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48.彼の敵意は戦闘準備
しおりを挟む勝負当日、ディミドラは魔導具で髪と目の色を変えた。
顔を晒さないように、全身黒ずくめの格好にしたが、なんだか暗殺者のようだと思い、男物の団服をはおった。
目もとが見えると気づかれる可能性があるため、ゴーグルを装着したのだが、怪しさ満点になってしまったので、変わり者設定も追加でいくことにする・・・。
髪の色はディミドラとは思われないように、変えた髪色がわざと見えるよう、結んで長さを短くして少し見えるようにもした。
朝に彼が来て、俺が勝つのを見ているように言った。ちゃんと特等席で見ますけど、姿が見えると気がちったら困るので、見えないところにいますねと言っておいた。
変装するのだから、姿は見えない。戦いを目の前で見れるので特等席と・・・。
もう場は整っているだろうから、最後にリンジェーラに貰った香りをつけて、彼のいう、番の匂いを誤魔化した。
訓練場に向かうと、既に彼は待ち構えていて、ディミドラが現れると鋭い視線を向けて来た。
「やっときたか・・・」
ディミドラがいつも向けられるのとは違う声色に、気づかれていない事に安堵しつつも、緊張が走った。
とりあえず一礼をし、訓練場に入り、彼の目の前にたった。
「随分小さいな・・・」
ディミドラと同じ身長だとは思っていないようだ。
「この者は、まだ20にはなっていませんので、今からなのですよ」
待機していた父がフォローに入る。
「本当にこの者との勝負でよいのか?それで彼女は納得するのか」
彼は自分が相手では不服なようだ。
「問題ありません。実力はありますから、娘もこれで納得するでしょう」
父はディミドラの代わりに代弁してくれる。
「それが嘘でないことを期待する。お前・・・死なないようにちゃんと受け身くらいとれよ。さすがに殺しては彼女が文句をいいそうだからな」
殺したら、文句も言えませんよと思いながらディミドラは頷いた。
「お前・・・ちゃんと返事くらいしろ。何故さっきから頷くだけなんだ」
やはり彼は気になるであろう事をついてきた。
「申し訳ありませんが、この者は話せないのです。戦いには雑談は必要ありませんから問題はないかと思いましたが」
父がフォローに入る。
「・・・そうか。声が出せないなら仕方ないな」
彼は話せないと父が言ったのを、此方の都合よく解釈してくれたみたいだ。
「娘はおしゃべりな男は嫌いでね・・・だからか、この者を気に入っているので、ご容赦ください」
お気に入りに反応してか、彼の表情が険しくなる。父も彼を煽るのが上手い。
「ほう・・・」
ただ話せない言い訳なのだが、一方的に話すだけの男が嫌いなのは事実だ。
「お嬢は、あんなスラリとした体型が理想なんでしたよね」
周りの団員が、彼を煽るように話し出す。だが、話の内容は捉え方による。
「ガサツな男は嫌いだったよな」
「戦いに性格が現れるとかいつも言ってるしな」
「だから戦いで本性を見極めてるんだろうなぁ」
「・・・」
団員達による声が彼の耳に届き、こちらを睨み付ける視線がするどくなった。敵意が向けられた事で、戦う準備は整ったのだった。
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