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世界の終わり、ゆっくりと

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あ、見つかっちゃった。




 先輩!もう、ずっと探してたんですよ。よくこんな所見つけましたね。誰もいない屋上なんて。




 ここ探すの大変だったんだよ。どこの屋上もさ、世紀の瞬間ってやつを見ようと、人がいっぱいでさ。




 …先輩は、一人で見たかったんですか?




 んー、どうだろうね…あ、ほら見てっ!




 ……あれが…




 そう。
 あの空に浮かぶ黒い点が、だんだんと大きくなって、地球をすっぽり覆っちゃうんだって。




 それが、世紀の瞬間…地球の、最後。




 今は地球の方が大きいけれど、明日の朝には地球は半分になって、24時間後には地球の方が小さくなって…消えてしまう。




 もう、終わりが始まってるんですね。




 終わりってさ、テレビがこう、プツッと消えるみたいな…そんな想像してたんだけど。




 もしそうだったら、そこには…何も残らないんですね。




 君は、どっちがいいと思う? 




 心残り、が、あるから…ゆっくりが、いいです…




 君なら、そう言うと思った。




 先輩は、どっちですか? 




 んー、どうだろうね。




 私、ここにいてもいいですか?




 んー、どうだろうね…なーんてね。
 そんなこと言わず、隣においでよ。




 …はい。




 ………地球の最後が…ゆっくりで、よかった。



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