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11.僕を呼んだのは

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side リリ

祝福を貰って、今日1日が終わった。あのフェリさん、確か神様的なことを言ってた気がする。
特に気になったのが僕の魂を誰かが呼んだってことだよ。
なんで僕を呼んだのか。呼ぶ理由も分からないし、そもそもこの世界とぼくは何も関係ないんじゃないの?
色々疑問はあるけど、子供のからだだからなのか、とても眠くなってきたから、そこからはぐっすりと寝た。

そして今日、ぼくはもう1回フェリさんに会いに行くことにした。
たしか、神殿に行けばいいんだよね。
ひとりで神殿に行くのはダメだから、今日付き添ってくれるのはメアリーだ。
最近はメアリーとも仲良くなってきていて、すごく嬉しい。

程なくして、神殿に着いた。
コンコンと扉を叩くとガチャ...と静かにドアが開いた。
すると、目の前には昨日の司祭がいた。
「こんにちは、リリドラ様。お祈りにこられたのですか?」
と司祭が尋ねてくる。
目的は違うけど、お祈りをすればフェリさんに会えるって確か言われたと思うから、ぼくは
「うん!」 
と言った。
僕の元気な返事を聞いた司祭は、にっこり微笑むと、
「では、ご案内します。」
と言われた。
案内をされ、お祈りの仕方を教えて貰った。
目の前の石像に跪いて、両手を重ねてお祈りをする。
フェリさん・・・
と強く念を込めると、また目の前が昨日と同じく光に包まれた。

そっと目を開けると、あたりが1面真っ白になっていた。
すると、今度は優しい光がさしてきて、そこを見ると、昨日のイケメン、フェリさんがいた。

「こんにちは、透さん神殿に来ていてくださって、ありがとうございます。」
挨拶をされ、僕も返事をすると、目の前に扉が現れて、
「お入りください。そこなら__にも分からないでしょう。」
といわれ、扉の中に入る。
扉の中は一室の部屋のようになっていて、綺麗な装飾品がついている。
フェリさんは扉を閉めると、僕を部屋にある椅子に案内した。
「あの、フェリさん、」
僕が呼びかけると、フェリさんは真剣な表情で
話始める。
「透さんが亡くなられてしまった日、実は透さんが元いた世界の神から、緊急事態だと滅多にない連絡が入ってきたんです。この世界は、わたしひとりで管理しているのですが、そもそも他界の神から連絡が来ることは滅多にない世界なんですよ。だから、連絡が来た時は本当にびっくりしました。
内容は、こちらの世界にいた魂が、そちらの世界にいる、と。
あの日透さんが亡くなられた日、本当は元いた世界の魂として管理される予定だったんです。しかし、いつまで経っても透さんの魂が来なく、不安に思い、透さんの魂が迷っている可能性があると考えて調べたところ、私の世界にいるということがわかったんです。
本当は絶対にこちらの世界に来られないはずなのに。
私たち神は普段はお互いの世界に干渉しないのですが、今回ばかりはそうもいかないと言うことで、お互いに協力して調べあげたところ、透さんが読んでいた小説の主人公、ルルが呼んでいることがわかりました。理由は定かではありませんが、今はまだ調べている途中ですので、もう少しだけ待っていてください。尚、この話は他言無用でお願いします。」
「わかりました。」
「あ、それともうひとつ、ルル・ルビーにはできるだけ関わらないでください。今は調べている途中ですが、もしものためなので、協力お願いします。」
「はい。」
しばらく話したあと、フェリさんはそろそろ時間だと言うことで、僕にまた来るように言って、僕を神殿に戻してくれた。

ざっくり話をまとめると、本来他界からほかの世界へ魂が移ることはなく、今回はそれが起こってしまったため、僕を祝福をあげる時に、忠告を含めて話しをしようとしたこと、そして呼んだのはこの世界の主人公、ルル・ルビーだと言うことがわかった。
ルルがなぜ僕を呼んだのかは分からない。けど、何となく違和感があるのは気の所為だろうか?
ダメだ。悪いことを考えるのはやめにしよう。
そう思い、ぼくは待っていたメアリーと一緒に神殿を出た。
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