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アツモリ、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)とデスマッチをやる
第120話 今頃気付いても遅い!
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「始め!」
アキュアラが右手をサッ!と上げた瞬間、エミーナは走り出した。逆にミアータは立ったままだ。
魔術師は後方でデーンと構えたまま動かない、というのは戦いのセオリーだがエミーナは実戦派だ。ルシーダと2人で組んでいたから前衛はいないから後衛タイプ2人だけのパーティが生き残る為に編み出した知恵でもあるのだ。「立っていては狙い撃ちされる。常に場所を変えて相手に的を絞らせない」はエミーナにとって常識だ。今は敦盛という強力な前衛が出来た事で本来の後衛型のポジションにいるが、エミーナは魔術師の中の異端児だ。
【・・・火球よ、我が敵を襲え】
エミーナは走りながら『火球』の呪文を唱え、エミーナの杖から顔の大きさにもなる程の火の玉が現れ、それがミアータ目掛けて飛んで行った。
だが、ミアータはそれを見て『ニヤリ』とした。
【・・・火球よ、我が敵を襲え】
ミアータは一瞬のうちに『火球』を唱えた!エミーナの詠唱時間の半分にも満たない時間で、しかもミアータの杖から3つの火の玉が現れてエミーナに向かって飛んだ。
エミーナの『火球』はミアータの『火球』と空中で衝突して派手な爆音と共に飛び散ったが、残った2つはエミーナ目掛けて突っ込んできた。
「ちいっ!」
エミーナは舌打ちしながら1つは後方へ仰け反るようして、1つはジャンプして避けたから、『火球』は結界に当たって音もなく消滅した。
「あらあらー、これで攻撃したつもりー」
「ウルサイ!」
エミーナは尚も『火球』を立て続けに唱えるが、ミアータは平然と『火球』で迎え撃つ。ミアータはニヤニヤしながら唱えているから、殆どふざけているとしか思えない!
「・・・ちょこまかとウルサイです!これで足を止めます!!」
ミアータはそう言ったかと思ったら呪文を変えた!
【・・・怒れ、氷の乙女よ!その吐息で我が敵を撃て!】
ミアータが『吹雪』を唱えた時、結界内が真っ白になる程の猛吹雪が起こった!さすがのエミーナも視界を遮られ、足を止めざるを得なくなった。敦盛の目から見ても試合場が真っ白になったから何が起きたのか全然分からない。
その時間は僅か10秒ほどだったが・・・その猛吹雪がおさまった時、エミーナは自分の目を疑った!
「嘘だろ!!」
エミーナは絶叫した!なぜなら試合場一面が真っ白な雪に覆われ、しかも膝まで雪で埋まっているから機動力を封じられたに等しいのだ!敦盛だけでなくセレナ王女やレクサス支部長を始めとして試合場の外にいた人たちが唖然とした表情で見ているし、エミーナに賭けていたシエナに至っては「冗談だろ?」と思わず呟いたほどだ。逆に平然としていたのは『翼』の4人だけだ。
「ちいっ!ボクではなく試合場全体に『吹雪』を使ったと言いたいのかよ!」
「その通りです!魔術師たるもの、常識に囚われていたら凡人にも劣るというのは当たり前です!」
「だからと言って、この短時間でこれだけの雪を・・・」
「あらー、これでもお姉さまが可哀そうだと思って手加減した方ですわよお」
「これのどこが手加減だ!」
「この程度の『吹雪』でよければ300回、いや、500回は使ってさしあげますわよお」
「嘘だろ!!」
「『真実』を使うだけの時間を差し上げてもいいわよお」
ミアータは平然と言い切ってニヤニヤしているが、逆にエミーナは口をアングリと開けて絶句している。敦盛や満里奈も唖然とするしかなかった。
ユーノスはそんなミアータを見て「はーー」とため息をついた。
「・・・あいつ、完全に遊んでるな」
「はあ?あれで遊んでるって冗談だろ?」
「アツモリ、お前の目には凄まじい攻撃に思えるかもしれないけど、あいつの二つ名は『氷の魔女』だ。その『氷の魔女』の氷系の呪文の威力がこの程度だぞ。しかもエミーナはノーダメージだ。遊んでるのが見え見えだ」
「た、たしかに・・・」
「あいつが本気を出せば一瞬のうちに試合場全体を氷漬けにする事も出来る。あの審判の姉ちゃんも巻き込むからセーブしてるんだぞ」
「・・・(ゴクリ)・・・」
「・・・まあ、あんまり雪の中にいると風邪を引きそうだから私がプレセントを差し上げます」
ミアータはそう言うと『ニヤリ』としながら口を動かし始めた。エミーナは機動力を封じられた格好だから逃げられない!実戦なら『結界』を使いたい場面だが試合だからタブーだ!エミーナは咄嗟に『飛行』の呪文を唱えようとした!!
【・・・大地の怒り、火山の吐息、その力を開放せよ!】
ミアータは『爆裂』を立て続けに唱えてきたから、エミーナは『飛行』を唱える時間を与えられる間もなく『爆裂』の直撃を受けた!エミーナは次々と襲ってくる『爆裂』を『光の矢』で迎え撃ってるが、ミアータの詠唱速度はエミーナの2倍、いや3倍もあるから迎撃が追い付かない!エミーナは精密誘導弾のように襲い掛かってくる『爆裂』の直撃を受けるたびに吹き飛ばされ、まるで人形のように宙を舞っている。それでもミアータは攻撃の手止めようとしないが、その表情は本当に遊んでいるとしか思えないほどだ。
” ゼーゼーゼーゼー・・・ ”
エミーナは肩で息をしながら耐えているが、全身ずぶ濡れの上に泥だらけだ。ミアータは『爆裂』を立て続けに唱えたから、とうとう試合場にあった雪は爆発熱と衝撃で殆ど溶けて、まるで春先のグラウンドのような一面の泥濘と化したが、ミアータの足元だけは固い赤土のままだ。エミーナは雪と泥の洗礼を受けて亜麻色の髪や水色の法服が赤土の泥で真っ赤に見える程だが、ミアータの銀色の法服は汚れ1つないのだから、まるでエミーナが苦しんでる姿を見て楽しんでるとしか思えないほどだ。
「・・・あらあらー、せっかくの綺麗な顔が台無しですわよお」
「ウルサイ!」
「いい加減に死んでくれないと私も疲れます」
「その余裕、いつまで続くかな?」
「ハッタリもいい加減にしなさい!そろそろ死んでもらいます!」
「お前さあ、注意力散漫だぞ。それは魔術師にとって致命傷になるって学校で習わなかったかあ?あー、ゴメンゴメン、誰かさんは学校を出てないんだったねえ」
エミーナはニヤリとしてミアータを見たが、その瞬間、ミアータも『ハッ!』という表情をした。なぜなら・・・エミーナの首輪の宝玉が殆ど無くなっていたからだ!
エミーナは左膝をつけながら『バチン!』と左手を地面に叩き付けた!
その瞬間、地面のあちこちが青色に輝いたから、ミアータの顔色が変わった!その青色の輝きが描き出したのは魔法陣だ!!
「くそっ!ワザと吹き飛ばされたフリをして宝玉を埋め込んでいたのか!」
「今頃気付いても遅い!出でよ、鉄人形!!」
アキュアラが右手をサッ!と上げた瞬間、エミーナは走り出した。逆にミアータは立ったままだ。
魔術師は後方でデーンと構えたまま動かない、というのは戦いのセオリーだがエミーナは実戦派だ。ルシーダと2人で組んでいたから前衛はいないから後衛タイプ2人だけのパーティが生き残る為に編み出した知恵でもあるのだ。「立っていては狙い撃ちされる。常に場所を変えて相手に的を絞らせない」はエミーナにとって常識だ。今は敦盛という強力な前衛が出来た事で本来の後衛型のポジションにいるが、エミーナは魔術師の中の異端児だ。
【・・・火球よ、我が敵を襲え】
エミーナは走りながら『火球』の呪文を唱え、エミーナの杖から顔の大きさにもなる程の火の玉が現れ、それがミアータ目掛けて飛んで行った。
だが、ミアータはそれを見て『ニヤリ』とした。
【・・・火球よ、我が敵を襲え】
ミアータは一瞬のうちに『火球』を唱えた!エミーナの詠唱時間の半分にも満たない時間で、しかもミアータの杖から3つの火の玉が現れてエミーナに向かって飛んだ。
エミーナの『火球』はミアータの『火球』と空中で衝突して派手な爆音と共に飛び散ったが、残った2つはエミーナ目掛けて突っ込んできた。
「ちいっ!」
エミーナは舌打ちしながら1つは後方へ仰け反るようして、1つはジャンプして避けたから、『火球』は結界に当たって音もなく消滅した。
「あらあらー、これで攻撃したつもりー」
「ウルサイ!」
エミーナは尚も『火球』を立て続けに唱えるが、ミアータは平然と『火球』で迎え撃つ。ミアータはニヤニヤしながら唱えているから、殆どふざけているとしか思えない!
「・・・ちょこまかとウルサイです!これで足を止めます!!」
ミアータはそう言ったかと思ったら呪文を変えた!
【・・・怒れ、氷の乙女よ!その吐息で我が敵を撃て!】
ミアータが『吹雪』を唱えた時、結界内が真っ白になる程の猛吹雪が起こった!さすがのエミーナも視界を遮られ、足を止めざるを得なくなった。敦盛の目から見ても試合場が真っ白になったから何が起きたのか全然分からない。
その時間は僅か10秒ほどだったが・・・その猛吹雪がおさまった時、エミーナは自分の目を疑った!
「嘘だろ!!」
エミーナは絶叫した!なぜなら試合場一面が真っ白な雪に覆われ、しかも膝まで雪で埋まっているから機動力を封じられたに等しいのだ!敦盛だけでなくセレナ王女やレクサス支部長を始めとして試合場の外にいた人たちが唖然とした表情で見ているし、エミーナに賭けていたシエナに至っては「冗談だろ?」と思わず呟いたほどだ。逆に平然としていたのは『翼』の4人だけだ。
「ちいっ!ボクではなく試合場全体に『吹雪』を使ったと言いたいのかよ!」
「その通りです!魔術師たるもの、常識に囚われていたら凡人にも劣るというのは当たり前です!」
「だからと言って、この短時間でこれだけの雪を・・・」
「あらー、これでもお姉さまが可哀そうだと思って手加減した方ですわよお」
「これのどこが手加減だ!」
「この程度の『吹雪』でよければ300回、いや、500回は使ってさしあげますわよお」
「嘘だろ!!」
「『真実』を使うだけの時間を差し上げてもいいわよお」
ミアータは平然と言い切ってニヤニヤしているが、逆にエミーナは口をアングリと開けて絶句している。敦盛や満里奈も唖然とするしかなかった。
ユーノスはそんなミアータを見て「はーー」とため息をついた。
「・・・あいつ、完全に遊んでるな」
「はあ?あれで遊んでるって冗談だろ?」
「アツモリ、お前の目には凄まじい攻撃に思えるかもしれないけど、あいつの二つ名は『氷の魔女』だ。その『氷の魔女』の氷系の呪文の威力がこの程度だぞ。しかもエミーナはノーダメージだ。遊んでるのが見え見えだ」
「た、たしかに・・・」
「あいつが本気を出せば一瞬のうちに試合場全体を氷漬けにする事も出来る。あの審判の姉ちゃんも巻き込むからセーブしてるんだぞ」
「・・・(ゴクリ)・・・」
「・・・まあ、あんまり雪の中にいると風邪を引きそうだから私がプレセントを差し上げます」
ミアータはそう言うと『ニヤリ』としながら口を動かし始めた。エミーナは機動力を封じられた格好だから逃げられない!実戦なら『結界』を使いたい場面だが試合だからタブーだ!エミーナは咄嗟に『飛行』の呪文を唱えようとした!!
【・・・大地の怒り、火山の吐息、その力を開放せよ!】
ミアータは『爆裂』を立て続けに唱えてきたから、エミーナは『飛行』を唱える時間を与えられる間もなく『爆裂』の直撃を受けた!エミーナは次々と襲ってくる『爆裂』を『光の矢』で迎え撃ってるが、ミアータの詠唱速度はエミーナの2倍、いや3倍もあるから迎撃が追い付かない!エミーナは精密誘導弾のように襲い掛かってくる『爆裂』の直撃を受けるたびに吹き飛ばされ、まるで人形のように宙を舞っている。それでもミアータは攻撃の手止めようとしないが、その表情は本当に遊んでいるとしか思えないほどだ。
” ゼーゼーゼーゼー・・・ ”
エミーナは肩で息をしながら耐えているが、全身ずぶ濡れの上に泥だらけだ。ミアータは『爆裂』を立て続けに唱えたから、とうとう試合場にあった雪は爆発熱と衝撃で殆ど溶けて、まるで春先のグラウンドのような一面の泥濘と化したが、ミアータの足元だけは固い赤土のままだ。エミーナは雪と泥の洗礼を受けて亜麻色の髪や水色の法服が赤土の泥で真っ赤に見える程だが、ミアータの銀色の法服は汚れ1つないのだから、まるでエミーナが苦しんでる姿を見て楽しんでるとしか思えないほどだ。
「・・・あらあらー、せっかくの綺麗な顔が台無しですわよお」
「ウルサイ!」
「いい加減に死んでくれないと私も疲れます」
「その余裕、いつまで続くかな?」
「ハッタリもいい加減にしなさい!そろそろ死んでもらいます!」
「お前さあ、注意力散漫だぞ。それは魔術師にとって致命傷になるって学校で習わなかったかあ?あー、ゴメンゴメン、誰かさんは学校を出てないんだったねえ」
エミーナはニヤリとしてミアータを見たが、その瞬間、ミアータも『ハッ!』という表情をした。なぜなら・・・エミーナの首輪の宝玉が殆ど無くなっていたからだ!
エミーナは左膝をつけながら『バチン!』と左手を地面に叩き付けた!
その瞬間、地面のあちこちが青色に輝いたから、ミアータの顔色が変わった!その青色の輝きが描き出したのは魔法陣だ!!
「くそっ!ワザと吹き飛ばされたフリをして宝玉を埋め込んでいたのか!」
「今頃気付いても遅い!出でよ、鉄人形!!」
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