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第75話 始祖龍の正体
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「そろそろ皆にも言っておいた方が良いと思うから、始祖龍について説明したいのだけどいいかしら?」
レミアが突然そんな事を言い出した、これまで頑なに説明を拒んできたのにどんな心変わりなのだろうか?
「この話を聞くとヤミ達はかなりショックを受けるかもしれない。だけど、真実を知っておくべきだと思う」
「それが俺達にとって大切な事ならそれを断る理由なんて無いよ、教えてくれないか?レミア」
護が答えるとレミアは静かな口調で語り始めた。
「最初の龍族・・・始祖龍が誕生したのはスパウダが建国された頃まで遡るの」
「へぇ~そうなんだ、スパウダよりも古くから生きていると思っていたけど予想外だな」
「当然よ。だって始祖龍の正体はスパウダの現最高神グルコの母たる創造神だったのだから」
「なんだって!?」
これには流石に護だけでなく、天照達も驚きを隠せなかった。始祖龍の正体が創造神だとすれば、龍族も神族の亜種と呼べるかもしれないからだ。
「この星に今の動植物達を創造した神は、次に人族や妖精族などを創り上げた。更にそれらを教え導く者として神族を創造する際に下級神族から創り始めたの。そして中級神・上級神と上位の神を創ると最後にグルコをこの世に産み落とした。しかし、神族達の創造に膨大な力を使い果たしていた創造神はそのまま命を落としてしまったの」
護は産卵した後で死ぬサケの雌を何故か思い浮かべていた、創造神も同じ様に全身全霊を注ぎ込んで産んでいたのなら、その心が多少なりともグルコに引き継がれていればスパウダの横暴は防げたのかもしれない。
「そうね、そうなっていれば始祖龍や龍族はこの世に生まれなかったかもしれないわね。この創造神こそが世界で最初の怪でもあるの」
レミアの口から次々と信じられない言葉が出てきた、始祖龍が実は創造神で更にこの世界で最初の怪だと言うのだ。
「グルコにこの世界の全ての生物を慈しみ守る気持ちを教える事が出来なかった創造神の魂がこの世に留まり続け、やがてその魂が変質して最初の怪となった。だけど、怪といっても人を襲ったりする訳じゃないのよ。最後に産んだグルコの事が心配で見守り続けたかっただけだった。けれど現実は酷かった」
レミアは1度深く息を吐いて、心を落ち着かせながら話を再開した。
「最後に産まれたグルコは皮肉な事に誰よりも強かった、間違いだと諭し叱る者達を気に入らないからと全員殺してしまったの。お陰で残された神族の中でグルコに歯向かおうとする者は居なくなった、更にはグルコに近い神達も日頃の不満から自分達よりも弱い神達を虐げる様になり、現在の己よりも弱い者を見下して玩具同然の扱いをするスパウダの形が出来上がる」
やはり世界中の者を苦しめる現況はグルコで間違いない様だ、護はそう確信した。
「この一部始終を見た創造神の怪は、後悔するあまり自らの身体を卵状の殻で覆いその中に閉じ篭ってしまったの。自分で創造し愛し見守ってきた者達が、同じく自らが産んだ者の手によって虐げられる姿から目を背ける為に・・・」
卵状の殻、ヤミ達が引き継ぎで卵を産む理由もここらにある様だ。
「そしてどれほどの時間が経ったのか分からないけど、創造神は1つの決断を下した。【間違った事をしている子供を叱るのは本来親の務め、ならば自身がグルコ達神族を諌める存在へと更に生まれ変わるべきなのだ】と」
レミアは1番肝心な部分だと皆に分からせる為に語気を強くして言う。
「そして創造神は神を諌め導き直す存在、龍として己の殻を破りこの世に舞い戻った。これが始まりの龍、始祖龍誕生の秘密よ」
始祖龍の誕生は大体分かった、あと問題なのはヤミ達がどうやって産まれたかだ。
「始祖龍は私に教えてくれた、闇・光・火・風・水・地の6竜は元々はスパウダの神の手で無残に殺されその恨みから怪となった者達なのだと。その怪に卵を与えて竜として生まれ変わらせ仲間を増やしたそうなの、だけど創造神ってのも学習能力が足りないのかしらね?6匹目の竜の卵を産んだ際に力尽きてその卵の中にわずかな魂の欠片だけを残してこの世から姿を消したの。その6竜の最後がチィさん、あなただったの。そして偶然私がチィさんの産んだ卵に入った事で始祖龍の魂が呼び起こされて私にこれまでの竜族の歴史を伝える事が出来た。誰の仕業か知らないけど、都合良過ぎる展開のオンパレードな話よね」
都合良過ぎる展開、やはり誰か見えざる者の手が動いているのだろうか?護はそう考えるとゾッとした、ここまで用意周到に準備するには何年前から始めないとならないのだろうか?
レミアが怪となった頃まで戻っても100年以上前だ、それにチィが復活出来たのもヤミが俺と出会い引き継ぎして仲間となってくれたからで、今度は俺がこの世界に来た事さえ計画の一環だったのかもしれないと思えてくる。あの異世界の門番が言っていた事も怪しいものだ。
門番と門を改修していたという奴が最初からグルだったのだとしたら?護は少しずつではあるが創作者(メイカー)の存在に気付き始めていた。
レミアが突然そんな事を言い出した、これまで頑なに説明を拒んできたのにどんな心変わりなのだろうか?
「この話を聞くとヤミ達はかなりショックを受けるかもしれない。だけど、真実を知っておくべきだと思う」
「それが俺達にとって大切な事ならそれを断る理由なんて無いよ、教えてくれないか?レミア」
護が答えるとレミアは静かな口調で語り始めた。
「最初の龍族・・・始祖龍が誕生したのはスパウダが建国された頃まで遡るの」
「へぇ~そうなんだ、スパウダよりも古くから生きていると思っていたけど予想外だな」
「当然よ。だって始祖龍の正体はスパウダの現最高神グルコの母たる創造神だったのだから」
「なんだって!?」
これには流石に護だけでなく、天照達も驚きを隠せなかった。始祖龍の正体が創造神だとすれば、龍族も神族の亜種と呼べるかもしれないからだ。
「この星に今の動植物達を創造した神は、次に人族や妖精族などを創り上げた。更にそれらを教え導く者として神族を創造する際に下級神族から創り始めたの。そして中級神・上級神と上位の神を創ると最後にグルコをこの世に産み落とした。しかし、神族達の創造に膨大な力を使い果たしていた創造神はそのまま命を落としてしまったの」
護は産卵した後で死ぬサケの雌を何故か思い浮かべていた、創造神も同じ様に全身全霊を注ぎ込んで産んでいたのなら、その心が多少なりともグルコに引き継がれていればスパウダの横暴は防げたのかもしれない。
「そうね、そうなっていれば始祖龍や龍族はこの世に生まれなかったかもしれないわね。この創造神こそが世界で最初の怪でもあるの」
レミアの口から次々と信じられない言葉が出てきた、始祖龍が実は創造神で更にこの世界で最初の怪だと言うのだ。
「グルコにこの世界の全ての生物を慈しみ守る気持ちを教える事が出来なかった創造神の魂がこの世に留まり続け、やがてその魂が変質して最初の怪となった。だけど、怪といっても人を襲ったりする訳じゃないのよ。最後に産んだグルコの事が心配で見守り続けたかっただけだった。けれど現実は酷かった」
レミアは1度深く息を吐いて、心を落ち着かせながら話を再開した。
「最後に産まれたグルコは皮肉な事に誰よりも強かった、間違いだと諭し叱る者達を気に入らないからと全員殺してしまったの。お陰で残された神族の中でグルコに歯向かおうとする者は居なくなった、更にはグルコに近い神達も日頃の不満から自分達よりも弱い神達を虐げる様になり、現在の己よりも弱い者を見下して玩具同然の扱いをするスパウダの形が出来上がる」
やはり世界中の者を苦しめる現況はグルコで間違いない様だ、護はそう確信した。
「この一部始終を見た創造神の怪は、後悔するあまり自らの身体を卵状の殻で覆いその中に閉じ篭ってしまったの。自分で創造し愛し見守ってきた者達が、同じく自らが産んだ者の手によって虐げられる姿から目を背ける為に・・・」
卵状の殻、ヤミ達が引き継ぎで卵を産む理由もここらにある様だ。
「そしてどれほどの時間が経ったのか分からないけど、創造神は1つの決断を下した。【間違った事をしている子供を叱るのは本来親の務め、ならば自身がグルコ達神族を諌める存在へと更に生まれ変わるべきなのだ】と」
レミアは1番肝心な部分だと皆に分からせる為に語気を強くして言う。
「そして創造神は神を諌め導き直す存在、龍として己の殻を破りこの世に舞い戻った。これが始まりの龍、始祖龍誕生の秘密よ」
始祖龍の誕生は大体分かった、あと問題なのはヤミ達がどうやって産まれたかだ。
「始祖龍は私に教えてくれた、闇・光・火・風・水・地の6竜は元々はスパウダの神の手で無残に殺されその恨みから怪となった者達なのだと。その怪に卵を与えて竜として生まれ変わらせ仲間を増やしたそうなの、だけど創造神ってのも学習能力が足りないのかしらね?6匹目の竜の卵を産んだ際に力尽きてその卵の中にわずかな魂の欠片だけを残してこの世から姿を消したの。その6竜の最後がチィさん、あなただったの。そして偶然私がチィさんの産んだ卵に入った事で始祖龍の魂が呼び起こされて私にこれまでの竜族の歴史を伝える事が出来た。誰の仕業か知らないけど、都合良過ぎる展開のオンパレードな話よね」
都合良過ぎる展開、やはり誰か見えざる者の手が動いているのだろうか?護はそう考えるとゾッとした、ここまで用意周到に準備するには何年前から始めないとならないのだろうか?
レミアが怪となった頃まで戻っても100年以上前だ、それにチィが復活出来たのもヤミが俺と出会い引き継ぎして仲間となってくれたからで、今度は俺がこの世界に来た事さえ計画の一環だったのかもしれないと思えてくる。あの異世界の門番が言っていた事も怪しいものだ。
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