99%断罪確定の悪役令嬢に転生したので、美男騎士だらけの学園でボッチ令嬢を目指します

ハーーナ殿下

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第10話:友だち

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生粋のトラブルメーカーな令嬢、ヒドリーナさんから友だちの誘いを受けた。

「マリアンヌ様とお友達となりたいです……私。ご迷惑でございますか?」

貴族用の宿舎の一階にある食堂。
周りでは他の令嬢たちが、優雅にランチタイムを楽しんでいる。

そんな中、私の中だけに、とてつもない緊張が走る。

私に交友関係の契りを迫ってきた相手はヒドリーナさん。
同じく学園の新入生のドルム伯爵家の令嬢だ。

少し感情の起伏が激しいけど、彼女自身はそれほど悪い人ではない。
性格は裏表がなく、真っ直ぐな感じの子だ。

まぁ、あの一件を見た感じ。
ヒドリーナさんは身分の低い人を、ちょっと見下す傾向にある。

でも貴族至上主義のこの世界では、あの程度はよくあること。

それに彼女はまだ新入生。
見下す傾向は、今後の学生生活で改善していけそうかな?

(『先日は誠にありがとうございました、マリアンヌ様』……『本当にご迷惑をおかけしました』……か)

あと彼女には、好感がもてる部分がある。
それは素直に謝って、ちゃんと感謝を述べてきてくれた事。

私は、マリアンヌは、素直に謝り、感謝を述べてくる人が好きだ。

(『失敗を恐れて、後悔しちゃだめ。失敗した時は素直に謝り、ありがとうと言いなさい、マリア』……だもんね、ママ……)

これは私の母親の言葉。

えーと、マリアンヌさんのお母さんの方ね。
そのマリアンヌのお母さんが、いつも私に向かって言っていた、言葉なの、これは。

今の私の中には二つの記憶がある。
だからマリアンヌの記憶も、私の大事な一つの感情なの。

(そうだね……マリエル・ママ……何も迷う必要はなかったんだね、友だちを作るには……)

自分の死亡フラグを気にして、私は本当に大切なモノを、見失うところだった。

「ヒドリーナ様」

「は、はい!」

ヒドリーナさんは、ビクンと反応。
両手はテーブルの下で組まれ、少し震えている。

きっと、この人は勇気を出して、食堂(レストラン)にいた私に声をかけてくれたんだ。

顔合わせ会から、ずっと考え抜いて、一歩踏みだして『友達になって』と、私に声をかけてくれたのだろう。

今の自分にはテレパシーはない。
でもヒドリーナさんはから、そんな真心が感じられる。

「ヒドリーナ様……こんな私でよければ、どうぞよろしくお願いいたしますわ。是非ともお友だちになってくださいませ」

「えっ? は、はい、こちらこそ、よろしくお願いいたします、マリアンヌ様!」

ヒドリーナさんは目を、うるうるさせていた。
きっと嬉し涙なんだろうな。

うっ……私まで、涙が。
こっちまで、もらい泣きしちゃいそうだ

あっ、ハンス。
ハンカチをありがとう。
気が利くわね。

いつも冷酷非道な能面執事って、心の中で悪口を言っていてごめんね。

じろり。

う、……はい、口には気をつけます

ふう……でも、よかった。

これで私も一歩前進した感じ。
学園生活で友達が一人もいない、ボッチから卒業できた!

さて、これから学園生活も楽しくなりそうだな。
色んな話をしようね、ヒドリーナさん。


――――そんな時だった。

「マリア、ここにいたのか!」

自分の愛称を呼ぶ男性の声が、学食のホールに響く。

少し強引な感じの人だ。
でも、その美声は聞く者に、心地よささえ与える。

(この声は……)

何日か前にも、聞いた声だった。

「マリア!」

声の主はどんどん、こちらに近づいて来る。
すごい勢い。

そして目の前に到着。


「これはラインハルト……様。ご機嫌、うるわしゅうございます」

やって来たのはラインハルト= ヘルトリング。

「マリア、心配していたぞ! あの顔合わせ会の事件以来、どこにいっていたんだ⁉」

私マリアンヌの幼馴染で、この学園の美男騎士だ。

長身のすらりとした体型で、赤髪のイケメンな青年。
切れ長の鋭い瞳と、長いまつ毛が印象的なイケメンだ。

「見て……ラインハルト様よ……」

「あの蒼薔薇騎士ブルーローゼス・ナイツの一員の……」

「噂通りに、素敵な殿方でございますわ……」

 ラインハルトの登場により、食堂にいた他の令嬢たちがザワつき始める。 

 何しろラインハルトは、美男騎士の中でもトップクラスの美男子。(ゲーム公式情報)

ちょっと強引なところがあるけど、令嬢たちの憧れの存在なのだ。

でも今の私は、あまり関わりたくない。
この人といると、ゲーム的に死亡フラグが立ちやすいのだ。

こっそり逃げようかな……。

「マリア、おい逃げるな!」

あっ、見つかってしまった。
もしかしたら今日も、“壁ドン”されちゃうのかな? 

でも今、私のいる場所は、食堂の真ん中。
周りに壁はないから、物理的には壁ドンできないはず。

「ちっ、壁から離れていやがる……」

えっ、ラインハルトが何か、ぶつぶつ言っている?

この人はもしかして、本気でまた壁ドンしようとしたの? 
公式設定とはいえ、すごい執念だ。

さて、逃げられないから、ここで迎え撃つしかないな。

いきなりのオレ様の登場に、怯えているヒドリーナさんを守らないと。
よし、頑張ろう。

悪役令嬢マリアンヌ・モード発動だ。

「このような公共の場で、大きな声を出されて、いかがなさいましたか、ラインハルト様?」

「いかがだと? さっきも言ったが、オレ様は心配していたんだぞ! あの顔合わせ会の事件以来、どこにいっていたんだ、マリア⁉」

「ああ、そのことですかた。寮の自室で、少し考えごとをしておりました」

本当は恥ずかしくて、引き籠っていた。
でも、そんなことは絶対に知られたくない。

「考えごとか。そうだっのか……ならいい。無事で良かった」

おや?

ここにやって来た時は、少しムッとしていたラインハルト。
でも今は、ちょっと嬉しそうな表情になった。

もしかしたら本当に心配してくれたのかな?

その表情の変化に、私もちょっとドキドキしちゃった。

「元気で本当に良かった。それなら今日はマリアに、オレのダチを紹介しようと思って、ここに来たんだ。おい、ジーク、入ってもいいぞ!」

ラインハルトの呼びかけに、食堂に一人の美男騎士が入ってくる。
長身なラインハルトに負けないくらいの、すらりとした身長の人だ。

「いつまで経っても呼ばないから、私のことを忘れていたのかと思ったぞ、ライン?」

私たちの所に近づいてきたのは、銀髪の青年。
窓からの陽の光を浴びて、全身が美しく輝いている。

(う、うわっ……これまた、すごいイケメンが来ちゃったよ……)

間近で見て、思わず心の中で叫んでしまう。

ビックリするぐらい、顔立ちの整った美形さんだ。
クールな感じの雰囲気で、北欧の氷のような美しさがある。

こんな対照的な人が、オレ様なラインハルトの友達なのか。

あれ、この人……ゲームで見たことが、ある。
確実に見たことがある。

だが私が思い出す前に、相手が先に動いてきた。

「初めましてマリアンヌ様。私は蒼薔薇騎士ブルーローゼス・ナイツの一員、ジークフリードと申します」

ジークフリードと名乗った青年は、私の目の前で片ひざをつく。
美男騎士が乙女に対する、正式な礼を形だ。

クールな外見なのに、女性に対して凄く礼儀正しい人。
いきなり壁ドンしてきたラインハルトとは、親友同士でも、えらい違いだ。

(あれ“ラインハルト=ヘルトリング”の親友……銀髪のクールな親友って……もしや……?)

この人のことを、ようやく思い出した。

いや、こんな大事なキャラを、私が忘れるはずはなかった。

でも、ゲームと時系列的がズレて、私は今まで混乱していたのだ。

「ジークフリード様……もしかしたら、貴方様は、ジークフリード=スザミ……様でございますか、あの?」

「……ええ、よくご存知で」

ジークフリードさんの返事で、私の推測が確信に変わった。

この人、ジークフリードさん――――愛称ジーク様の正体が、分っちゃった!

えっ、でも待ってよ。
たしかジーク様の登場は、ゲームの中ではもっと後だったはずだよね?

というか、隠れキャラであるジーク様は、こんな感じでストーリーモードには出てこないはず。

「マリアンヌ様……一つ、お聞きしてよろしいですか。なぜ、私の“スザミ”の姓をご存知でしたのですか?」

クール瞳がさらに妖しく光る。
私のことを明らかに疑っていうる。

(うわー、どうしよう……でも、“あのジーク様”が目の前にいるんだ……本当……)

ゲーム内、ジーク様には大きな秘密がある。

学園内での彼の名はジークフリード=スザミ。

でも本名は“ジークフリード=ザン=ミューザス”。

隣国ミューザス王国の王子様で、身分を隠して学園に入学している設定。

そして超SSレアな隠れキャラ。

まさかのレア人物の登場に、ゲーマーとしての私のアドレナリンは、先ほどから全開です。
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