獣人の番!?匂いだけで求められたくない!〜薬師(調香師)の逃亡〜【本編完結】

ドール

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番外編

後日談:心の声〜団長バージョン


 やはり聞こえてくる心の声は消えることなく、団長の屋敷にやってきてしまった。

「リンジーいらっしゃい」


 ディミドラが待ちかねていたのか、馬車が到着するよりも先に出迎えてくれる。そんなディミドラはお腹が少し膨らんでいるのがわかるくらいタイトな服を着ていた。

「お招きありがとう。待たせてしまったかしら?」


「いいえ。ただ庭で刺繍をしながら待っていただけだから、気にしないで。彼方のテラスでお茶しましょう」
 ディミドラの手には刺繍をしていたであろう、マントが抱えられている。恐らく団長のだろう・・・。

「外にいたら団長がうるさそうだけど・・・大丈夫なの?」
 リンジェーラは歩きながら会話を続ける。

「ええ大丈夫よ。心配性だけど最近はだいぶ私の意見を尊重してくれるわ」
 (頑なな時には、おどさなくちゃいけないけどね。躾、躾)


「それはいいことね。手に持ってるのはもしかして団長の?」
 リンジェーラは聞こえてくる声に反応しないように心がけながら会話を続ける。

「ええそうよ。私の色の糸でマントに刺繍してたの。遠征があるらしいからお守りにって頼まれて」
 (これが、リンジーを家に招く条件だなんて・・・おかしな話よね。普通にお願いすればいいのに。私を何だと思ってるのかしら。まあ照れ隠しなんでしょうけどね)


「そうなの・・・デラも苦労するわね」
 リンジェーラはディミドラの心の声から、団長が未だに懲りていない事を理解した。

「まぁ・・・いろいろとお願いをするのにも交換条件がついてくるわね」
 (このドレスみたいに・・・)


「団長らしいわね。妻に条件だなんて・・・。それにしても、妊婦なのに、ずいぶんタイトなドレスね。お腹気にならない?」
 リンジェーラはドレスが何かしらの条件だとは理解した上でディミドラに尋ねた。


「やっぱり妊婦なのにおかしいわよね。少しお腹が出てきたから恥ずかしいし、エンパイアドレスにしてたんだけど・・・これも今日庭に出るための交換条件なのよ」
(普段なら体のラインがでるタイプのドレスは好きだけど・・・。お腹の膨らみでてきたし、もう恥ずかしいのよね)


「団長はどうしてタイトなドレスを希望したのかしら」
 リンジェーラはなんとなく想像がついたが会話を続ける。

「多分だけど、私が自分の子を妊娠しているのがハッキリとわかるからじゃないかしら・・・目線からデレデレした幸せオーラを感じるのよね」
(レナードの目が毎回私のお腹を見てデレてるから・・・ちょっと気持ち悪いのよね。悪くいえばニタニタした感じ)


「まあ希望の第二子だものね・・・」
 リンジェーラはディミドラの心の声に、団長の顔を想像しないように務める。

「1人目の時も似た感じではあった気がするけど、もうちょっとましだったわ」
(まあ、新婚の時は甲斐甲斐しく甘やかされてたし、彼の表情を読むまではにはいたらなかったんだけどね)


「獣人の番妻は苦労するわね」


「本当ね。理解者のリンジーがいてくれて嬉しい。本当に知り合えて良かったと思うわ」
(リンジーがいなかったら愚痴れる人なんていなかったわ。皆んな羨ましいしかいわないんだもの)

「それは私も同じよ。私こそデラと友人になれてよかったわ」


「ふふっ、嬉しいわ」
(リンジーったら)

 ディミドラは、リンジェーラに、心から嬉しく思っているのだとわかるような、照れた笑みをむけてくる・・・が、同時に団長の声が響くように聞こえてもきてしまった。

(デラッ!!なんで可愛い表情をしてるんだ!)


「あら、帰ってきたみたいね・・・ってなんで彼は目を見開いてるのかしら・・・怖」
(リンジーが来るのは知ってるはずなのに・・・機嫌が悪そう?まぁ微笑んどけばいっか)


 リンジェーラは背後から歩いてきた団長をみたくはなかったがチラりと目をやった。ディミドラの心のつぶやき通り、確かに機嫌が悪そうな表情で近づいてきた・・・が、途中からいきなりデレたような表情へと変わる。

 
 ディミドラの声のとおり、微笑まれたからか団長の表情筋が緩んだようだ・・・。

(・・・デラが俺をみてッ、微笑んでッ。くッ可愛いすぎる・・・。もしかして誘っているのか?)


 リンジェーラは団長の声に飽きれてしまうが、一応挨拶をするため席を立ち声をかける。


「本日はお招きありがとうございます。お邪魔させて頂きますね」
 


「ああ、妻の望みだからな。ゆっくりしていけ」
(2人の時間は減るが、デラが喜ぶ顔を見れるし・・・な)


 珍しいことに団長がゆっくりしてと言いい、リンジェーラは驚いて凝視してしまう。きっと、何かあるのだと・・・。


 だが団長の心の声からは、ディミドラ一色だったので、何の意図があるか、まったくわからなかった。もしかしたら、この前の件で流石に、ようやく懲りてリンジェーラに対する態度を改めたのかという考えに至る。



「デラ、変わりはなかったか」
 団長は挨拶が終わるとすぐさまディミドラの側に行き、頬に口付けてスキンシップをとりだす。

「ええ大丈夫よ。何も問題はないわ」

「そうか・・・」
(俺がいなくて寂しくはなかったのか・・・・・・俺は会いたかった)
 団長の心の声はディミドラの返事に対して、寂しそうでゾディアス様がリンジェーラに向けてくる感じとかぶって見えてしまった。


「それより、帰りがいつもより早いわね。問題は特にないけど、レナードが早く帰ってきてくれて嬉しいわ」
(もうないはずの虎耳が垂れたように感じたけど・・・どうしたのかしら)


 ディミドラはちゃんと団長を理解しているようで、心の声が聞こえずともちゃんと気づいたようだ。


「そうか。今日はたまたま仕事が少なかったんだ」
(そうか・・・嬉しいのか。次からは更に早く帰ってこよう・・・書類仕事は押し付けてでも・・・な)


「あらそうなの?貴方が早く帰るために、部下にでも仕事を押し付けて帰ってきたのかと思っちゃったわ」


「・・・そんな事はしていないさ」
(・・・嘘は言ってない。ちゃんと、自分のは終わらせた)


「それで、副長さんは?一緒じゃないの?」
(一緒に帰ってこないのが怪しいのよね)


「ゾディアスはまだ書類仕事をしていたからな。俺は一足先に戻っただけだ。少ししたらくるだろう」


「騎士団の人は書類仕事が苦手みたいね」
(ほんとかしら・・・自分の仕事を押し付けてないならいいんだけど)


「身体を動かすのが基本だからな・・・文字を好きなやつは騎士団にはいないだろう。それより、外は冷えてくるから、そろそろ中に入ったらどうだ」
(夜は冷えるからな・・・。寒いとくっ付いていても嫌がられないのがいい。それに今日のデラを存分に目に焼き付けなければ)


「そうね。副長がきたら夕食にしましょう」
(はぐらかされたのかしら。まあ、リンジーの体にもよくないし夕食まで温かいお茶を飲んでまとうかしら)

 
 団長ははぐらかしたかったのか、ディミドラの身体を気づかうように話を終わらせた。

 そして屋敷の中に移動してしばらくすると、お茶を飲み終わるタイミングで現れたゾディアス様は団長を軽く睨みつけた。

(自分の仕事は終わったと、さっさと帰るとはな・・・。俺も早くリンジーに会いたかったのに・・・)


 リンジェーラはゾディアス様の声から、不機嫌さを理解し、団長に向けた視線が自分に向くように近づき抱きついた。


「ゾディアス様、お疲れ様です。遅かったので寂しかったです」
 これは団長に対しての嫌味を込めての発言でもあった。


「ッリンジー。すまない。急いだんだが、寂しがらせたようだな」
(ッ人前で抱きつくほど寂しがらせていたのか・・・次から早く帰ろう)


(くッ羨ましいぞ。デラももっと素直になってくれると・・・いや、素直じゃないのがデラの可愛いとこでもあるか)

 やはり団長は羨ましがっているようで、声が聞こえてきたが、どんなデラでも、やはり団長は可愛いと思うようだった。

 
「目の前で過剰に愛情表現する人がいると・・・やっぱり私もゾディアス様と一緒にいたくなっちゃいますね」

「そうか・・・。なら俺もリンジーに存分に愛情表情をして、みせつけるとしようか」
(団長は奥方の姿にデレてただけだろうが・・・リンジーが許可してくれるなら、全力で愛させてもらおう)


「2人きりの時ならいいけど、見せつけるためにするのなら遠慮します」
 リンジェーラはゾディアス様の全力という心の声を聞いて、内心焦りながらも返事をする。


「わかった。なら2人きりになったらな・・・」
(言質はとった)

 リンジェーラはゾディアス様の言質という声に自分の失言に気づいたが、どこか満足そうな表情を見ては呆れてしまった。

 (それにしても、あのドレスはいいな・・・お願いしたらリンジーも着てくるだろうか。腹に自分の子がいるのだとわかるのは、獣人の欲が満たされていて、羨ましく思ってしまうな)


 ディミドラの体型がわかるドレスは、女性にとっては恥ずかしいものではあるが、獣人としては着て欲しいものらしい。


 そして、ゾディアス様は団長にこっそりと仕立てた所を聞き出していたのだが、リンジェーラにはもちろん筒抜けだ。

 団長の心の内は、常に番の腹を触っていたいがしつこすぎると嫌がられるため、目で楽しむことにしたのだと自慢げで、それにゾディアス様も同意見な眼差しで、こちらを見てはドレスを脱がせてずっと腹を撫でていたいやら、口付けていたいのが本心だと聞こえてきてしまい、羞恥にかられる時間を過ごしつつ、対策を考えるリンジェーラなのだった。




 

 





















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