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第一章
束の間の逢瀬
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『義妹と俺の仲を勘違いするなんて、止めて欲しい。
フィーネを妹以上に思うことなんて、たとえこの身が1万回業火に焼かれて生まれ変わったとしても有り得ない』
それは「恋プリ」の中でフィーネとの仲を誤解して走っていくヒロインちゃんを追いかけて捕まえ、エルファンス兄様がきっぱりと言い放った台詞である。
今思うと「そこまで言うか!」って感じだけど
とにかく1万回どころか、たった1回生まれ変わっただけで妹以上になれたんだから……。
ある意味、シ、シナリオに勝った?
「この隠し扉がこんなに役に立つとは」
「お兄様……」
深夜、隠し通路を通って寝室にしのんで来た私を迎え入れる、お兄様の目は熱っぽく、優しい。
後ろ手に扉を閉じると、さっそくその温かい胸に飛び込んでいく。
愛しのエルファンス兄様は公爵家に養子入りするとともに、帝国の最重要軍事機関である魔導省に仕官していた。
ガウス帝国が大陸一の強大国になれたのも、他国の追随を許さない魔導技術の高さと、それを戦争に持ち込んだおかげなのだ。
ゆえに魔導省の入省できるのは貴族の身分だけではなく、優れた能力の持ち主。エリート中のエリートのみ。
そこに14歳という異例の若さで入ることができたなんて、さすが私のエルファンス兄様!
とにかくお兄様は基本的に勤務している昼から夕方過ぎまでは屋敷にいないので、二人でゆっくり過ごせるの夜遅くの時間帯だけだった。
私達はあの誕生日以来、こうして一日も欠かさず逢瀬を重ねてきた。
しかし、二人で過ごせるのもいよいよ今夜が最後。
明日はとうとう神殿へ旅立つ日。
切れ長の吸い込まれそうに深い青い瞳を見つめながら、私は少しでもお兄様の姿を脳裏に焼きつけようとして、美しい顔の輪郭を何度も指でなぞってみた。
そしてできるだけその温もりや感触を憶えていたくて、銀髪に触れたり、身体に抱きついたりした。
「やっぱりもう抱いてしまおうか……」
そんな私に対し、エルファンス兄様は時折、冗談とも本気ともつかずにそんなことを言う。
でも今では知っている。
お兄様は決して私が本気で嫌がる事はしないことを……。
「……私はもう……お兄様のものです……」
胸の内を言葉で伝えると、私を膝に乗せ、優しく髪をすくように梳かしてくれていたお兄様も、
「フィーネ……愛してる……」
と、想いを込めるように返してくれた。
思えば、愛してる、とはっきり言われたのは、これが初めてのような気がする。
「ついこの前までは自分がこんな気持ちになるとは想像だにしていなかった。いくら見目麗しかろうとも、お前は毒のようで、侵されてしまうのが怖かった……。
でも今は外面も内面も、お前のなにもかもがたまらなく愛しい」
「お兄様……」
それは何よりもの私への褒め言葉だった。
「私も愛してます! とても、とてもお兄様のこと!」
たまらず目の前の胸に顔を埋め、自分も同じ気持ちであることを訴える。
エルファンス兄様それを受け止めるように、きつく私の身体を抱き締めてくれた。
「いよいよ明日か……」
「……うん……」
遠い瞳をして呟くお兄様の腕をぎゅっと掴む。
こんなに身を千切られるような別れがあるなんて、人との関わりが薄かった前世の私は知らなかった。
「フィーネ、約束しろ」
急に鋭く硬い声で言われ、私はお兄様の顔を見上げる。
「……何を?」
エルファンス兄様は大きな手で私の頬を両側から包み込むと、まるで言い聞かせるように一つ一つの言葉をゆっくりと口にした。
「決して俺以外の男にはこの身体を触れさせるな」
「……は、はい」
「心を許すのも駄目だ。
出来るだけ俺以外の男と話すな顔も見るな見せるな」
神殿だからそもそも異性と会う機会はほとんどないと思うけど。
「分かりました、お兄様!」
どんな無茶を言われてもイコール愛情だと感じられて嬉しくて、素直に頷く。
「お前は……?」
「え?」
「お前は俺に何も言わないのか?」
「私は……」
問われて考える。
フィーネを妹以上に思うことなんて、たとえこの身が1万回業火に焼かれて生まれ変わったとしても有り得ない』
それは「恋プリ」の中でフィーネとの仲を誤解して走っていくヒロインちゃんを追いかけて捕まえ、エルファンス兄様がきっぱりと言い放った台詞である。
今思うと「そこまで言うか!」って感じだけど
とにかく1万回どころか、たった1回生まれ変わっただけで妹以上になれたんだから……。
ある意味、シ、シナリオに勝った?
「この隠し扉がこんなに役に立つとは」
「お兄様……」
深夜、隠し通路を通って寝室にしのんで来た私を迎え入れる、お兄様の目は熱っぽく、優しい。
後ろ手に扉を閉じると、さっそくその温かい胸に飛び込んでいく。
愛しのエルファンス兄様は公爵家に養子入りするとともに、帝国の最重要軍事機関である魔導省に仕官していた。
ガウス帝国が大陸一の強大国になれたのも、他国の追随を許さない魔導技術の高さと、それを戦争に持ち込んだおかげなのだ。
ゆえに魔導省の入省できるのは貴族の身分だけではなく、優れた能力の持ち主。エリート中のエリートのみ。
そこに14歳という異例の若さで入ることができたなんて、さすが私のエルファンス兄様!
とにかくお兄様は基本的に勤務している昼から夕方過ぎまでは屋敷にいないので、二人でゆっくり過ごせるの夜遅くの時間帯だけだった。
私達はあの誕生日以来、こうして一日も欠かさず逢瀬を重ねてきた。
しかし、二人で過ごせるのもいよいよ今夜が最後。
明日はとうとう神殿へ旅立つ日。
切れ長の吸い込まれそうに深い青い瞳を見つめながら、私は少しでもお兄様の姿を脳裏に焼きつけようとして、美しい顔の輪郭を何度も指でなぞってみた。
そしてできるだけその温もりや感触を憶えていたくて、銀髪に触れたり、身体に抱きついたりした。
「やっぱりもう抱いてしまおうか……」
そんな私に対し、エルファンス兄様は時折、冗談とも本気ともつかずにそんなことを言う。
でも今では知っている。
お兄様は決して私が本気で嫌がる事はしないことを……。
「……私はもう……お兄様のものです……」
胸の内を言葉で伝えると、私を膝に乗せ、優しく髪をすくように梳かしてくれていたお兄様も、
「フィーネ……愛してる……」
と、想いを込めるように返してくれた。
思えば、愛してる、とはっきり言われたのは、これが初めてのような気がする。
「ついこの前までは自分がこんな気持ちになるとは想像だにしていなかった。いくら見目麗しかろうとも、お前は毒のようで、侵されてしまうのが怖かった……。
でも今は外面も内面も、お前のなにもかもがたまらなく愛しい」
「お兄様……」
それは何よりもの私への褒め言葉だった。
「私も愛してます! とても、とてもお兄様のこと!」
たまらず目の前の胸に顔を埋め、自分も同じ気持ちであることを訴える。
エルファンス兄様それを受け止めるように、きつく私の身体を抱き締めてくれた。
「いよいよ明日か……」
「……うん……」
遠い瞳をして呟くお兄様の腕をぎゅっと掴む。
こんなに身を千切られるような別れがあるなんて、人との関わりが薄かった前世の私は知らなかった。
「フィーネ、約束しろ」
急に鋭く硬い声で言われ、私はお兄様の顔を見上げる。
「……何を?」
エルファンス兄様は大きな手で私の頬を両側から包み込むと、まるで言い聞かせるように一つ一つの言葉をゆっくりと口にした。
「決して俺以外の男にはこの身体を触れさせるな」
「……は、はい」
「心を許すのも駄目だ。
出来るだけ俺以外の男と話すな顔も見るな見せるな」
神殿だからそもそも異性と会う機会はほとんどないと思うけど。
「分かりました、お兄様!」
どんな無茶を言われてもイコール愛情だと感じられて嬉しくて、素直に頷く。
「お前は……?」
「え?」
「お前は俺に何も言わないのか?」
「私は……」
問われて考える。
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