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シーズン2-ウェルカノ星系奪還編
069-猶予
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「お前は、俺のモノになれ」
「え.....?」
予想外の一言に、私は硬直してしまう。
……表層人格が固まっただけで、思考自体は働いていたが。
掛けられた言葉の意味を、シークトリアの古典の意味まで遡って調べ上げて、出した結論は――――
「.......私を、所有物になされるつもりですか?」
「中々賢いな、まさにその通りだ」
レジン様は、ふんぞり返って言った。
「しかし、私は戦略兵器として開発されました」
「俺はそういう答えを期待しているわけではないのは分かってるか?」
「....では、はいと答えればいいのですか?」
「そうだ」
私の周囲に、複数のモニターが展開される。
そこには、巨大な空間が様々な角度から移されていた。
ほとんどの空間には、展示がなされているようだ。
「お前が人間並みの感情を発言したのは知っているからな、突然変異としては非常に希少だ。本当ならコピーをしたいのだが、秘密裏に入手したお前の完全コピーのAIは、従来通りの働きしかしなかった」
「私を宝石として、宝物殿に仕舞われるのですか?」
「そうなるな。安心しろ、停止させることはない。破壊される危険のない専用の部屋で、たまに俺の話し相手をしてくれればいい」
きっと、破格の条件なのだと思う。
「クロノスはどうするのですか?」
「お前が望むなら、保管してやってもいいが......あれは戦力としては優秀だ。適合する人間を乗せて前線に出す」
「.......」
きっとクロノスは、不満を覚えるだろう。
「私が断る選択肢はあるのですか?」
「お前が? たかが人工知性であるお前が? 俺に?」
レジン王の周囲にいた重武装兵が、一斉にビームライフルを私に向けた。
アサルトライフル、5.56mm小銃式、装弾は放射性変調レーザー.....どちらにせよ、普段の私では容易に破壊される。
「やめろ」
私が破壊を覚悟した時、レジン様が手を挙げ、銃器を降ろさせた。
「時間をやろう。俺のものになるための十分な時間をな。その間に整理をつけるがいい…今日は宝物殿でも見学して帰るんだな」
「よろしいのですか?」
私をこのまま帰してもいいのかと、私は尋ねた。
レジン様は私をぎろりと睨みつけ、言った。
「この星系にいる限り、お前の逃げ場などない。必ず俺のコレクションに加えてやろう」
「………!」
レジンはそれだけ言うと、玉座ごと上階へと登って行った。
あの高台は、エレベーターでもあるのだろう。
「いったい…?」
どうして私に時間をくれたのだろう。
疑問は深まるばかりであった。
「行ってみるしか......ないのでしょうね」
私は玉座のあった高台の左右を見た。
王が去った後に壁が開いたのだ。
あの先はおそらく、王が口にしていた宝物殿。
私は恐る恐る、その入口へと足を踏み入れた。
「え.....?」
予想外の一言に、私は硬直してしまう。
……表層人格が固まっただけで、思考自体は働いていたが。
掛けられた言葉の意味を、シークトリアの古典の意味まで遡って調べ上げて、出した結論は――――
「.......私を、所有物になされるつもりですか?」
「中々賢いな、まさにその通りだ」
レジン様は、ふんぞり返って言った。
「しかし、私は戦略兵器として開発されました」
「俺はそういう答えを期待しているわけではないのは分かってるか?」
「....では、はいと答えればいいのですか?」
「そうだ」
私の周囲に、複数のモニターが展開される。
そこには、巨大な空間が様々な角度から移されていた。
ほとんどの空間には、展示がなされているようだ。
「お前が人間並みの感情を発言したのは知っているからな、突然変異としては非常に希少だ。本当ならコピーをしたいのだが、秘密裏に入手したお前の完全コピーのAIは、従来通りの働きしかしなかった」
「私を宝石として、宝物殿に仕舞われるのですか?」
「そうなるな。安心しろ、停止させることはない。破壊される危険のない専用の部屋で、たまに俺の話し相手をしてくれればいい」
きっと、破格の条件なのだと思う。
「クロノスはどうするのですか?」
「お前が望むなら、保管してやってもいいが......あれは戦力としては優秀だ。適合する人間を乗せて前線に出す」
「.......」
きっとクロノスは、不満を覚えるだろう。
「私が断る選択肢はあるのですか?」
「お前が? たかが人工知性であるお前が? 俺に?」
レジン王の周囲にいた重武装兵が、一斉にビームライフルを私に向けた。
アサルトライフル、5.56mm小銃式、装弾は放射性変調レーザー.....どちらにせよ、普段の私では容易に破壊される。
「やめろ」
私が破壊を覚悟した時、レジン様が手を挙げ、銃器を降ろさせた。
「時間をやろう。俺のものになるための十分な時間をな。その間に整理をつけるがいい…今日は宝物殿でも見学して帰るんだな」
「よろしいのですか?」
私をこのまま帰してもいいのかと、私は尋ねた。
レジン様は私をぎろりと睨みつけ、言った。
「この星系にいる限り、お前の逃げ場などない。必ず俺のコレクションに加えてやろう」
「………!」
レジンはそれだけ言うと、玉座ごと上階へと登って行った。
あの高台は、エレベーターでもあるのだろう。
「いったい…?」
どうして私に時間をくれたのだろう。
疑問は深まるばかりであった。
「行ってみるしか......ないのでしょうね」
私は玉座のあった高台の左右を見た。
王が去った後に壁が開いたのだ。
あの先はおそらく、王が口にしていた宝物殿。
私は恐る恐る、その入口へと足を踏み入れた。
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