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第70話 竜族の新たな犠牲者
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リュームへ向かう護達一行をトリーファンクラブの方々が遠巻きに護衛してくれていた、行く手の川に架けられている橋が老朽化が進んでいれば急遽予算が組まれ護達が来る前に突貫工事で橋を架け替えるなどファンクラブの行動は国家予算を私的に使い始めている。
「流石に橋を突貫工事で架け替えたりされると、ファンクラブ会員じゃない方の不満が爆発しそうじゃないかな?」
護はそんな不安に駆られたが、ファンクラブ会員の1人が答えた返事は想像の斜め上どころか異次元にワープしそうな勢いだった。
「大丈夫、ご安心ください。8年程前にトリー先生の小説を会長が学校の教科書に指定されたので過半数の国民が先生の小説を読んでおります。小等部以上の生徒は全員第1巻の朗読試験をパスしてます」
(官能小説の朗読試験って一体何のイジメですか!?)
護は一抹の不安を抱きながらも試験内容を聞いてみる事にする。
「ちなみに朗読試験の採点基準は何だったのでしょうか?」
「もちろん、どれだけリアルに朗読出来るかが重要です。喘ぎ声や愛撫されている時の擬音など事細かにチェックされました。優勝した生徒の朗読は精霊を用いた遠話で学校だけでなく各家庭の親御さんにも聞いて頂きました」
トリーが元来た道を無言で引き返し始めた、ヤミとチィに両肩を抑えられて連れ戻されるが恐らくスパウダとの1件が完全にケリが付けばもう2度と里帰りする事も無いかもしれない。官能小説を子供達に朗読させる国には正直住みたくない・・・。
昼食を挟んで午後も歩いていると、周囲のファンクラブ会員達が急に慌しく動き始めた。そして100人ほどのエルフが集まると護達を中心とした円形陣を形成した。
「何か非常事態でも発生したのですか?」
天照が心配になって会員の1人に質問する、もしかしたらスパウダから新たな討伐部隊が派兵されてきたのかもしれない。
「実はキスト方面の国境を守る会員から緊急精霊通信が入りまして、光る竜がこちらに向かって飛んでいくのが見えたとの事です」
「光がこちらに向かっているの!?」
ヤミが懐かしい仲間と再び会えるかもしれないと喜んでいるが会員達は緊張している、ブレスを放たれればこの場に居る会員達のほとんどが消し炭にされてしまうからだ。
光竜との再会を楽しみにしているヤミとチィから少し離れた場所でエマも思いを巡らせていた。チィが怪となるキッカケを与えてしまったのが己の愚行が原因なのは明白。せめて1度位は謝罪しておきたいと思う様になっていた。
キストの方角の空に小さな光る点が見えたかと思うと、1分も経たない内に護達の真上に光り輝く竜が羽ばたいていた。
「闇と地よ、居たら返事をしてください。クトアから地が蘇ったと連絡が入り詳細を聞きながら来ました。スパウダと戦われるとの事、私も一翼としてぜひ参加させて下さい」
光竜は地面に降りながら人化を使い、20代半ばの女性の姿に変化した。ドレスの糸の1本1本が光り輝きまるで全身を宝石で彩っているかの様だ。
「光久しぶり、会いたかった!」
「光・・・お久しぶりです」
ヤミとチィが光竜の前に歩み出ると3人は肩を寄せて再会を喜んだ、そこで光竜がヤミとチィの左手の薬指に小さな指輪が嵌められている事に気が付いた。
「闇に地、その薬指の指輪は一体?」
ヤミとチィは顔を赤くして照れながら、光竜に報告する。
「えとね、私達は護のお嫁さんになったの」
「お嫁さん?護って一体どなたなのですか?」
光竜が周囲をキョロキョロ見渡すので、ヤミとチィは護の手を引いて光竜の前に連れてきた。
「この人が護、人だけど異世界から来たの」
「ええ、見かけは弱々しく見えるかもしれないけど実際は私達よりも遥かにケダモノよ」
チィの言葉に光竜は反応する。
「あなたのどこら辺がケダモノって言うのかしら?軟弱な人族に惚れ込むだけの何かが有るとでも言うの?」
その言葉に護は少しカチンときてしまった、そこまで言われてしまった以上証明しなくてはならない。光竜に気付かれない様に近づく護に先に気付いたヤミが光竜を逃がそうと試みたが間に合わなかった。
「光、急いで逃げて!」
ガシッ! 護の手が光竜の手を掴む。
「ヤミ、軟弱では無い事をこの竜にも示さないとならない。済まないが逃がすつもりは無いよ」
護はエルフ達が見守る中、説得(お仕置き)部屋を出して光竜を中に押し込む。そして、大勢のエルフ達の前で護は己の野獣の力を解放した・・・。
ヤミやチィだけでなく天照さえ寝込ませる護の前では全盛期を迎えて力が漲っている光竜といえども抵抗する事さえ出来ず一方的に身も心も全てが護一色に塗り替えられていく。2日近い時が流れる頃には、光竜も護の嫁に加わっていた。
「ヤミ、チィ、護様には我々竜族を束ねて頂きましょう。水と風は中立ですが敵対する事も有りません。なので残る火を護様の御力で私の様に身も心も染め上げて貰えばこの世界で護様の敵に回る事は竜族全てを敵に回す事と同意となります」
「それで、光は護に何て名前を付けてもらったの?」
「ヒカリです」
「ヒカリか~!そうなると、興味が沸いてくるのは残る火に護が何て名前を付けるかだよね?」
「火の女でヒメとか?」
「護のネーミングセンスって安直なのが多いから、逆に期待しちゃうよね」
「それでも護様に名付けて頂けるなんて身に余る光栄です」
護は知らない間に竜族の頂点に君臨させられようとしていた。
他に書いている作品の【スキルメーカー ~運命を変えた非常識なスキル~】や先日から新たに書き始めた【異世界召喚されたクリエイター(創造魔術師) 】もネタが出来次第順次更新しております。
警備の仕事をしながら考えるので以前の作品のネタが中々思い浮かばないので遅筆になってますが、早く再開させたいと思っております。
「流石に橋を突貫工事で架け替えたりされると、ファンクラブ会員じゃない方の不満が爆発しそうじゃないかな?」
護はそんな不安に駆られたが、ファンクラブ会員の1人が答えた返事は想像の斜め上どころか異次元にワープしそうな勢いだった。
「大丈夫、ご安心ください。8年程前にトリー先生の小説を会長が学校の教科書に指定されたので過半数の国民が先生の小説を読んでおります。小等部以上の生徒は全員第1巻の朗読試験をパスしてます」
(官能小説の朗読試験って一体何のイジメですか!?)
護は一抹の不安を抱きながらも試験内容を聞いてみる事にする。
「ちなみに朗読試験の採点基準は何だったのでしょうか?」
「もちろん、どれだけリアルに朗読出来るかが重要です。喘ぎ声や愛撫されている時の擬音など事細かにチェックされました。優勝した生徒の朗読は精霊を用いた遠話で学校だけでなく各家庭の親御さんにも聞いて頂きました」
トリーが元来た道を無言で引き返し始めた、ヤミとチィに両肩を抑えられて連れ戻されるが恐らくスパウダとの1件が完全にケリが付けばもう2度と里帰りする事も無いかもしれない。官能小説を子供達に朗読させる国には正直住みたくない・・・。
昼食を挟んで午後も歩いていると、周囲のファンクラブ会員達が急に慌しく動き始めた。そして100人ほどのエルフが集まると護達を中心とした円形陣を形成した。
「何か非常事態でも発生したのですか?」
天照が心配になって会員の1人に質問する、もしかしたらスパウダから新たな討伐部隊が派兵されてきたのかもしれない。
「実はキスト方面の国境を守る会員から緊急精霊通信が入りまして、光る竜がこちらに向かって飛んでいくのが見えたとの事です」
「光がこちらに向かっているの!?」
ヤミが懐かしい仲間と再び会えるかもしれないと喜んでいるが会員達は緊張している、ブレスを放たれればこの場に居る会員達のほとんどが消し炭にされてしまうからだ。
光竜との再会を楽しみにしているヤミとチィから少し離れた場所でエマも思いを巡らせていた。チィが怪となるキッカケを与えてしまったのが己の愚行が原因なのは明白。せめて1度位は謝罪しておきたいと思う様になっていた。
キストの方角の空に小さな光る点が見えたかと思うと、1分も経たない内に護達の真上に光り輝く竜が羽ばたいていた。
「闇と地よ、居たら返事をしてください。クトアから地が蘇ったと連絡が入り詳細を聞きながら来ました。スパウダと戦われるとの事、私も一翼としてぜひ参加させて下さい」
光竜は地面に降りながら人化を使い、20代半ばの女性の姿に変化した。ドレスの糸の1本1本が光り輝きまるで全身を宝石で彩っているかの様だ。
「光久しぶり、会いたかった!」
「光・・・お久しぶりです」
ヤミとチィが光竜の前に歩み出ると3人は肩を寄せて再会を喜んだ、そこで光竜がヤミとチィの左手の薬指に小さな指輪が嵌められている事に気が付いた。
「闇に地、その薬指の指輪は一体?」
ヤミとチィは顔を赤くして照れながら、光竜に報告する。
「えとね、私達は護のお嫁さんになったの」
「お嫁さん?護って一体どなたなのですか?」
光竜が周囲をキョロキョロ見渡すので、ヤミとチィは護の手を引いて光竜の前に連れてきた。
「この人が護、人だけど異世界から来たの」
「ええ、見かけは弱々しく見えるかもしれないけど実際は私達よりも遥かにケダモノよ」
チィの言葉に光竜は反応する。
「あなたのどこら辺がケダモノって言うのかしら?軟弱な人族に惚れ込むだけの何かが有るとでも言うの?」
その言葉に護は少しカチンときてしまった、そこまで言われてしまった以上証明しなくてはならない。光竜に気付かれない様に近づく護に先に気付いたヤミが光竜を逃がそうと試みたが間に合わなかった。
「光、急いで逃げて!」
ガシッ! 護の手が光竜の手を掴む。
「ヤミ、軟弱では無い事をこの竜にも示さないとならない。済まないが逃がすつもりは無いよ」
護はエルフ達が見守る中、説得(お仕置き)部屋を出して光竜を中に押し込む。そして、大勢のエルフ達の前で護は己の野獣の力を解放した・・・。
ヤミやチィだけでなく天照さえ寝込ませる護の前では全盛期を迎えて力が漲っている光竜といえども抵抗する事さえ出来ず一方的に身も心も全てが護一色に塗り替えられていく。2日近い時が流れる頃には、光竜も護の嫁に加わっていた。
「ヤミ、チィ、護様には我々竜族を束ねて頂きましょう。水と風は中立ですが敵対する事も有りません。なので残る火を護様の御力で私の様に身も心も染め上げて貰えばこの世界で護様の敵に回る事は竜族全てを敵に回す事と同意となります」
「それで、光は護に何て名前を付けてもらったの?」
「ヒカリです」
「ヒカリか~!そうなると、興味が沸いてくるのは残る火に護が何て名前を付けるかだよね?」
「火の女でヒメとか?」
「護のネーミングセンスって安直なのが多いから、逆に期待しちゃうよね」
「それでも護様に名付けて頂けるなんて身に余る光栄です」
護は知らない間に竜族の頂点に君臨させられようとしていた。
他に書いている作品の【スキルメーカー ~運命を変えた非常識なスキル~】や先日から新たに書き始めた【異世界召喚されたクリエイター(創造魔術師) 】もネタが出来次第順次更新しております。
警備の仕事をしながら考えるので以前の作品のネタが中々思い浮かばないので遅筆になってますが、早く再開させたいと思っております。
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