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第5章 上流階級の優雅で華麗な日々
第90話 か・え・れ! Turf out them all
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包囲完了。レーヴェがカウントを始める。
(3……2……1……ゼロ)
シュート! 俺たちは透明のまま撃ちまくり、敵を叩きのめす。
クリスタル・ドールが一瞬で砕け散り、続いてスエナたちが悲鳴を上げる。
「わぁぁぁーっ!」
「何だ!」
「まずい! 走れ!」
男2人が死体となって倒れていく中、スエナとおぼしきピンク髪が身を投げ出し、”キメラ”の後ろへ逃げこむ。
同時に、紫の髪を肩まで伸ばした女が反対方向へ走り、大きな彫刻を盾にするように体を押しつける。
ふん、それで隠れたつもりか? 残念だが丸見えだぜ! 俺はメカムを紫髪に向け、容赦なく撃ち殺す。
お次はスエナだ。しかしここからだと狙いづらい、それに今のあいつはバリアを張って防御している。うぜぇ……。
どうしよう? だが、悩む暇もなく事態は進んでいく。メセドナが乾電池型のスモーク・グレネードを投げこんで、スエナを煙に包む。
「わわ……」
スエナは咳きこみ、酔っぱらったような足取りで”キメラ”から飛び出す。
後は簡単だ。レーヴェが猛射撃を浴びせ、バリア・エナジーを枯渇させて無防備にする。そこに他の奴らが追い打ちを浴びせる。
「くたばれ!」
「死ね、ゴキブリが!」
無数の銃弾がスエナを貫き、彼女は崩れ落ちて動かなくなる。HPゲージを確認……ゼロ。死亡だな。
一段落ついたことで場に安心感が漂う。俺たちはステルスを解き、死体となったスエナたちの元へ歩み寄り、罵る。
「雑魚、雑魚!」
「思い知ったか、クソッタレ!」
「バァーカ!」
スエナが言い返す。
「黙れ! こんなの酷いだろ、いきなり攻撃してきて……!」
冷たい顔をしたレーヴェがスエナの死体のそばに立ち、喋る。
「ここはヘル・レイザーズ専用の狩り場だ。なのに君たちは侵入した、よって処罰した。それだけだ」
「専用の狩り場ぁ!? ふざけるな、そんなこと誰が決めた!?」
「我がヘル・レイザーズだ」
「あのなぁ! どこのダンジョンだって、公共の場所だろ! 誰かが独り占めなんて、そんなのおかしい!」
「ふん……」
レーヴェはスエナの顔に唾を吐き、語調を強めて反論する。
「だったら教えよう。この世の基本は弱肉強食、強い者が弱い者を支配し、命や財産を奪い、繁栄する。そうだろう?」
「違う!」
「ならば実例を出そう。カブトムシは、良いエサ場を見つけるとそこを独り占めする。
もし邪魔する者がいれば、自慢のツノで投げ飛ばし、力ずくで排除する。これが現実だ」
「だからっていきなりボクたちを撃ち殺して、そんなの犯罪だろ!」
「馬鹿なことを……(冷笑)。いいか、ここはPKが認められているダンジョンだ。誰がどこで誰を殺そうと、なんの問題ない」
「くぅっ……!」
顔をゆでダコのように赤くして、スエナは怒り狂い、叫ぶ。
「そんな横暴、ボクは認めない! 認めるもんか!」
「お前が認めようと認めなかろうと、そんなことはどうでもいい。弱肉強食の摂理は、お前の意思とは関係なく存在するのだから」
「ふざけるな!」
「……そんなに納得がいかないなら、別の話を聞かせてやろう。スエナ、プラネットは我々のような重課金者のおかげで成り立っている。
お前のような微課金が一年かけて支払う金額を、重課金は一週間とかからずに支払うのだ。
そういった事情を考えると、重課金がおいしい狩り場を独り占めして何が悪い? これは、課金と引き換えに獲得する当然の権利だ」
「勝手なことを! そんなの屁理屈だ!」
「うるさい」
レーヴェは右足を振り上げ、スエナの顔を踏みつぶす。やれやれ……結局こうなるんかい。
俺が呆れていると、背後からなにか暴力的な音が聞こえてくる。振り向くと、サンドマンが紫髪の顔を蹴り飛ばしているのが見える。
「オラ、オラ! 貧乏人の雑魚が! 調子こいてんじゃねぇぞ!」
「あなたって人は……!」
「オラオラァ!」
興奮し、サンドマンは怒鳴る。
「帰れ、帰れ! かえれ、か・え・れ! ザコは黙ってうちに帰れ!」
おもしれぇ、俺もやろう!
「そうだそうだ! 帰れ、帰れ、かえれ、か・え・れ!」
紫髪の死体がいきなり消える。街に帰ったんだな。それがお前にできる最大最善の判断だ、褒めてやるよ。
どこかでスエナの大声がする。
「ボクはお前らを許さない! 許さないぞ! 絶対、やり返してやる!」
俺は声だけで返事する。
「やれるもんならやってみな。ま、無理だろうけど」
「覚えてろぉーーーーーっ!」
弱いくせにうるせぇんだよ、クソが。さっさと帰れ!
(3……2……1……ゼロ)
シュート! 俺たちは透明のまま撃ちまくり、敵を叩きのめす。
クリスタル・ドールが一瞬で砕け散り、続いてスエナたちが悲鳴を上げる。
「わぁぁぁーっ!」
「何だ!」
「まずい! 走れ!」
男2人が死体となって倒れていく中、スエナとおぼしきピンク髪が身を投げ出し、”キメラ”の後ろへ逃げこむ。
同時に、紫の髪を肩まで伸ばした女が反対方向へ走り、大きな彫刻を盾にするように体を押しつける。
ふん、それで隠れたつもりか? 残念だが丸見えだぜ! 俺はメカムを紫髪に向け、容赦なく撃ち殺す。
お次はスエナだ。しかしここからだと狙いづらい、それに今のあいつはバリアを張って防御している。うぜぇ……。
どうしよう? だが、悩む暇もなく事態は進んでいく。メセドナが乾電池型のスモーク・グレネードを投げこんで、スエナを煙に包む。
「わわ……」
スエナは咳きこみ、酔っぱらったような足取りで”キメラ”から飛び出す。
後は簡単だ。レーヴェが猛射撃を浴びせ、バリア・エナジーを枯渇させて無防備にする。そこに他の奴らが追い打ちを浴びせる。
「くたばれ!」
「死ね、ゴキブリが!」
無数の銃弾がスエナを貫き、彼女は崩れ落ちて動かなくなる。HPゲージを確認……ゼロ。死亡だな。
一段落ついたことで場に安心感が漂う。俺たちはステルスを解き、死体となったスエナたちの元へ歩み寄り、罵る。
「雑魚、雑魚!」
「思い知ったか、クソッタレ!」
「バァーカ!」
スエナが言い返す。
「黙れ! こんなの酷いだろ、いきなり攻撃してきて……!」
冷たい顔をしたレーヴェがスエナの死体のそばに立ち、喋る。
「ここはヘル・レイザーズ専用の狩り場だ。なのに君たちは侵入した、よって処罰した。それだけだ」
「専用の狩り場ぁ!? ふざけるな、そんなこと誰が決めた!?」
「我がヘル・レイザーズだ」
「あのなぁ! どこのダンジョンだって、公共の場所だろ! 誰かが独り占めなんて、そんなのおかしい!」
「ふん……」
レーヴェはスエナの顔に唾を吐き、語調を強めて反論する。
「だったら教えよう。この世の基本は弱肉強食、強い者が弱い者を支配し、命や財産を奪い、繁栄する。そうだろう?」
「違う!」
「ならば実例を出そう。カブトムシは、良いエサ場を見つけるとそこを独り占めする。
もし邪魔する者がいれば、自慢のツノで投げ飛ばし、力ずくで排除する。これが現実だ」
「だからっていきなりボクたちを撃ち殺して、そんなの犯罪だろ!」
「馬鹿なことを……(冷笑)。いいか、ここはPKが認められているダンジョンだ。誰がどこで誰を殺そうと、なんの問題ない」
「くぅっ……!」
顔をゆでダコのように赤くして、スエナは怒り狂い、叫ぶ。
「そんな横暴、ボクは認めない! 認めるもんか!」
「お前が認めようと認めなかろうと、そんなことはどうでもいい。弱肉強食の摂理は、お前の意思とは関係なく存在するのだから」
「ふざけるな!」
「……そんなに納得がいかないなら、別の話を聞かせてやろう。スエナ、プラネットは我々のような重課金者のおかげで成り立っている。
お前のような微課金が一年かけて支払う金額を、重課金は一週間とかからずに支払うのだ。
そういった事情を考えると、重課金がおいしい狩り場を独り占めして何が悪い? これは、課金と引き換えに獲得する当然の権利だ」
「勝手なことを! そんなの屁理屈だ!」
「うるさい」
レーヴェは右足を振り上げ、スエナの顔を踏みつぶす。やれやれ……結局こうなるんかい。
俺が呆れていると、背後からなにか暴力的な音が聞こえてくる。振り向くと、サンドマンが紫髪の顔を蹴り飛ばしているのが見える。
「オラ、オラ! 貧乏人の雑魚が! 調子こいてんじゃねぇぞ!」
「あなたって人は……!」
「オラオラァ!」
興奮し、サンドマンは怒鳴る。
「帰れ、帰れ! かえれ、か・え・れ! ザコは黙ってうちに帰れ!」
おもしれぇ、俺もやろう!
「そうだそうだ! 帰れ、帰れ、かえれ、か・え・れ!」
紫髪の死体がいきなり消える。街に帰ったんだな。それがお前にできる最大最善の判断だ、褒めてやるよ。
どこかでスエナの大声がする。
「ボクはお前らを許さない! 許さないぞ! 絶対、やり返してやる!」
俺は声だけで返事する。
「やれるもんならやってみな。ま、無理だろうけど」
「覚えてろぉーーーーーっ!」
弱いくせにうるせぇんだよ、クソが。さっさと帰れ!
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