異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。

いけお

文字の大きさ
58 / 87

第56話 馬車の入手・・・改め魔改造犬車を創る。

しおりを挟む
「さっきのラクシィの村では馬車が売ってなくて残念だったな、クロ」

「キストマデニ、アトヒトツ、マチアル、アキラメルノハ、マダハヤイ」

「ヤミやチィは人化の術を会得しているけど、クロも子犬の姿になれる術は覚えてないのかな?」

「シラナイ、マモルパパ、ソレオレニ、オシエテ」

「俺も知らないから聞いてみたんだよ、お前の今の姿を見て町の人が怖がるかもしれないから子犬の姿になれる術を見つける事が出来たら覚えようなクロ」

「ワカッタ」

クロは大人しく話を聞いてくれているが、内心はかなり残念がっていた。そんな事は尻尾の動きを見ればバレバレだ、短い期間かもしれないが一緒に寝たり遊んだりと共に過ごして来た時間は想像以上に長い。クロも俺が願いを叶えてくれようとしているのを理解しているから、出来るだけ感情を表に出さない様にしていた。

「あの護、何故馬車を町で購入するのですか?」

「クロがドッグランが小さくなったから、代わりに馬車を曳いて運動したいと言うから願いを叶えてあげようと思ってさ」

「いえ、そうでは無くて町で購入しなくてもクロ用の犬車を作れば良いのではありませんか?」

「あ・・・」

「ア・・・」

俺とクロはほぼ同時に簡単な事を忘れていた事に気が付いた、そうだクロ用の犬車を作れば良かったんだ。

「天照、犬車の神なんて居るのか!?」

「犬車に拘らなくても、乗り物の神で良いじゃないですか!?」

そうでした。

「よ~し!クロ、これからお前の為の犬車を作ってもらおうな!」

「オレウレシイ、オレイニカミサマ、マルカジリ」

それお礼になってないから!?気を取り直して、天照に乗り物の神様を呼び出してもらうとクロの身体の寸法を測ったり俺からも犬車に取り入れたい追加の装備等を聞いてきた。クロも身体を鍛える為に多少重い物を載せても構わないと言うので要塞の神も呼び出して移動中の襲撃対策もついでに検討する事となった。

「クロの負担も出来るだけ少なくしてやりたいから、犬車の軸にベアリングとか入れて回転し易くしてやってくれ」

俺とクロが交互に要望を言って改良を続ける事、ほぼ半日。ようやく一応の納得が出来る犬車が完成した。

「みんな、よく見てくれ。俺とクロの要望をほぼ全て取り入れたこの世界にも2台と存在しない犬車だ!」

(この世界だけじゃなく、元の世界にもこんな犬車は存在しません!?)

これが俺とクロを除いた他全員の感想である。まず外観は御者台部分も含めてやや縦長の広さ8畳の2階建ての馬車に一見見えるが実際は天井を少し低くした3階建てである。階段は各部屋の隅に設置して居住性を確保、雑魚寝になってしまうが今の俺たち全員で仮眠を取れるだけのスペースを作った。そして犬車の屋根はウイング状の開閉式となっていて、万が一神族に襲撃された際でも屋根を開く事ですぐに迎撃可能となっている。

「更に3階の床はOAフロアみたいな空間を作り武器置き場として活用してみた。ハンドミサイルやアサルトライフル等の銃火器に弾薬も有るから、もしもの時はこれを使用してくれ」

続いて、俺は御者台の説明を始めた。

「この御者台は防弾ガラスで覆う事で弓などの攻撃から身を守る事が可能だ、更にこのパネルを操作する事で屋根のレーダーを使用した周囲の索敵も出来る。後はトラックで見かけるルーフみたいに上の方に仮眠スペースも取り付けたから2人が交代で御者役を務める事が出来るぞ」

そこまで言ってから、俺は説明を聞いている男2人に声を掛けた。

「タケミカヅチとラメル、そんな訳でよろしく頼む」

『「確定かよ!?」』

「タケミカヅチが御者役をしている時は足を置く所に両足をそれぞれ挟む形の電極が有るから、それを使ってレーダー類を使用する為の電気を充電しておいてくれ」

『護よ、俺をどこまでも発電機代わりで使うつもりだな!?』

「ああ、そういえば2人にまだ言い忘れていた事が有るが御者台は3人が並んで座る事も可能で御者役のサポート役としてレミアに頼んでみたら快く引き受けてくれているからな」

『2人とも、クロに変な指示を出して犬車を横転させたりしないでね。それと・・・無理しないで小まめに交代する様にして頂戴』

俺からレミアに頼んだ形となっているが、実はレミアの方から俺に頼み込んできている。タケミカヅチ・ラメルと一緒に他の皆から邪魔をされない時間を過ごしたいとはレミアも自分に素直になってきているなと思った。

「それから、この犬車にはトイレは設置されていない」

「え~!?」×護以外の全員

「トイレを開閉した際の匂いや音を気にする人も居ると思ってあえて設置しなかった。その代わりに持ち運び可能の携帯トイレを全員分作ってもらった。各自で使用したい時に馬車を止めてもらって外で用を足す様にしてくれ。核シェルター並の耐久性や空気清浄機と防音壁も内臓して有るから好きな様に使って大丈夫だからね」

トイレで用を足す位で核シェルター並の耐久性とかは正直必要無いと思う、しかし護はその時に襲撃されたらいけないと考えて過剰な位に安全を求めてしまう様だ。

「とりあえずは、こんな感じかな?質問が無ければ、今日はここで泊まって明日朝一番に犬車で出発しよう」

この日はラクシィの村の近くで家(要塞?)を出して寝る事にした、そして翌日犬車を出してクロに繋いであげるとクロは大喜びで

「マモルパパ、ハヤクイコウ!ハヤクヒキタイ!!」

と急かしてきた。全員が犬車に乗り込む。御者台にはタケミカヅチ・レミア・ラメルの3人が並んで座っている。タケミカヅチとラメルは隣にレミアが座っているので緊張した面持ちだがレミアの方は無表情な様に見えるが微かに口元に笑みを浮かべていた。

「では、出発!クロ頼んだぞ」

「マカセテ、マモルパパ」

クロが犬車を曳き始めるが、音はほとんどしていない。更にサスペンションも軸の部分に加えてあるので中に居ても振動がほとんど伝わらないので快適そのものだった。

「クロはどれ位のスピードで走っているのかな?」

護は窓から外の様子を見てみる、景色が流れていく速度はまるで特急電車の様だった。

「車よりも早く移動する犬車って一体・・・」

半ば諦めてクロに全てを任せる事にした、この日クロは歩いて4日近く距離を1日で走りきりキストとの国境近くに在る町ペクチに着いてしまったのだった。



前話まで毎日最低1話更新を行ってきましたが、今後は中断している他の小説も再開させていくので2,3日おきの更新とさせて頂きます。毎回感想を送ってくださる、胼胝様には大変感謝しております。これからも面白いと思って頂ける様な話にしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
しおりを挟む
感想 97

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...