私の好きなガッキ

三毛猫2025

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私の好きな「ガッキ」

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私は、☓☓☓☓。22歳…仕事は、探し中…いや、何もしていない、いわゆる「ニート」だ。
短期大学を卒業し、就職し、至って普通の「人生」にしたかった。
でも現実を見ていなかった。 特技なんてない、学生時代の通知表は下の中。
表彰なんて夢のまた夢だし、資格もなければ才能もない。 そんなんだから、私を雇ってくれる会社は、はっきり言ってなかった。当たり前だ。今は人ではなく、AIばっかり。ただでさえ就職しにくくなった世の中に、社会に!私はいらないのだ。

そんなんで、親はすっかり生気をなくした私を、共働きで支えるしかなかった。
会社を勧めてもらっても、嫌いなところとか、ブラックばっかり。だから、人生詰みゲーだw。今は車の免許をやっと取って、母親からもらったお金でどっか行ったり、ギャンブルしてる。負けてるけど。いつも。私の人生みたいに。

ある、雨の日だった。このような日は、死にたくなるほど憂鬱になるから、どこかしらドライブしていた。 その時だ。ふと外から「音」が聞こえてきた。なんだろう。すごく興味がある。傘をさし、外へ出ると…何も無かった。でも聞きたい。今の音。でも探しようがないから、再現するしかない。家へ帰り、狂気になったようにスマホに楽曲制作のアプリを入れた。ありきたりな楽器をタップし、音を確かめる。違う。何かが違う。そういう、音楽などは興味を持ったことがないから、再現できない。あの音が、頭から離れていく。嫌だ。奏でるんだ。
それじゃぁ、さっきのロケーションにすればいいんだ。☓月☓☓日。☓☓☓町☓丁目の交差点付近、雨の日、☓時☓☓分ぐらい。  急いで帰ってきて、なにかに夢中になった私を、母親が問いてきた。
「どうしたの?何かあったの…って、ハローワークに行くって言ったじゃない!!なんかアプリなんか開いて、私と夫のお金、あなたがほとんどギャンブルで使い切ったのよ?!ちょっとは親孝行として、働きなさい! 同年代だった☓☓☓ちゃん、一流企業でまた昇進したらしいわよ?!それに比べてあんたは…!」
あぁ、これだ。イライラする。すぐ人と比べ、何か言い返したらすぐに「それは、あなたのために…」って言う。 「面倒くさいなあ」と思いながら、適当に返す。
「それが、音楽関係の会社に就職できたんだ!早速だが、5日後から来てくれって。音楽経験はほぼないって言ったら、別にいいですって言われたの!」        
母親は、最初こそ信じてくれなかったが、適当に言った会社名や、勤務時間、給料などを聞いて信じたらしく、泣いて喜んだ。そして、
「今から手続きとかを済ませてくる」と言って私は、私の全財産を持って家を出た。

もちろん、家に帰るつもりはない。バカバカしい家出だ。

車にエンジンをかけ、アクセルを踏み、ハンドルをきる。何気ないこの動作のすべてが、楽しく思えた、わくわくした、これからが楽しみだ!

友達の家が少し遠くにあったはずだ。まず、連絡して泊まっていいか連絡しよう。もしだめって言われたら、そこらへんのビジネスホテルに泊まるかぁ。  
  案の定、友達は急には無理だと言って泊まらせてくれなかった。だからこの日はビジネスホテルに泊まった。これからは、とっさに奪った両親の少ないような多いような金で暮らしていくか。


一ヶ月後 私は、あることに気がついた。警察がよく目に入る気がする。ここらへんで事件?事故?があったらしい。恐ろしく、物騒だ。

何日?何ヶ月?たっただろうか。私は簡単に音を聞くことができた。嬉しい!
日にちも、場所も、環境も、関係なかったのだ!ある条件を満たすだけで、聞ける。この快感な音、みんなに知ってほしい!
そしたら、恐ろしく、物騒なことは起きなくなるかもしれない!
なら、早速誰かに広めなくては………友達はどうだろう。数少ない友達でも、わかってくれれば、またそこから広められる。 
そうして私は順調に広めていった。でも、友達はまるで「ありえない」というような顔で私を見てくる。残念だ。

数週間たっただろうか。アホほど安いこのボロアパートに住んでいる私宛に手紙が来て、数時間後に、キャンピングカーサイズの車に乗った人が、その車に乗るように言ってきた。私は、言われるがまま指示に従い、高齢者施設のような建物に入った。中はきれいで、幅広い年の人がロビーらしきところで集まっていた。
私専用の部屋、風呂場の場所、食事の時間…至れにつくせりだが、私は婆さんにでもなったのだろうか。
ボケは置いといて、この場所は天国のような所だ。何より仲間だ。私と似たような人生を送ってきた人が、私の話に真剣に耳を傾けてくれる。あの音についても、「そうなんだ」、「わかる!!」と、興味を示してくれる。

~~~



「囚人番号!☓☓☓☓、出ろ!」
朝の9時。いよいよこのトキが来た。
そう。私は『死刑囚』だ。4年前、15人をひき逃げし、裁判で死刑を宣告された。
あの音、あの鈍い音は、人をひいたときの音だ。それが快感で、やめれなかったのだ。
協会の部屋で、牧師に会い、精神を落ち着かせる。次に遺書や手紙を書く。
自由部屋で最後に食べたいものを頼み、食べる。面会部屋で両親とかと会う。

あぁ、あの施設でさえ、あの音が聞こえなかったから4年ほど「聞いて」いない。執行部屋に連れられていく。嫌だ。
ねぇ、聞きたいの。執行される時間の10時が近づいてる。せめて、自分の轢かれるおとでいいから聞きたいの。あ、轢かれたら死んじゃうから聞こえないか。なら、あ な た の 轢か れ るオト…キ カ セ  テ  … ?
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