6 / 13
6.令嬢たちの標的
しおりを挟む
「お父様、ハルフォーフ家で婚約披露の舞踏会が開かれると伺いましたわ」
最愛の娘アマーリアが笑顔でそう訊いてきたので、ウェラー侯爵は目尻を下げる。ヘルムートとの婚約を破棄して以来、アマーリアは少し元気がなかった。そんな娘が舞踏会に興味を持ったのだ。心配していた侯爵も一安心していた。国の英雄である将軍が開催する舞踏会だ。多くの貴族が集まり、さぞや華やかだろう。そんな舞踏会に参加すれば気も晴れるというものだ。
「まだ十三歳のマリオン君と、ヘルムートの元婚約者だったアスムス子爵家のエルゼ嬢との婚約が調ったそうだ。ハルフォーフ家がお前を諦めてくれて本当に良かった。一緒に荒れた領地へ行ってマリオンを支えてくれないかなどというふざけた打診があったが、エルゼ嬢に話を回して助かったな」
まだ幼いマリオンと一緒になって荒れた領地を平定させるという、娘がものすごく苦労しそうな結婚にはとても賛成できないウェラー侯爵は、エルゼが十八歳で婚約解消されたため、曰く付きの領地へ行く十三歳の少年との婚約を認めざるを得なかったアスムス子爵のことを少し気の毒に思っていた。ヘルムートの父親であるグローマン伯爵を降格させて、アスムス子爵を出世させてやろうと考えている。
「財務局長のウェイランド侯爵の息子さんたちはまだ小さいし、弟のアルノルト様は怠け者だと聞いたわ。他家にも私に釣り合うような男性がいないのよね。だから、ハルフォーフ家の三男ヴァルター様で手を打とうと思うの。子爵だけど、領地は安定しているし、騎士団に所属しているから王都にお住まいよね。お姿は社交界一の貴公子と言われているほど素敵だし」
まだ十五歳のアマーリアだったが、ヘルムートと婚約していた事実があり、新たな婚約者を選ぶには相手の家格を下げざるを得ないと感じていた。
「確かにヴァルター殿ならば、子爵といえども五侯爵のハルフォーフ家に縁があるので家格は悪くない。人柄は真面目で人当たりが良いと聞いている。アマーリアの結婚相手として悪くないかもしれないな。ハルフォーフ家から招待状が来ていたはずだ。私がエスコートするので、一緒に舞踏会に参加しよう」
娘が婚約してしまえばエスコート役はその男のものになる。ウェラー侯爵も最後になるかもしれないエスコートを楽しみたい。
「お父様。ありがとうございます! それから、新しいドレスを作ってもいいでしょうか? ヴァルター様の目の色と同じ紫のドレスがいいわ」
「少し露骨かもしれんが、それもいいだろう。長兄のディルク殿が妻を迎えたので、弟君も婚約相手を探し始めるはずだ。ヴァルター殿は競争率が高そうだからな。早いうちに決めておかねばならない」
長く戦場で戦っていたハルフォーフ一家だったので、四兄弟の結婚が遅れていた。その上、長兄のディルクが二十三歳まで婚約すらしておらず、弟たちも婚約の打診をすべて断っていた。
今回、一番下のマリオンが婚約することになったので、次男と三男も結婚相手を探すだろうとウェラー侯爵は考えた。次男は伯爵であるがいかつい容姿で女性には恐れられている。その点、三男のヴァルターは容姿も優れており、物腰も柔らかで、社交界でも評判になるほどの貴公子だ。
「ヴァルター殿は人気者なので競争相手は多いと予想されるが、美しいアマーリアに勝てる相手などいないだろう」
ウェラー侯爵は余裕の笑みを見せている。
アマーリアもヴァルターに選ばれるのは自分だと思い、嬉しそうに微笑んでいた。
グローマン伯爵家に引き取られたロミルダもまたヴァルターに興味を持っていた。
「ハルフォーフ家で四男の婚約披露の舞踏会が開催されるのですよね。伯父様のところにも招待状が送られてきたのですか?」
父親が牢に入れられているというのに、笑顔でそんなことを訊くロミルダに、伯爵の眉間の皺が深くなる。
「確かに我が家にも招待状は届いたが、形式的に送ってきただけだろう。なにせ四男の婚約相手はあのエルゼ嬢だからな。ヘルムートのこともあるので、何か祝いの品を送るだけで済ますつもりだが」
いくら何でも顔を出すことはできないとグローマン伯爵は考えている。
弟のロビンは妻を殺し爵位と産業局長の座を不当に奪ったとして司法局に拘束されている。その娘ロミルダは、五侯爵家の一人娘として甘やかされて育ったので、贅沢でわがままな性格であった。ただし、かなりの美少女なので、政略結婚の駒として使えると思って引き取ってみたものの、彼女のあまりの傍若無人ぶりにグローマン伯爵は引き取ったことを後悔していた。
「それにしても、エルゼ嬢は物静かで従順な女性だったじゃないか。彼女なら良き妻になるはずだったのに、なぜ婚約解消などしてしまったのか」
グローマン伯爵はつい愚痴ってしまう。確かに上司であるウェラー侯爵からの打診であったが、婚約者がいるからと断ることは可能であった。それをヘルムートが強引にアマーリアとの話を進めてしまったのだ。しかも、その話さえ破談になってしまった。
司法局の職員であるグローマン伯爵は、弟のロビンの所業のせいで局内でも肩身の狭い思いをしていた。ヘルムートの妻がしっかりした女性ならば、家督をヘルムートに譲って引退してもいいかと思い始めている。それが、婚約者も決まっていない状態になってしまった。
「私が馬鹿だったのかもしれない。エルゼは私の妻に相応しい女性だった」
ヘルムートは美少女が好きではあるが、気の強い女性は苦手だった。我の強いアマーリアやロミルダに接するうちに、エルゼの控えめな態度が好ましく思えてきた。しかも、最後に会った彼女は美しい貴婦人だったのだ。磨けば光る素材。そんなエルゼを自らの手で輝かせるのも悪くない。
しかし、今更婚約を解消したことを後悔しても遅すぎる。エルゼはヘルムートよりマリオンを選んでしまった。男として十三歳の少年より魅力がないと言われたのも同然だ。悔しいがもうどうすることもできない。
「ところで、ハルフォーフ家三男のヴァルター様は子爵だけど、私は彼で妥協してもいいと思うのよ。ヴァルター様なら他の令嬢に自慢できるしね」
侯爵令嬢の時は結婚相手が子爵では恥ずかしいと思っていたが、伯爵家に引き取られた今はそんな贅沢も言っていられない。相手が子爵でも仕方がないとロミルダは感じていた。他にめぼしい男性がいないのも事実だ。
「そうだな。ハルフォーフ家に縁ができるのなら、悪い縁談ではないな。ヘルムート、ロミルダをエスコートしてハルフォーフ家の舞踏会へ連れて行ってやれ」
ハルフォーフ将軍は国の英雄である。王家でさえハルフォーフ家には気を使っていると言われている。そんな家と縁続きになるのは悪くはない話だとグローマン伯爵は考えた。
「しかし、エルゼは元婚約者。顔を合わせづらいのですが」
先日、ヘルムートがアスムス子爵家まで押しかけて、エルゼに手ひどく振られたことはグローマン伯爵に話していない。それでも、元婚約者というのは気まずい間柄であることを父ならば察してくれるとヘルムートは思っていた。
「大丈夫よ。エルゼ様は新しい婚約者のマリオン様と仲が良いみたいだから、ヘルムート様のことなど気にもしていないわよ」
ロミルダの言葉は、ヘルムートに振られた時のエルゼの言葉を思い出させる。悔しくて心を抉られそうになるヘルムート。
「そうだな。エルゼ嬢との婚約解消の話はウェラー卿から出たものだし、ヘルムートは気にすることはないのかもしれない。堂々とハルフォーフ邸へ行けばいい」
グローマン伯爵はロミルダがヴァルターと婚約できなければ、昨年妻を亡くした自分と同年代の伯爵の後添えにさせようと思っていた。とにかく早く厄介払いがしたい。
最愛の娘アマーリアが笑顔でそう訊いてきたので、ウェラー侯爵は目尻を下げる。ヘルムートとの婚約を破棄して以来、アマーリアは少し元気がなかった。そんな娘が舞踏会に興味を持ったのだ。心配していた侯爵も一安心していた。国の英雄である将軍が開催する舞踏会だ。多くの貴族が集まり、さぞや華やかだろう。そんな舞踏会に参加すれば気も晴れるというものだ。
「まだ十三歳のマリオン君と、ヘルムートの元婚約者だったアスムス子爵家のエルゼ嬢との婚約が調ったそうだ。ハルフォーフ家がお前を諦めてくれて本当に良かった。一緒に荒れた領地へ行ってマリオンを支えてくれないかなどというふざけた打診があったが、エルゼ嬢に話を回して助かったな」
まだ幼いマリオンと一緒になって荒れた領地を平定させるという、娘がものすごく苦労しそうな結婚にはとても賛成できないウェラー侯爵は、エルゼが十八歳で婚約解消されたため、曰く付きの領地へ行く十三歳の少年との婚約を認めざるを得なかったアスムス子爵のことを少し気の毒に思っていた。ヘルムートの父親であるグローマン伯爵を降格させて、アスムス子爵を出世させてやろうと考えている。
「財務局長のウェイランド侯爵の息子さんたちはまだ小さいし、弟のアルノルト様は怠け者だと聞いたわ。他家にも私に釣り合うような男性がいないのよね。だから、ハルフォーフ家の三男ヴァルター様で手を打とうと思うの。子爵だけど、領地は安定しているし、騎士団に所属しているから王都にお住まいよね。お姿は社交界一の貴公子と言われているほど素敵だし」
まだ十五歳のアマーリアだったが、ヘルムートと婚約していた事実があり、新たな婚約者を選ぶには相手の家格を下げざるを得ないと感じていた。
「確かにヴァルター殿ならば、子爵といえども五侯爵のハルフォーフ家に縁があるので家格は悪くない。人柄は真面目で人当たりが良いと聞いている。アマーリアの結婚相手として悪くないかもしれないな。ハルフォーフ家から招待状が来ていたはずだ。私がエスコートするので、一緒に舞踏会に参加しよう」
娘が婚約してしまえばエスコート役はその男のものになる。ウェラー侯爵も最後になるかもしれないエスコートを楽しみたい。
「お父様。ありがとうございます! それから、新しいドレスを作ってもいいでしょうか? ヴァルター様の目の色と同じ紫のドレスがいいわ」
「少し露骨かもしれんが、それもいいだろう。長兄のディルク殿が妻を迎えたので、弟君も婚約相手を探し始めるはずだ。ヴァルター殿は競争率が高そうだからな。早いうちに決めておかねばならない」
長く戦場で戦っていたハルフォーフ一家だったので、四兄弟の結婚が遅れていた。その上、長兄のディルクが二十三歳まで婚約すらしておらず、弟たちも婚約の打診をすべて断っていた。
今回、一番下のマリオンが婚約することになったので、次男と三男も結婚相手を探すだろうとウェラー侯爵は考えた。次男は伯爵であるがいかつい容姿で女性には恐れられている。その点、三男のヴァルターは容姿も優れており、物腰も柔らかで、社交界でも評判になるほどの貴公子だ。
「ヴァルター殿は人気者なので競争相手は多いと予想されるが、美しいアマーリアに勝てる相手などいないだろう」
ウェラー侯爵は余裕の笑みを見せている。
アマーリアもヴァルターに選ばれるのは自分だと思い、嬉しそうに微笑んでいた。
グローマン伯爵家に引き取られたロミルダもまたヴァルターに興味を持っていた。
「ハルフォーフ家で四男の婚約披露の舞踏会が開催されるのですよね。伯父様のところにも招待状が送られてきたのですか?」
父親が牢に入れられているというのに、笑顔でそんなことを訊くロミルダに、伯爵の眉間の皺が深くなる。
「確かに我が家にも招待状は届いたが、形式的に送ってきただけだろう。なにせ四男の婚約相手はあのエルゼ嬢だからな。ヘルムートのこともあるので、何か祝いの品を送るだけで済ますつもりだが」
いくら何でも顔を出すことはできないとグローマン伯爵は考えている。
弟のロビンは妻を殺し爵位と産業局長の座を不当に奪ったとして司法局に拘束されている。その娘ロミルダは、五侯爵家の一人娘として甘やかされて育ったので、贅沢でわがままな性格であった。ただし、かなりの美少女なので、政略結婚の駒として使えると思って引き取ってみたものの、彼女のあまりの傍若無人ぶりにグローマン伯爵は引き取ったことを後悔していた。
「それにしても、エルゼ嬢は物静かで従順な女性だったじゃないか。彼女なら良き妻になるはずだったのに、なぜ婚約解消などしてしまったのか」
グローマン伯爵はつい愚痴ってしまう。確かに上司であるウェラー侯爵からの打診であったが、婚約者がいるからと断ることは可能であった。それをヘルムートが強引にアマーリアとの話を進めてしまったのだ。しかも、その話さえ破談になってしまった。
司法局の職員であるグローマン伯爵は、弟のロビンの所業のせいで局内でも肩身の狭い思いをしていた。ヘルムートの妻がしっかりした女性ならば、家督をヘルムートに譲って引退してもいいかと思い始めている。それが、婚約者も決まっていない状態になってしまった。
「私が馬鹿だったのかもしれない。エルゼは私の妻に相応しい女性だった」
ヘルムートは美少女が好きではあるが、気の強い女性は苦手だった。我の強いアマーリアやロミルダに接するうちに、エルゼの控えめな態度が好ましく思えてきた。しかも、最後に会った彼女は美しい貴婦人だったのだ。磨けば光る素材。そんなエルゼを自らの手で輝かせるのも悪くない。
しかし、今更婚約を解消したことを後悔しても遅すぎる。エルゼはヘルムートよりマリオンを選んでしまった。男として十三歳の少年より魅力がないと言われたのも同然だ。悔しいがもうどうすることもできない。
「ところで、ハルフォーフ家三男のヴァルター様は子爵だけど、私は彼で妥協してもいいと思うのよ。ヴァルター様なら他の令嬢に自慢できるしね」
侯爵令嬢の時は結婚相手が子爵では恥ずかしいと思っていたが、伯爵家に引き取られた今はそんな贅沢も言っていられない。相手が子爵でも仕方がないとロミルダは感じていた。他にめぼしい男性がいないのも事実だ。
「そうだな。ハルフォーフ家に縁ができるのなら、悪い縁談ではないな。ヘルムート、ロミルダをエスコートしてハルフォーフ家の舞踏会へ連れて行ってやれ」
ハルフォーフ将軍は国の英雄である。王家でさえハルフォーフ家には気を使っていると言われている。そんな家と縁続きになるのは悪くはない話だとグローマン伯爵は考えた。
「しかし、エルゼは元婚約者。顔を合わせづらいのですが」
先日、ヘルムートがアスムス子爵家まで押しかけて、エルゼに手ひどく振られたことはグローマン伯爵に話していない。それでも、元婚約者というのは気まずい間柄であることを父ならば察してくれるとヘルムートは思っていた。
「大丈夫よ。エルゼ様は新しい婚約者のマリオン様と仲が良いみたいだから、ヘルムート様のことなど気にもしていないわよ」
ロミルダの言葉は、ヘルムートに振られた時のエルゼの言葉を思い出させる。悔しくて心を抉られそうになるヘルムート。
「そうだな。エルゼ嬢との婚約解消の話はウェラー卿から出たものだし、ヘルムートは気にすることはないのかもしれない。堂々とハルフォーフ邸へ行けばいい」
グローマン伯爵はロミルダがヴァルターと婚約できなければ、昨年妻を亡くした自分と同年代の伯爵の後添えにさせようと思っていた。とにかく早く厄介払いがしたい。
2
あなたにおすすめの小説
怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~
美袋和仁
恋愛
ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。
しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。
怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。
なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる