人事部のOLが、どうあがいても死刑になる悪役令嬢に転生!?~生き残るために男装したら、冷酷王子の側近として学園生活するハメになりました~

夕景あき

文字の大きさ
21 / 59

王子と側近の三角関係

しおりを挟む
 闘技場へクロードに並び歩きながら、ミカは言った。

「·····ジェスには、転生した事は言わないまでも、女性である事くらいは話してもいいかな?」

「·····やめた方がいい。·····側近同士で恋仲になられても困る·····」

「えー!それは絶対ありえないよ!そもそも、ジェスはソフィアが好きだし·····って、うわぁ!ジェス、いつの間に!」

 クロードとミカの間にぬっと、ジェスが現れた。

「よォ!ミカ!体調大丈夫か?あのタイミングで腹下すってお前っ!面白すぎるだろ!拾い食いでもしたのか?出すもの出してスッキリしたか?」

「あ、·····ああ、もう大丈夫だよ。心配ありがとう!」

「そうか、なら良かった!それより今、クロとミカで、なんか俺の噂してただろ!ジェスがどうのって聞こえたぜ!」

「あ、あー、·····あの、ジェスがソフィア好きなら、なんかの形で応援できないかなぁーなんて話をね·····」

「ああん?そんな、応援なんていらねーよ!自分で何とかするから、大きなお世話だ!まぁ、気持ちだけもらっておくよ·····っと、噂をすればソフィアがいるな!」

 道の先にベビーシッター先から教室に戻ろうとしてる 、女生徒たちの集まりがあった。
  4人が塊になってキャッキャウフフと盛り上がってる後ろで、ソフィアが1人ポツンと歩いている。

(分かってはいたけど、·····やっぱりアメリアもイザベラも、あんな風に私が言ったくらいでは、ソフィアと仲良くしないよな·····彼女たちにもプライドがあるだろうしなぁ。どうしようかな、ソフィアに話しかけようかな·····)

 ミカがそんなことを考えていると集団から1人、ナンシー・レオンがソフィアの元に駆け寄って話しかけた。
 ナンシー・レオンはカメレオンの使獣を持つ小柄な少女だ。
 肩までにある銀色の髪がクルンと外巻きしていて、周りのご令嬢に比較して、あまり華美でない質素なドレスを着ている。
 ナンシーはソフィアに、明るい口調で話しかけた。

「ソフィア!あなた、子供の相手が上手ねー!」

「あ、ありがとう。でも、よく近所の子の子守りを手伝ってたから慣れてるだけよ。」

「いやー!初めて会った子供たちから大人気なのはスゴいよ!にらめっことか、いないいないばあで変顔するのとか、ウチもやってみようかなー」

「あのね、タイミングにコツがあって、少し間をあけて·····」

 ソフィアがナンシーに嬉しそうに返すと、前を歩く3人がナンシーを呼び戻した。

「ちょっと、ナンシー!こっち来なさいよ!」

「ほーい!」

「ねえ!それにしても、ソフィア・キティの変顔は酷かったわよね!そう思わない?ナンシー?」

「え、·····うん。そうだね」

「あんなに鼻の穴膨らましたり、ゴリラみたいに鼻の下伸ばしたり·····あんな顔、人様にさらしたら、お嫁に行けなくなるわよね!そう思わない?ナンシー?」

「あー。·····うん、そうだね。酷かった!」

 4人の女生徒たちはソフィアを見ながらクスクス嘲笑った。

 その様子を見たジェスが、大声で言った。

「人の悪口言ってる時のお前らの顔の方が人様にさらしたら、お嫁に行けなくなるような顔してるぜ!·····ナンシーも使獣がカメレオンだからって、お前の態度までカメレオンじゃ、ダメだろ?」

 4人の女生徒たちは、口々にジェスに悪態つきながら教室に逃げた。ナンシーだけは顔を赤らめて、苦しそうな顔をして黙った。

「ジェスのガサツ男!」
「デリカシーなしのあなたこそ、結婚できないわよ!」
「そうよ!誰も、あんたなんかのお嫁に行きたくないわよ!」

 ちょうど曲がり角でミカとクロードの姿が見えなかったせいか、皆言いたい放題だ。

 ジェスがソフィアに駆け寄って言った。

「悪い!口出しする気なかったのに、我慢出来ずに余計な事、言っちまった!俺のせいで立場悪くなったら、申し訳ない!」

「いえ·····お気遣いありがとうございます!ジェス様!」

「ジェスで良いって!呼び捨てしてくれ!·····その持ってる本は、何読んでるんだ?」

「ホラー小説です」

「うぉ!意外なもん読んでんだな!」

「最近暑いので·····背筋がヒヤッとするので丁度良いんです。今読んでる部分は、猫の首を切るのが趣味の猟奇的な人が·····」

「あー、説明しなくていいです。マジで!俺、そういう話、ちょっと苦手なので·····」

 慌てるジェスの様子にソフィアはクスッと可愛く笑った。
 その様子を遠巻きに見ていたクロードとミカだったが、クロードが急にポツリと言った。

「そういえば、ソフィアはリカルド・キティの血縁だったな·····私もソフィアに話しかけてみよう」

「あー!ちょっと待って!せっかくジェスとソフィアがいい感じなのに·····」
 
  ミカが小声で止めたが、聞こえなかったらしいクロードが2人に近寄っていきソフィアに話しかけている。

(そう言えば、心理学の本に、人はストレスを抱えている時にホラーを好む傾向があるって書いてあるのを読んだことがあるな·····新しい環境で、除け者にされたら、そりゃあストレス溜まるよなぁ。ソフィア大丈夫かな·····。それにしても、クロードは時々、空気読めないよなぁ。いや、わざとジェスの邪魔したのか?·····やっぱりクロードが好きな人ってソフィアなのかな··········あれ、なんでだろう悲しくなってきた。あ、もしかして、ミッシェルの体だから!?クロードを好きなミッシェルの意識が体に残っていて、私を悲しくさせるのかな·····)

 ソフィアとクロードとジェスが仲良く話してるのを見つつ、ミカは思案したのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

処理中です...