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やんだ
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夏のある日。
梅雨はとうの昔に終わったというのに今日はずっと雨が降っている。
夏の暑さと雨の日特有の雰囲気のせいで、何をする気も起きない。
ピンポーン
雨の音が響く部屋の中一人で窓に打ち付ける雨を眺めていたら、インターホンがなった。
「どちら様ですか...って、傘は?びちょびちょじゃんかよ、どうしたの」
こんな雨の日、傘もささずに突っ立っていたのは親友である晴だった。
「ねぇ冷雨、俺もう疲れた。つかれたよ冷雨」
こちらに預けられた晴の体は、異常なほど冷たかった。
長い間雨に打たれただけでこんなに冷えるものなのだろうか。
それに、疲れたってなんだ。
普段元気はつらつで、無駄におしゃべりなくせして。
貴重な夏休みの一日に俺のところに来るほどこいつは弱っていたのだろうか。
たくさんの考えが俺の頭に浮かぶ。
なのにかける言葉は思いつかなくて、少し異様な光景に沈黙だけが流れていた。
そんな沈黙を破ったのは晴のほうだった。
「冷雨、お願い。俺と逃げてよ。お前がいれば俺はなんでもいいからさ。お願い、一緒に来て、冷雨」
涙ぐんだ声で言われたら断れるはずもない。
ただ、逃げるなんて言ったってどこに?
お互い一人暮らしで、実家も頼れるようなとこではないのに。
「いいけど、どこに行くの」
そう聞いても返事はない。
きっと考えていなかったんだろう。
ただ目の前の地獄から抜け出したくてここに来たんだろう。
「晴、これは俺とお前の逃避行。
二人でどっか行こう」
なんて言えば、顔をあげて泣きそうな笑顔を向けてくる。
可愛いな。
「冷雨、早く行こ」
ぐいぐいと袖を引っ張って急かしてくる。
さすがになにも持たずに出たら生きていけない。
でも財布は持ったしな。
まぁいいか。
そう思って晴に引っ張られるままに雨の中へ飲み込まれたいった。
雨の中、男二人が傘もささずに歩いているなんて異質以外の何物でもないだろう。
その証拠に、通行人からの視線が痛かった。
そんな時間もあっという間で、着いた先は山の中間ほどにある少し開けた場所だ。
長いことここに住んでいたが、こんな場所があるなんて知らなかった。
少し下を覗けば、少し暗い街が一望できた。
「晴、ここでなにするの」
晴の目を見ながら言えば、少し俯いてから口を開いた。
「冷雨、俺と死んで?」
まぁ、予想はしていたし心の準備だってしてある。
「晴とならいいよ」
晴は、お前ならそう言うと思った。と言いたそうな顔をして俺の手を引いた。
「冷雨、せーの、」
二人で雨の降る街に落ちていく。
意外と怖くないな。晴がいるからかもしれない。
「冷雨、俺、冷雨のことが好きだよ」
落ちてる最中に言うことか。そう思いながらも、正直な気持ちを言葉にする。
「俺も好きだよ」
そう言えば、今までで一番いい笑顔で
「両思いだったんだ!」
気づけば止んでいた雨、少し顔を覗かせた太陽に照らされながら、男二人が幸せなまま天国へ落ちていった。
梅雨はとうの昔に終わったというのに今日はずっと雨が降っている。
夏の暑さと雨の日特有の雰囲気のせいで、何をする気も起きない。
ピンポーン
雨の音が響く部屋の中一人で窓に打ち付ける雨を眺めていたら、インターホンがなった。
「どちら様ですか...って、傘は?びちょびちょじゃんかよ、どうしたの」
こんな雨の日、傘もささずに突っ立っていたのは親友である晴だった。
「ねぇ冷雨、俺もう疲れた。つかれたよ冷雨」
こちらに預けられた晴の体は、異常なほど冷たかった。
長い間雨に打たれただけでこんなに冷えるものなのだろうか。
それに、疲れたってなんだ。
普段元気はつらつで、無駄におしゃべりなくせして。
貴重な夏休みの一日に俺のところに来るほどこいつは弱っていたのだろうか。
たくさんの考えが俺の頭に浮かぶ。
なのにかける言葉は思いつかなくて、少し異様な光景に沈黙だけが流れていた。
そんな沈黙を破ったのは晴のほうだった。
「冷雨、お願い。俺と逃げてよ。お前がいれば俺はなんでもいいからさ。お願い、一緒に来て、冷雨」
涙ぐんだ声で言われたら断れるはずもない。
ただ、逃げるなんて言ったってどこに?
お互い一人暮らしで、実家も頼れるようなとこではないのに。
「いいけど、どこに行くの」
そう聞いても返事はない。
きっと考えていなかったんだろう。
ただ目の前の地獄から抜け出したくてここに来たんだろう。
「晴、これは俺とお前の逃避行。
二人でどっか行こう」
なんて言えば、顔をあげて泣きそうな笑顔を向けてくる。
可愛いな。
「冷雨、早く行こ」
ぐいぐいと袖を引っ張って急かしてくる。
さすがになにも持たずに出たら生きていけない。
でも財布は持ったしな。
まぁいいか。
そう思って晴に引っ張られるままに雨の中へ飲み込まれたいった。
雨の中、男二人が傘もささずに歩いているなんて異質以外の何物でもないだろう。
その証拠に、通行人からの視線が痛かった。
そんな時間もあっという間で、着いた先は山の中間ほどにある少し開けた場所だ。
長いことここに住んでいたが、こんな場所があるなんて知らなかった。
少し下を覗けば、少し暗い街が一望できた。
「晴、ここでなにするの」
晴の目を見ながら言えば、少し俯いてから口を開いた。
「冷雨、俺と死んで?」
まぁ、予想はしていたし心の準備だってしてある。
「晴とならいいよ」
晴は、お前ならそう言うと思った。と言いたそうな顔をして俺の手を引いた。
「冷雨、せーの、」
二人で雨の降る街に落ちていく。
意外と怖くないな。晴がいるからかもしれない。
「冷雨、俺、冷雨のことが好きだよ」
落ちてる最中に言うことか。そう思いながらも、正直な気持ちを言葉にする。
「俺も好きだよ」
そう言えば、今までで一番いい笑顔で
「両思いだったんだ!」
気づけば止んでいた雨、少し顔を覗かせた太陽に照らされながら、男二人が幸せなまま天国へ落ちていった。
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