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下僕の受難。
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「下僕よ、我に従え」
そんなセリフをいきなり言われた俺はどうすればいいのだろうか?
そもそも・・・アレ?俺はなんだ?いや、此処はなんだ?記憶に無いと言うか、記憶ある?何故?
俺が返事を返さない事に疑問を覚えたのか、声の主は次の問を返してくる。
「・・・うん?理解はできている筈じゃし、話せないことも無かろう?」
ちょっと待ってくれよ、何でこんな上から目線で話されなきゃならんのだ?
だが、何となく従わなければいけないような気もする。
いや・・・うん、圧倒的支配感がある。
アレ?ヤバイ?返事しなきゃヤバイんじゃないかこれ?
「は、ハイ・・・」
俺はコレしか言えなかった・・・
疑問しかない、それに何やら従属を選択させたいようだ。
感覚的にヤバイのは分かったが、それでもすぐに従うと言うのは躊躇われた。
返事をすれば、少しは説明を聞ける機会ができそうに思えるしな。
何より、返事をしたら嬉しそうな声が返ってきた。
「よしよし、理解できているな。では従うよな?」
何故そんなに従わせたいんだろう?
その前に説明して欲しいんですが、それから選択させてもらってもいいんじゃ無いですかねぇ?
「あの・・・俺、何も分からないので説明を頂きたいのですが・・・?」
すると、声は更に嬉しそうになった。
「おおっ!俺とな?雌型と聞いてたが雄型であったか!雌雄なぞあったのか?しかし、何も分からないとは何故じゃ?
・・・うむ、まぁ良いであろう、そうだな、お主自身の事からかな?」
雌型?雄型?俺は雄・・・男って事か?しかもあったのか?って・・・どういう事だ?
「お主はな、我が錬金術に依って生み出したのよ」
えっ、錬金術?生み出したってどゆこと?
俺が困惑しているのが分かったのか不思議そうな声になった。
「うむ・・・おかしいな?それぐらい分かっている筈なんじゃが・・・」
疑問でもあるのか考え込んでるようだ。
俺も知りたいんですが、なにがどうなってるんだ?
「・・・いいか?お主は我が生み出した、人造生命体、フラスコの中の小人、ホムンクルス、即ち全知の存在だと思っていたのじゃが、違うのか?」
不満そうに、違うのか?って言われても分からないとしか言いようがないぞ、これ違うって言ったら駄目なのか?違うかどうかも分からないけど・・・
「あの、全知ではないと思います・・・」
おい、そんないかにも失望した!って目で見ないでくれよ!って、見えた?あれ?さっきまで見えてたっけ?
「うむぅ、トリスに聞いてたのとは違うではないか・・・いや、ホーのヤツの話じゃと騙そうとしているのか?」
何やらわからないがブツブツ言ってる、取り敢えずコイツは雄か?いや、男か?女か?胸部は平たい・・・厚い?顔は見えないか?若い?老いている?声は若そうだけどしゃべり方は老人っぽいよな?やけにダブついた服のせいでよく分からないし・・・フードから出た長い赤髪しか見えてねーぞ。
周りは、なんかの部屋の中か?わからん植物にこれでもかと燃え盛る炎、袋に詰められた灰?に、様々な色の宝石が入った箱、試験官に入った赤黒い液体、人間の血かアレ?等々その他色々だな、そして俺が居るのは聞いたとおりのフラスコの中か。
小人と言うからには俺は人っぽい?形か?
身体・・・あったのか?
「ぉお?いつの間にか随分人型になったな、変化を見逃すとは迂闊であったな・・・む、付いてるな」
変化を見逃す?人型になった?疑問が益々増えるな・・・最後の方はよく聞こえなかったがちょっと?ガン見されてる気配がする。
漸く此方に意識を戻してくれたようだし俺から質問したほうがいいかな?
「えっと、俺が貴方に生み出されたらしいことは分かりました、フラスコに居るのも、人型に見えるようになった事も、本来生み出そうとしてたホムンクルスは全知だったのも・・・
でも俺は少なくとも全知ではありませんし、貴方を騙そうともしてません、本当に何も分からないんです。
貴方が従えと言うならば、そうするしかないのも分かってきました、何が出来るのかは分かりませんが」
俺が今までに無く喋ったからか、もう俺の主様予定の人は驚いたようだ。
俺も分かんないけど、もしかして主様予定の人も分かってないのか?なんかすごい悩んでるように見えるが。
「ちと困ったのぅ、お主が何者なのか伝えればもしやと思っておったのだが・・・それにのぅ、理解力は高く見えるし割りと舌が回るようじゃ、騙そうとしているのかも知れんと思っておる。
しかし折角生み出したのに使えんのも困るのぅ・・・
材料も心もとなくなってきたからの、やはり先ずは下僕の契約をしてもらわんと安心できん!
であるから従うのじゃ!」
うーん、これは薄々分かってきてたけど選択肢はないかな?契約ってのがなんか怖いし、契約の仕方もわからないしどうしろってんだか。
仕方ない、契約の方法聞くか・・・
「けいや・・・」
「何悩んどるんじゃ!従うと言えばそれで良いのじゃ、これ以上何言われても我は答えんぞ!」
それだよ!それが分からなかったから聞こうとしたんじゃないか!
そんなもう何も言わんとばかりに横向いて腕組まれてもな・・・
主様予定の人はちょっと扱い辛い人なのかな?
先が思いやられるが仕方ないなぁ。
「・・・従う」
俺がそう言った瞬間、フラスコの下から魔法陣が浮き上がり俺の首辺りまで来た時、輝いたと思ったら消えた。
「よしよし、これで我には逆らえんからな?騙そうとしても無駄じゃぞ!」
子供かお前は!行動も素早いと言うかチョコチョコした感じに見えてきたわ、声が高く聴こえる様になったし若そうだな主様確定は、俺を生み出せたって事は相当凄い筈なのになんだかなぁ・・・?
なんで凄いんだ?アレ?俺もしかして早まった?支配感も無くなったし、魔法陣の効果だったのか?
「では我の問に応えるのじゃ!賢者の石はどう作る!?」
えっ、全知設定生きてるの?さぁ答えろ!的に両手でフラスコ掴んで顔近づかせても・・・全知じゃないって言ったでしょ?
まぁ、取り敢えず顔は見れたな、やっぱ女か・・・眉はキリッと上がっていて意志が強そうなツリ目、中に見えるは紅玉よりも妖しく輝く紅い瞳、薄い唇には獲物はもう逃さないとでも言いたげな嗤いが見える、低めだが真っ直ぐ通った鼻梁は高貴さでも見せ付けるようだ。
吸血鬼でも可笑しくないなコイツ、牙は無いから違うと思うが。
ん?吸血鬼とかなんで知ってるんだろ俺?何かを見たら知識が閃くのかな?
本当に全知だけど見ないと思い出せないとかなのかな?
おっと、答えてあげないと怒ってマイホームを壊されちゃ敵わんからな、答えて壊されたらもう諦めるか、最早どう見ても我儘な子供っぽい女にしか見えないし疲れるだけだろこれ。
「分かりません」
おい・・・なんでそんなに驚いてんだよ!「嘘だっ!」って面に書いてあるかのようだなっ!おいっ手を離すな!落としたら割れるだろマイホームがっ!振り回すな、フラスコの壁に身体が押し付けられてなかなか圧力が辛い、先ずはマイホームを元あった台に戻してくれ!危ないぞコイツ!
「何故じゃ!」
さっき何も分からないって言ったじゃん!嘘ついた覚えはないぞ!壊しそうに思ったのか、やっとマイホームを台には置いてくれたが落ち着かないのかウロウロしてギャースカ叫んでる。
うーん、壊してもらったほうが良かったかな?諦めが肝心だって誰かが言ってた気がする。
でも、折角だしもうちょっと頑張ってみるかな?
「落ち着いてください、主様。俺はどうやら見聞したら知識を思い出すか、閃くようなのです、全知かは分かりませんが、もしかしたら賢者の石の材料を見れば分かるかもしれません」
また驚いてる・・・暴れてたからフードも取れて、すげぇ目を見開いてるのが分かるな。「そんなことがっ!?」って顔に書いてあるよもぅ・・・
あー、顔全体で見ると調和が取れてる感じなんだな。怖い方にだけど。
ちょっと落ち着いたのか上向いて左手を額に当てて右手を振り回してる・・・えっ振り回してる!?
奇人変人だな、正に!コエーよ、顔は怖いし行動はコエーし早まったの間違いないわこれ。
しかし、賢者の石とか何に使うんだ?触媒にしかならないだろアレ?
おっと、また知識更新されたのか、触媒ね、えーと、金か不老不死かって所かな?
「材料はわからんのじゃ!」
両手腰に当てて胸張って言う事かよ!子供っぽいし、胸が平らって事も分かりましたねっ!
コイツ俺を生み出せるほどの錬金術士なんだろう?なんだこのポンコツ!
いや、そうだな 、ホムンクルスは世界樹の樹液とかその他材料さえあれば後は地道な作業だからな。
どんなポンコツでも出来るかってまた知識の更新か。
一々改めるのも面倒だな、そう、主様のように有るがままを受け入れていこう。知ってるものは知ってるし、知らないものは知らないんだ。考えるだけ無駄な事なのさ!
「・・・でしたら、主様のお役に立てる様に見聞を広める為、連れて歩いてもらってもよろしいですか?」
受け入れてもらえればこの部屋以外も見れて退屈しないし、きっと楽しいことがあるだろ。その間に賢者の石の使い途とか色々聞けるだろ、俺が動くわけじゃないから疲れないし、良い乗り物って感じかな?
精神的疲労は諦めよう。置いてかれたら何も分からないし、変化がないのは詰まらないよね。
「そうじゃなぁ、下僕の契約もしてるし問題ないじゃろ!今出してやるからな!」
・・・うん?契約はしたね、確かに。その後なんか妙なニュアンスだったような?出してやる?え?ホムンクルスだよな俺?
え、トンカチ持ってきた?え、え、え、え?ちょっ!え!?
「おまちく・・・」
嘘だろ・・・?割れるフラスコ、最初で最後の外気に触れる俺、やけににこやかな酷薄な笑みを浮かべる主様、大小様々な煌くガラス片が落ちてくる、トンカチは流石に俺の上には無いな、あぁ・・・諦めが肝心だわこれ、上手く行ってる感あったところでこうなるとは流石に思えなかったなぁ。
「よしっ!これで連れていけるなっ!」
俺を抓むな、せめて優しく持ってくれ、無い胸のポケットはスペースがあって意外と過ごし安いな、ローブ何時の間に脱いだんだこいつ、それにもう終わりだよポンコツ・・・
薄れゆく意識は既に今迄の記憶を映し出していく・・・つってもそれほど記憶も無かったな。
いきなり従えとか言われてから20分もたってねーしな。
せめて次はコイツに生み出されないように顔でもよく見ておくか・・・
意味あるかは分からんけど。
「ん?なんじゃ我をそんなに見つめおって、主の顔を忘れんようにか?」
アホか、もう主もなんもなかろーもん!
俺の忠誠心が嬉しいのか、ニヤけた怖い面しながら部屋を出ようと扉に向かうポンコツ、なんか俺は悪くないけど罪悪感を感じてきたな・・・
死ぬ迄それ程時間無いだろうし、このポンコツ知らなそうだし教えておくかな・・・
「・・・主様、知っておられますか?ホムンクルスはフラスコから外には出られません、出たら死ぬのですよ?」
ビクッとしてこっち向いたな、また驚いた面してるわ、今度は「そういえばっ!?」って書いてある、分かり易いな、泣きそうになってるぞコイツ。
ポンコツだけど悪くはない奴だったのかもなぁ。
「も、戻さなきゃ!早く!フラスコ!私どこに置いたっけ!?」
くっそ焦ってるな、しかも私って、我ってキャラ付だったんですかね?
笑えてきた、次はこんなミスしないだろうしまたコイツに生み出されても良いかと思えるような焦り方だ。
元マイホームの台座のある机を掻き回してるが、見れば分かるけどフラスコねーよ?
それにあんな細い口から俺入らねーから!
・・・諦め悪いなぁ、大分時間経ったけどまだ諦めないのか。
「絶対死なせない、私でも出来る、絶対大丈夫だよ」って、何でもできる無敵の呪文の様に俺に繰り返し話し掛けてるけど・・・うん?
ちょっと死ぬまでの時間長いな、意識もよく思えば薄れてないかな?アレ?
冷や汗出てきたな、俺、冷や汗出るのか・・・
いや、そこは大事じゃない、俺はホムンクルス、フラスコの中に入ってた、間違いない。
フラスコの中の小人=ホムンクルス、間違いないよな?主様もそう言ってた。
でも死んでない、おかしい。
アレだ、多分作成方法が正式ではなくちょっと余裕があるだけだ、この主様なら間違えてたって不思議じゃない。
そう・・・ふぅ、落ち着いてきたな、大丈夫そのうち俺は死ぬ。
でも何時だ?主様が必死にフラスコ探してるけど、因みにそこ探すのもう5回目ですよ?
どのくらい余裕あるんだ?って程に俺は余裕だな。むしろ死ぬ気しない程に。
また冷や汗出てきやがったぜ、主様が探し疲れた時にピンピンしてる俺見たらどうなるかな?
フゥー!震えて来やがった、コレで終わりか、ヤバかったな、良かった。
いや、この震え違う震えだろ、ヤヴァイ・・・
その必死さが怖いよマイハニー!って現実逃避してる場合じゃない。
あぁ、主様泣き出してる・・・もう「絶対大丈夫だよ」しか言ってない。
無敵の呪文の効果なのかな?
落ち着け、逃避してる場合じゃない、確かめるべきだ、結果は分からないけどこの先に見える地獄は回避するべきだ。
よし!言うぞ!絶対大丈夫だよ!
「あの、主様・・・」
ワァーオ!声震えてる!俺は悪くねぇ!ホムンクルスって言ったもん!
続けるぞ!言うんだ、運命を捻じ曲げろっ!
「絶対大丈夫だよ、必ず助けるからね・・・」すげえ優しい声になったな!
俺も泣きそうだよ!優しさに包まれてるよ!
ちょっと探すのやめて!俺の声を聞いて!プリーズ!
でも、何でこの部屋内しか探してないんだろこの主様?同じとこしかもう探してないよ?近場に他の家とかないのかな?
思考が逸れた、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!
「俺、なんか余裕あるんです、本当にホムンクルスですか?」
おっと、ピタッと止まったな!「え・・・?」っと此方を信じられないものでも見るかのようだ、でも信じられないのは俺の方ですよ?俺は悪くねぇんだ!
先ずは俺の作成方法だな、ホムンクルスの作成方法は・・・知ってる!方法って何通りもあるんだな、これは主様には難易度が高い、仕方無いね!
アレ・・・?壊れ物でも扱うかの様に無い胸ポケッツから俺を出しましたね主様?あっ、ちょっと力入ってきた、ステイステイ!まだ分からないまだ早すぎる!落ち着いて、そう!元マイホームのあった台に俺を置いてっ!
「どういう事・・・?」
涙は止まったようだなマイハニー!固まった怖い顔がとってもキュートさ!
なるほど、俺は悪くねぇ、そして悪いのは君じゃないな・・・
じゃあ誰かな?運かな?神様かな?
「ほ、ホムンクルスのっ!俺の作成方法なんです・・・が、どうやってお作りになられたのでしょう・・・?」
フゥー!言ったぞ!震えてちょっと変なのはご愛嬌ってね!ハッハー!
ば、場の圧力がメーター振り切りそうだな・・・
主様震えてめっちゃ手を握りしめてる、血でも流れるんじゃないか?その内俺のが流れるのは確定しそうですね?
顔も赤いな、怒ってる?でもまだ確定してないしっ!俺は悪くねぇ!
「せ、男の、アノ、アレを蒸留器に入れて40日・・・」
ヘイヘーイ!セクハラ案件いただきましたー!そうだよね!その方法だと赤くなるよね!
主様多分見た目と年齢一致してそうだもんね!年齢にしてはちょっと乙女過ぎない?とは思うけど!
「アッハイ、モウ大丈夫デス、原初ノ方法デスネ・・・」
安心したのかホッと一息ついたようだけど、でも、その方法だと単なる腐った液体にしかならんのだけど?俺生まれないんだけど?
どうしよう、俺違うものかも?アノ人実際幻見てただけだし・・・
「・・・でも、せ、アレ手に入れられなくてっ他の白い液体で代用したのよね・・・」
やってくれるぜ!流石主様!そりゃそーだ!アレ言えない程の顔に似つかわしくない純粋な主様の事だ、無理に決まってた!
ソレならアレ無理に言おうとしなくても良かったんじゃないですかねぇ!?思わず飛び跳ねちまったよ!
主様もビクッとしなくてもいいですよっ!
でも代用品ってなんだろ?そこから分かるかな?
「そうですか、それではその代用品とは何でしょう?」
えっ、なんでまたビクッとするんですか?分からないのかな?いや、集める時に材料の名前とか、買ったなら商品の名前とかは流石に・・・
・・・主様だもんな、いや、ポンコツだもんな適当でも驚かないか。
ちょっと縋り付くような目で見てみるか、出来てるかな?
「あ、あのね、そんな見られてもっ!この部屋にあったの適当にやったらアンタが湧いてきたのっ!ホントにわからないんだったらっ!」
Oh!そっぽ向いて私悪くないっ!みたいにやられても・・・
え、俺ホントは自然発生?少なくともホムンクルスじゃ無さそうだぞ?
生きるためには仕方ないかな?って契約したけど、あの時のやっちまった感は正しかったのか?
この感じだと材料は元より手順すら怪しいね!
結構前に出てた名前は何だったんだ?その二人、ホムンクルスを作るのに成功してたんだよな?そいつらから話聞いたようなこと言ってたよな?
いや、でもキャラ付してた時のセリフだぞ?今となっては怪しい、でも契約魔法は発動したよな、なんか主様!って感じするもんな、何もんだよこのポンコツ!
初心に帰ろう、そう、Don't Think.Feel!違うか。
諦めが肝心、主様はもう手遅れ、だったな。大体合ってる。コレダ!
「分かりました、取り敢えず俺は無事なようです。正直、トンカチ持ってきた時には殺される!って思いました。ホムンクルス殺すならほっとけばすぐ死ぬしそれも意味のない事ですしね、掃除が大変になりますし、俺はホムンクルスじゃないようなので死ななかったでしょうけど」
睨み付けられたけど、俺は悪くないよね?
でもまあ、意外と怖くなくなってきたな、慣れたのかな?可愛いとは流石に思えないけど。生死の境を潜ればこんなもんか、勘違いだけど。
「・・・はぁ、主様!これからどうぞ宜しくお願い致しますね!」
あざとい感じに笑いかけたけど、出来てるかな?
ツーン!て感じになってるポンコツだけど、雰囲気は和らいでるし誤魔化せただろう。
また無い胸ポケットに入れられてやっとこの部屋から出られるな、長かったような短かったような、兎にも角にも主様の下僕であるし、これから楽しくなるよう期待しよう!
俺の勇気が世界を救うと信じて!
ご愛読ありがとうございました!
そんなセリフをいきなり言われた俺はどうすればいいのだろうか?
そもそも・・・アレ?俺はなんだ?いや、此処はなんだ?記憶に無いと言うか、記憶ある?何故?
俺が返事を返さない事に疑問を覚えたのか、声の主は次の問を返してくる。
「・・・うん?理解はできている筈じゃし、話せないことも無かろう?」
ちょっと待ってくれよ、何でこんな上から目線で話されなきゃならんのだ?
だが、何となく従わなければいけないような気もする。
いや・・・うん、圧倒的支配感がある。
アレ?ヤバイ?返事しなきゃヤバイんじゃないかこれ?
「は、ハイ・・・」
俺はコレしか言えなかった・・・
疑問しかない、それに何やら従属を選択させたいようだ。
感覚的にヤバイのは分かったが、それでもすぐに従うと言うのは躊躇われた。
返事をすれば、少しは説明を聞ける機会ができそうに思えるしな。
何より、返事をしたら嬉しそうな声が返ってきた。
「よしよし、理解できているな。では従うよな?」
何故そんなに従わせたいんだろう?
その前に説明して欲しいんですが、それから選択させてもらってもいいんじゃ無いですかねぇ?
「あの・・・俺、何も分からないので説明を頂きたいのですが・・・?」
すると、声は更に嬉しそうになった。
「おおっ!俺とな?雌型と聞いてたが雄型であったか!雌雄なぞあったのか?しかし、何も分からないとは何故じゃ?
・・・うむ、まぁ良いであろう、そうだな、お主自身の事からかな?」
雌型?雄型?俺は雄・・・男って事か?しかもあったのか?って・・・どういう事だ?
「お主はな、我が錬金術に依って生み出したのよ」
えっ、錬金術?生み出したってどゆこと?
俺が困惑しているのが分かったのか不思議そうな声になった。
「うむ・・・おかしいな?それぐらい分かっている筈なんじゃが・・・」
疑問でもあるのか考え込んでるようだ。
俺も知りたいんですが、なにがどうなってるんだ?
「・・・いいか?お主は我が生み出した、人造生命体、フラスコの中の小人、ホムンクルス、即ち全知の存在だと思っていたのじゃが、違うのか?」
不満そうに、違うのか?って言われても分からないとしか言いようがないぞ、これ違うって言ったら駄目なのか?違うかどうかも分からないけど・・・
「あの、全知ではないと思います・・・」
おい、そんないかにも失望した!って目で見ないでくれよ!って、見えた?あれ?さっきまで見えてたっけ?
「うむぅ、トリスに聞いてたのとは違うではないか・・・いや、ホーのヤツの話じゃと騙そうとしているのか?」
何やらわからないがブツブツ言ってる、取り敢えずコイツは雄か?いや、男か?女か?胸部は平たい・・・厚い?顔は見えないか?若い?老いている?声は若そうだけどしゃべり方は老人っぽいよな?やけにダブついた服のせいでよく分からないし・・・フードから出た長い赤髪しか見えてねーぞ。
周りは、なんかの部屋の中か?わからん植物にこれでもかと燃え盛る炎、袋に詰められた灰?に、様々な色の宝石が入った箱、試験官に入った赤黒い液体、人間の血かアレ?等々その他色々だな、そして俺が居るのは聞いたとおりのフラスコの中か。
小人と言うからには俺は人っぽい?形か?
身体・・・あったのか?
「ぉお?いつの間にか随分人型になったな、変化を見逃すとは迂闊であったな・・・む、付いてるな」
変化を見逃す?人型になった?疑問が益々増えるな・・・最後の方はよく聞こえなかったがちょっと?ガン見されてる気配がする。
漸く此方に意識を戻してくれたようだし俺から質問したほうがいいかな?
「えっと、俺が貴方に生み出されたらしいことは分かりました、フラスコに居るのも、人型に見えるようになった事も、本来生み出そうとしてたホムンクルスは全知だったのも・・・
でも俺は少なくとも全知ではありませんし、貴方を騙そうともしてません、本当に何も分からないんです。
貴方が従えと言うならば、そうするしかないのも分かってきました、何が出来るのかは分かりませんが」
俺が今までに無く喋ったからか、もう俺の主様予定の人は驚いたようだ。
俺も分かんないけど、もしかして主様予定の人も分かってないのか?なんかすごい悩んでるように見えるが。
「ちと困ったのぅ、お主が何者なのか伝えればもしやと思っておったのだが・・・それにのぅ、理解力は高く見えるし割りと舌が回るようじゃ、騙そうとしているのかも知れんと思っておる。
しかし折角生み出したのに使えんのも困るのぅ・・・
材料も心もとなくなってきたからの、やはり先ずは下僕の契約をしてもらわんと安心できん!
であるから従うのじゃ!」
うーん、これは薄々分かってきてたけど選択肢はないかな?契約ってのがなんか怖いし、契約の仕方もわからないしどうしろってんだか。
仕方ない、契約の方法聞くか・・・
「けいや・・・」
「何悩んどるんじゃ!従うと言えばそれで良いのじゃ、これ以上何言われても我は答えんぞ!」
それだよ!それが分からなかったから聞こうとしたんじゃないか!
そんなもう何も言わんとばかりに横向いて腕組まれてもな・・・
主様予定の人はちょっと扱い辛い人なのかな?
先が思いやられるが仕方ないなぁ。
「・・・従う」
俺がそう言った瞬間、フラスコの下から魔法陣が浮き上がり俺の首辺りまで来た時、輝いたと思ったら消えた。
「よしよし、これで我には逆らえんからな?騙そうとしても無駄じゃぞ!」
子供かお前は!行動も素早いと言うかチョコチョコした感じに見えてきたわ、声が高く聴こえる様になったし若そうだな主様確定は、俺を生み出せたって事は相当凄い筈なのになんだかなぁ・・・?
なんで凄いんだ?アレ?俺もしかして早まった?支配感も無くなったし、魔法陣の効果だったのか?
「では我の問に応えるのじゃ!賢者の石はどう作る!?」
えっ、全知設定生きてるの?さぁ答えろ!的に両手でフラスコ掴んで顔近づかせても・・・全知じゃないって言ったでしょ?
まぁ、取り敢えず顔は見れたな、やっぱ女か・・・眉はキリッと上がっていて意志が強そうなツリ目、中に見えるは紅玉よりも妖しく輝く紅い瞳、薄い唇には獲物はもう逃さないとでも言いたげな嗤いが見える、低めだが真っ直ぐ通った鼻梁は高貴さでも見せ付けるようだ。
吸血鬼でも可笑しくないなコイツ、牙は無いから違うと思うが。
ん?吸血鬼とかなんで知ってるんだろ俺?何かを見たら知識が閃くのかな?
本当に全知だけど見ないと思い出せないとかなのかな?
おっと、答えてあげないと怒ってマイホームを壊されちゃ敵わんからな、答えて壊されたらもう諦めるか、最早どう見ても我儘な子供っぽい女にしか見えないし疲れるだけだろこれ。
「分かりません」
おい・・・なんでそんなに驚いてんだよ!「嘘だっ!」って面に書いてあるかのようだなっ!おいっ手を離すな!落としたら割れるだろマイホームがっ!振り回すな、フラスコの壁に身体が押し付けられてなかなか圧力が辛い、先ずはマイホームを元あった台に戻してくれ!危ないぞコイツ!
「何故じゃ!」
さっき何も分からないって言ったじゃん!嘘ついた覚えはないぞ!壊しそうに思ったのか、やっとマイホームを台には置いてくれたが落ち着かないのかウロウロしてギャースカ叫んでる。
うーん、壊してもらったほうが良かったかな?諦めが肝心だって誰かが言ってた気がする。
でも、折角だしもうちょっと頑張ってみるかな?
「落ち着いてください、主様。俺はどうやら見聞したら知識を思い出すか、閃くようなのです、全知かは分かりませんが、もしかしたら賢者の石の材料を見れば分かるかもしれません」
また驚いてる・・・暴れてたからフードも取れて、すげぇ目を見開いてるのが分かるな。「そんなことがっ!?」って顔に書いてあるよもぅ・・・
あー、顔全体で見ると調和が取れてる感じなんだな。怖い方にだけど。
ちょっと落ち着いたのか上向いて左手を額に当てて右手を振り回してる・・・えっ振り回してる!?
奇人変人だな、正に!コエーよ、顔は怖いし行動はコエーし早まったの間違いないわこれ。
しかし、賢者の石とか何に使うんだ?触媒にしかならないだろアレ?
おっと、また知識更新されたのか、触媒ね、えーと、金か不老不死かって所かな?
「材料はわからんのじゃ!」
両手腰に当てて胸張って言う事かよ!子供っぽいし、胸が平らって事も分かりましたねっ!
コイツ俺を生み出せるほどの錬金術士なんだろう?なんだこのポンコツ!
いや、そうだな 、ホムンクルスは世界樹の樹液とかその他材料さえあれば後は地道な作業だからな。
どんなポンコツでも出来るかってまた知識の更新か。
一々改めるのも面倒だな、そう、主様のように有るがままを受け入れていこう。知ってるものは知ってるし、知らないものは知らないんだ。考えるだけ無駄な事なのさ!
「・・・でしたら、主様のお役に立てる様に見聞を広める為、連れて歩いてもらってもよろしいですか?」
受け入れてもらえればこの部屋以外も見れて退屈しないし、きっと楽しいことがあるだろ。その間に賢者の石の使い途とか色々聞けるだろ、俺が動くわけじゃないから疲れないし、良い乗り物って感じかな?
精神的疲労は諦めよう。置いてかれたら何も分からないし、変化がないのは詰まらないよね。
「そうじゃなぁ、下僕の契約もしてるし問題ないじゃろ!今出してやるからな!」
・・・うん?契約はしたね、確かに。その後なんか妙なニュアンスだったような?出してやる?え?ホムンクルスだよな俺?
え、トンカチ持ってきた?え、え、え、え?ちょっ!え!?
「おまちく・・・」
嘘だろ・・・?割れるフラスコ、最初で最後の外気に触れる俺、やけににこやかな酷薄な笑みを浮かべる主様、大小様々な煌くガラス片が落ちてくる、トンカチは流石に俺の上には無いな、あぁ・・・諦めが肝心だわこれ、上手く行ってる感あったところでこうなるとは流石に思えなかったなぁ。
「よしっ!これで連れていけるなっ!」
俺を抓むな、せめて優しく持ってくれ、無い胸のポケットはスペースがあって意外と過ごし安いな、ローブ何時の間に脱いだんだこいつ、それにもう終わりだよポンコツ・・・
薄れゆく意識は既に今迄の記憶を映し出していく・・・つってもそれほど記憶も無かったな。
いきなり従えとか言われてから20分もたってねーしな。
せめて次はコイツに生み出されないように顔でもよく見ておくか・・・
意味あるかは分からんけど。
「ん?なんじゃ我をそんなに見つめおって、主の顔を忘れんようにか?」
アホか、もう主もなんもなかろーもん!
俺の忠誠心が嬉しいのか、ニヤけた怖い面しながら部屋を出ようと扉に向かうポンコツ、なんか俺は悪くないけど罪悪感を感じてきたな・・・
死ぬ迄それ程時間無いだろうし、このポンコツ知らなそうだし教えておくかな・・・
「・・・主様、知っておられますか?ホムンクルスはフラスコから外には出られません、出たら死ぬのですよ?」
ビクッとしてこっち向いたな、また驚いた面してるわ、今度は「そういえばっ!?」って書いてある、分かり易いな、泣きそうになってるぞコイツ。
ポンコツだけど悪くはない奴だったのかもなぁ。
「も、戻さなきゃ!早く!フラスコ!私どこに置いたっけ!?」
くっそ焦ってるな、しかも私って、我ってキャラ付だったんですかね?
笑えてきた、次はこんなミスしないだろうしまたコイツに生み出されても良いかと思えるような焦り方だ。
元マイホームの台座のある机を掻き回してるが、見れば分かるけどフラスコねーよ?
それにあんな細い口から俺入らねーから!
・・・諦め悪いなぁ、大分時間経ったけどまだ諦めないのか。
「絶対死なせない、私でも出来る、絶対大丈夫だよ」って、何でもできる無敵の呪文の様に俺に繰り返し話し掛けてるけど・・・うん?
ちょっと死ぬまでの時間長いな、意識もよく思えば薄れてないかな?アレ?
冷や汗出てきたな、俺、冷や汗出るのか・・・
いや、そこは大事じゃない、俺はホムンクルス、フラスコの中に入ってた、間違いない。
フラスコの中の小人=ホムンクルス、間違いないよな?主様もそう言ってた。
でも死んでない、おかしい。
アレだ、多分作成方法が正式ではなくちょっと余裕があるだけだ、この主様なら間違えてたって不思議じゃない。
そう・・・ふぅ、落ち着いてきたな、大丈夫そのうち俺は死ぬ。
でも何時だ?主様が必死にフラスコ探してるけど、因みにそこ探すのもう5回目ですよ?
どのくらい余裕あるんだ?って程に俺は余裕だな。むしろ死ぬ気しない程に。
また冷や汗出てきやがったぜ、主様が探し疲れた時にピンピンしてる俺見たらどうなるかな?
フゥー!震えて来やがった、コレで終わりか、ヤバかったな、良かった。
いや、この震え違う震えだろ、ヤヴァイ・・・
その必死さが怖いよマイハニー!って現実逃避してる場合じゃない。
あぁ、主様泣き出してる・・・もう「絶対大丈夫だよ」しか言ってない。
無敵の呪文の効果なのかな?
落ち着け、逃避してる場合じゃない、確かめるべきだ、結果は分からないけどこの先に見える地獄は回避するべきだ。
よし!言うぞ!絶対大丈夫だよ!
「あの、主様・・・」
ワァーオ!声震えてる!俺は悪くねぇ!ホムンクルスって言ったもん!
続けるぞ!言うんだ、運命を捻じ曲げろっ!
「絶対大丈夫だよ、必ず助けるからね・・・」すげえ優しい声になったな!
俺も泣きそうだよ!優しさに包まれてるよ!
ちょっと探すのやめて!俺の声を聞いて!プリーズ!
でも、何でこの部屋内しか探してないんだろこの主様?同じとこしかもう探してないよ?近場に他の家とかないのかな?
思考が逸れた、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!
「俺、なんか余裕あるんです、本当にホムンクルスですか?」
おっと、ピタッと止まったな!「え・・・?」っと此方を信じられないものでも見るかのようだ、でも信じられないのは俺の方ですよ?俺は悪くねぇんだ!
先ずは俺の作成方法だな、ホムンクルスの作成方法は・・・知ってる!方法って何通りもあるんだな、これは主様には難易度が高い、仕方無いね!
アレ・・・?壊れ物でも扱うかの様に無い胸ポケッツから俺を出しましたね主様?あっ、ちょっと力入ってきた、ステイステイ!まだ分からないまだ早すぎる!落ち着いて、そう!元マイホームのあった台に俺を置いてっ!
「どういう事・・・?」
涙は止まったようだなマイハニー!固まった怖い顔がとってもキュートさ!
なるほど、俺は悪くねぇ、そして悪いのは君じゃないな・・・
じゃあ誰かな?運かな?神様かな?
「ほ、ホムンクルスのっ!俺の作成方法なんです・・・が、どうやってお作りになられたのでしょう・・・?」
フゥー!言ったぞ!震えてちょっと変なのはご愛嬌ってね!ハッハー!
ば、場の圧力がメーター振り切りそうだな・・・
主様震えてめっちゃ手を握りしめてる、血でも流れるんじゃないか?その内俺のが流れるのは確定しそうですね?
顔も赤いな、怒ってる?でもまだ確定してないしっ!俺は悪くねぇ!
「せ、男の、アノ、アレを蒸留器に入れて40日・・・」
ヘイヘーイ!セクハラ案件いただきましたー!そうだよね!その方法だと赤くなるよね!
主様多分見た目と年齢一致してそうだもんね!年齢にしてはちょっと乙女過ぎない?とは思うけど!
「アッハイ、モウ大丈夫デス、原初ノ方法デスネ・・・」
安心したのかホッと一息ついたようだけど、でも、その方法だと単なる腐った液体にしかならんのだけど?俺生まれないんだけど?
どうしよう、俺違うものかも?アノ人実際幻見てただけだし・・・
「・・・でも、せ、アレ手に入れられなくてっ他の白い液体で代用したのよね・・・」
やってくれるぜ!流石主様!そりゃそーだ!アレ言えない程の顔に似つかわしくない純粋な主様の事だ、無理に決まってた!
ソレならアレ無理に言おうとしなくても良かったんじゃないですかねぇ!?思わず飛び跳ねちまったよ!
主様もビクッとしなくてもいいですよっ!
でも代用品ってなんだろ?そこから分かるかな?
「そうですか、それではその代用品とは何でしょう?」
えっ、なんでまたビクッとするんですか?分からないのかな?いや、集める時に材料の名前とか、買ったなら商品の名前とかは流石に・・・
・・・主様だもんな、いや、ポンコツだもんな適当でも驚かないか。
ちょっと縋り付くような目で見てみるか、出来てるかな?
「あ、あのね、そんな見られてもっ!この部屋にあったの適当にやったらアンタが湧いてきたのっ!ホントにわからないんだったらっ!」
Oh!そっぽ向いて私悪くないっ!みたいにやられても・・・
え、俺ホントは自然発生?少なくともホムンクルスじゃ無さそうだぞ?
生きるためには仕方ないかな?って契約したけど、あの時のやっちまった感は正しかったのか?
この感じだと材料は元より手順すら怪しいね!
結構前に出てた名前は何だったんだ?その二人、ホムンクルスを作るのに成功してたんだよな?そいつらから話聞いたようなこと言ってたよな?
いや、でもキャラ付してた時のセリフだぞ?今となっては怪しい、でも契約魔法は発動したよな、なんか主様!って感じするもんな、何もんだよこのポンコツ!
初心に帰ろう、そう、Don't Think.Feel!違うか。
諦めが肝心、主様はもう手遅れ、だったな。大体合ってる。コレダ!
「分かりました、取り敢えず俺は無事なようです。正直、トンカチ持ってきた時には殺される!って思いました。ホムンクルス殺すならほっとけばすぐ死ぬしそれも意味のない事ですしね、掃除が大変になりますし、俺はホムンクルスじゃないようなので死ななかったでしょうけど」
睨み付けられたけど、俺は悪くないよね?
でもまあ、意外と怖くなくなってきたな、慣れたのかな?可愛いとは流石に思えないけど。生死の境を潜ればこんなもんか、勘違いだけど。
「・・・はぁ、主様!これからどうぞ宜しくお願い致しますね!」
あざとい感じに笑いかけたけど、出来てるかな?
ツーン!て感じになってるポンコツだけど、雰囲気は和らいでるし誤魔化せただろう。
また無い胸ポケットに入れられてやっとこの部屋から出られるな、長かったような短かったような、兎にも角にも主様の下僕であるし、これから楽しくなるよう期待しよう!
俺の勇気が世界を救うと信じて!
ご愛読ありがとうございました!
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