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あなたの為なら、裸になるのも厭わない
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クロードに急に抱きかかえられて、10階から飛び降りられて、ミカは頭が真っ白になった。
内臓が浮き上がる感覚と共に、体が急降下しはじめたので、ミカはギュッと目を瞑り必死にクロードにしがみついた。
落下しながらクロードが何かを囁いたようだったが、風の音でミカには聞きとれなかった。
しばらくして、クロードがミカの耳元で囁いた。
「抱きついて貰えて嬉しいが·····ちょっと肩が痛いから、手の力を緩めてもらえるか?」
クロードの言葉に、ミカはハッと目を開けると体が宙に浮いていた。
「·····と、飛んでる??」
「あぁ、ミカは私の使獣の力を知らなかったのか·····驚かせて悪かったな。黒鷲の使獣の力は空を飛行する事だ。そろそろ、力が切れるが海は越えられたし、例え生きてることに気づかれたとしても、海の民の追手もこの距離なら、しばらくは来れないだろう。」
「よ、良かったぁ·····。」
「ミカのお陰だよ。ありがとう。」
クロードが、ミカのおでこにキスをして言った。
朝焼けが近いのか、薄明るく空が白みはじめている。
「そろそろ着地す·····る·····」
クロードはそう言ってミカを地面に抱きおろすと同時に、草むらにぐったり倒れ込んでしまった。
「クロード!!そうだ!クロードはただでさえ鞭打ちで出血多量の上に、矢が刺さってるんだった!無理させた私の馬鹿野郎!待ってて!今、矢を抜いて応急処置を·····何か綺麗な布で止血しなくちゃ·····布·····シャツはダメだ、厨房の野菜クズやらコケで不衛生だ!·····包帯·····そうだ!!」
ミカは慌ててシャツを脱ぎ、胸に巻いている包帯を巻き取りはじめた。
(海の水に1回浸かってるし、衛生的であるとはとても言えないけど、無いよりはマシだ。矢傷は抜いた後の止血が、何より大事だ!·····明るい所で見ると、この背中の鞭打ちの傷も相当深い!·····とにかく、この包帯で止血だ!·····良かった。何とか長さは足りそうだ。胸を抑えるために何重にも包帯巻いてて良かった·····。)
ミカが上半身裸で、豊かな胸をあらわにした状態で、必死にクロードに包帯を巻いた。
周りの音にも気を配れないくらいミカはクロードの対応に集中していると、後ろから急に生暖かい空気を吹きかけられた。
ミカがぎょっとして驚いて振り返ると、ティラノ号が立っていた。
「ティラノ号!!来てくれたのね!ありがとう!ちょっと待ってね!クロードの応急処置が終わったら一緒に帰ろう!」
ミカは懸命に包帯で止血したが、クロードは気を失ったまま、青白い顔で苦しそうに息をするばかりだった。
(ダメだ·····輸血しないと!·····この国に輸血の技術はあるのか?ともかく、人のいるところに·····いや、どこまでが海の民の領地か分からない·····学園にとにかく戻ろう!急がないとクロードの命が危ない!)
ミカはシャツを羽織り、ティラノ号にクロードを押し上げ、それから自分もクロードを抱きかかえるように騎乗した。
ミカは右手でクロードを支え、左手でティラノ号の手綱を束ねて持つと、ティラノ号に駈歩の合図を送った。
ティラノ号は来た道を、猛烈な駈歩で走り続けてくれた。
朝日が完全に昇りきった頃、学園が見えてきた。
門の所に、誰かが立っているのが見えて、ミカは警戒したが、近づいてみて学園の門に立っているのは、ジェスとソフィアだと分かった。
「ジェス!ソフィア!帰ったよ!」ミカが叫んだ。
「クロ!無事か!!信じてたぞミカ!お前ならやってくれると!」
ジェスが少し、涙ぐんだ声で言った。
ソフィアが心からほっとした声で言った。
「間に合いましたか·····良かったです。でも、ここからも時間が無いのです!·····急がないとクロード様の命が助けられないのです。」
「そうなの!クロードの怪我が酷いの!輸血しないと命が危ないと思う!」
ミカはまずティラノ号から気を失っているクロードを降ろして、ジェスに渡した。ジェスが両腕でクロードを受け取りながら、叫んだ。
「クロ!血塗れじゃねぇか!おいおい!お願いだ!死ぬなよ、クロ!」
「ミカエル様、この国に輸血は無いのです!クロード様の命を救う方法は1つしかありません。急ぎこちらにお越しください!ティラノ号はこのままで大丈夫です。自分で厩舎に戻れますし、厩舎でホセ様が待っていてくれてます。時間がないです!こちらへ!」
ミカはティラノ号の首を撫でて「ありがとう!ティラノ号!」と言うと、ティラノ号はぶるるると鼻を鳴らして応えてから、厩舎に向かって走り去って行った。
内臓が浮き上がる感覚と共に、体が急降下しはじめたので、ミカはギュッと目を瞑り必死にクロードにしがみついた。
落下しながらクロードが何かを囁いたようだったが、風の音でミカには聞きとれなかった。
しばらくして、クロードがミカの耳元で囁いた。
「抱きついて貰えて嬉しいが·····ちょっと肩が痛いから、手の力を緩めてもらえるか?」
クロードの言葉に、ミカはハッと目を開けると体が宙に浮いていた。
「·····と、飛んでる??」
「あぁ、ミカは私の使獣の力を知らなかったのか·····驚かせて悪かったな。黒鷲の使獣の力は空を飛行する事だ。そろそろ、力が切れるが海は越えられたし、例え生きてることに気づかれたとしても、海の民の追手もこの距離なら、しばらくは来れないだろう。」
「よ、良かったぁ·····。」
「ミカのお陰だよ。ありがとう。」
クロードが、ミカのおでこにキスをして言った。
朝焼けが近いのか、薄明るく空が白みはじめている。
「そろそろ着地す·····る·····」
クロードはそう言ってミカを地面に抱きおろすと同時に、草むらにぐったり倒れ込んでしまった。
「クロード!!そうだ!クロードはただでさえ鞭打ちで出血多量の上に、矢が刺さってるんだった!無理させた私の馬鹿野郎!待ってて!今、矢を抜いて応急処置を·····何か綺麗な布で止血しなくちゃ·····布·····シャツはダメだ、厨房の野菜クズやらコケで不衛生だ!·····包帯·····そうだ!!」
ミカは慌ててシャツを脱ぎ、胸に巻いている包帯を巻き取りはじめた。
(海の水に1回浸かってるし、衛生的であるとはとても言えないけど、無いよりはマシだ。矢傷は抜いた後の止血が、何より大事だ!·····明るい所で見ると、この背中の鞭打ちの傷も相当深い!·····とにかく、この包帯で止血だ!·····良かった。何とか長さは足りそうだ。胸を抑えるために何重にも包帯巻いてて良かった·····。)
ミカが上半身裸で、豊かな胸をあらわにした状態で、必死にクロードに包帯を巻いた。
周りの音にも気を配れないくらいミカはクロードの対応に集中していると、後ろから急に生暖かい空気を吹きかけられた。
ミカがぎょっとして驚いて振り返ると、ティラノ号が立っていた。
「ティラノ号!!来てくれたのね!ありがとう!ちょっと待ってね!クロードの応急処置が終わったら一緒に帰ろう!」
ミカは懸命に包帯で止血したが、クロードは気を失ったまま、青白い顔で苦しそうに息をするばかりだった。
(ダメだ·····輸血しないと!·····この国に輸血の技術はあるのか?ともかく、人のいるところに·····いや、どこまでが海の民の領地か分からない·····学園にとにかく戻ろう!急がないとクロードの命が危ない!)
ミカはシャツを羽織り、ティラノ号にクロードを押し上げ、それから自分もクロードを抱きかかえるように騎乗した。
ミカは右手でクロードを支え、左手でティラノ号の手綱を束ねて持つと、ティラノ号に駈歩の合図を送った。
ティラノ号は来た道を、猛烈な駈歩で走り続けてくれた。
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「ジェス!ソフィア!帰ったよ!」ミカが叫んだ。
「クロ!無事か!!信じてたぞミカ!お前ならやってくれると!」
ジェスが少し、涙ぐんだ声で言った。
ソフィアが心からほっとした声で言った。
「間に合いましたか·····良かったです。でも、ここからも時間が無いのです!·····急がないとクロード様の命が助けられないのです。」
「そうなの!クロードの怪我が酷いの!輸血しないと命が危ないと思う!」
ミカはまずティラノ号から気を失っているクロードを降ろして、ジェスに渡した。ジェスが両腕でクロードを受け取りながら、叫んだ。
「クロ!血塗れじゃねぇか!おいおい!お願いだ!死ぬなよ、クロ!」
「ミカエル様、この国に輸血は無いのです!クロード様の命を救う方法は1つしかありません。急ぎこちらにお越しください!ティラノ号はこのままで大丈夫です。自分で厩舎に戻れますし、厩舎でホセ様が待っていてくれてます。時間がないです!こちらへ!」
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