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55.スケボーでキックボードでキック自転車で
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今日も良く晴れて陽の当たる場所はスゴく暑いらしい。
湿気が少ないので石造りのこの館の中はヒンヤリと涼しいのだが、外は炎天下だという。
そのため、今日も外の探検ができない。
それでも外に出かけたいと言うと頭にかぶるフード付きの白いコートを持ってきてくれた。
いや、砂漠じゃないんだから大げさすぎない?
そんな砂漠の人みたいな恰好じゃなくて、日傘が欲しいといったが例によって『日除け』とか『傘』とかいう単語が分からなくて伝わらない。
いろいろ説明をしてみたが、どうやら日傘のようなものは無いようでキョトンとされた。
言葉で伝わらなくても竹があるんだから自分で傘を作れば良いと思ったのだが、刃物は危ないからと作業を止められてしまった。
図を描いてサムに作ってもらおうとしたが構造がよく分からないと言うので、仕方ないので再び竹を館まで運んで貰って大広間で説明しながら作ってもらう。
和紙はないので、ベッドのシーツを使って小間を張ってもらって、なんやかんやとサムが苦労して作ってくれた。
まあ、骨は6本だけだし下ろくろは竹を削って曲げてあるだけだし、何より閉じることができないんだけどね。
「ホントはここを引いたら折り畳めるんだ。」
そう言うと、
「すいやせん。あっしの腕じゃあこれが精いっぱいでやして。」
と、サムが恐縮してしまった。
「いやいや、ここまででも作れたんだからスゴイよ!」
ボクがそう言って励ますと、サムは深い皺が刻まれたかおをクシャッと崩して笑った。
「それじゃ、ちょっと外に出てみよう!」
そう言ってボクが外に出ようとすると、テレサが、
「少々お待ちを。私に先に試させてください。」
そう言って出来上がった竹の日傘を持って日向へと出て行った。
そして傘を高く天にかざすように持って振り返えると、
「少し布が薄いですが、これは日差しを遮ってくれるのでとても良い感じですね。」
と言っている。
いや、持ち方。
なんかカブキのワンシーンにこういうシーンがあったなあ。
なんか勇ましいと言うか……。
体勢もそうだが、ボクとしてはドレスのメイドさんが番傘さしているみたいな構図なのですごい違和感いっぱいなんだよなぁ。
着流しでも来ていれば……、ダメだな、テレサは純西洋人だから只のコスプレにしかならない。
「水を通さない布なら雨を防ぐこともできるんだけどね。」
そう言うと、
「それでは、硬い素材なら弓矢も防げるのでは?ハッ!そうだ、コレは盾のようなものなのですね!」
「なんでだよ。盾と傘じゃ全然違うじゃん!」
そうボクがツッコむとテレサは、
「そうですね。」
と言って笑った。
なんだろう?テレサがボケるのを初めてみた気がする。
「すいやせん。これなんでごぜえますが。」
と、唐突にサムが語りかけて来た。
手には板を持っている。
「あれ?それって……。」
サムが持っている板の下には小さな車輪が四つ取り付けられていた。
「ああ、スケボー。もう作ってくれたの?」
「へい。ああいや、作ってはみたんですが、『棒』はどっちに固定するでごぜえますか?」
うん?『棒』?
と、一瞬迷ったが、どうやら車軸の事を言っているらしい。
「車軸って固定するの?」
「へい。普通、コマ……車輪をつける時ぁ車軸を固定して軸に車輪差し込みやす。車輪だけが回るんでさ。」
うーん、どういうことだろう?
ボクが首をかしげていると、
「ええと、つまりはこういう……、これじゃなくて、こっちか。車輪はこうなってるんでごぜえます。」
サムはそう言いながら荷車の荷台から丸い車輪、スペアタイヤならぬスペア車輪を持ち上げて見せてくれた。
そのスペア車輪はわっかの中心、車軸がハマる部分に穴が開いており、そこを車体側に固定された車軸を差し込むらしい。
ああ、そうか。別に動力を伝える必要がないから車軸に車輪を固定する必要はないんだね。
でも、それなら『どっちにする?』なんて聞く必要はないんじゃないのか?
「いや、こういう嵌め方よりこっちの方が簡単だったんで、なんも考えんとこういう風に車輪を固定しちまったんですが、コレだと曲がれんかなと思いやして。」
ボクが何が言いたいのか良くワカランという顔をしているのを見て、サムは今度は作ってくれたスケボー、道具箱の蓋に車輪を付けたモノの車輪の部分を見せて説明してくれた。
なるほど、確かにサムが作ってくれた道具箱の蓋スケボーの車輪は車体に固定した竹筒に通した軸に車輪を固定してあるようだ。
これだと車軸と車輪が直結しているので、内輪差を吸収出来なくて曲がれないかもしれないなあ。
でも小さな車輪だし、大丈夫なんじゃないかな。
「ふむ、それじゃあ、試しに乗ってみよう。」
ボクはそう言ってサム作ってくれた道具箱の蓋スケボーを石の床の上に置く。
「押しますか?」
床に置いた道具箱の蓋スケボーに右足を置いたボクにテレサが聞いてくる。
うん?スケボーは押してもらうスポーツじゃないでしょ?
「違うよ?乗るんだよ?」
ボクはそう言って道具箱蓋スケボーに片足を乗せ、体重をかけて走りだそうとする。
「うぉ?」
走りだそうとしたら、道具箱蓋スケボーが前に滑った!
というか、道具箱蓋スケボーが思ったよりも滑らかに走り出して、ボクは『スカッ』って感じに仰向けに……。
「「あぶないっ!」」
マルカとレーネが走り寄ってきたが、彼女らがボクにたどり着く前にテレサがボクの背に手を回して身体を支えながら、跳ね上がった脚を持ってボクを一回転させて着地させてくれた。
ボクは頭を円の中心にするように空中でバク転のように一回転して地面に着地したのだ。
「おお!」
足がスカッと滑ったようになった時は驚いたが、滑らかに一回転したことですごく気持ちが良かった。
「おお~!おお~!」
すごく気持ちが良かったのでテレサの顔を見る。
と、テレサは一瞬考えて、『もう一度やりますか?』という顔をした。
ボクがフンフンと頷くと、テレサは道具箱蓋スケボーを手で示して『乗って下さい』という顔をした。
ボクが道具箱蓋スケボーの上に乗ると、
「やります。」
というテレサの言葉と同時に脚がスカッと前に跳ね上がり、天地が逆転して視界の中のサムやテレサ、心配そうなマルカ達が逆さまに見えて、次の瞬間にはまた上下が戻る。
「~ッ!」
おもしろい!
「もう一回!もう一回!」
ボクはテレサにねだって10回くらいバク転をさせてもらった。
「もうこのくらいにしておきましょう!」
と、10回飛んだ時、横で見ていたマルカが終了を告げる。
「ええ~、もうちょっと。」
ボクが不満げにブー垂れると、マルカはサムの方を向いて、
「あまり飛び回りますと目が回ってしまいますわ!サム!この板は危ないです!もっと危なくないようにして下さい!」
と言いだした。
しまった。
サムに飛び火してしまった。
慌ててサムを庇おうと思ったのだが、サムは平気そうな顔をしている。
「へえ。どんな風にしやしょう?」
マルカの言い方は結構強い感じだったと思うが、サムは特に気にした様子もなく道具箱から棒や板切れを取り出す。
そんなサムの様子にマルカがヒートアップしてしまうかと思ったが、マルカは冷静な様子に戻り、
「そうですね。こんな掴まるものが無い板は危ないです。掴まれるような手摺りをつけて下さい。それにご主人様に相応しい椅子もあった方が良いです。」
とか言い出した。
いや手摺つけて椅子付けたらオマルみたいになっちゃうじゃん。
「ええ~、手摺は要らないよ~。じゃあ、ハンドルを付けよう。それならいいでしょ?」
「『ハンドゥォ』とはなんですの?」
いけない。
『ハンドル』は前世語だ。
「ええっと、こんな感じの手で持つところ。」
ボクはテレサがサッと差し出してくれた紙に板スケボーとそこから伸びるT字のハンドルを描く。
板スケボーにハンドルを付ければキックボードみたいになるだろう。
出来ればハンドルで方向を変えられれば良いが、無理だろうか?
「それじゃあ、椅子はここら辺に付けやすかい?」
と、横からサムがスケボーの板の上を指差す。
「いや、椅子を付けちゃうとスクーターみたいになっちゃうじゃ……ん……。」
「スカァタァ?なんでごぜえますかい?そりゃ。椅子は要らねえんで……?」
そこまで言いかけてサムはボクが見ている方を見る。
そして、
「あれに付けやすかい?」
と荷車を指差して言った。
「あ、いや、そうじゃなくて……。あの車輪で自転車は作れないかな。」
ボクはスクーターを思い浮かべ、スクーターは無理でも少し大きめの車輪を前後につけて自転車、というかペダルは無理でも足漕ぎする自転車であるキック自転車が作れるのではないかと思い至ったのだ。
「ディテンシャー?」
「ああ、そうじゃなくて、足でキックして進むからキック自転車かな。まあ、車輪を前と後ろに二つ付けた乗り物、だよ。」
そもそも『自転車』は前世語なので通じるはずが無い。
しかも、ボクが言いたいのはペダルが無い足漕ぎ自転車のことだ。
それに『ペダル』という意味の今生語がわからないし、言葉では説明が難しい。
「はい、どうぞ。」
どう説明しようかと腕を組むとテレサとマルカが紙とペンを差し出してくれた。
うん、そうだね。絵に描いた方が早いよね。
ということで紙に3面図っぽい絵を描いていく。
とはいえ自転車ってどんな形だったっけ?
事前に記憶を調べて無かったから形がよくわからない。
とりあえず前後に車輪を描いて、ママチャリのようなフレームとハンドルを描き足していく。
「車輪は前後で良いんですかい?横に倒れちまいやすぜ?」
ボクの描いている図を見てサムが口を挟んでくる。
「ご主人様。危ないので、車輪は横にも付けましょう?」
マルカはそんな事を言っているが、そんなことしたら三輪車か車椅子みたいになっちゃうじゃん。
「コレは自転車だから前と後ろに車輪を付けるんだよ。」
ボクがマルカに反論すると、
「ここに手摺を付けて私が持って支えましょうか?」
今度は珍しくテレサが3面図に書かれた自転車モドキの椅子付近を指差して言った。
おおう。その位置にハンドルを付けたら幼児用の自転車になっちゃうじゃん。
ボクが跨った自転車を後ろのハンドルを持ったテレサが押している、そんな光景を想像する。
「やはり後ろは車輪を左右につけた方が……。」
マルカの言葉でボクの想像の中の乗り物は自転車から三輪車へとアップデートされる。
いや、想像の中で乗ってるボクの姿が小学生から幼稚園児っぽくなったのでこれはダウングレードだろうか?
コレハイカンと思って一生懸命にキック自転車の絵を完成させると、
「じゃあ、こういう形で頼むね。」
と、さっさとサムに依頼してしまう。
これで幼稚園児コースは回避できただろう。
フウ、危ないところだった。
湿気が少ないので石造りのこの館の中はヒンヤリと涼しいのだが、外は炎天下だという。
そのため、今日も外の探検ができない。
それでも外に出かけたいと言うと頭にかぶるフード付きの白いコートを持ってきてくれた。
いや、砂漠じゃないんだから大げさすぎない?
そんな砂漠の人みたいな恰好じゃなくて、日傘が欲しいといったが例によって『日除け』とか『傘』とかいう単語が分からなくて伝わらない。
いろいろ説明をしてみたが、どうやら日傘のようなものは無いようでキョトンとされた。
言葉で伝わらなくても竹があるんだから自分で傘を作れば良いと思ったのだが、刃物は危ないからと作業を止められてしまった。
図を描いてサムに作ってもらおうとしたが構造がよく分からないと言うので、仕方ないので再び竹を館まで運んで貰って大広間で説明しながら作ってもらう。
和紙はないので、ベッドのシーツを使って小間を張ってもらって、なんやかんやとサムが苦労して作ってくれた。
まあ、骨は6本だけだし下ろくろは竹を削って曲げてあるだけだし、何より閉じることができないんだけどね。
「ホントはここを引いたら折り畳めるんだ。」
そう言うと、
「すいやせん。あっしの腕じゃあこれが精いっぱいでやして。」
と、サムが恐縮してしまった。
「いやいや、ここまででも作れたんだからスゴイよ!」
ボクがそう言って励ますと、サムは深い皺が刻まれたかおをクシャッと崩して笑った。
「それじゃ、ちょっと外に出てみよう!」
そう言ってボクが外に出ようとすると、テレサが、
「少々お待ちを。私に先に試させてください。」
そう言って出来上がった竹の日傘を持って日向へと出て行った。
そして傘を高く天にかざすように持って振り返えると、
「少し布が薄いですが、これは日差しを遮ってくれるのでとても良い感じですね。」
と言っている。
いや、持ち方。
なんかカブキのワンシーンにこういうシーンがあったなあ。
なんか勇ましいと言うか……。
体勢もそうだが、ボクとしてはドレスのメイドさんが番傘さしているみたいな構図なのですごい違和感いっぱいなんだよなぁ。
着流しでも来ていれば……、ダメだな、テレサは純西洋人だから只のコスプレにしかならない。
「水を通さない布なら雨を防ぐこともできるんだけどね。」
そう言うと、
「それでは、硬い素材なら弓矢も防げるのでは?ハッ!そうだ、コレは盾のようなものなのですね!」
「なんでだよ。盾と傘じゃ全然違うじゃん!」
そうボクがツッコむとテレサは、
「そうですね。」
と言って笑った。
なんだろう?テレサがボケるのを初めてみた気がする。
「すいやせん。これなんでごぜえますが。」
と、唐突にサムが語りかけて来た。
手には板を持っている。
「あれ?それって……。」
サムが持っている板の下には小さな車輪が四つ取り付けられていた。
「ああ、スケボー。もう作ってくれたの?」
「へい。ああいや、作ってはみたんですが、『棒』はどっちに固定するでごぜえますか?」
うん?『棒』?
と、一瞬迷ったが、どうやら車軸の事を言っているらしい。
「車軸って固定するの?」
「へい。普通、コマ……車輪をつける時ぁ車軸を固定して軸に車輪差し込みやす。車輪だけが回るんでさ。」
うーん、どういうことだろう?
ボクが首をかしげていると、
「ええと、つまりはこういう……、これじゃなくて、こっちか。車輪はこうなってるんでごぜえます。」
サムはそう言いながら荷車の荷台から丸い車輪、スペアタイヤならぬスペア車輪を持ち上げて見せてくれた。
そのスペア車輪はわっかの中心、車軸がハマる部分に穴が開いており、そこを車体側に固定された車軸を差し込むらしい。
ああ、そうか。別に動力を伝える必要がないから車軸に車輪を固定する必要はないんだね。
でも、それなら『どっちにする?』なんて聞く必要はないんじゃないのか?
「いや、こういう嵌め方よりこっちの方が簡単だったんで、なんも考えんとこういう風に車輪を固定しちまったんですが、コレだと曲がれんかなと思いやして。」
ボクが何が言いたいのか良くワカランという顔をしているのを見て、サムは今度は作ってくれたスケボー、道具箱の蓋に車輪を付けたモノの車輪の部分を見せて説明してくれた。
なるほど、確かにサムが作ってくれた道具箱の蓋スケボーの車輪は車体に固定した竹筒に通した軸に車輪を固定してあるようだ。
これだと車軸と車輪が直結しているので、内輪差を吸収出来なくて曲がれないかもしれないなあ。
でも小さな車輪だし、大丈夫なんじゃないかな。
「ふむ、それじゃあ、試しに乗ってみよう。」
ボクはそう言ってサム作ってくれた道具箱の蓋スケボーを石の床の上に置く。
「押しますか?」
床に置いた道具箱の蓋スケボーに右足を置いたボクにテレサが聞いてくる。
うん?スケボーは押してもらうスポーツじゃないでしょ?
「違うよ?乗るんだよ?」
ボクはそう言って道具箱蓋スケボーに片足を乗せ、体重をかけて走りだそうとする。
「うぉ?」
走りだそうとしたら、道具箱蓋スケボーが前に滑った!
というか、道具箱蓋スケボーが思ったよりも滑らかに走り出して、ボクは『スカッ』って感じに仰向けに……。
「「あぶないっ!」」
マルカとレーネが走り寄ってきたが、彼女らがボクにたどり着く前にテレサがボクの背に手を回して身体を支えながら、跳ね上がった脚を持ってボクを一回転させて着地させてくれた。
ボクは頭を円の中心にするように空中でバク転のように一回転して地面に着地したのだ。
「おお!」
足がスカッと滑ったようになった時は驚いたが、滑らかに一回転したことですごく気持ちが良かった。
「おお~!おお~!」
すごく気持ちが良かったのでテレサの顔を見る。
と、テレサは一瞬考えて、『もう一度やりますか?』という顔をした。
ボクがフンフンと頷くと、テレサは道具箱蓋スケボーを手で示して『乗って下さい』という顔をした。
ボクが道具箱蓋スケボーの上に乗ると、
「やります。」
というテレサの言葉と同時に脚がスカッと前に跳ね上がり、天地が逆転して視界の中のサムやテレサ、心配そうなマルカ達が逆さまに見えて、次の瞬間にはまた上下が戻る。
「~ッ!」
おもしろい!
「もう一回!もう一回!」
ボクはテレサにねだって10回くらいバク転をさせてもらった。
「もうこのくらいにしておきましょう!」
と、10回飛んだ時、横で見ていたマルカが終了を告げる。
「ええ~、もうちょっと。」
ボクが不満げにブー垂れると、マルカはサムの方を向いて、
「あまり飛び回りますと目が回ってしまいますわ!サム!この板は危ないです!もっと危なくないようにして下さい!」
と言いだした。
しまった。
サムに飛び火してしまった。
慌ててサムを庇おうと思ったのだが、サムは平気そうな顔をしている。
「へえ。どんな風にしやしょう?」
マルカの言い方は結構強い感じだったと思うが、サムは特に気にした様子もなく道具箱から棒や板切れを取り出す。
そんなサムの様子にマルカがヒートアップしてしまうかと思ったが、マルカは冷静な様子に戻り、
「そうですね。こんな掴まるものが無い板は危ないです。掴まれるような手摺りをつけて下さい。それにご主人様に相応しい椅子もあった方が良いです。」
とか言い出した。
いや手摺つけて椅子付けたらオマルみたいになっちゃうじゃん。
「ええ~、手摺は要らないよ~。じゃあ、ハンドルを付けよう。それならいいでしょ?」
「『ハンドゥォ』とはなんですの?」
いけない。
『ハンドル』は前世語だ。
「ええっと、こんな感じの手で持つところ。」
ボクはテレサがサッと差し出してくれた紙に板スケボーとそこから伸びるT字のハンドルを描く。
板スケボーにハンドルを付ければキックボードみたいになるだろう。
出来ればハンドルで方向を変えられれば良いが、無理だろうか?
「それじゃあ、椅子はここら辺に付けやすかい?」
と、横からサムがスケボーの板の上を指差す。
「いや、椅子を付けちゃうとスクーターみたいになっちゃうじゃ……ん……。」
「スカァタァ?なんでごぜえますかい?そりゃ。椅子は要らねえんで……?」
そこまで言いかけてサムはボクが見ている方を見る。
そして、
「あれに付けやすかい?」
と荷車を指差して言った。
「あ、いや、そうじゃなくて……。あの車輪で自転車は作れないかな。」
ボクはスクーターを思い浮かべ、スクーターは無理でも少し大きめの車輪を前後につけて自転車、というかペダルは無理でも足漕ぎする自転車であるキック自転車が作れるのではないかと思い至ったのだ。
「ディテンシャー?」
「ああ、そうじゃなくて、足でキックして進むからキック自転車かな。まあ、車輪を前と後ろに二つ付けた乗り物、だよ。」
そもそも『自転車』は前世語なので通じるはずが無い。
しかも、ボクが言いたいのはペダルが無い足漕ぎ自転車のことだ。
それに『ペダル』という意味の今生語がわからないし、言葉では説明が難しい。
「はい、どうぞ。」
どう説明しようかと腕を組むとテレサとマルカが紙とペンを差し出してくれた。
うん、そうだね。絵に描いた方が早いよね。
ということで紙に3面図っぽい絵を描いていく。
とはいえ自転車ってどんな形だったっけ?
事前に記憶を調べて無かったから形がよくわからない。
とりあえず前後に車輪を描いて、ママチャリのようなフレームとハンドルを描き足していく。
「車輪は前後で良いんですかい?横に倒れちまいやすぜ?」
ボクの描いている図を見てサムが口を挟んでくる。
「ご主人様。危ないので、車輪は横にも付けましょう?」
マルカはそんな事を言っているが、そんなことしたら三輪車か車椅子みたいになっちゃうじゃん。
「コレは自転車だから前と後ろに車輪を付けるんだよ。」
ボクがマルカに反論すると、
「ここに手摺を付けて私が持って支えましょうか?」
今度は珍しくテレサが3面図に書かれた自転車モドキの椅子付近を指差して言った。
おおう。その位置にハンドルを付けたら幼児用の自転車になっちゃうじゃん。
ボクが跨った自転車を後ろのハンドルを持ったテレサが押している、そんな光景を想像する。
「やはり後ろは車輪を左右につけた方が……。」
マルカの言葉でボクの想像の中の乗り物は自転車から三輪車へとアップデートされる。
いや、想像の中で乗ってるボクの姿が小学生から幼稚園児っぽくなったのでこれはダウングレードだろうか?
コレハイカンと思って一生懸命にキック自転車の絵を完成させると、
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