好きな人は姉への求婚者!?〜魔導騎士編〜【完結】

ドール

文字の大きさ
6 / 72

5.初めての2人の時間

しおりを挟む


 待ちに待った、キール様が訪ねてこられた。リズリーお姉様がお出迎えして挨拶し、少し話される。きっと今後は妹が相手をして、姉達の求婚者である彼を見極めるという話でもしているのだと思う。
 
 リズリーお姉様と話をされていたキール様が笑みを浮かべてお礼を言っているのが聞こえた。

 キール様の笑みがお姉様に向けられていて、胸が苦しくなった。あんな笑みを姉に向けるのだから、やはり自分には可能性がないのだと、既に気分が沈んでしまう。


「シルフィール嬢、これからお相手をよろしいだろうか」

 シルフィは、キールが既に近くに来ていた事に驚いてしまい、声が上ずる。
「ハッ、はい。よろしくお願い致します。よければシルフィと呼んで下さい」

「ありがとう、そうさせてもらおう・・・シルフィ嬢」
 キール様が自分の名前を口にされる。それだけで、とても嬉しくて、むず痒い。

「今日は、フィーが初めてお相手させて貰うから、庭に席を用意したわ。お茶を用意しているから、ゆっくりしていらしてね。約束は忘れないように気をつけて楽しまれるといいですわ」
 リズリーお姉様は、キール様に一礼して、私の頭を撫でて行った。

 キール様を庭に案内する為、歩き出そうとするとキール様が話しかけてこられた。
「フィーとは・・・あなたの愛称か?」

「あっ、はい。小さい頃から姉達にはそう呼ばれています。姉達以外はそう呼びませんが・・・」
 シルフィはキール様がもしかしたら、呼んでくれるかと期待してしまった。

「そうか、可愛らしいなと思ってな・・・。婚約者に認められたら、呼ばせてくれ」

「・・・はい」
 姉の婚約者になったらか・・・、義理の兄になるキール様には呼ばれたくはないと思ってしまい、返事が小さくなる。

「・・・すまない。嫌ならいいんだ。姉妹だけの特別な呼び名なら無理には呼ばない、呼んだら姉君達に叱られそうだ」

「・・・いえ、そういうわけではありません」

「では、庭までエスコートしても宜しいだろうか?シルフィ嬢・・・」
 キール様は優しい笑みで腕を差し出してくる。

 シルフィは望んでいた、初エスコートに少し戸惑いながらも、キール様の腕に手を添えた。騎士なだけあって、布越しでも筋肉があるのがわかる。そんな事を考えてしまい少し恥ずかしくなった。

「今日はこの前と違った雰囲気のドレスだな。とても可憐で似合っている」

「ありがとうございます。お姉様が選んで買って下さった中でもお気に入りなんです」
 シルフィはキール様は、この前姉が注意した、容姿をほめるという事をきちんと、実践しているなと思った。注意されたから、言われているだけで、ただのお世話にしか聞こえなかった。

「姉上はあなたが似合うものをよくご存知のようだな・・・うちの弟も妹に似合う物をよくプレゼントしているよ。そのセンスは自分にはないから羨ましい・・・。妹は迷惑そうにしているけどね。シルフィ嬢のように喜んでもらえるのならよかったんだがな」

「弟さんとは、治癒師のシエル様の事ですね。この前お会いしました」

「・・・・・・どこで?」
 キール様は少し眉をひそめられた。

「?・・・王立図書館です。治癒魔法の本を持っていましたね。届かなかった本をとって頂きました」
 シエル様はキール様とは雰囲気も違うし、顔も髪も違った。

「そうか・・・シエルからは聞いてなかったな」

「話すほどの事ではなかったのだと思いますが・・・。キール様とシエル様は双子ですが、見た目は似てはいないんですね。シェリー様と似ていたので、去られてからキール様の弟様だと気付きました」
 
「そうか・・・。シルフィ嬢は、その・・・シエルのような男の方が好きだろうか?あいつはよくモテる」

「確かに、よく令嬢達に囲まれていますね・・・。私は賑やかな方は苦手ですね。あっ、別にシエルが煩いとかではなくてッ、えっとッ」

「いや、あいつは煩い・・・、間違ってはいない」


「ですからッそうではなくてッ」
 言いたいかったことが、シエル様の悪口みたいになり、キール様の印象を悪くするかもと、シルフィは焦ってしまう。

「ふっ、大丈夫だ。わかっている。ついな・・・焦る様が可愛らしくて、すまない」 

「えっ、揶揄ったんですか・・・?キール様でも揶揄ったりされるんですね」

「あー、以外だったか・・・不快にさせたならすまない」

「いえ、大丈夫です。あっ、着きましたね。キール様あちらのテーブルへどうぞ。私がお茶を入れますね」
 シルフィは、その後も姉が呼びに来るまでの間、キールといろいろな話しをする事ができ初めての2人の時間を満喫したのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

十年越しの幼馴染は今や冷徹な国王でした

柴田はつみ
恋愛
侯爵令嬢エラナは、父親の命令で突然、10歳年上の国王アレンと結婚することに。 幼馴染みだったものの、年の差と疎遠だった期間のせいですっかり他人行儀な二人の新婚生活は、どこかギクシャクしていました。エラナは国王の冷たい態度に心を閉ざし、離婚を決意します。 そんなある日、国王と聖女マリアが親密に話している姿を頻繁に目撃したエラナは、二人の関係を不審に思い始めます。 護衛騎士レオナルドの協力を得て真相を突き止めることにしますが、逆に国王からはレオナルドとの仲を疑われてしまい、事態は思わぬ方向に進んでいきます。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

処理中です...