壺の中にはご馳走を

文字の大きさ
68 / 72

寝たきりの祖母③

しおりを挟む
「婆さんは俺の前に立つと、糸が切れたように脱力し覆いかぶさってきた。

『まあ! 虎太郎ちゃんが次の当主!! 皆に伝えな!!』

 叔母が大声で家中を走り回っている最中、婆さんの体はボロボロに崩れ始めた。

 押し退けようと体に触れれば、手にはぎっしりと灰が付いた。


 親戚連中が部屋に集合し、ほとんどは入りきれず外で騒がしくしていたが、俺は祝福の言葉をかけられまくった。

 酒を持った爺さんが、人をかき分けズカズカと入ってくると、酒を飲むよう差し出した。

 俺は酒があまり強くないし、警戒心が解けていなかったから断った。


 爺さんは露骨に不機嫌な顔をして、他の年寄りに俺を押さえるように命じた。

 そして最初は抵抗できたが、腕や足に噛み付かれて意識を逸らしてしまった瞬間に、一気に劣勢となり無理やり酒を口の中に入れられた。

 そこで意識を失った。


 次に目を開けた時、見覚えがある部屋にいた。

 カーテンが全くないから外の光が入り放題のかび臭い部屋。

 当主が寝ていた部屋だ。



『虎太郎ちゃん、おめでとう。寿命がもらえるんは1週間後やけん、それまでここで大人しくしてよ~』

 ベッドシーツを取り替えないまま寝かされたようで、年寄り特有のニオイが鼻を付いた。


 叔母は常にベッドで俺が横になっていることを監視していた。

 食事は皆で一緒に、入浴は爺さん4人に囲まれ、排泄も誰かしらトイレの前で待っていた。

 親戚連中は俺が逃げないか心配だったんだ。


 そんなわけで、監視されながら年を越してしまった。

 大晦日までに帰る予定だったが、正月も過ごすはめになった。

 普通親戚の集まりっていうのは正月を祝うものだろ?

 普通じゃなかったから、あいつらは俺が当主に選ばれたことを何日もかけて祝った。


 叔母は適当な嘘でオヤジに連絡したらしく、俺が軟禁されていることは誰にも伝わらない日々。

 しかし1月3日、つまり昨日。

 ついに監視が緩んだ。

 俺があまりにも従順な態度を示すものだから、トイレだけは自由に行って良いことになった」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...