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Δ-ハスラパル戦域編(前編)
170-地獄の釜の蓋が開く
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『緊急事態発生! 緊急事態発生! 敵の規模が大きすぎます!』
王国艦隊の管制室は、阿鼻叫喚の渦に包まれていた。
最初にレーダーで観測した際は、艦隊の総数は40程度と思われていた。
だが、続けてワープアウトの際にどんどんと数が増えていき、その総数は2500にまで膨れ上がった。
全艦隊を合わせて500にも届かない王国艦隊は、数の差で大幅に負けている。
だが、それだけではない。
『主力艦を五隻確認!』
『艦種照合! アディンバドル...型です、量産型かプロトタイプと思われます!』
『ストラクチャーへの砲撃が始まりました!』
『こちら雷撃艦隊! シールドミサイルの展開を求む!』
『シールドミサイルの展開を許可する! 上は何やってんだ!』
『シールドミサイル一斉射出! これで弾切れですが...』
指揮を取る人間がいないことが、問題になっていた。
指揮AIも沈黙を守っている。
「何故、指揮を取らないのですか」
「避難が完了するまでは、現場に任せるしかない」
「司令官!」
「下手に指示を出して、負けたらどうする!」
「ならばせめて、AIに指示を!」
「...指揮AI〈ZASPER〉、戦闘の指揮を一任する!」
寝起きの所で正常な判断を下せないと判断した指揮官は、指揮AIに指揮を一任する。
AIは直ぐに現場の状況を読み込み、適切な判断を下す。
インターフェースが導入されていない旧型のAIのため(反乱戦争後二百年間はAIのインターフェースや自己発展性が制限されていた)、それは全てテキスト形式で指示として戦場に広がっていく。
『撤退を主目標として作戦開始。現在ストラクチャーの避難完了率は22%。輸送艦は物資を60%投棄して、避難民を確保して脱出せよ』
『こちら戦艦艦隊! 全体の16%がワープコアの整備作業中で発艦できない!』
『駆逐艦隊の一部を回して牽引する! 急げ!』
帝国軍は奇妙なことに、艦隊には目もくれずにストラクチャーだけを狙っていた。
ストラクチャー内部では、物資の遺棄作業と人員の収容が行われていた。
「何とか入れます、急いで!」
「ありがとう、助かる!」
オリオンもまた、不要な弾薬類を素早く投棄し、人員を収容していた。
ペルソナが一番危険な場所で指揮を取り、リリーがカーゴホールドの空き具合を見て誘導。
船体に張り巡らされた位相装甲はすでに起動しており、出航準備は整っていた。
『ストラクチャのシールドおよび外殻、完全に無力化されました。輸送艦隊は即座に出航してください』
『リリー様! 出発指示が出ました!』
「あと、もう少しだけ!」
ストラクチャのシールドが消し飛び、装甲は既に無力化されている。
この状態では、もはや5分と持たない。
輸送艦隊が、避難するはずだった数十人を残して出港していく。
自然と、人々はまだ残っている艦のもとへ集まる。
そして、それが一隻一隻と減っていき。
最後にオリオンが残った。
「のせろー! のせろー!」
「助けてー! お母さん、助けてー!」
地獄絵図。
リリーがまだ空いているカーゴを解放しようとした時、ペルソナが船を無理やり出航させた。
誰かの千切れた腕が、カーゴホールドのハッチから零れ落ちて、格納庫の下部へと落ちていく。
そして、多くの人間が桟橋に取り残され、オリオンに向けて手を伸ばした瞬間。
ステーションは形状を維持出来なくなり、爆縮した。
何千人もの人間が宇宙に放り出され、少しばかり生きて。
家族や友人の姿を瞳に浮かべて、そして凍り付いた。
王国艦隊の管制室は、阿鼻叫喚の渦に包まれていた。
最初にレーダーで観測した際は、艦隊の総数は40程度と思われていた。
だが、続けてワープアウトの際にどんどんと数が増えていき、その総数は2500にまで膨れ上がった。
全艦隊を合わせて500にも届かない王国艦隊は、数の差で大幅に負けている。
だが、それだけではない。
『主力艦を五隻確認!』
『艦種照合! アディンバドル...型です、量産型かプロトタイプと思われます!』
『ストラクチャーへの砲撃が始まりました!』
『こちら雷撃艦隊! シールドミサイルの展開を求む!』
『シールドミサイルの展開を許可する! 上は何やってんだ!』
『シールドミサイル一斉射出! これで弾切れですが...』
指揮を取る人間がいないことが、問題になっていた。
指揮AIも沈黙を守っている。
「何故、指揮を取らないのですか」
「避難が完了するまでは、現場に任せるしかない」
「司令官!」
「下手に指示を出して、負けたらどうする!」
「ならばせめて、AIに指示を!」
「...指揮AI〈ZASPER〉、戦闘の指揮を一任する!」
寝起きの所で正常な判断を下せないと判断した指揮官は、指揮AIに指揮を一任する。
AIは直ぐに現場の状況を読み込み、適切な判断を下す。
インターフェースが導入されていない旧型のAIのため(反乱戦争後二百年間はAIのインターフェースや自己発展性が制限されていた)、それは全てテキスト形式で指示として戦場に広がっていく。
『撤退を主目標として作戦開始。現在ストラクチャーの避難完了率は22%。輸送艦は物資を60%投棄して、避難民を確保して脱出せよ』
『こちら戦艦艦隊! 全体の16%がワープコアの整備作業中で発艦できない!』
『駆逐艦隊の一部を回して牽引する! 急げ!』
帝国軍は奇妙なことに、艦隊には目もくれずにストラクチャーだけを狙っていた。
ストラクチャー内部では、物資の遺棄作業と人員の収容が行われていた。
「何とか入れます、急いで!」
「ありがとう、助かる!」
オリオンもまた、不要な弾薬類を素早く投棄し、人員を収容していた。
ペルソナが一番危険な場所で指揮を取り、リリーがカーゴホールドの空き具合を見て誘導。
船体に張り巡らされた位相装甲はすでに起動しており、出航準備は整っていた。
『ストラクチャのシールドおよび外殻、完全に無力化されました。輸送艦隊は即座に出航してください』
『リリー様! 出発指示が出ました!』
「あと、もう少しだけ!」
ストラクチャのシールドが消し飛び、装甲は既に無力化されている。
この状態では、もはや5分と持たない。
輸送艦隊が、避難するはずだった数十人を残して出港していく。
自然と、人々はまだ残っている艦のもとへ集まる。
そして、それが一隻一隻と減っていき。
最後にオリオンが残った。
「のせろー! のせろー!」
「助けてー! お母さん、助けてー!」
地獄絵図。
リリーがまだ空いているカーゴを解放しようとした時、ペルソナが船を無理やり出航させた。
誰かの千切れた腕が、カーゴホールドのハッチから零れ落ちて、格納庫の下部へと落ちていく。
そして、多くの人間が桟橋に取り残され、オリオンに向けて手を伸ばした瞬間。
ステーションは形状を維持出来なくなり、爆縮した。
何千人もの人間が宇宙に放り出され、少しばかり生きて。
家族や友人の姿を瞳に浮かべて、そして凍り付いた。
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