91 / 227
第5章 上流階級の優雅で華麗な日々
第88話 俺たち専用の狩り場 Exclusive territory
しおりを挟む
こういうわけで、心身どちらの面でも窮屈な生活が始まった。
たとえば、散歩をしようとするだけで爺やが止めてくる。
「坊ちゃま、旦那様から「外出を控えるように」と言われておりまして……」
あぁ、そうだ、そうでしたね! ちくしょう! お屋敷の庭を歩く程度すら許されないなんて!
しかたない。かわりにプラネットをぶらつくとしよう。哀れな俺が自由を味わえるのは、仮想現実だけさ。悲しいねぇ。
俺がログインした時、グレート・ベースにはレーヴェと他の仲間たちがいて、彼は提案した。
「よかったらガーデンに行かないか?」
満場一致で賛成。俺たちは、計5人のパーティを組んで出発した。
このだだっ広いガーデンは、正式には「スカルプチャー・ガーデン」という。スカルプチャー(sculpture)、すなわち彫刻がたくさん置かれてるんだ。
しかしその造形はとても奇妙でキモイ。だって、造ったのはプラネットの先住民だからな。地球人とまるきり違うセンスをしてて当然だ。
俺は、試しにいちばん近くの彫刻をながめる。そいつは巨大な輪ゴムを何度もひねったような形をしていて、おまけに極彩色で塗られている。
あまり長いこと見てると吐き気がしてきそうだ。静かに視線をそらし、レーヴェに話しかける。
「ねぇ、ジャマーは起動した?」
「もちろん。さ、行こう」
俺たちは歩き出す。油断なくあたりに気を配り、PK野郎に備えながらだ。
そう、ガーデンはPK可能ダンジョン。最強クランの俺たちを襲うアホなんてまずいないけど、転ばぬ先の杖だ。注意するに越したことはない。
やがて目的地が見えてくる。それは”キメラ”と呼ばれている動物の彫刻の近くで、他にもいろんな彫刻が転がっている。
プラネットには、こういう目印となるオブジェクトがあちこちにあって、その周辺はレア・モンスターがわきやすい。
したがって自然と多くのワンダラーが集まり、人が集まればいざこざが起き、殺し合い……PK合戦に発展する。
この”キメラ”周辺だってそうだ。でも心配はいらない、12号サーバー最強のレーヴェは、パワー3億5000万を誇る。
それに、俺や他の仲間たちだって3億ちょいある。データによると、このサーバーの重課金の平均パワーは2億。したがって、3億の俺たちが負けることは無い。
だから多くのワンダラーは、PK可能ダンジョンで俺たちを見た途端、街へ逃げ帰る。向かってくるのは『ネメシス』の構成員くらいなものだ。
あいつらだけは、さすがのレイザーズも対処に手を焼く。だが、遭遇するのは月に数回程度だ。そんな小さなリスクは無視してしまっていい。
結果として、俺たちが出向く美味しい狩り場は、いつだって俺たちが独占することになる。
そうだ、それでいい。俺たち重課金がゲームを支えてるんだから、見返りとしていろんな特権を享受するのは当たり前だ。何の問題がある?
こういったやり方に文句を言う無課金や微課金は多い。しかし、いくらお前らがわめこうと、俺たちは狩り場に居座り、楯突く野郎を皆殺しにする。
悔しいなら、お前らも重課金して俺たちを殺し、実力で狩り場から排除しろ。でもそれが出来ないんだから、おとなしく貧乏人向けのダンジョンにこもってな!
今日もいつと同じく、無人の狩り場で存分に暴れよう。しかし、仲間の一人である女性ワンダラー、メセドナが、何かに気づいてつぶやく。
「ねぇ、誰かいるみたいだよ」
マジで? どこのアホ? いや、まさか『ネメシス』のメンバーか?
くそ……。面倒事にならないといいが。
たとえば、散歩をしようとするだけで爺やが止めてくる。
「坊ちゃま、旦那様から「外出を控えるように」と言われておりまして……」
あぁ、そうだ、そうでしたね! ちくしょう! お屋敷の庭を歩く程度すら許されないなんて!
しかたない。かわりにプラネットをぶらつくとしよう。哀れな俺が自由を味わえるのは、仮想現実だけさ。悲しいねぇ。
俺がログインした時、グレート・ベースにはレーヴェと他の仲間たちがいて、彼は提案した。
「よかったらガーデンに行かないか?」
満場一致で賛成。俺たちは、計5人のパーティを組んで出発した。
このだだっ広いガーデンは、正式には「スカルプチャー・ガーデン」という。スカルプチャー(sculpture)、すなわち彫刻がたくさん置かれてるんだ。
しかしその造形はとても奇妙でキモイ。だって、造ったのはプラネットの先住民だからな。地球人とまるきり違うセンスをしてて当然だ。
俺は、試しにいちばん近くの彫刻をながめる。そいつは巨大な輪ゴムを何度もひねったような形をしていて、おまけに極彩色で塗られている。
あまり長いこと見てると吐き気がしてきそうだ。静かに視線をそらし、レーヴェに話しかける。
「ねぇ、ジャマーは起動した?」
「もちろん。さ、行こう」
俺たちは歩き出す。油断なくあたりに気を配り、PK野郎に備えながらだ。
そう、ガーデンはPK可能ダンジョン。最強クランの俺たちを襲うアホなんてまずいないけど、転ばぬ先の杖だ。注意するに越したことはない。
やがて目的地が見えてくる。それは”キメラ”と呼ばれている動物の彫刻の近くで、他にもいろんな彫刻が転がっている。
プラネットには、こういう目印となるオブジェクトがあちこちにあって、その周辺はレア・モンスターがわきやすい。
したがって自然と多くのワンダラーが集まり、人が集まればいざこざが起き、殺し合い……PK合戦に発展する。
この”キメラ”周辺だってそうだ。でも心配はいらない、12号サーバー最強のレーヴェは、パワー3億5000万を誇る。
それに、俺や他の仲間たちだって3億ちょいある。データによると、このサーバーの重課金の平均パワーは2億。したがって、3億の俺たちが負けることは無い。
だから多くのワンダラーは、PK可能ダンジョンで俺たちを見た途端、街へ逃げ帰る。向かってくるのは『ネメシス』の構成員くらいなものだ。
あいつらだけは、さすがのレイザーズも対処に手を焼く。だが、遭遇するのは月に数回程度だ。そんな小さなリスクは無視してしまっていい。
結果として、俺たちが出向く美味しい狩り場は、いつだって俺たちが独占することになる。
そうだ、それでいい。俺たち重課金がゲームを支えてるんだから、見返りとしていろんな特権を享受するのは当たり前だ。何の問題がある?
こういったやり方に文句を言う無課金や微課金は多い。しかし、いくらお前らがわめこうと、俺たちは狩り場に居座り、楯突く野郎を皆殺しにする。
悔しいなら、お前らも重課金して俺たちを殺し、実力で狩り場から排除しろ。でもそれが出来ないんだから、おとなしく貧乏人向けのダンジョンにこもってな!
今日もいつと同じく、無人の狩り場で存分に暴れよう。しかし、仲間の一人である女性ワンダラー、メセドナが、何かに気づいてつぶやく。
「ねぇ、誰かいるみたいだよ」
マジで? どこのアホ? いや、まさか『ネメシス』のメンバーか?
くそ……。面倒事にならないといいが。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー〜
天海二色
SF
西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。
珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。
その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。
彼らは一人につき一つの毒素を持つ。
医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。
彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。
これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。
……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。
※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります
※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます
※この小説は国家資格である『毒物劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。
参考文献
松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
鈴木勉 毒と薬 (大人のための図鑑)
特別展「毒」 公式図録
くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ
ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科
その他広辞苑、Wikipediaなど
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる