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第五章
追加の支払い ※※※
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当然ながら部屋へ戻っても、なかなか眠らせてなど貰えなかった。
「フィー、お前と一晩、離れていてどんなに寂しかったか……」
「お、お兄様……」
思い知らせるようにきつく抱きしめられてから、乱暴にベッドへと投げ落とさせる。
「もう二度とお泊り会なんて認めないからな……!」
激昂したように宣言するエルファンス兄様の様子に、三人でのパジャマ・パーティーの遠のきをおぼえる。
しかしそんな先のことより今、お兄様の機嫌をなだめることのほうが大切だ。
「お兄様、寂しい想いをさせてごめんなさ……あっ……!?」
ところが謝っている途中で夜着の裾を掴み上げられ、頭から一気に引き抜かれてしまう。
「……まっ、待って……!」
「待たない! あんな支払いじゃ全然足りないっ……」
制止の言葉は却下され、裸になったエルファンス兄様は野獣のように襲いかかってきた。
私の乳房を押しつぶすようにのしかかってくる身体は熱く、くちづけは狂おおしいまでに荒々しかった。
身体の重みにもがいているうちに下着もむしり取られ、上からどけてくれたかと思うと、今度は足首をがしっと掴まれる。
「あっ……やっ……!」
抵抗しようとつっぱった両足を押し倒し、私の身体を二つ折りにしたお兄様は、むき出しになった下の唇を激しく貪ってきた。
そしてたっぷりの唾液をあそこに絡めると、性急に上から突き刺すように入ってくる。
「ああっ……!」
いつもとは違う角度で深く貫かれた私は、その刺激だけでもう気が遠くなってしまい――徹夜で寝ていなかったのも手伝い、たった数回抜き差しされただけで、完全に意識が飛んでしまった――
次に目を開くと、エルファンス兄様に身体を抱きこまれた格好で、ベッドに寝ている状態だった。
そっと腕の中で確認すると、珍しいことにお兄様は銀色の長い睫毛を伏せいまだに寝息を立てている。
時計を見るとお昼前だった。
先に起きるのは久しぶりかもしれないと思いつつ、腕をほどいてそっと起きだし、そろりと床に足を下ろす。
エルファンス兄様を起こさないように身支度を終えた私は、コーデリア姫に途中で帰ったお詫びを言うべく、音を立てないように慎重に部屋を抜け出した。
極度の疲労感を全身におぼえながら、コーデリア姫の部屋を目指して急ぎ足で歩く。
――と、角を曲がると、光沢のある若草色の長衣の裾と、長い特徴的な金髪を揺らして、廊下の向こう側から歩いてくる人物があった。
ぼーっと見てから遅れて誰であるか認識したとたん、心臓が止まりそうになり、思わず口から「あっ…!?」と叫びを漏らしてしまう。
同じく先方も驚いたように息を飲み、立ち止まって目を見張る。
「……君は……」
予想外の出会いに、動揺と恐怖が同時に襲ってきて、全身から血の気がすーっと引いてゆくのを感じる。
逃げなくてはいけない、そう思っているのに、脚が震えて全然動かなかった。
一方、相手は半ば駆けるように、腕を伸ばして近づいてくる。
そうして瞬く間に目の前に来たのは、緑がかった不思議な色合いに輝く金髪と、神秘的な七色に輝く瞳をした、神々しいまでの美貌を持つ青年――
この世のものとは思えないほどの美しい色彩を持つ容姿は――やはり見間違いでも幻覚でもなく――「恋と戦のプリンセス」1のヤンデレキャラ、ラファエル・ジードのものだった。
「……レメディア……」
艶っぽく澄んだ声で、違う名前を呼びながら、ラファエルの氷じみた冷たい手が私の手首を捉え、さっと身体を引き寄せる。
「――!?」
「フィー!」
同じタイミングで背後から、私がいないことに気がついて追ってきたらしい、エルファンス兄様の足音と声がした。
それなのに混乱したままの私は抵抗もできず、お兄様が見ている前で他の男性――ラファエルにきつく抱き締められてしまった――
「フィー、お前と一晩、離れていてどんなに寂しかったか……」
「お、お兄様……」
思い知らせるようにきつく抱きしめられてから、乱暴にベッドへと投げ落とさせる。
「もう二度とお泊り会なんて認めないからな……!」
激昂したように宣言するエルファンス兄様の様子に、三人でのパジャマ・パーティーの遠のきをおぼえる。
しかしそんな先のことより今、お兄様の機嫌をなだめることのほうが大切だ。
「お兄様、寂しい想いをさせてごめんなさ……あっ……!?」
ところが謝っている途中で夜着の裾を掴み上げられ、頭から一気に引き抜かれてしまう。
「……まっ、待って……!」
「待たない! あんな支払いじゃ全然足りないっ……」
制止の言葉は却下され、裸になったエルファンス兄様は野獣のように襲いかかってきた。
私の乳房を押しつぶすようにのしかかってくる身体は熱く、くちづけは狂おおしいまでに荒々しかった。
身体の重みにもがいているうちに下着もむしり取られ、上からどけてくれたかと思うと、今度は足首をがしっと掴まれる。
「あっ……やっ……!」
抵抗しようとつっぱった両足を押し倒し、私の身体を二つ折りにしたお兄様は、むき出しになった下の唇を激しく貪ってきた。
そしてたっぷりの唾液をあそこに絡めると、性急に上から突き刺すように入ってくる。
「ああっ……!」
いつもとは違う角度で深く貫かれた私は、その刺激だけでもう気が遠くなってしまい――徹夜で寝ていなかったのも手伝い、たった数回抜き差しされただけで、完全に意識が飛んでしまった――
次に目を開くと、エルファンス兄様に身体を抱きこまれた格好で、ベッドに寝ている状態だった。
そっと腕の中で確認すると、珍しいことにお兄様は銀色の長い睫毛を伏せいまだに寝息を立てている。
時計を見るとお昼前だった。
先に起きるのは久しぶりかもしれないと思いつつ、腕をほどいてそっと起きだし、そろりと床に足を下ろす。
エルファンス兄様を起こさないように身支度を終えた私は、コーデリア姫に途中で帰ったお詫びを言うべく、音を立てないように慎重に部屋を抜け出した。
極度の疲労感を全身におぼえながら、コーデリア姫の部屋を目指して急ぎ足で歩く。
――と、角を曲がると、光沢のある若草色の長衣の裾と、長い特徴的な金髪を揺らして、廊下の向こう側から歩いてくる人物があった。
ぼーっと見てから遅れて誰であるか認識したとたん、心臓が止まりそうになり、思わず口から「あっ…!?」と叫びを漏らしてしまう。
同じく先方も驚いたように息を飲み、立ち止まって目を見張る。
「……君は……」
予想外の出会いに、動揺と恐怖が同時に襲ってきて、全身から血の気がすーっと引いてゆくのを感じる。
逃げなくてはいけない、そう思っているのに、脚が震えて全然動かなかった。
一方、相手は半ば駆けるように、腕を伸ばして近づいてくる。
そうして瞬く間に目の前に来たのは、緑がかった不思議な色合いに輝く金髪と、神秘的な七色に輝く瞳をした、神々しいまでの美貌を持つ青年――
この世のものとは思えないほどの美しい色彩を持つ容姿は――やはり見間違いでも幻覚でもなく――「恋と戦のプリンセス」1のヤンデレキャラ、ラファエル・ジードのものだった。
「……レメディア……」
艶っぽく澄んだ声で、違う名前を呼びながら、ラファエルの氷じみた冷たい手が私の手首を捉え、さっと身体を引き寄せる。
「――!?」
「フィー!」
同じタイミングで背後から、私がいないことに気がついて追ってきたらしい、エルファンス兄様の足音と声がした。
それなのに混乱したままの私は抵抗もできず、お兄様が見ている前で他の男性――ラファエルにきつく抱き締められてしまった――
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