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51.私の番の匂い
しおりを挟む連れてこられたのはやはりディミドラの部屋で、部屋に着くなり彼はディミドラの着ていた服を脱がしてきた。
「ちょっとッ、何脱がして」
ディミドラは抵抗する。勝負に負けたからと、彼の好きなようにされたくはなかった。
「暴れるな・・・怪我がないか確認するだけだ」
「だからッ怪我なんてしてません」
ディミドラは服を脱がされながら、裸になった後の事を危惧する。
「ならじっとしていてくれ、脱がせづらい・・・」
彼はディミドラの服に手をかけ、脱がせようと続ける。
「勝手に脱がせないで下さいッ」
「なら、自分で脱いでくれ」
だから、なんで服を脱がなければいけないのかがわからない。
「怪我の確認だからと、服を脱がないといけないのが、理解できないと言っているんです」
「脱がないと怪我の確認ができないだろう」
「・・・脱がなくても、捲れば確認くらいできます」
「それじゃ隅々までは確認できないだろう・・・それに、早くその匂いをなんとかしてくれ」
彼は顔を顰めながら、また服を脱がせようと手をかけてきた。
「もうッわかりました。でも自分で脱ぎますから、あっちを向いていて下さい」
さすがに脱ぐところを見られたくはなかった。脱いだ後は結局傷がないか確かめられるため見られるのだろうが、そうしないといつまでも並走線だし、このやり取りは終わらないと思ったのだ。
ディミドラは彼が後ろを向いたので自分も、背を向け服を脱いだ。
だか、もちろん下着は着用している。
「脱ぎましたよ。どこも怪我はしていないでしょう?」
ディミドラは後ろを振り返った。
彼はこちらを向いて、ディミドラを眺めてくる。だが、素肌には触れようとしなかった。
「血の匂いはしないから外傷はなさそうだか・・・。それにしても何故デラの匂いがしないんだ」
彼は普通にディミドラを愛称でよび、匂いの事を聞いてきた。
「変装しても、あなたには匂いですぐに正体がわかってしまうと思って、リンジーにお願いしたんです。リンジーと同じような獣人を寄せ付けない匂いではなく、誤魔化すくらいのものを。あからさまでは逆に怪しいかと思って。でも、あまり効果は長くありません」
「また彼女か・・・」
彼はいつものように眉間に皺をよせた。
「言っておきますが、リンジーが悪いわけではありませんからね。私が無理を言ってお願いしたんです。獣人の鼻を効かなくする薬を開発しているらしかったので、匂いを誤魔化すようなのは出来ないかと、私から提案したんですから」
「まさか俺が実験台を断った薬もどきを、番の君が所望するとはな・・・デラから番の匂いがしないのが、悲しいな」
彼は悲壮感を漂わせた。
「・・・匂いがなかったら、なんとも思いませんか?」
ディミドラはふと、現状に気づいた。匂いがわからなくなればディミドラに対する態度が変わるのではないかと・・・。
彼に負け、前向きに彼と向き合おうと思っていたのだが、彼は番の匂いがなければ、やはり自分を求めては来ないのではないかという事実に胸がざわついた。
「そんなことはない。匂いがなくとも、俺はデラが愛おしい。デラが番だから、より嬉しく思って、勝手に舞い上がっていたんだからな。だが、デラの匂いが嗅げなくなるのは、俺には耐えられそうにはないな・・・」
彼はディミドラを抱えてバスルームへのドアのほうへ向かうのだった。
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