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第7章 革命前夜

第113話 理屈はいらない Lust for vengeance

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 相手がひるんだ今がチャンスだ。攻め立てよう。

「俺はPKがおかしいとは思わない。規約で認められている以上、やっていいに決まっている。
 それに、俺だって色んな奴をPKしてきた。だからそのことでレイザーズを非難するつもりはない」
「なら……」
「話は最後まで聞いてもらおう。
 PKは確かに運営から認められている、しかし無制限に認められているわけでもない。だから禁止ダンジョンが設置されている。
 にもかかわらず、そこで殺しをやるのは、運営の考えを無視するのと同じだ」
「いや、殺しといったってMPKだぞ? 禁止されているのはPKであって、MPKじゃない。だったら問題ねぇだろうが」
「詭弁はやめろ!
 禁止されているのは、「他のプレイヤーを殺す」という行為そのものだ! 殺しの方法が問題なのではなく、殺すことそのものが問題なんだよ!」
「……くそっ」

 ロン毛はそう言い捨てて俺をにらみ、突っかかる。

「黙れ! あんた、いま言ったよな? 自分もPKをやってきたって。人殺しのお前に正義を論じる資格なんてねぇ!」
「なんだと?」
「大体、お前はPKを認めてんだろ?
 だったら、同じくPKをやってるレイザーズを恨むとか、おかしな理屈じゃねぇか!」
「貴様……」

 灼熱の怒りが煮えたぎり、俺は思わず歯ぎしりする。感情があふれ出す。

「よく聞け、クソ野郎! そもそも理屈なんかどうだっていい!
 俺はレイザーズが憎い、俺を殺して侮辱したあいつらを許せない! だから復讐する! それだけだ!」
「ハ! 馬鹿か、お前?」
「馬鹿はお前だ! この会議はレイザーズに復讐するために開かれた、なのにお前みたいな異分子がいたら迷惑なんだよ……!
 帰れ! ドブネズミ!」

 場が静まり返る。しばらくしてロン毛は言う。

「……じゃあ好きにやってろ。クソッタレ。あばよ!」

 彼の姿が消える。ログアウトしたんだな。
 これでいい。それでは、会議を終わりへ導くとしよう。

「スエナ議長、提案がある」
「提案?」
「レイザーズと戦う気がない奴は退場してもらうんだ。無意味な言い争いはもう見たくない」
「……よし! みんな、アンドリューの言う通りだ。帰りたいなら帰ってくれ」

 スエナの言葉を受け、一人また一人とログアウトしていく。
 いじめっ子に立ち向かうより、泣き寝入りするほうを選ぶというわけか。救えないクズばかりだ!


《スエナの視点》
 一時はどうなるかと思ったけど、アンドリューのおかげで助かった。感謝だね!
 せっかく彼がここまで頑張ってくれたんだ。最後くらい議長としてしっかりシメなくちゃ。

「残ってくれたみんな、どうもありがとう。それじゃあ結論! ここにいる全員で対ヘル・レイザーズ連合軍を結成することを宣言します!」

 まばらな拍手があがる。うぅ……ちょっとさびしい雰囲気かも。会議が始まる前は、もっとたくさん参加して大盛り上がりって想像してたのになぁ……。
 だいたいこれ、クラン単位で考えたら3つしか参加してないじゃん。ボクのウサギ王国、ネメシス、エクレール。連合軍というわりに戦力が少なくない?

 とはいえウサギ王国だけで戦うよりはずっとマシだ。それに、考えを改めて「参加したい」って申し出るクランが後日に出てくるかも。
 あるいは、個人的な考えで所属クランを抜けて軍に移る人だって出現するかもしれない。

 そうだそうだ、まだ今後に期待できる! ネガティブに考えるのはやめたほうがいいよね、そうでしょ?
 とにかく話がまとまったわけだし! 今回はこれでオールライトだ!
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