99%断罪確定の悪役令嬢に転生したので、美男騎士だらけの学園でボッチ令嬢を目指します

ハーーナ殿下

文字の大きさ
4 / 57

第4話:壁ドンなオレ様

しおりを挟む
前世の記憶を取り戻した私は、ゲームのメイン場となる聖剣学園に入学。

悪役令嬢としての死亡フラグを折るため、裏ワザ狙いで主人公の元に向かう。

でも、そんな前に立ちはだかるのは、オレ様系のイケメン騎士だ。



今、私は絶賛“壁ドン”され中。

「マリア、なぜオレ様の呼びかけを、無視したんだ⁉」

 相手は赤髪のイケメン騎士。

 長身のすらりとした青年で、年齢は自分と同じくらい。
 少し気が強そうで顔立ちは、"超”がつくほど整っている。

ひと言で説明するなら。――――“オレ様な超イケメン”だ。
 
 男子だけど、若手のハリウッドスターも真っ青な美形。
切れ長の瞳は、陽の光を浴び美しく輝いている。

 あっ、まつ毛もかなり長い。
もしかしたら、女である自分よりも長いかも。

でも悔しさすら感じない、完璧な美形だ。

(これがあのラインハルト= ヘルトリングか……)

私はこの美男騎士に“二つの面識”があった。

一つは令嬢マリアンヌの幼馴染として、この人との過去の記憶。

もう一つは乙女ゲームのメイン登場人物として、私のプレイヤーとしての記憶だ。

「おい、マリア、聞いているのか⁉ さっきから、どこを見ている。」

ラインハルトは私の目を真っ直ぐ見ながら、再度問いてきた。
壁ドンは絶賛続行中だ。

それにしても、顔が近い。

憧れのイケメン騎士からの壁ドン。
このまま天国に行ってもいいくらいに、幸せな状況だ。

えー、ごほん!

でも、私は心の中で咳ばらい。

やっぱりここで死ぬのは嫌。
だから確固たる意思で、この人に対応しないといけない。

自分の死亡フラグを、早く配収しに行くために。

「……聞こえております。ですがその前に、この手をどいてくれませんか? ラインハルト様?」

私マリアンヌは毅然きぜんとした態度で、答える。
表情ひとつ変えずに、かなりクールな感じ。

でも中身の私は、心臓がバクバク中。
相手に動揺を悟られないように、平静さを装っていく。
 
ちなみに超イケメンを目の前にしても、私マリアンヌは表面上クールを保てる。
マリアンヌ自身がこの十数年間で培った、令嬢スキルなのであろう。

助かります、マリアンヌさん。

「"ラインハルト様”だと? なんで、そんな他人行儀でオレ様を呼ぶ⁉ 昔みたいに“ライン”の愛称で、なんで呼ばないんだ、マリア⁉」

 ラインハルトは不機嫌そうに、怒って訪ねてくる。

でも私マリアンヌは知っている。
この人は本当に怒っている訳ではない。

オレ様キャラだから、これが地の口調なのだ。

「私たちはもう、あの頃の幼子ではありませんわ。それに、人目もありますから」

「ちっ……野次馬どもか」

 いつの間にか周囲に、野次馬が集まってきていた。

彼らはこの学園の生徒たち。
何事かと思って、こちらを遠巻きに見てくる。

「この場で、これ以上の騒ぎは、お互いの家名のためには、よろしくなくて?」

ここは庶民用の宿舎の玄関で、私たちは貴族令嬢と騎士。

明らかに違和感がある状況だ。

「くっ……そうだな」

ラインハルトはオレ様系だが、バカではない。
状況が悪化するのを恐れ、壁ドンを止めて、私から距離をとる。

あっ……壁ドンが終わっちゃった。

なんか、もったいない気もするけど、これで私も開放された。
ここから脱出するために、更に口撃をしかける。

「あと、ここは栄光ある聖剣学園の敷地内。今後もお気をつけてくださいませ、ラインハルト様」

「ああ、そうだな」

聖剣学園は校則により生徒の身分は、基本的に平等とされている。

だから上級貴族の嫡男であるラインハルトも、自分の領内とは違い傍若無人ぼうじゃくぶじんな行動はできないのだ。

「あと、あの頃とは違い、私たちは成人済み。先ほどのような軽率な真似は、今後はお気つけてください」

「……わかった」

悪役令嬢としてのマリアンヌの毒舌は鋭い。

ラインハルトは急にシュンとなる。
可愛い子犬のような顔だ。

「では、ラインハルト様。わたくしは予定があるので、お先に失礼いたします」

 だが今がチャンス。
私はこの場を立ち去る。
 
あー、でも本音を言うなら、この場にもっといたよ!

だって死ぬほどやり込んだ乙女ゲーム。
その主要キャラであるイケメン騎士ラインハルトの実物が、目の前にいるのだ。
 
個人的にはもっと、壁ドンして欲しい。
リピート機能で連打して、あと百回ほど壁ドンして欲しいぞ。

うっ……でも、今は心を鬼にして我慢。

だって、ここで時間を浪費するのはマズイ。

私は早く主人公ちゃんの部屋に、行かないといけない。
主人公ちゃんと友好的な初対面を済ませて、自分の死亡フラグを消去しないといけないのだ。

「……マリア、さっきは悪かったな。だが、この後の騎士との顔合わせ会では、オレ様のことを指名するのだろう? “パートナー騎士”として?」

叱られた子犬モードから、ラインハルトは復活する。
さすがオレ様キャラ、復活はやっ!

立ち去る私に向かって、ラインハルトは声をかけてくる。
仕方がないので、私は後ろを振りかえって答える。

「あなた様を“パートナー騎士”に、私が指名しない可能性もありますけど? そのことは考えていないのですか、ラインハルト様は?」

「いや、お前は必ずオレ様を指名する! オレ様にはそれが分かる!」

すご過ぎる自信だ。
いくら私マリアンヌと幼馴染とはいえ、ここまで断言しちゃうのは流石だ。

でも不思議と嫌味はない。
これがオレ様系男子のカリスマ的な魅力なのであろう。

実際に対峙する本当にたいしたもの。

でも今の私は後ろ髪を引かれている場合はない。

「では、その自信が折られないことを、心より祈っておりますわ。では失礼いたします」

 マリアンヌ的な毒舌を言い残し、私はその場をすっと立ち去る。
とにかく今は急がなと。

かなり後ろ髪を引かれつつ、私は主人公ちゃんの元へと向かうのであった。
 


だが時は遅し。

私はやってしまった。

なんと主人公ちゃんは既に部屋にはいなかったのだ。

おそらくは私がラインハルトに捕まっている間に、騎士との顔合わせ会場に向かったのであろう。

 うわー、これは私の大失態。

いや、ラインハルトの責任だ。
あんちくしょー。

とにかく私も急いで準備して、主人公ちゃんを会場に探しに行かないと!

早くしないと私の死亡フラグが立っちゃうよー。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。 こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。 完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。 この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。 ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。 彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。 ※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢に転生したので、剣を執って戦い抜く

秋鷺 照
ファンタジー
 断罪イベント(?)のあった夜、シャルロッテは前世の記憶を取り戻し、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと知った。  ゲームシナリオは絶賛進行中。自分の死まで残り約1か月。  シャルロッテは1つの結論を出す。それすなわち、「私が強くなれば良い」。  目指すのは、誰も死なないハッピーエンド。そのために、剣を執って戦い抜く。 ※なろうにも投稿しています

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...