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20.レミリアの特技
しおりを挟むレミリアの心境をよそに、彼女は緊張しながらも期待した目でこちらをみてくる。
誰が見ても可愛い容姿をしたこの子は、きっとレミリアが頷けば自分たちの仲を認めてくれたのだと解釈するだろう。
あの場をみておきながら、結局婚約解消もせず、婚約を続けているレミリアの事をどう思っているのか・・・。
きっと、レミリアが現状を受け入れて婚約を継続したのだと思われているに違いない。もしくはルシウスが、何も婚約解消について言わないのは、レミリアが受け入れたと思い、彼女にそう説明したかだ・・・。
それで、妹として扱ってほしいとルシウスも言うのだろう。
自分の秘めた恋人を紹介し、未来で仲良くしてほしいと今から言質をとるつもりで・・・・・・。
だから、この場に他の人がいても、構わないと言ったのだ。証人として人がいた方が都合がいいと考えて。
ルシウスがそんな風な人だとは信じたくはなかったが、そのような考えに至ってしまうと、なんてひどい人なのだろうと・・・レミリアは勝手に思ってしまっていた。
それでもレミリアは、これもルシウスなりのレミリアに対しての優しさなのだと思うことにする。
関係がよければ、結婚した後に何を告げられても、揉めることは少ないだろうし、レミリアが受け入れやすいと配慮したのかもしれないと・・・だが、レミリアが頷くには、この場で今すぐは難しかった。
ルシウスへの思いを再確認して、抗いたい気持ちが湧いてしまっていたからだ・・・。
なんとかして彼女との仲を解消させて、レミリアだけを見てもらいたいのだと心で願う。それが駄目なら彼女と交流なんてせず、彼には秘密を隠し通して欲しい・・・。自分といる時は、別の存在がいる事を感じさせないでほしいと。
まだ彼に言ったわけではない。レミリアには最初の願いがまだ捨てきれないから・・・・・・後者は、叶わなかった時、ルシウスへお願いする事になるだろう。
ただ、今、この場でレミリアの事情を知り、心情を理解しているのはロゼリエだけで、頷きたくないレミリアは、話を逸らすべくロゼリエに助けを求めようと彼女から視線を逸らそうとしたが、彼女はレミリアに話しかけてくる。
「あの、私、レミリア様が編まれたレース飾りを拝見してから、レミリア様の作品のファンで・・・ずっと見ていたいくらい繊細で素敵なデザインの作品を作られるレミリア様に、憧れてました」
彼女の言葉にレミリアは、何を言われたのかわからなかった。
「・・・・・・・・・・・・そう」
だから随分とそっけなく返事をしてしまう。目の前の彼女は、いかにも勇気を振り絞ってつげたような雰囲気で、レミリアは戸惑ってしまった。
「今日、紹介してもらって、お話できて、とても嬉しいです」
彼女は、はにかみながら気持ちを伝えてくる。その表情に、ルシウスが言っていた事は、少し本当かもしれないと思ってしまった。
彼女は真っ直ぐレミリアをみて、嘘が微塵も感じられないくらい輝いている瞳を向けてきたから・・・。
レミリアは唯一の趣味を褒められた事で、なんだか複雑な心境だった。素直に嬉しいと思うのだが、やはり裏がないか考えてしまう。それにレミリアの作品を知っている事実が、ルシウスと彼女の親密さを強調しているようで切なくなった・・・。
「まあ、レミリアのレース作品が素晴らしいというのは真実ね。それ以外にも、もちろん刺繍も素晴らしいけど・・・ でもレミリアは作品を自分のだと公表していないはずなんだけれど?」
そう・・・アビゲイルが言ったとおり、レミリアは自分が完成させた作品をチャリティーに出した事はあるが、自身が作成した事は公表した事はなかった。
単に、レミリアが作ったものだと人に知られるのが恥ずかしかったというよりも、自信がなかったので最初から公表せずにいただけなのを、今でもそのままにしているのだ。
「それはもちろん、ルシウス様に教えてもらいました」
もちろんと彼女は、皆の前で彼の名を口にし、教えてもらったのだといってしまう。
こちらの人員の彼女を見る目が冷ややかなものに変わった事にも気づかずに・・・。
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