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アツモリ、セーラー服の女の子に導かれ堕天使と戦う

第61話 究極奥義!

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 リーザは何かの呪文を唱え始めた。
 だが、今度はエミーナにもルシーダにも何を唱えているのか全然分からない!ただ、恐ろしく不吉な予感がするのだけは直感した!このままだと深層の森ごと自分たちも消し飛ぶ、それは分かったが、何をすればいいのか全然分からない!

「敦盛様!あの究極奥義を使う事を許可します!!」

 満里奈は敦盛に絶叫した!

 敦盛はその言葉に短く「ああ」とだけ答えると、デュランダルを放り投げて草薙剣くさなぎのつるぎを左手に持ち替え、右手で大太刀『大蛇丸おろちまる』という2本の神の武器を両手に持って二刀流に構えた!
 敦盛は呪文を止めようと全速力でリーザに突進したが、この位置からでは遠すぎる!リーザは勝利を確信したのか、その表情は笑っている。『お前たちの命運もここまでだ』と嘲笑ってるかのように見える。

【全ての物は無に・・・】

 あと少し、「返れ」という言葉が唱えれれば呪文が完成という時に、何故かリーザは呪文を唱えられなくなった!
 おかしい、こんな事は無い筈だ。
 リーザはそう思って再び最初から呪文を唱え直そうとしたけど、最初の一言目も発する事が出来ない。
 その時、リーザは『ハッ!』となってエルフの集落を見た!

 エルフの集落にいたシルフィを始めとした全てのハイエルフたちが同じ行動を取っていたのだ!風の精霊シルフに命じて、リーザの周辺の空気の振動を止めた!いかにリーザが神の子とはいえ、全てのハイエルフが同調して風の精霊シルフに命じたらリーザの力を持ってしても打ち破る事は出来ない!

「チクショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 リーザは絶叫した。いや、リーザは絶叫したつもりだったのだが、風の精霊シルフが空気の振動を止めている以上、その声が響く事はなかった!

「阿佐揚羽流究極奥義『刀剣とうけん乱舞らんぶ絢爛けんらん』!」

 敦盛は2本の神の武器を持ってリーザに突進した!
 リーザの両腕は再生したけど、武器が無いから敦盛の攻撃を防ぐ事が出来ない!右手の大蛇丸おろちまると左手の草薙剣くさなぎのつるぎが交互にリーザに襲い掛かる!リーザの腕が、足が、耳が、鼻が、胸が、次々と切り刻まれ小さくなっていく!もちろん、リーザの体も再生していくのだが、再生速度よりも切り刻まれる速さの方が段違いに早い!だからリーザには成す術がない!リーザは痛みで絶叫しているが風の精霊シルフが動きを止めているから響かない。

 いや、たった今その効果が切れたから、リーザの絶叫がエルフの集落中に、いや、深層の森全体に響き渡ったかのように聞こえた。

 その直後だ!

「アツモリ!その場から離れて!!」

 咄嗟に敦盛は左右の刀と剣の動きを止めると急上昇した!よく見るとエミーナが左手に魔晶石を握りながら何かの呪文を唱えようとしている!ルシーダはその呪文が何なのかに気付いて、巻き添えになるから逃げろと指摘したのだ!

【・・・全ての物よ、大理石となりて永遠の時を刻め!】

 エミーナの『石化ペトリファクション』の呪文は完成し、エミーナのスタッフが光った!

 これだけのダメージを受けた時に『石化ペトリファクション』を唱えられたら、いかな神と天使の混血児ハーフといえども抵抗できない。神と天使に唯一効果があり、それでいて呪文の効果が永遠に続く『石化ペトリファクション』を受けた時、リーザのその体は真っ白な大理石と化してエルフの集落のほぼ中央に落下した。

 リーザは何も喋らない。いや、肉体だけでなく魂までもが大理石と化したから、考える事もしなくなった・・・

 呪文の効果は永遠に続くのだから、リーザは大理石として永久に固まったまま過ごす事を宿命付けられたのだ・・・
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