-銀鉄の高樓-人類の知らないことはあるだろうか?きっとある。 だがしかし、それを受け入れて人類は生きていない。

ttt魔王様

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一章 出会いは突然に、霧のよう

15話 小さく歩み寄ること 認めること その中で

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「それは」
「これはまぁ、魔力が入っておる、まぁ、
魔力を集めるものじゃの、これを使ってわしらは魔力を発動する、多少の魔力ならその場で集めることも可能じゃが大した量は集められん」

すぐには使えないのが魔法ということか、
使うにしても条件がある。
「どうして集められないんだ?」
「それは、まぁそのへんは追々、
そろそろいいじゃろ」

「何が?」

「何がではない、魔法のことじゃ
それともまだ信じんというなら、この場で吹き飛ばしてやろうか」

「分かったよ大体」
この場で全てを信じるというのは無理がある
しかし、今のこの状況が夢か幻覚で
ない限り、僕は受け止めなければいけない。
「だから、今日あったこと、知ったこと、見たことは全て誰にも言わないよ」

少し間があり、
意外と物分かりがあるなと、言わんばかりの顔を一瞬したが、
すぐに普通の顔に戻った。

「ならばよい、契約成立じゃな
魔法で縛ることもできるが、
とりあえずは一旦、主の言葉を信じよう、
主もこの場の出来事だけで、少しは信じてくれたようじゃしの、その報いということにしてやらんこともないからの」

「因みに聞いておくが、魔法の縛りをした場合どうなるんだ?」

「まぁそれは決まっておろう
色々あるが、わしの場合は破ったものは死ぬ、まぁわしの場合、主を殺したら死ぬんじゃから、相打ちじゃの」

彼女は強気で過激的だ。
ルリスのいつもの表情と違って見えるのは、
そういったことがあるのかもしれない。

それにしても縛りを結んだ方が、得だった気がする。
僕が破ることがないなら。

「なるほど、理解したよ」
「主はわしを下手に刺激せんことじゃな」
「まぁ刺激するつもりなんて
はなからないんだがな」

ほーそうかといった顔で、
僕を見ていた。

それからまた前を向き。
「しかし、よく信じたの、色々と、まぁ信じたフリなのかもしれんが」

「少し、昔に似たようなことがあってね」
「似たような」

「信じられないことを、体験し、見た」

「ほう、それは」

「僕らはそれを証明しようとした、
いや、証明はできていたんだ
、でも、結局認められなかった、
先生たちと積み上げたものは」

「主も意外と、変わった過去を生きてきたのじゃな」

「だから信じたかった、
誰かに認められないと言うのは、
虚しいだろ、
特に事象として存在しているものに関しては、
まるで社会から疎外されているみたいだろ」

少し、驚いた顔をしていた。
何に驚いたのかは分からないが。

「そうじゃの、まぁ主が少しは話が分かるやつで助かった」

しばらく、川を眺めるふたり。

「そろそろ、行くかの」
という彼女アイリス。

「何処へ?」
「帰るに決まっておろう」

「あぁ、そいうことか」
時計を見ると時刻は1:00であった
そんなにも時間が経っているとは、
あまりの非日常感に、時が経つのも忘れていたのか。

「そろそろ戻らんと、娘の体もしんどくなる」
「ああそうだな、帰ろう」

僕らは立ち上がり、その場から離れた。
河川敷から離れ、大通りの方へと向かった。

「一人で帰れるか」
「誰に言っておるのじゃ」
「そうだよな、そっちは大丈夫でも、
くれぐれもルリスを傷つけないように、その、彼女は弱いから」
「まぁ、そうじゃの見ていればわかる、わしも彼女ことは尊重したい」

「それじゃ」

「ああ、じゃあの」
彼女と別れ一人で歩く。

僕は抜け殻のように、
ただホテルへまっすぐと帰宅した。

ホテルに着き、
もろもろ適当に済ませ。
ベッドに入る。

ベッドに入ってから、
落ち着いたのか。
少しづつ頭が回ってきた。

今日あった色々な出来事。
それはどれも信じられなかった。
本当にそれはあったのか。

未だに信じられない。

今日あったことを少し振り返る。
僕の知らない出来事の数々。

そのどれもが大きな出来事であった。
次会う時はルリスかアイリスどちらなのか。
そしてルリス自身は分かっているのだろうか。
今度探りを入れてみるか。
迷うところだ。

昔、先生が見つけ出した。

空間移動。
それは認めらるとこがなかった。

そして、先生は色々なありもしない疑いをかけられて、
追放された。

そんな彼女自身は
「まぁ、こんな事はあるさ
だから
笑ってお別れにしよう
そんな顔をするな
まぁいい社会経験だな」

そう言って、僕らの前から姿を消した。
僕はあの時も。
最初は信じていなかった。

先生が話す事象のことを、
しかし色々確認していくうちに、
それが本当であると知った。

本当にあったのだ。
それは、
しかし、ぼくらの思いは届くことはなかった。

それどころか。

そんなことを考えているうちに、僕は
とあることに考えついた。

やはり彼女のことを認めることは、
僕にしか出来ないのではないのかと、
だから僕はとりあえず彼女を認めることにしようと、何故か改めて思えた。

今日あった信じられない
ことの数々を信じようと思う。

もし次彼女(アイリス)に会うことがあれば
そんな話をしてみようと思う。

そんなことを考えながらいつの間にか僕は眠りについていた。

朝の光と共に目が覚めた。

いつも以上に疲れていたのか、
時間は長くないが、
とてもぐっすり寝れたようだった。

それでも一晩たったからといって
昨日あったことを忘れることはなかった。

いつか僕は忘れることがあるのだろうか。
先生との起こった出来事含め、何も思わなくなる日が、
そんなことを思う朝。

今日の仕事をするための支度をしてゆく。
いつもの朝だが、
なぜだか少し気持ちは違っていた。

朝の日差しを浴びて、
スマホを見る。
スマホに友人からの着信があったことに気づく。
それに折り返す。

「もしもし」
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