を興奮させるのに一役買った。
 脅されている、という部分を都合よく忘れてしまえば、彼がずっとワイシャツの匂いだけでオナニーしてきた相手が、今目の前で彼のオナニーを見ているこの状況、興奮するなと言う方が無理なのかもしれなかった。
 史帆が自分のペニスを見ている、自分がそのペニスをシゴいているところを見ている、そしてこれから射精するところも見ることになる。どこか、そういうのに疎い、初心な人、というイメージがあった史帆に自分のその痴態を見せ、記憶させる。そこにとても背徳感を覚えた。
 自然とペニスをシゴく手のスピードも上がっていく。二回目のオナニーにも関わらず、一回目のオナニーよりも遥かに興奮していた。何もネガティブに考えることはない。オナニーを無理やりさせられているのではなく、オナニーを見てもらっている、とでも思えば、彼にとってはそんなに悪いことではなく、むしろ快感でさえあった。
 何度か想像上でやってもらったことを、今実物がやってくれている。興奮など止められるものではなかった。現実逃避の意味合いもあったかもしれないが、彼の中ではもう、そういうプレイを彼女にしてもらっている、そういう感覚になっていた。
「ふ~ん、これが男の子のオナニーなんだ。初めて見た」
 その言葉に、彼の興奮はまた一段と上がった。どんな形であれ、彼女の初めてを奪えた。その事実が、史帆が今まで出会い、そしてこれから出会っていくであろうどの男よりも、自分が初めてになれた、ということが何よりも優越感だった。
 早く彼女の初めてになりたい、そんな間違った方向に思考が動き始め、彼は自分の手を速め、ペニスをどんどん追い込んでいく。先端から先走りの汁がゆっくりと垂れてくる。それを拭かずにペニスをシゴき続ける関係で、シゴいている手とペニスが先走りでヌルヌルになり、ペニスに対して与える快感が強くなっていく。
 本来であれば既に射精していてもおかしくないくらい、彼はペニスをシゴいているが、やはり既に一度射精している関係か、興奮に対して射精感が追い付いていなかった。
 最初こそ興味深そうに見ていた史帆も、勃起してしまってからは、ずっとペニスを上下にシゴくだけの繰り返しのため飽きたのだろう。ペニスから目を離すと彼の方を見て、
「ねぇ、ねぇ、いつもどういうことを考えながら、ここでオナニーしてたの?」
「し、史帆さんに、手、手でシゴいてもらってるのを、想像、しながら……」
「私の、手で?」
 自分の手を見つめると、史帆はおかしそうに吹き出した。
「想像するだけなら犯罪じゃないんだから、想像の中でくらい私のこと犯せばいいのに、想像の中でも手コキしかしてもらってないんだね~。それとも、私を犯すよりも、私に犯される方が興奮しちゃうのかなぁ~」
 変な話、史帆の言う通りかもしれなかった。経験が無いからイメージしづらかった、というのもあるが、犯す・犯される以前に、史帆の膣に自分のペニスを挿入していることをイメージしながらしたことは一度も無かった。
「じゃあ、家でのオナニーではどうするの? どういうAV観てるの?」
 聞き方からして、さほどの興味は無いだろう。彼の性癖を彼の口から暴露させたいだけの質問だ。
「い、家でも……同じです……」
「同じ?」
「史帆さんに、シゴいて、もらえるのを、想像、しながら……」
「え~、ウソだぁ~」
 想像しているシチュエーションはともかく、女子更衣室に忍び込んでオナニーしている時に史帆のことをオカズにしているのはある意味自然だろう。わざわざ危険を冒してまで女子更衣室に忍び込み、史帆のワイシャツの匂いを嗅ぎながら、史帆のことを思わずオナニーするのは色々おかしい。
 しかし、家でオナニーをする時まで史帆のことをオカズにしているのは少し不自然だ。このご時世、ネットで探せばいくらでも好みのオカズが見つかる。それらに頼らず、想像力だけでオナニーをしているということになる。
「う、ウソじゃないです……」
 だが、彼は必死に首を振って否定する。まぁ、ウソをつく理由も無いので、恐らく事実なのだろうが、それはそれで、

「……気持ちわる」

 ボソッ、と。史帆が呟いた。そこには学校生活はもちろんのこと、この局面でさえ見せないような史帆の素が見られたような気がした。本当についうっかりと言った感じで本音が零れたのだろう。そしてその言葉を聞いた瞬間、
 ピクンッ! と彼のペニスは大きく跳ねた。それを見て史帆は表情を元に戻すと、意図的にさっきまでと同じトーンの声を出す。
「あれ? ひょっとして、気持ち悪いって言われて気持ち良くなっちゃったの?」
 明らかにペニスが反応するところを見られた以上、彼にはもう否定できないし、そんな余裕も無い。一度高まった射精感はもう止まらない。手でシゴく度に精液がどんどん上がってきているのが分かる。片方の手でペニスをシゴき続けながら、もう片方の手でポケットティッシュからティッシュを数枚取り出す。それを見て、おおよその事態を察した史帆は、
「出す時は出すって言おうね」
 その言葉、もう少しでも遅ければ間に合わなかっただろう。射精する直前、彼はティッシュでペニスの先端を覆った後、
「で、出ますっ!」
 その言葉通り、彼のペニスは数回の脈動を繰り返しながら、ペニスを覆っていたティッシュに精液による独特の染みを広げていく。二回目の射精にも関わらず、一回目よりも射精量が多い。普段であれば十分受け止められるハズが、今回は受け止めきれず、ティッシュから精液が零れ落ちる。
「あ~、そうやってポケットティッシュに精液吐き出してたんだ。もしかして、そのためにポケットティッシュ持ち歩いてるの? いつでもどこでもオナニーできるように?」
 女子更衣室でオナニーをするようになる前から持ち歩いてはいたので、それが主目的というわけではないが、そういう用途にも使ってはいるので、彼は何も言えない。
 ペニスからの射精を直接受け止めたティッシュは床に置き、彼はもう一枚ティッシュを取り出すと、亀頭や竿についた精液を拭いていく。
「へぇ~、そうやって後始末するんだ。ああ、それで何かティッシュが付いてる、みたいな下ネタがあるんだ。やっと意味が分かった」
 ペニスを勃起させるところから、射精し、その後始末をするところまで、オナニーの一部始終を全て見られた。
 恥ずかしさはもちろんある。だけど、その恥ずかしさが快感だった。ペニスを見てもらうことも、ペニスから射精するところを見てもらうことも、普通の関係ではまずあり得ないことだから。
 自分が彼女にとって何か特別な存在になれたかのように錯覚していた彼は射精の余韻に浸っていたが、
「あれ? 何で止めちゃうの?」
「え?」
 史帆のその言葉に、彼の余韻は強引に覚まされた。
「イジワルしないで、もっと見せてよ。君のオナニー」
 都合良く現実を脳内で変換したとしても、別に現実が変わるわけではない。
 史帆は彼の彼女でもなければ、当然彼を気持ち良くしたいわけでもない。
 彼が気持ち良くオナニーして、はい、おしまい、なんて、なるわけがない。


 それから彼は、休む間もなく自分のペニスをシゴき続けた。
 射精直後で敏感なペニスということもあって、ペニスをシゴく速度が明らかに落ちたが、
「ダメだよ。ちゃんとさっきと同じくらいの速さでシゴかなくちゃ」
 オナニーにも関わらず、自分のペニスを好きにできない。与えたくもない快楽を彼は自分のペニスに与え続ける。射精直後のペニスには酷すぎる速度で、彼は自分の手でシゴかなければいけない。
「はぁ……、はぁ……っ」
 興奮とは違い、純粋に苦痛によって彼の息は乱れる。
 彼は自分でオナニーをする以外で自分のペニスを刺激してもらったことなどない。そしてオナニーであれば当然、自分のタイミングで始め、終わらせることができる。こんな、性的興奮が無い状態で無理やり精液を絞り出した経験など無い。
 ペニスに痛みを覚えながらも、彼はどうにか三回目の精液を自分のペニスから絞り出したが、ティッシュが要らないくらいに射精量が明らかに少ない。もう出せない、ペニスがそう訴えかけているかのようだった。
 彼はどこか期待するかのような目で史帆を見た。三回も射精したのだから、流石にもう許してもらえる、そんな甘い考えがあった。だが、史帆は、
「はい、休まない休まない。どんどん射精しようね?」
 彼は震えながら自分のペニスを掴み、四度目の射精を促そうと、嫌がるペニスをシゴき始めるが、次第に感じるのは痛みの方が強くなってきた。
「お、お願い……、も、もう許して……、辛い……」
「辛い? それは可哀そうだねぇ~。じゃあ、もう諦めて、手を止めちゃおうかっ? 諦めて、君のオナニー、世界中の人に見てもらお?」
「い、嫌ですっ!」
「そっかぁ~。じゃあ、オチンチン辛くても、シゴき続けないとね~」
 明らかにペニスはこれ以上の刺激を拒んでいるが、彼は自分の手で刺激を与え続けた。
「もうイきたくないオチンチンを自分で無理やりイかせなきゃいけないなんて、可哀そうだね~」
 誰かに無理やり絞られているのではない。自分の手で自分のペニスを一生懸命絞っている彼の姿があまりにも滑稽で、史帆はとても楽しそうな声を出した。
 ここまでくると、流石の彼も察してきた。このオナニーはきっと時間稼ぎでしかない。オナニーをしている間はネットに動画を流されないで済むというだけで、きっと、流さない、という気も、許すという気も史帆には無いのだろう。
「あ、後、何回射精したら、許して、くれますか……?」
 それが分かっていて、彼はその質問をした。どうせ結果が同じなら、これ以上辛い思いをすることもない。もう諦めて止めてしまおう、そんな考えがあった。
 そんな打算などあっさりと看破した史帆は、それを気取られないように考える仕草だけする。
「え~、変なこと聞くね? オナニーするの気持ち良いでしょ? そんな後何回なんか気にしないで、好きなだけいくらでも射精すればいいのに~。遠慮深いなぁ~」
「も、もう出し過ぎて、辛いんです……」
「そっかぁ~、そうだよねぇ~。……あ、じゃあこうしよかった? このポケットティッシュ全部使い切るまでオナニーしたら、今日のところは見逃してあげるよ」
 史帆が指差したのは彼が持ってきていたポケットティッシュ。その中身にはまだ半分以上のティッシュが詰まっている。
「あ、ちなみに、あんまりモタモタしてるとテニス部の子たち帰ってくるよ。彼女たちに見られるのが嫌だったら帰ってくる前に、頑張って出さないとね」
 回数も時間も、あまりにも現実的ではない条件ではあった。だが、ただオナニーするだけのさっきまでと違い、明確に許してもらえるラインを提示してもらったことにより、彼は触るだけでも辛いペニスをシゴき続けた。やらなければ金輪際消えることの無いデジタルタトゥーを刻みつけられることになる。それだけは何としても避けたかった。
 度重なる射精で彼のペニスからは精液が出なくなる。そのため、ティッシュが不要ではあるのだが、一回イけばティッシュを一枚消費という形に史帆がしてくれた。空打ちしたことが確認できると、史帆はポケットティッシュからティッシュを一枚取り出し、それをゴミ箱へと捨てる。
 残りの枚数は分からないが、それでも確実に一枚一枚ノルマに近付いていっている。時間もそんなに残されていないから休む間も無い。彼はペニスが空打ちしている間さえもペニスをシゴき続け、懸命に史帆が提示した条件をクリアしようとしていた。


(バカだなぁ~)
 そもそも、許してもらえると思っていること自体が、史帆にとってはバカげている。一体どこをどう探せば史帆が彼を許す道理があると思っているのか。
 仮に彼がこの条件をクリアできたとして、史帆は満面の笑顔を浮かべたまま、彼の目の前で動画を投稿してやるつもりでいる。彼が辛さに耐え切れず、ペニスから手を離せばそれまで。時間切れで女子部員が入ってきた場合には、速やかに悲鳴でも上げて向こう側に立てばいい。
 どう転んでもこの動画は絶対に公開する。許す気など最初から無い。では、何故最初からそのことを告げないのか? 理由は簡単。それでは面白くないからだ。
 一番の理想は彼が条件をクリアし、助かった、という安堵の表情を浮かべているところを叩き落とすのが最高ではあるが、他のどのパターンになったとしても、別に問題は無い。ただ動画を公開する時よりも彼のことを苦しめられればそれでいい。
 ちなみに、今彼がこうやってオナニーをしている様子もずっとスマホに収めている。当然、この動画も公開予定だ。事情を知らない人間が見れば、精液が出ないにも関わらず、ずっとオナニーを続けている異常な性癖の男、としか思うまい。
 動画を公開した結果、彼がどうなろうが、史帆にはまるで興味が無い。進学でも就職でも棒に振ればいい。それだけのことをしたのだから文句も無いだろう。いや、むしろ幸せだろう? とさえ思う。
 史帆のワイシャツの匂いでオナニーをし、今なおオナニーしているところを史帆に見てもらっているのだ。その代償としてはあまりにも格安だろう、と史帆は考えていた。
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