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SS:ルシア八歳(神官長視点)
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朝の散歩をしようと神殿の庭に出てみると、桃色の花びらが幾つか舞い落ちてくる。それらを眺めているうちに、ルシアの結婚式を思い出していた。
八歳から十六年も神殿にいて、二十四歳になってしまったルシアは、本人でさえ幸せな結婚を諦めているようだった。
ルシアに多大な犠牲を強いているとわかっていたが、国民のためを思うと、私は彼女を神殿から解放する決断ができずにいた。
聖なる力を絞り出すように外に出す。それが聖乙女の仕事である。祈りと呼ばれるその行為には、通常苦痛や不快感を伴うらしい。
しかし、ルシアはそんなことはないと笑う。幼き心のまま成長した神に愛され過ぎた彼女は、婚期が過ぎても力を失わなかった。
それでも、ルシアはようやく通常の聖乙女並に聖なる力の作成能力が落ちてきた。国王陛下との約束通り、私は彼女を解放することに決めた。
ルシアが神殿を出た日、国王陛下に望む結婚相手を問われ、長年不自由な暮らしを我慢してきた彼女は、空を自由に飛行する憧れの竜騎士と答えてしまったという。彼らならば国王といえども結婚を強要できず、迷惑をかけないだろうと思ったらしい。
だが、我が国で唯一の独身竜騎士カイオが、陛下に呼ばれてルシアの夫候補としてやってきた。
ルシアに付き添っていた女性神官によると、カイオとルシアの出会いは最悪だったという。一年前に竜騎士になったカイオは、その際にルシアに武器の祝福をしてもらった恩があるずなのに、随分と失礼な態度だったと女性神官は憤慨していた。
我々神殿の者も、四歳も下の竜騎士が二十四歳になったルシアとの結婚を了承するとは思ってもみなかった。
しかし、聖なる力を失っていないルシアを放置することはできない。我が国で一番安全な場所である竜騎士の基地内にあるカイオの家で、一緒に暮らすようにと陛下が要請し、二人は広い竜騎士の家で同居を始めた。
当初はあまり仲が良いようには見えなかったが、ルシアとカイオは同居を通じて徐々に心を通わせたらしい。
再び空から花びらが一つ舞い落ちてきた。
それにつられて、私はルシアが八歳の頃に思いを馳せた。
十六年前、私は巡回神官をしていた。
巡回神官とは王都から離れた村や町を回って、聖乙女を見つける役割を担っている。その他にも、王都の最新の情報を伝え、村や町の様子を調べる役割を担う。祝福させた大弓の矢や銀の柵を届けるのも仕事の内だ。
聖乙女を無事に王都まで連れ帰るために、王宮の医務官や戦闘訓練を積んだ侍女、そして、複数の王宮騎士を伴って旅をするので、我々の一行は無医村で医療行為をしたり、危険な獣や山賊の討伐を請け負うこともある。
巡回神官は我々だけに許された紫の煙が出る松明を与えられる。それを用いて上空を飛ぶ竜騎士に連絡をとることができるのだ。また、王宮騎士たちは元竜騎士訓練生であるので、非常に強く頼りになる。
そのような訳で、聖なる力を持った少女の親に渡すため、多数の金貨を持って旅をしているが、野盗などに襲われることは少ない。それでも皆無ではないので、我々の旅は常に緊張を強いられる。
ある日、我々一行は辺境の村にたどり着く。
その村の様子はかなり異常であった。村全体を聖なる力が覆っていたのだ。まるで伝説の古代の聖乙女がいるような風景だった。
かつて、一国に値するるほどの広さを、たった一人で浄化できる力を持つ聖乙女が存在したという。そんな聖乙女を中心として国が発達してきた。我が国の王家も、そのような強力な力を持った聖乙女の末裔だと伝えられている。
しかし、現在ではそのような力を持つ聖乙女は存在しないと思われていた。そのため、目の前の光景はにわかに信じられない。
「この村に聖乙女がいる。急ぐぞ」
私は気が急き、馬車のドアを半開きにして怒鳴った。馬に乗って前を行く騎士が風魔法でその声を一行に伝えてくれる。
これほど目立っていれば、聖乙女が他国の者に連れ去られたり、魔物が襲撃してきたりする危険がある。急ぐに越したことはない。
聖乙女が存在しなくなると国は存続できない。人口の少ない小国は常にその危険をはらんでいる。誠実な国ならば、その前に国民を大国に移民させるだろう。我が国もそういう国から何度か移民を受け入れていた。
しかし、権力に固執するような王がいるような国では、他国から聖乙女をさらって国を維持しようとする。
「ウォレス神官、なぜそんな事がわかるのですか?」
一緒の馬車に乗っている王宮医務官が訝しそうに訊いてきた。聖乙女は精神を集中して祈ることによって、聖なる力を体外に排出することができる。そして、祈りには訓練が必要とされていた。
「今まで見たこともないような聖乙女があの村にはいるらしい。ここら辺には聖なる力が満ちている」
「私たちには聖なる力が見えないから、何とも言えないけれど、そんなことがあるのか?」
医務官は不思議そうに前方の村を窓越しに見つめていた。
「お願いです。娘のルシアの様子がおかしいのです。診てやってください」
村に入ると、少女を抱いた男が門のところで待っていた。少女は父親の腕の中でぐったりとしている。
「馬車を止めてくれ」
私は御者にそう命じると、馬車はすぐに止まった。私は急いでドアを開ける。
その少女こそ、先祖返りと思われる聖乙女だったのだ。聖なる力を見ることができる私には、その少女は濃い靄の中にいるように見えていた。
「その子をこちらに」
私は父親の腕からひったくるようにして、ルシアという少女を馬車に乗せた。
「私が診よう」
医務官が少女に手を伸ばすが、私は首を振った。
「これは私の領分だ。この少女の体には聖なる力が満ちている。急いで祈りを覚えさせなければならない」
聖乙女は体内に聖なる力を溜めておく器を持つ。そこから溢れた聖なる力は、普通ならば体内に吸収されてしまうのだが、ルシアの場合は、あまりに多量の聖なる力を作り出しているので吸収が間に合わず、無理やり体外へ出ていっている状態だった。そのようなことに慣れていないので、苦しみを伴い体力を奪っているのだろう。
祈りは器に穴を開け管を通し、そこから聖なる力を外に出すような感じである。もちろん、物理的に器や管があるわけではないが、それらを想像しながら聖乙女たちは訓練するのだ。
「この子が凄い力を持つ聖乙女なのか。見かけはごく普通の少女なのに」
医務官は痛々しものを見る目つきでルシアを眺めていた。
私もこれほどの力を持つ聖乙女が、数年で神殿を出ることは叶わないのではないかと思っていた。
八歳から十六年も神殿にいて、二十四歳になってしまったルシアは、本人でさえ幸せな結婚を諦めているようだった。
ルシアに多大な犠牲を強いているとわかっていたが、国民のためを思うと、私は彼女を神殿から解放する決断ができずにいた。
聖なる力を絞り出すように外に出す。それが聖乙女の仕事である。祈りと呼ばれるその行為には、通常苦痛や不快感を伴うらしい。
しかし、ルシアはそんなことはないと笑う。幼き心のまま成長した神に愛され過ぎた彼女は、婚期が過ぎても力を失わなかった。
それでも、ルシアはようやく通常の聖乙女並に聖なる力の作成能力が落ちてきた。国王陛下との約束通り、私は彼女を解放することに決めた。
ルシアが神殿を出た日、国王陛下に望む結婚相手を問われ、長年不自由な暮らしを我慢してきた彼女は、空を自由に飛行する憧れの竜騎士と答えてしまったという。彼らならば国王といえども結婚を強要できず、迷惑をかけないだろうと思ったらしい。
だが、我が国で唯一の独身竜騎士カイオが、陛下に呼ばれてルシアの夫候補としてやってきた。
ルシアに付き添っていた女性神官によると、カイオとルシアの出会いは最悪だったという。一年前に竜騎士になったカイオは、その際にルシアに武器の祝福をしてもらった恩があるずなのに、随分と失礼な態度だったと女性神官は憤慨していた。
我々神殿の者も、四歳も下の竜騎士が二十四歳になったルシアとの結婚を了承するとは思ってもみなかった。
しかし、聖なる力を失っていないルシアを放置することはできない。我が国で一番安全な場所である竜騎士の基地内にあるカイオの家で、一緒に暮らすようにと陛下が要請し、二人は広い竜騎士の家で同居を始めた。
当初はあまり仲が良いようには見えなかったが、ルシアとカイオは同居を通じて徐々に心を通わせたらしい。
再び空から花びらが一つ舞い落ちてきた。
それにつられて、私はルシアが八歳の頃に思いを馳せた。
十六年前、私は巡回神官をしていた。
巡回神官とは王都から離れた村や町を回って、聖乙女を見つける役割を担っている。その他にも、王都の最新の情報を伝え、村や町の様子を調べる役割を担う。祝福させた大弓の矢や銀の柵を届けるのも仕事の内だ。
聖乙女を無事に王都まで連れ帰るために、王宮の医務官や戦闘訓練を積んだ侍女、そして、複数の王宮騎士を伴って旅をするので、我々の一行は無医村で医療行為をしたり、危険な獣や山賊の討伐を請け負うこともある。
巡回神官は我々だけに許された紫の煙が出る松明を与えられる。それを用いて上空を飛ぶ竜騎士に連絡をとることができるのだ。また、王宮騎士たちは元竜騎士訓練生であるので、非常に強く頼りになる。
そのような訳で、聖なる力を持った少女の親に渡すため、多数の金貨を持って旅をしているが、野盗などに襲われることは少ない。それでも皆無ではないので、我々の旅は常に緊張を強いられる。
ある日、我々一行は辺境の村にたどり着く。
その村の様子はかなり異常であった。村全体を聖なる力が覆っていたのだ。まるで伝説の古代の聖乙女がいるような風景だった。
かつて、一国に値するるほどの広さを、たった一人で浄化できる力を持つ聖乙女が存在したという。そんな聖乙女を中心として国が発達してきた。我が国の王家も、そのような強力な力を持った聖乙女の末裔だと伝えられている。
しかし、現在ではそのような力を持つ聖乙女は存在しないと思われていた。そのため、目の前の光景はにわかに信じられない。
「この村に聖乙女がいる。急ぐぞ」
私は気が急き、馬車のドアを半開きにして怒鳴った。馬に乗って前を行く騎士が風魔法でその声を一行に伝えてくれる。
これほど目立っていれば、聖乙女が他国の者に連れ去られたり、魔物が襲撃してきたりする危険がある。急ぐに越したことはない。
聖乙女が存在しなくなると国は存続できない。人口の少ない小国は常にその危険をはらんでいる。誠実な国ならば、その前に国民を大国に移民させるだろう。我が国もそういう国から何度か移民を受け入れていた。
しかし、権力に固執するような王がいるような国では、他国から聖乙女をさらって国を維持しようとする。
「ウォレス神官、なぜそんな事がわかるのですか?」
一緒の馬車に乗っている王宮医務官が訝しそうに訊いてきた。聖乙女は精神を集中して祈ることによって、聖なる力を体外に排出することができる。そして、祈りには訓練が必要とされていた。
「今まで見たこともないような聖乙女があの村にはいるらしい。ここら辺には聖なる力が満ちている」
「私たちには聖なる力が見えないから、何とも言えないけれど、そんなことがあるのか?」
医務官は不思議そうに前方の村を窓越しに見つめていた。
「お願いです。娘のルシアの様子がおかしいのです。診てやってください」
村に入ると、少女を抱いた男が門のところで待っていた。少女は父親の腕の中でぐったりとしている。
「馬車を止めてくれ」
私は御者にそう命じると、馬車はすぐに止まった。私は急いでドアを開ける。
その少女こそ、先祖返りと思われる聖乙女だったのだ。聖なる力を見ることができる私には、その少女は濃い靄の中にいるように見えていた。
「その子をこちらに」
私は父親の腕からひったくるようにして、ルシアという少女を馬車に乗せた。
「私が診よう」
医務官が少女に手を伸ばすが、私は首を振った。
「これは私の領分だ。この少女の体には聖なる力が満ちている。急いで祈りを覚えさせなければならない」
聖乙女は体内に聖なる力を溜めておく器を持つ。そこから溢れた聖なる力は、普通ならば体内に吸収されてしまうのだが、ルシアの場合は、あまりに多量の聖なる力を作り出しているので吸収が間に合わず、無理やり体外へ出ていっている状態だった。そのようなことに慣れていないので、苦しみを伴い体力を奪っているのだろう。
祈りは器に穴を開け管を通し、そこから聖なる力を外に出すような感じである。もちろん、物理的に器や管があるわけではないが、それらを想像しながら聖乙女たちは訓練するのだ。
「この子が凄い力を持つ聖乙女なのか。見かけはごく普通の少女なのに」
医務官は痛々しものを見る目つきでルシアを眺めていた。
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