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ミシェルさんへの報告
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俺はリオナの家に着くと扉をノックした。
「リオナ、俺だ。レオナード」
「レオナードさん?」
「そうだ、開けてくれ」
扉が開くのと同時にリオナを胸に引き寄せ抱きしめた。
「レオナードさん。何かありましたか?」
「何かないと来てはいけないのか? リオナ会いたかった」
「そ、そんなことはありませんがまだ慣れていませんのですみません」
「俺には会いたくなかったか?」
「会いたかったですよ…」
「良い子だ。素直に言えて」
「もう、揶揄わないでください」
久しく甘い雰囲気からは遠ざかっていた私はどうして良いのか分からない。
ただ、レオナードさんと一緒にいると心が温かく包まれているような気がして一緒にいたいと思ってしまう。私を全身で覆う大きな体も匂いも好きだ。本能でこの人の全てを感じているのだろうか…。
「リオナ、今日ハラルに会って話しをしてきた。俺の愛する人に手を出したから我慢できなかった」
「えっ、会いに?」
「何も心配するな。ハラルにはちゃんと俺がリオナの恋人であると伝えたし次に手を出したら容赦しないとも伝えてきた。あの男の頭の中身はまるで子供で危険だ。今回の行為は殺人と同じ重さだからやはり事件として扱った方が良いのではないか?」
「今回だけは事件として扱わないで下さい。庇うわけでもありませんが一度だけ立ち直る機会をあげたいんです。お願いします」
「やはり無理か…、では約束して欲しい。何か起こる前に必ず俺に相談すること。迷惑をかけるからとか誤魔化したりすると守れない。リオナが大切なんだ、分かってくれるか?」
「はい、分かりました。約束します」
「ありがとう、リオナ。愛してる」
レオナードさんは私をしばらく抱きしめていた。仕事が残っているからと騎士団へ帰ったがいなくなると体が冷んやりして寒くなった。
冷え性でもないのに風邪の引き始めかしら…。
俺は騎士団の執務室へ帰ってきた。
「おかえり、レオ。首絞め野郎には会えたのかい?」
「会ったぞ。あの男は危険な奴だから心配で堪らない。自分がしたことの重さも理解していないから事件にしたいのにリオナが受け入れてくれなかったので仕方ない。今回だけは我慢する」
「でもなんでそんなに事件にはしたくないのかな? まだ身の危険があるわけでしょ。恐ろしくないのかなぁ?」
「あんな男のために一度は立ち直る機会をあげたいそうだ。痣が残るほど首を絞められているのにリオナからは不思議と恐怖心が感じられない」
「やっぱりリオナちゃんは19歳に思えないよな。外見は少女みたいなのに不思議な娘だよ」
「あぁ、ハラルとは真逆だ」
「それでリオナちゃんとは進展しているのかい? レオは元々口数少ないから心配だよ」
「結婚したくないリオナにはなるべく自分の気持ちを正直に伝えている。上手く伝わっていると良いのだが。本当は俺の腕の中だけに囲い込んでしまいたいんだ」
「うわぁ、レオって束縛する感じだったの? 女性には興味を示さなかったのにリオナちゃん大変だ」
「リオナの前では態度に出さないように我慢して隠してるんだよ。俺だって自分の気持ちに驚いてるさ」
「でもまだまだ問題もあるな。レオはそろそろ家族と向き合うときがきたんじゃない? いつまでもこのままとはいかないだろうし」
「分かってるよ。お前、他人事みたいに言ってるけど同じだろ?」
「僕は嫡男ではないからちゃんと貴族のお嬢様と結婚して婿養子になるから大丈夫です。リオナちゃんみたいなしっかりした子ならすぐに結婚できるんだろうけどなぁ。なかなかお嬢様方の中から見つけるのも苦労してるよ」
「リオナはやらん! 自分で見つけろ」
「はいはい。全く…、少し前のレオをお前に見せてやりたいよ。団員ですら団長何かあったんですか? と気がついていたくらいだから」
「すまない。もう大丈夫だから気をつけるよ」
「よろしく、団長」
俺はジルベルトからの指摘を受けて本格的に家族と向き合う決意をした。やっと手に入れたリオナを絶対離したくない。
翌朝仕事に行くと着いた途端、ミシェルさんに呼ばれる。
こんなときは何かあるから話の内容を予想しながら会長室へ向かった。やっぱりあのことだろうな…。
「リオナ、おはよう。怪我の具合はどう?」
「おはようございます、ミシェルさん。おかげさまでだいぶ痣も良くなってきています。ご心配をおかけしました」
「そう、良かったわ。お医者様も危なかったと言ってたから…。今のところハラルの危険は感じない?」
「誰かにつけられてる感じもしませんしおかしなこともないです。それと…、ハラルさんのことは昨日団長さんが本人と直接話をしてくれました」
「あら、リオナもしかして?」
「はい、団長さんの気持ちを受け入れることにしました。私も気持ちを伝えて受け入れてもらえました。それから団長さんがハラルさんを訪れて話しをしてくれたそうです」
「団長さんなら安心だわね。それにしてもリオナに恋人ができるなんて嬉しいわ!」
「ミシェルさんのおかげです。団長さんに告白されたとき答えは出ていたはずなのに気がつかないようにしていたと思います。ミシェルさんに背中を押してもらえたから素直に認めることができました。ありがとうございます」
「リオナ、幸せになりなさいよ」
「ミシェルさんもですね」
仕事に戻りお昼休みになりいつものようにライモンドとレーナと昼食を取る。
「今日はラモン亭に飲みに行くぞ。聞きたいことが山ほどある」
「聞きたいこと? 別にラモン亭に行くのは構わないけど。レーナの話しではなくて?」
「私もあるけどリオナのことの方が大事よ」
? なんだろう。あれからしばらく経ったからニコさんの話かしら。
「いいわよ。ラモン亭ね」
「おう!」
仕事が終わり3人でラモン亭に行く。入店するとすぐに席へ案内されいつものメニューを注文する。
「レーナ、あれからニコさんとはどうなったの? しばらく話しを聞いてあげられなかったからごめんね」
「そんなことは気にしなくていいのよ。私、すっかり立ち直っているから」
「そうなの? またニコさんと元に戻ったのかしら?」
「リオナ、あんな最低男とは縁を切ったわ。気持ちの整理ができたから心がすっきりしてとても元気よ」
「最低男? ニコさんと何があったの?」
「浮気相手が私の幼馴染だったのよ。しかも今はすでに別れていて何人も女を変えているらしい。ニコのことを知っている友人からも忠告を受けたわ。一度の浮気で終わるどころか次から次へと浮気をして女好きなのよ。本性を知ったら最低男への気持ちもなくなり結婚しないで良かったと思ってすっきりしたの」
「ニコさんがねぇ…。あんなに爽やかな青年なのに人は見た目では分からないとはこういうことかしら。でもレーナが立ち直っているなら良かったわ」
「そうよ! 立ち直るどころか引っ叩いてやりたい気分よ。また素敵な結婚相手を探すわ」
「うん、そうだよ。レーナは可愛いし性格も良いからすぐに見つかるよ。ただし焦らずにね」
「ありがとうリオナ」
レーナが元気を取り戻して良かった。やっぱり浮気性の人は直らない。前世のあの男もそうだったな…。
「リオナ、俺だ。レオナード」
「レオナードさん?」
「そうだ、開けてくれ」
扉が開くのと同時にリオナを胸に引き寄せ抱きしめた。
「レオナードさん。何かありましたか?」
「何かないと来てはいけないのか? リオナ会いたかった」
「そ、そんなことはありませんがまだ慣れていませんのですみません」
「俺には会いたくなかったか?」
「会いたかったですよ…」
「良い子だ。素直に言えて」
「もう、揶揄わないでください」
久しく甘い雰囲気からは遠ざかっていた私はどうして良いのか分からない。
ただ、レオナードさんと一緒にいると心が温かく包まれているような気がして一緒にいたいと思ってしまう。私を全身で覆う大きな体も匂いも好きだ。本能でこの人の全てを感じているのだろうか…。
「リオナ、今日ハラルに会って話しをしてきた。俺の愛する人に手を出したから我慢できなかった」
「えっ、会いに?」
「何も心配するな。ハラルにはちゃんと俺がリオナの恋人であると伝えたし次に手を出したら容赦しないとも伝えてきた。あの男の頭の中身はまるで子供で危険だ。今回の行為は殺人と同じ重さだからやはり事件として扱った方が良いのではないか?」
「今回だけは事件として扱わないで下さい。庇うわけでもありませんが一度だけ立ち直る機会をあげたいんです。お願いします」
「やはり無理か…、では約束して欲しい。何か起こる前に必ず俺に相談すること。迷惑をかけるからとか誤魔化したりすると守れない。リオナが大切なんだ、分かってくれるか?」
「はい、分かりました。約束します」
「ありがとう、リオナ。愛してる」
レオナードさんは私をしばらく抱きしめていた。仕事が残っているからと騎士団へ帰ったがいなくなると体が冷んやりして寒くなった。
冷え性でもないのに風邪の引き始めかしら…。
俺は騎士団の執務室へ帰ってきた。
「おかえり、レオ。首絞め野郎には会えたのかい?」
「会ったぞ。あの男は危険な奴だから心配で堪らない。自分がしたことの重さも理解していないから事件にしたいのにリオナが受け入れてくれなかったので仕方ない。今回だけは我慢する」
「でもなんでそんなに事件にはしたくないのかな? まだ身の危険があるわけでしょ。恐ろしくないのかなぁ?」
「あんな男のために一度は立ち直る機会をあげたいそうだ。痣が残るほど首を絞められているのにリオナからは不思議と恐怖心が感じられない」
「やっぱりリオナちゃんは19歳に思えないよな。外見は少女みたいなのに不思議な娘だよ」
「あぁ、ハラルとは真逆だ」
「それでリオナちゃんとは進展しているのかい? レオは元々口数少ないから心配だよ」
「結婚したくないリオナにはなるべく自分の気持ちを正直に伝えている。上手く伝わっていると良いのだが。本当は俺の腕の中だけに囲い込んでしまいたいんだ」
「うわぁ、レオって束縛する感じだったの? 女性には興味を示さなかったのにリオナちゃん大変だ」
「リオナの前では態度に出さないように我慢して隠してるんだよ。俺だって自分の気持ちに驚いてるさ」
「でもまだまだ問題もあるな。レオはそろそろ家族と向き合うときがきたんじゃない? いつまでもこのままとはいかないだろうし」
「分かってるよ。お前、他人事みたいに言ってるけど同じだろ?」
「僕は嫡男ではないからちゃんと貴族のお嬢様と結婚して婿養子になるから大丈夫です。リオナちゃんみたいなしっかりした子ならすぐに結婚できるんだろうけどなぁ。なかなかお嬢様方の中から見つけるのも苦労してるよ」
「リオナはやらん! 自分で見つけろ」
「はいはい。全く…、少し前のレオをお前に見せてやりたいよ。団員ですら団長何かあったんですか? と気がついていたくらいだから」
「すまない。もう大丈夫だから気をつけるよ」
「よろしく、団長」
俺はジルベルトからの指摘を受けて本格的に家族と向き合う決意をした。やっと手に入れたリオナを絶対離したくない。
翌朝仕事に行くと着いた途端、ミシェルさんに呼ばれる。
こんなときは何かあるから話の内容を予想しながら会長室へ向かった。やっぱりあのことだろうな…。
「リオナ、おはよう。怪我の具合はどう?」
「おはようございます、ミシェルさん。おかげさまでだいぶ痣も良くなってきています。ご心配をおかけしました」
「そう、良かったわ。お医者様も危なかったと言ってたから…。今のところハラルの危険は感じない?」
「誰かにつけられてる感じもしませんしおかしなこともないです。それと…、ハラルさんのことは昨日団長さんが本人と直接話をしてくれました」
「あら、リオナもしかして?」
「はい、団長さんの気持ちを受け入れることにしました。私も気持ちを伝えて受け入れてもらえました。それから団長さんがハラルさんを訪れて話しをしてくれたそうです」
「団長さんなら安心だわね。それにしてもリオナに恋人ができるなんて嬉しいわ!」
「ミシェルさんのおかげです。団長さんに告白されたとき答えは出ていたはずなのに気がつかないようにしていたと思います。ミシェルさんに背中を押してもらえたから素直に認めることができました。ありがとうございます」
「リオナ、幸せになりなさいよ」
「ミシェルさんもですね」
仕事に戻りお昼休みになりいつものようにライモンドとレーナと昼食を取る。
「今日はラモン亭に飲みに行くぞ。聞きたいことが山ほどある」
「聞きたいこと? 別にラモン亭に行くのは構わないけど。レーナの話しではなくて?」
「私もあるけどリオナのことの方が大事よ」
? なんだろう。あれからしばらく経ったからニコさんの話かしら。
「いいわよ。ラモン亭ね」
「おう!」
仕事が終わり3人でラモン亭に行く。入店するとすぐに席へ案内されいつものメニューを注文する。
「レーナ、あれからニコさんとはどうなったの? しばらく話しを聞いてあげられなかったからごめんね」
「そんなことは気にしなくていいのよ。私、すっかり立ち直っているから」
「そうなの? またニコさんと元に戻ったのかしら?」
「リオナ、あんな最低男とは縁を切ったわ。気持ちの整理ができたから心がすっきりしてとても元気よ」
「最低男? ニコさんと何があったの?」
「浮気相手が私の幼馴染だったのよ。しかも今はすでに別れていて何人も女を変えているらしい。ニコのことを知っている友人からも忠告を受けたわ。一度の浮気で終わるどころか次から次へと浮気をして女好きなのよ。本性を知ったら最低男への気持ちもなくなり結婚しないで良かったと思ってすっきりしたの」
「ニコさんがねぇ…。あんなに爽やかな青年なのに人は見た目では分からないとはこういうことかしら。でもレーナが立ち直っているなら良かったわ」
「そうよ! 立ち直るどころか引っ叩いてやりたい気分よ。また素敵な結婚相手を探すわ」
「うん、そうだよ。レーナは可愛いし性格も良いからすぐに見つかるよ。ただし焦らずにね」
「ありがとうリオナ」
レーナが元気を取り戻して良かった。やっぱり浮気性の人は直らない。前世のあの男もそうだったな…。
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