好きな人は姉への求婚者!?〜魔導騎士編〜【完結】

ドール

文字の大きさ
43 / 72

42.湖

しおりを挟む


 キール様は、綺麗な湖のある場所で馬を止めた。先にキール様が降りて手を差し出してくれる。

 シルフィは、キール様の行動の一つ一つに照れ臭く気持ちになった。シルフィの腰をつかんで下ろしてくれようとしたのだが、シルフィは抱えられる事になれずキールの肩に手をおいてしまった。
 キール様は、シルフィを抱えたが、下ろさず、そのまま横抱きにして見つめてきた。

「キール様・・・あの、下ろしてもらえますか?歩けます・・・」 
 シルフィは恥ずかしくて、下ろすようにお願いする。

「嫌か?」
 キール様は、残念そうな顔で見てきた。


「いえ・・・嫌ではないですが・・・恥ずかしいです」
 キール様と密着しているため、落ちつかない。

「ここは誰もいない・・・恥ずかしがることはない」


「ですが・・・」

「やっと婚約もできた・・・触れ合っていても誰にも咎められはしない。あちらまで運ばせてくれ」
 キール様は、譲る気はないようだ。あちらと言われ大きな木に視線を向けられた。
 

「はい・・・」
 そこ迄の羞恥と思って了承の返事をする。


 キール様はしっかりとシルフィを抱えて、木で影になっている所に降ろしてくれた。
「ここは、よく母が来ていた所らしい。今の時期は湖が澄んでいて綺麗だと聞いて、連れて来たかったんだ」

「本当に綺麗ですね・・・」


「ボートでもあればよかったんだが、さすがに管理はされていない湖だからな・・・危険にはさらせないから、見ているだけにはなるんだが一緒に見たいと思ったんだ」


「連れて来てもらって嬉しいです。こういう所は腕のたつ方とでないとこれませんから」
 魔物は定期的に討伐されてはいたが、いないわけではないため、街の外には護衛なしで出かける事は基本あり得ない。自分の腕が立てばいいが、シルフィにはその術はない。


「気にいってもらえたなら良かった。シルフィの嬉しい顔を見れて、俺も嬉しい・・・。その顔は誰にも見せたくないくらいだ」

 キール様と思いを確かめ合ってから、今まで言えなかったからと素直に気持ちを伝えてくれるようになった。
 時と場所を考えずのため困ってしまう時もあるが・・・。


 今は誰の目もないため、いつもよりさらにキール様の視線は甘い気がした。普段はクールで、実直で、不器用なところもあるけれど頼りになる。

 最近では、その印象はだいぶ変わったように思う。キール様はシルフィをとことん甘やかしてくるからだ・・・。
 食事の時は、湯気がでていたら必ず火傷しないように注意が入るし、嫌いなものはないかと聞いてきたり、歩く時もエスコートしながら気を配ってくれ、つまずかないように注意してくれる。
 人目がないと先程のように抱えたがる・・・。


 シルフィの屋敷でそれらをやらかしていて・・・姉達はちょっと引いていた。大事にはしてくれているようだけれど、2人の時にして頂戴と注意を受けていて、申し訳ないけれどその通りなので、頷いておいた。

 だからか・・・2人きりの時は困る・・・。甘すぎて・・・時々子ども扱いされているようにも思ってしまう。
 だから、今日は少しでも子ども扱いされないようにと・・・服装は少し大人っぽくしたつもりだ。シンプルで肌触りのいい生地のストライプ柄のブラウスに、色は大人しめの濃い青色のプリーツスカートにブーツ。髪は巻いてハーフアップにしていた。

 だが、それが逆効果だったのか、違う方向に作用したようだった。
「今日はいつもと違うな・・・いつもより、惹きつけられる気がする」

 シルフィが動くたびにプリーツが揺れ目で追ってしまうようだ。

「このスカート、動くと綺麗で、回ると花みたいなんですよ」
 シルフィはキールの前で回ってスカートをなびかせてみた。


「まるで花の妖精の様だな・・・」
 キールはつぶやく。
 

「花と言えば、さっきから花の甘い香りがしている気がするんですが・・・お花畑でもあるんでしょうか」

「・・・そうか?俺は何も匂わないが、探してみるか?」

「はい。お花畑みてみたいです!探してみましょう」
 シルフィは微かに香る甘い匂いを頼りに、キール様と手を繋いで散策し始めるのだった。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

十年越しの幼馴染は今や冷徹な国王でした

柴田はつみ
恋愛
侯爵令嬢エラナは、父親の命令で突然、10歳年上の国王アレンと結婚することに。 幼馴染みだったものの、年の差と疎遠だった期間のせいですっかり他人行儀な二人の新婚生活は、どこかギクシャクしていました。エラナは国王の冷たい態度に心を閉ざし、離婚を決意します。 そんなある日、国王と聖女マリアが親密に話している姿を頻繁に目撃したエラナは、二人の関係を不審に思い始めます。 護衛騎士レオナルドの協力を得て真相を突き止めることにしますが、逆に国王からはレオナルドとの仲を疑われてしまい、事態は思わぬ方向に進んでいきます。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

処理中です...