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父さんと母さん(シーク)
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俺はシーク、半年ほど前に母さんが亡くなり父さんと兄弟だけになった。
ルーク兄さんは騎士団で働いている。結婚して今では二児の父親になった。子供は男の子と女の子の年子。
妹のルナはマララ商会で知り合った男性と結婚し一児の母だ。結婚してからあっという間に子供ができた。
俺はどうも女性が苦手な方で母さんみたいに頭の良い女性がいい。なかなか見つけられなくて結婚は考えていない。
父さんも母さんも無理に結婚しなくてもいいけど一人で生きていくなら自分で生きていけるようにしなさいと言っていた。だからなるべく迷惑をかけないように無駄遣いはせずにお金を貯めて自炊をして健康にも気を使っている。
俺はもうすぐサハリー商会のリイベル会長に誘われてイルベナ国へ移住する。
母さんから譲り受けた日記の知恵を参考にして研究開発をし商会で売り出すのだ。主にはサハリー商会で仕事をするが、今後はマララ商会とサハリー商会の掛け持ちになると思う。
開発は難しい方が多い。上手く行くときもあれば失敗するときもあるけれど、母さんはいつも「また挑戦すれば良いのよ。考えて失敗したなら改善できるでしょ? 人の真似じゃないんだから」と言って励ましてくれたのを思い出す。
母さんは不思議な人だった。日記を見る限り孤児とは思えない。昔、不思議に思って聞いてみたが他国の商人の話や本を参考にしていると言っていたが今思えば誤魔化していたのが分かる。
日記の内容に関しては決して人に話したり見せたりしてはいけないし悪用する人がいるから自分の考えとしてなら話して良いと言われた。
俺はミシェル会長やリイベル会長に色々聞かれることもあるが、日記の存在を兄弟以外には隠し続けている。
つい最近まで父さんは母さんが亡くなったときからもぬけの殻になった。俺もかなり当時は落ち込んだが、父さんは母さんをすごく愛していたからなかなか元気を取り戻せなかった。
子供達の前では決して泣かなかったし葬儀でも泣かなかった父さんは別人のような感じがした。
母さんが亡くなったときに驚いたのは父さんと母さんがいつの間にか結婚をしていたことだった。母さんが亡くなる直前に求婚の返事をしたらしく母さんの首と父さんの指に結婚指輪がしてあった。
普通の生活がなかなかできない父さんはテオ叔父さんに叱られたらしい。それでどうにか表面上は父さんも普通になったけれども悲しみが深すぎて本当は立ち直れていないと思った。
俺がイルベナ国へ行ってからしばらくして父さんも病にかかった。テオ叔父さんから延命治療を父さんが拒否していると聞き兄弟で相談した。
父さんが寿命をそのまま受け入れるなら好きにしたらいいと意見が一致してテオ叔父さんに伝えた。
俺は亡くなる直前には間に合わなかったが最期を見届けた家族によると、父さんは病にかかっている悲壮感もなくテオ叔父さんと共に暮らし逝ってしまったと聞いた。
おそらく母さんに早く会いたくてたまらないんだろうねと兄弟達と話しをした。
父さんと母さんは仲良く眠っている。僕達兄弟はこの夫婦の子供に産まれて幸せだと思う……。
ルーク兄さんは騎士団で働いている。結婚して今では二児の父親になった。子供は男の子と女の子の年子。
妹のルナはマララ商会で知り合った男性と結婚し一児の母だ。結婚してからあっという間に子供ができた。
俺はどうも女性が苦手な方で母さんみたいに頭の良い女性がいい。なかなか見つけられなくて結婚は考えていない。
父さんも母さんも無理に結婚しなくてもいいけど一人で生きていくなら自分で生きていけるようにしなさいと言っていた。だからなるべく迷惑をかけないように無駄遣いはせずにお金を貯めて自炊をして健康にも気を使っている。
俺はもうすぐサハリー商会のリイベル会長に誘われてイルベナ国へ移住する。
母さんから譲り受けた日記の知恵を参考にして研究開発をし商会で売り出すのだ。主にはサハリー商会で仕事をするが、今後はマララ商会とサハリー商会の掛け持ちになると思う。
開発は難しい方が多い。上手く行くときもあれば失敗するときもあるけれど、母さんはいつも「また挑戦すれば良いのよ。考えて失敗したなら改善できるでしょ? 人の真似じゃないんだから」と言って励ましてくれたのを思い出す。
母さんは不思議な人だった。日記を見る限り孤児とは思えない。昔、不思議に思って聞いてみたが他国の商人の話や本を参考にしていると言っていたが今思えば誤魔化していたのが分かる。
日記の内容に関しては決して人に話したり見せたりしてはいけないし悪用する人がいるから自分の考えとしてなら話して良いと言われた。
俺はミシェル会長やリイベル会長に色々聞かれることもあるが、日記の存在を兄弟以外には隠し続けている。
つい最近まで父さんは母さんが亡くなったときからもぬけの殻になった。俺もかなり当時は落ち込んだが、父さんは母さんをすごく愛していたからなかなか元気を取り戻せなかった。
子供達の前では決して泣かなかったし葬儀でも泣かなかった父さんは別人のような感じがした。
母さんが亡くなったときに驚いたのは父さんと母さんがいつの間にか結婚をしていたことだった。母さんが亡くなる直前に求婚の返事をしたらしく母さんの首と父さんの指に結婚指輪がしてあった。
普通の生活がなかなかできない父さんはテオ叔父さんに叱られたらしい。それでどうにか表面上は父さんも普通になったけれども悲しみが深すぎて本当は立ち直れていないと思った。
俺がイルベナ国へ行ってからしばらくして父さんも病にかかった。テオ叔父さんから延命治療を父さんが拒否していると聞き兄弟で相談した。
父さんが寿命をそのまま受け入れるなら好きにしたらいいと意見が一致してテオ叔父さんに伝えた。
俺は亡くなる直前には間に合わなかったが最期を見届けた家族によると、父さんは病にかかっている悲壮感もなくテオ叔父さんと共に暮らし逝ってしまったと聞いた。
おそらく母さんに早く会いたくてたまらないんだろうねと兄弟達と話しをした。
父さんと母さんは仲良く眠っている。僕達兄弟はこの夫婦の子供に産まれて幸せだと思う……。
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