ワン Love you

ha-tsu

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ワン Love you

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「はーもうこんな時間か……」
時計を見ると既に夜の十時を過ぎていた。
少し小走りに家へと向かった。
途中で少し大きめな箱が捨ててあるのが目につく。
「ったく誰だよ、こんな所に箱を置いて行くやつは……」
そう独り言を言いながらも箱の中身が気になり少し覗く事にした。
箱を開けるとそこには一匹の小型犬が入っていた。
「中身犬じゃん!しかも箱の上閉めるって……殺す気かよ!!」
つかさは一人でツッコミながらも自然とその犬を拾い上げていた。
(このまま見て見ぬふりも出来ないしなぁ……)
そう思い一旦その犬を家に連れて帰ることにした。
家に帰りまず司はお風呂に入れる事にした。
「ちょっと我慢してな、キレイになろうな。」
そう優しく声を掛けながらシャンプーをする。
その犬は洗われるのが嫌なのか、何度も司の手の中から逃げようとした。
無事キレイに洗い終わり、司はその毛の色を見て少し見とれていた。
「何かめっちゃキレイだなぁ……」
その犬の毛は光が当たると少し白にも近い銀色をしていた。
「毛の色が銀でキレイだから名前は……銀太ぎんたでもいいな!」
そう言い司はその犬を持ち上げると、ある事に気が付く。
「……すまん、てっきりオスだと思い込んでた……メスだったんだな……」
その言葉と同時に犬のパンチが司の顔面にヒットする。
「ゴメンって悪かったよ……犬でも人間見たいに恥ずかしいって感情あるんだなぁ……っあ名前はそれじゃあ銀子ぎんこで……」
言い終わる前にもう一発顔面にパンチが飛んでくる。
「嫌なのかよ……じゃあシルバーから取ってシルってのはどうだ?」
その司の問いかけに納得したのか、パンチは飛んでこなかった。
その日から司はシルとの生活が始まった。
朝は一時間ほど散歩をして、日中は在宅ワークと言う事もあり、仕事をしながらたまにシルとも遊んだ。
そんなある新月の日だった。
その日朝いつものように司が目を覚ますと、何だかいつもと違う感触が横から伝わって来たのだ。
司はビックリしてすぐに横を確認すると、そこには見ず知らずの女性が寝ていた。
「オレ……確かに昨日もシルと一緒に寝たはずなんだけど……この人誰?って言うかシル!!」
司は慌てて名前を呼びながら探す。
「んー?おはよーシルはココだけどー?」
突然ベッドの上の女性が話し出す。
司はベッドへ行きシルを探すも、そこには犬の姿は無かった。
「シル……どこ行ったんだよ……」
「……だからシルココに居るんだけど。」
そう言うと、女性は自分を指す。
「あの……オレが探してるのは犬のシルなんだけど……」
「その犬のシルは私なんだけど……」
「……えっと人間ですよね?」
「今は人間の格好してますね……」
司の言葉に女性はそう言い返す。
「冗談はいいのでとりあえず帰ってもらっていいですか?」
そう言い勢いよく掛け布団をどける。
「キャッ!ちょっと待って……」
布団の中にいた女性は何故か服を来ておらず、すぐに布団を奪い返しくるまった。
「えっ?ちょっと待って、何で服来てないの?……オレ何にもしてないよな?」
司は少し混乱するも、その女性をよく見ると、首には司がシルにあげた首輪をしていた。
「……その首輪、シルのなんだけど……あなたHENTAIですか?……もしかして逆にオレが襲われたパターンなのか?」
司はまた頭の中が混乱する。
それを見て女性は自分の事を話し出す。
「ゴメンなさい、そう言うつもりじゃなくて、私本当にあなたが拾ってきたシルなんです。今まで犬の姿だったので伝えることが出来なくてゴメンなさい……後何か着るもの下さい。」
シルがそう言い終わると同時に司の顔が紅潮していく。
「こっちこそゴメン……服……」
少し慌てながらもシルに服を渡し詳しく話を聞くことにした。
シルの話によると、シルには呪いがかかっていて、呪いをかけたのは、そもそも自分自身らしい、面白半分で呪いの本を読み、試しに自分にかけてみたのだと言う。
かかるわけないと思っていたので、呪いを解く事が自分では出来ずこの新月の日を待っていたのだと言う。
「って事で司さん私をその呪いをかけた場所に連れて行って欲しいのです、そこに落とした本に呪いの解除の呪文が書いてあるので。」
司はシルを助けたいと思いその日一日仕事を休みシルが呪いをかけた場所へと向かった。
そこは少し崩れそうにも見える昔の一軒家だった。
「シル……本当にここであっているのか?何か建物潰れそうだけど……」
「確かこの辺りに……」
シルはある部屋に置いてあった箱を開ける
「あった、この本だ。」
シルは急いでその本のページをめくり呪いの解除方法を探す。
「シル解除方法は見つかったか?」
司の問いかけにシルは黙り込む。
「シル?」
少し心配になり顔を覗き込むと、シルは少し涙を流していた。
「どうしたんだよシル、解除方法書いて無かったのか?」
司の問いかけにゆっくり頭を横に振る。
「じゃあ何で泣いてるんだよ。」
「この本に書いてあったのは、そもそも犬になる呪いじゃ無かったの、今ちゃんと読んだんだけど、自分の事をちゃんと見てくれる人に会うための呪いのかけ方だった見たい……」
それを聞き司もその本を見る。
その本にはこう書かれてあった。



本当の自分を見てくれる人に会う呪文。
この呪文を唱えると今の外見を無くし自分の中身に惹かれる人に会うことが出来る。
注意、呪文を唱えて次の新月まで有効、新月の日が来れば元に戻る。


「何だよこれ。」
少し笑いながら司はシルを見た。
少し恥ずかしそうにシルも司を見る。
「……で、シルはどうするの?オレと出会ったけど。」
シルは顔を紅潮しながらも、
「司さんはどう思ってるの?私の事……私の中身どうだった?」
少しの間沈黙が続いた後司が笑いながら一言言った。
「シルの事はすっごい好きだよ、これからも一緒にいて欲しい。」
その言葉を聞きシルは少し涙ぐみながら司に抱きつく。
「私も司さんと一緒がいい。」
不思議な縁で知り合った二人はこうして末永く暮らしました。
「でもオレ犬のシルも好きだったよ。」
「私と犬どっちが好きなの?」
「……どっちも?」



END
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