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レオナードからの提案
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それにしても高慢な態度の女性だったな。貴族の方々のモラルを疑うわ。日本だと貴族制度なんて敗戦後に消滅しているけど今日はまるで時代劇みたいだった。多少は前世も身分の差があったけれども表立っては無いしあの人みたいに高慢な態度をしていたら世間から叩かれる対象だよね。
「リオナ、大丈夫か? 嫌な思いをさせてすまなかった。父にはもう一度話をする予定だったのだが、こんなことになってるとは思っていなかった。二度と怖い思いはさせないし俺が守るから安心してくれ」
レオナードさんは私を離さないように全身で抱きしめている。私が婚約を疑ってたり嫌になったりしてると思って不安なのかしら?
「レオナードさん、大丈夫ですよ。私はレオナードさんが愛してくれているのが分かりますので信じていますから。まぁ、嫌な言葉はお嬢様に言われたし暴力を受けることも覚悟しましたけどね。お嬢様もハラルさんと同じで全て自分の思い通りになると思っている人ですね。
親が小さい頃から躾けをしていればあのような人にならずに済んだのに。
従者の方々も聞いてみないとわかりませんが、生きていく為に自分の意思とは関係なく命令に従うしかないんでしょうね」
「だが、身の危険があるかもしれないのに随分と冷静にいられるな。俺はリオナが傷付くのは耐えられなくて怒りも抑えられなくなる」
「私だって痛いのは嫌ですよ? だからといって理不尽なことを受け入れることはできません」
「リオナ、頼む。家を引っ越そう。前から考えてたが、俺がすぐに駆けつけられて商会にも近いところに」
「えっ? 嫌ですよ。今の部屋で不満もありませんし商会も遠くないのにわざわざ引越しするなんて。それにレオナードさんもよく家に来ているから大丈夫ですよ」
「いや、駄目だ。騎士団棟からは少し遠過ぎるから安心できない。それに俺は毎日リオナと一緒に暮らしたい。別に広くなくても構わないが今の部屋だと二人用のベッドも置けないから引っ越そう」
「え? ベッドが目的ですか?」
「勘違いするな、変な意味ではない。リオナと一緒に寝ると安眠できるんだ。
食事もできるだけ一緒に取りたいし生活の全てを共に過ごしたい。駄目か?」
「騎士団に自室があるんですよね? レオナードさんがいないと皆さんが困るのでは?」
「独身で家を持たないからいただけだ。妻帯者は皆それぞれ家に帰っているし居場所が分かって騎士団棟から近ければ問題ない」
「そうしたらレオナードさんに安心してもらえますか?」
「あぁ、安心するし何より嬉しい。一緒に暮らそう、リオナ」
「はい、私も一緒に暮らすことが嬉しいのでよろしくお願いします。でも家賃が高すぎて広すぎる部屋はやめてくださいね」
「分かった。早くリオナと暮らしたい。俺が探しておくから楽しみにしてろ」
「ありがとうございます、楽しみにしてます!」
これは…前世でいう同棲だね。経験者だが誰かと一緒に暮らすのは久しぶりすぎる。でもレオナードさんと毎日暮らせるのは楽しみで素直に一緒に暮らすことを受け入れられた。
翌朝、レオナードは訓練場で体を鍛えていた。
「おはよう、レオ。すごい迫力で誰も近づけないみたいだよ」
「は? 冗談はよせ」
「本当だよ。見てよ、あんなに遠くから団長の様子をうかがってるし。毎日が幸せだと気合いが違うね」
「揶揄うな。昨日、色々あったから集中していただけだ」
「昨日何かあったんだ。リオナちゃん絡み?」
「まぁな、だが俺が原因だ。父が仕掛けてきたからリオナに辛い思いをさせてしまったよ」
「叔父さんが? 何をしてきたんだ?」
「勝手に縁談を纏めていてな。縁談相手がリオナの家に乗り込んだ」
「それで縁談相手は?」
「シューヘンハイム家の娘だ。あの女、リオナに暴言を吐いて従者に襲わせようとしたから斬りつけてやれば良かった。忌々しい」
「おい、レオ。頼むから手は出さないでくれよ。シューヘンハイムかぁ…、あれは駄目だ。傲慢な女で有名だし男相手だと態度が変わるから。裏では評判悪くて知ってる奴は近づかないぞ。だから未だに婚約者もいないんだけどさ。シューヘンハイム家は伯爵家だから侯爵家のレオとの縁談を何としても纏めたいんだな。
しかし叔父さんもこの際誰でもいいから結婚させたいのか?」
「知らん。父とは近々会ってくるけどリオナが心配だから一緒に住むことにした。家も騎士団棟の近くにこれから探す」
「は? 一緒に住む? リオナちゃんは了承したのか?」
「したさ。最初は引越しする必要ないと言われたが、毎日共に暮らしたいと懇願したら了承してくれて楽しみにしていると言っていたから大丈夫だ」
「へぇ、リオナちゃんがね。その前に叔父さんときちんとこの問題のけりを付けろ」
「けりを付けろと言われても父はすぐに納得しないだろうな。あの様子だとリオナのことを知ってるだろうが継がない原因はあくまでも自分の意志だと伝えるしかない。勝手に縁談を纏めるんだからリオナに手は出すなと少し脅かすか」
「おいおい、物騒だぞ。叔父さんは納得できないよなぁ。あの貴族気質だから折れそうにもないし。リオナちゃんに被害がいかないようになんとかレオが対処するんだぞ」
「分かっているさ。リオナには手を出させないし必ず守る」
「でもさ、リオナちゃん震えてたんじゃない? あの気の強い女でしょ? 従者まで連れて貴族が訪ねて来たら驚くよな」
「いや、それがそうでもないんだ。あの女のことは親の躾けが良くないと憐れんでる感じだったし従者2人のことは生きる為に命令を聞かなければならない状況だと同情すらしてたし。ただ、暴力で痛い思いをするのはさすがに嫌だと淡々と話してたよ」
「リオナちゃん、一体何者? 普通の子だよなぁ」
「肝が据わっているというか大人な対応というか、とにかく震えてはいなかった」
リオナが芯が強いのは分かるが全て対応できるわけではない。リオナを傷つける奴らからは俺が守らなければ……。
「リオナ、大丈夫か? 嫌な思いをさせてすまなかった。父にはもう一度話をする予定だったのだが、こんなことになってるとは思っていなかった。二度と怖い思いはさせないし俺が守るから安心してくれ」
レオナードさんは私を離さないように全身で抱きしめている。私が婚約を疑ってたり嫌になったりしてると思って不安なのかしら?
「レオナードさん、大丈夫ですよ。私はレオナードさんが愛してくれているのが分かりますので信じていますから。まぁ、嫌な言葉はお嬢様に言われたし暴力を受けることも覚悟しましたけどね。お嬢様もハラルさんと同じで全て自分の思い通りになると思っている人ですね。
親が小さい頃から躾けをしていればあのような人にならずに済んだのに。
従者の方々も聞いてみないとわかりませんが、生きていく為に自分の意思とは関係なく命令に従うしかないんでしょうね」
「だが、身の危険があるかもしれないのに随分と冷静にいられるな。俺はリオナが傷付くのは耐えられなくて怒りも抑えられなくなる」
「私だって痛いのは嫌ですよ? だからといって理不尽なことを受け入れることはできません」
「リオナ、頼む。家を引っ越そう。前から考えてたが、俺がすぐに駆けつけられて商会にも近いところに」
「えっ? 嫌ですよ。今の部屋で不満もありませんし商会も遠くないのにわざわざ引越しするなんて。それにレオナードさんもよく家に来ているから大丈夫ですよ」
「いや、駄目だ。騎士団棟からは少し遠過ぎるから安心できない。それに俺は毎日リオナと一緒に暮らしたい。別に広くなくても構わないが今の部屋だと二人用のベッドも置けないから引っ越そう」
「え? ベッドが目的ですか?」
「勘違いするな、変な意味ではない。リオナと一緒に寝ると安眠できるんだ。
食事もできるだけ一緒に取りたいし生活の全てを共に過ごしたい。駄目か?」
「騎士団に自室があるんですよね? レオナードさんがいないと皆さんが困るのでは?」
「独身で家を持たないからいただけだ。妻帯者は皆それぞれ家に帰っているし居場所が分かって騎士団棟から近ければ問題ない」
「そうしたらレオナードさんに安心してもらえますか?」
「あぁ、安心するし何より嬉しい。一緒に暮らそう、リオナ」
「はい、私も一緒に暮らすことが嬉しいのでよろしくお願いします。でも家賃が高すぎて広すぎる部屋はやめてくださいね」
「分かった。早くリオナと暮らしたい。俺が探しておくから楽しみにしてろ」
「ありがとうございます、楽しみにしてます!」
これは…前世でいう同棲だね。経験者だが誰かと一緒に暮らすのは久しぶりすぎる。でもレオナードさんと毎日暮らせるのは楽しみで素直に一緒に暮らすことを受け入れられた。
翌朝、レオナードは訓練場で体を鍛えていた。
「おはよう、レオ。すごい迫力で誰も近づけないみたいだよ」
「は? 冗談はよせ」
「本当だよ。見てよ、あんなに遠くから団長の様子をうかがってるし。毎日が幸せだと気合いが違うね」
「揶揄うな。昨日、色々あったから集中していただけだ」
「昨日何かあったんだ。リオナちゃん絡み?」
「まぁな、だが俺が原因だ。父が仕掛けてきたからリオナに辛い思いをさせてしまったよ」
「叔父さんが? 何をしてきたんだ?」
「勝手に縁談を纏めていてな。縁談相手がリオナの家に乗り込んだ」
「それで縁談相手は?」
「シューヘンハイム家の娘だ。あの女、リオナに暴言を吐いて従者に襲わせようとしたから斬りつけてやれば良かった。忌々しい」
「おい、レオ。頼むから手は出さないでくれよ。シューヘンハイムかぁ…、あれは駄目だ。傲慢な女で有名だし男相手だと態度が変わるから。裏では評判悪くて知ってる奴は近づかないぞ。だから未だに婚約者もいないんだけどさ。シューヘンハイム家は伯爵家だから侯爵家のレオとの縁談を何としても纏めたいんだな。
しかし叔父さんもこの際誰でもいいから結婚させたいのか?」
「知らん。父とは近々会ってくるけどリオナが心配だから一緒に住むことにした。家も騎士団棟の近くにこれから探す」
「は? 一緒に住む? リオナちゃんは了承したのか?」
「したさ。最初は引越しする必要ないと言われたが、毎日共に暮らしたいと懇願したら了承してくれて楽しみにしていると言っていたから大丈夫だ」
「へぇ、リオナちゃんがね。その前に叔父さんときちんとこの問題のけりを付けろ」
「けりを付けろと言われても父はすぐに納得しないだろうな。あの様子だとリオナのことを知ってるだろうが継がない原因はあくまでも自分の意志だと伝えるしかない。勝手に縁談を纏めるんだからリオナに手は出すなと少し脅かすか」
「おいおい、物騒だぞ。叔父さんは納得できないよなぁ。あの貴族気質だから折れそうにもないし。リオナちゃんに被害がいかないようになんとかレオが対処するんだぞ」
「分かっているさ。リオナには手を出させないし必ず守る」
「でもさ、リオナちゃん震えてたんじゃない? あの気の強い女でしょ? 従者まで連れて貴族が訪ねて来たら驚くよな」
「いや、それがそうでもないんだ。あの女のことは親の躾けが良くないと憐れんでる感じだったし従者2人のことは生きる為に命令を聞かなければならない状況だと同情すらしてたし。ただ、暴力で痛い思いをするのはさすがに嫌だと淡々と話してたよ」
「リオナちゃん、一体何者? 普通の子だよなぁ」
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