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尋問

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 「リベラティオ」本部の一室で、カドッシュにより、グスタフ・ベルンハルトに対する取り調べが行われようとしていた。
 彼女は、手足を拘束され、更に椅子に縛り付けられた状態で座っている。
 グスタフの命を預かる、と宣言した者として、セレスティアも、取り調べに同席していた。
 フェリクスとアーブルの二人もまた、セレスティアの護衛として彼女に付き添っている。
「他の者たちも、気になるようだな」
 フェリクスは、組織の構成員たちが、部屋の扉にある鉄格子付きの小窓から室内を代わる代わる覗いているのを見て、呟いた。
「そりゃそうだろうな。帝国側に、この場所がバレてるなら、引っ越す羽目になるかもしれないし」
 アーブルが、囁くように答えた。
「お供が二人とは、ずいぶんと、厳重じゃあないか。『かせ』のお陰で、今の僕は、お姫様と腕相撲しても負ける程度の力しかないというのにさ」
 グスタフは、フェリクスたち三人に目をやると、薄く笑った。
 その表情からは、最早もはやどうなってもいいとでも言うかのような、捨て鉢なものが感じられた。
「あなたは、麻痺仕様パラライズモードの光剣を食らっても、口が利けるほどの耐性を持っています。『かせ』を付けても、思うように動けないフリをしている可能性は、ありますからね」
 冷たい声で言って、カドッシュはグスタフを見下ろした。
「何とでも思えばいいさ……ところで、拷問でもするのかい? もっとも、僕は、あんたたちにとって有益な情報なんて持っていないけどね」
「有益かどうか判断するのは我々ですよ」
 カドッシュの質問に、グスタフは特に反抗するでもなく、淡々と答えていった。
 グスタフによれば、今回の襲撃は彼女の独断であり、「リベラティオ」本部の場所については、他の誰にも告げていないという話だった。
 皇帝守護騎士インペリアルガードの制服を身に着けていなかったのも、それが理由なのかもしれない。
「そもそも、何で、ここが『リベラティオ』本部だって分かったのかな」
 首を傾げるアーブルへ答えるかのように、グスタフが言った。
「警察や公安の手をくぐる技術力を見れば、魔法や魔導絡繰まどうからくりに詳しい者が多く関わっているであろうことは推測できる。加えて、その為の資金源も潤沢だと思われる。それと、以前に流されていた政治宣伝プロパガンダ映像を見て、仮面で顔を隠していても、話し方や声などから、あんたが頭領じゃあないかと思ったのさ、ユハニ・ヴァルタサーリ」
 彼女は、カドッシュの顔を見据えた。
「疑いを持ったとしても、相手が帝国十二宗家ていこくじゅうにそうけの一つでは、迂闊に手が出せないんだろうね。しかし、組織の隠れ家として使われていそうな場所は、幾つか目星をつけていたけど、まさか一つ目で当たりを引くとは思わなかったよ」
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