49 / 75
48.彼の敵意は戦闘準備
勝負当日、ディミドラは魔導具で髪と目の色を変えた。
顔を晒さないように、全身黒ずくめの格好にしたが、なんだか暗殺者のようだと思い、男物の団服をはおった。
目もとが見えると気づかれる可能性があるため、ゴーグルを装着したのだが、怪しさ満点になってしまったので、変わり者設定も追加でいくことにする・・・。
髪の色はディミドラとは思われないように、変えた髪色がわざと見えるよう、結んで長さを短くして少し見えるようにもした。
朝に彼が来て、俺が勝つのを見ているように言った。ちゃんと特等席で見ますけど、姿が見えると気がちったら困るので、見えないところにいますねと言っておいた。
変装するのだから、姿は見えない。戦いを目の前で見れるので特等席と・・・。
もう場は整っているだろうから、最後にリンジェーラに貰った香りをつけて、彼のいう、番の匂いを誤魔化した。
訓練場に向かうと、既に彼は待ち構えていて、ディミドラが現れると鋭い視線を向けて来た。
「やっときたか・・・」
ディミドラがいつも向けられるのとは違う声色に、気づかれていない事に安堵しつつも、緊張が走った。
とりあえず一礼をし、訓練場に入り、彼の目の前にたった。
「随分小さいな・・・」
ディミドラと同じ身長だとは思っていないようだ。
「この者は、まだ20にはなっていませんので、今からなのですよ」
待機していた父がフォローに入る。
「本当にこの者との勝負でよいのか?それで彼女は納得するのか」
彼は自分が相手では不服なようだ。
「問題ありません。実力はありますから、娘もこれで納得するでしょう」
父はディミドラの代わりに代弁してくれる。
「それが嘘でないことを期待する。お前・・・死なないようにちゃんと受け身くらいとれよ。さすがに殺しては彼女が文句をいいそうだからな」
殺したら、文句も言えませんよと思いながらディミドラは頷いた。
「お前・・・ちゃんと返事くらいしろ。何故さっきから頷くだけなんだ」
やはり彼は気になるであろう事をついてきた。
「申し訳ありませんが、この者は話せないのです。戦いには雑談は必要ありませんから問題はないかと思いましたが」
父がフォローに入る。
「・・・そうか。声が出せないなら仕方ないな」
彼は話せないと父が言ったのを、此方の都合よく解釈してくれたみたいだ。
「娘はおしゃべりな男は嫌いでね・・・だからか、この者を気に入っているので、ご容赦ください」
お気に入りに反応してか、彼の表情が険しくなる。父も彼を煽るのが上手い。
「ほう・・・」
ただ話せない言い訳なのだが、一方的に話すだけの男が嫌いなのは事実だ。
「お嬢は、あんなスラリとした体型が理想なんでしたよね」
周りの団員が、彼を煽るように話し出す。だが、話の内容は捉え方による。
「ガサツな男は嫌いだったよな」
「戦いに性格が現れるとかいつも言ってるしな」
「だから戦いで本性を見極めてるんだろうなぁ」
「・・・」
団員達による声が彼の耳に届き、こちらを睨み付ける視線がするどくなった。敵意が向けられた事で、戦う準備は整ったのだった。
あなたにおすすめの小説
番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。
そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。
お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。
愛の花シリーズ第3弾です。
番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!?
貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。
愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
番が逃げました、ただ今修羅場中〜羊獣人リノの執着と婚約破壊劇〜
く〜いっ
恋愛
「私の本当の番は、 君だ!」 今まさに、 結婚式が始まろうとしていた
静まり返った会場に響くフォン・ガラッド・ミナ公爵令息の宣言。
壇上から真っ直ぐ指差す先にいたのは、わたくしの義弟リノ。
「わたくし、結婚式の直前で振られたの?」
番の勘違いから始まった甘く狂気が混じる物語り。でもギャグ強め。
狼獣人の令嬢クラリーチェは、幼い頃に家族から捨てられた羊獣人の
少年リノを弟として家に連れ帰る。
天然でツンデレなクラリーチェと、こじらせヤンデレなリノ。
夢見がち勘違い男のガラッド(当て馬)が主な登場人物。
私、異世界で獣人になりました!
星宮歌
恋愛
昔から、人とは違うことを自覚していた。
人としておかしいと思えるほどの身体能力。
視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。
早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。
ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。
『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。
妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。
父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。
どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。
『動きたい、走りたい』
それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。
『外に、出たい……』
病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。
私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。
『助、けて……』
救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。
「ほぎゃあ、おぎゃあっ」
目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。
「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」
聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。
どうやら私は、異世界に転生したらしかった。
以前、片翼シリーズとして書いていたその設定を、ある程度取り入れながら、ちょっと違う世界を書いております。
言うなれば、『新片翼シリーズ』です。
それでは、どうぞ!
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。