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14.髪型
しおりを挟む結局レミリアは、あのまま馬車でルシウスを待つことはできず逃げてしまった。
ルシウスが庇う彼女の姿を見ていられなかったのもあるが、彼女をみていて気付いてしまった・・・。
彼女の髪型と自分が同じ髪型をしていることに・・・。
今日ルシウスがレミリアの髪型の変化に気づき、似合っているといったのは、同じ髪型をした彼女を思い浮かべ発言したのでは・・・。
そう思うとレミリアはひどく惨めな気持ちになり、また逃げだしてしまっていたのだ。
けれどレミリアは、逃げ出した先で、ルシウスではない人に捕まってしまう。
「何処に行こうとしてるんだ?」
レミリアに声をかけてきたのは、アビゲイルの双子の兄、アイザックだった。制服を着崩しながら、気だる気にやれやれといった感じで近づいてくる。
「そんなに髪を乱して、襲われたと誤解されるぞ」
レミリアはあのままの髪型でいたくなくて、自身で無理やり解いてしまっていたのだが、結われた髪は簡単には解けなかったのだ。
指摘された事で自身の髪を触って確かめ、思ったよりもだいぶ髪が乱れていたようで、なんだか気まずくなり素っ気なく返事をし返した。
「・・・放っておいて」
アイザックは子爵令息であるが、普段からアビゲイルと一緒にいるレミリアに対しては、砕けた口調で接してきていたし、アビゲイルの兄だということもあり、気兼ねがいらない存在だった。
しかし彼は子爵令息として、人目がある時は、レミリアにも口調や態度を正して、波風が立たないようにしている。だが、今周りには人もいないため、これが本来の彼なのだ。
「ほっとけるわけないだろ、見たものは気になって仕方ないし、放っておいたらアビーにどやされる・・・直してやるから、こっちにこい」
彼はレミリアの手を掴んで、空き教室に連れ込み、椅子へ座らせた。本当はこんな場所に男女でいるのは、婚約者がいる身としたら醜聞にしかならないが、レミリアはもう何も気にならないくらいに周りがみえていなかった。
彼は口ではアビゲイルにどやされるというが、彼はただ生粋の世話焼きなのを知っている。普段からアビゲイルのいいように使われているし、ぶっきらぼうだが困った人を見過ごせない性格であった。
アイザックは何処からかコームを取り出し、器用にもレミリアが無理矢理に解いた髪を整えだした。
彼は慣れているようで、あっという間にほつれた髪を解いて結い上げ、レミリアに鏡を向けて仕上がりを見せてくれる。
「ほら、完成したぞ。あまり時間掛けれないからな、このくらいしかできかないが、どうだ?」
「・・・・・・」
レミリアは、鏡に映る自身の髪型に驚いた。レミリアのウェーブがかかる髪を、数分で解きなおし、前に流すよう編み込こんで、ワンポイントに髪で花まで作られていたからだ。
「気に入らないのか?アビーが学園で装飾類は禁止だからって、結えるように練習させられたやつなんだが・・・花はやりすぎたか?」
アイザックは、レミリアの反応がないため、しまったなという表情をしていた。
「・・・いいえ、素敵で驚いてしまっただけよ・・・器用なのね」
レミリアは鏡にうつる髪型に見入ってしまってしまい、反応が遅れてしまった。アイザックがこんな短時間で髪を整え、結い直すとは思いもしなかったのだ。
「さっきより、マシな表情になったな」
アイザックは、横からレミリアを覗き込むように見て揶揄うように言ってきた。
「貴方のおかげ・・・ありがとう」
レミリアはアイザックの気遣いに、気持ちが軽くなり笑みを浮かべ、お礼を述べた。
「どういたしまして、お嬢さん」
そんなやりとりの中、部屋のドアが勢いよく開いて、焦ったような顔のアビゲイルが現れたのだった。
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