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第8章 マフィア・ラプソディ
第125話 信賞必罰 Omerta
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ジョンは大きな損害を発生させた。近いうちに間違いなく罰せられる。しかし罰は具体的になんなのかをウーファンは知らない、だから好奇心を感じる。
「姐さん、ジョンはどうなるんですかね」
「いつものルール通りならバラされるでしょう」
「でも腎臓病なわけですよね? そんなんバラしても……」
「腎臓以外が健康なら問題ありません。肝臓でもすい臓でも、売り物になる臓器はたくさんある」
「あんなクソデブ、全身どこも病気そうですけど……」
「検査してみないとわかりませんよ」
「もし何ひとつ売れる臓器がないなら、じゃあどうなっちゃうんです?」
「さぁ……。よく知りません」
大きなビルが見えてくる。マフィア所有のアジトだ。車はそれの地下駐車場へと入っていく。会話が打ち切られる。
ある日の昼間、ジェーンはピーターのジャンク・ジョイントに行った。使えそうなインテルを手に入れるためだ。
ピーターは、元々はマフィアのメンバーで、あるとき引退してこの店を始めた。そして「ヤバいネタに自分を巻きこまない」ことを条件に、今も組織を手伝っている。
こういった背景があるから、ピーターは裏社会に顔が利く。このあたりの不良がマフィアともめた時、ピーターが仲裁できるのもそのせいだ。
不良たちはこんなピーターを「頼れる兄貴」と慕っているが、実際は違う。いわゆるケツモチと大差ない。
それに、ピーターは自分の立場を利用してあれこれこすっからく儲けている。そんな彼のどこが善人なのか?
たとえば、不良に「このまえ助けた恩を返してくれ」といって荷物運びのバイトを押しつけ、上がりをハネる。
運び役となった不良は「ただの小荷物」と思っているが、中身は麻薬だ。警察に見つかればただではすまない。
ではもし不良が逮捕されたらどうなるのか。事情を聞きにきた警察官にピーターは言ってのけるだろう。
「そんな野郎は知らねぇ。俺と何の関係もない」
トカゲの尻尾切りだ。後のトラブル処理はマフィアが行う、運び役は一部始終を誰かに話す前に口封じされ、二度とジョイントに来なくなる。
こうしてピーターの行いは表面化せず、いい人という評判が保たれる。
彼は口封じとは具体的に何なのかを知らない、知りたい気持ちはある。だが絶対に探らない。
なぜなら、「面倒な話がつつがなく終了した」という結果だけが重要だからだ。過程はどうでもいい。むやみにいろいろ調べて命を危険にさらすリスクは御免だ。
マフィアは違う。己の利益に関わることはどんなにハイ・リスクであろうと必ず調査し、犯人を突き止めてケジメをつけさせる。
もっとも、それがLMであればさすがに諦める。勝ち目のないケンカは意味がない。だが今回の事件に関していえば、はたしてLMは犯人か?
彼女は国家予算を好きなだけ使える。わざわざマフィアの金に手を出す必要はない。ということは、彼女以外の誰かが犯人なのだ。
ならばいくらでも強気になれる。敵対マフィアの仕業であれ、不良やチンピラの犯行であれ、いつの日か「罰すべき相手は必ず罰する」ルールを実行する。
そのためにも早く犯人を捕まえなくてはならない。そして例の駐車場はピーターの情報網の範囲内にあるのだから、彼が事件解決のヒントを知っている可能性は高い。
ジェーンはジョイントに入る。店内のラジオから流れるジャズが耳に入ってくる。客は誰もいないらしい、話しこむにはちょうどいい。
彼女は(ツイてるな)と思う、そのタイミングでピーターが挨拶する。
「おぉ、ジェーン! いらっしゃい!」
「お邪魔します」
「いやー久しぶり! まま、立ち話もなんだしよ。そこに座ってくれ」
カウンター席を使えということらしい。ジェーンは指示された通りに行動し、物静かに腰を落ち着ける。
「で、今日はどうした? 仕事絡み?」
「ちょっとあなたに聞きたいことがあってね……」
「姐さん、ジョンはどうなるんですかね」
「いつものルール通りならバラされるでしょう」
「でも腎臓病なわけですよね? そんなんバラしても……」
「腎臓以外が健康なら問題ありません。肝臓でもすい臓でも、売り物になる臓器はたくさんある」
「あんなクソデブ、全身どこも病気そうですけど……」
「検査してみないとわかりませんよ」
「もし何ひとつ売れる臓器がないなら、じゃあどうなっちゃうんです?」
「さぁ……。よく知りません」
大きなビルが見えてくる。マフィア所有のアジトだ。車はそれの地下駐車場へと入っていく。会話が打ち切られる。
ある日の昼間、ジェーンはピーターのジャンク・ジョイントに行った。使えそうなインテルを手に入れるためだ。
ピーターは、元々はマフィアのメンバーで、あるとき引退してこの店を始めた。そして「ヤバいネタに自分を巻きこまない」ことを条件に、今も組織を手伝っている。
こういった背景があるから、ピーターは裏社会に顔が利く。このあたりの不良がマフィアともめた時、ピーターが仲裁できるのもそのせいだ。
不良たちはこんなピーターを「頼れる兄貴」と慕っているが、実際は違う。いわゆるケツモチと大差ない。
それに、ピーターは自分の立場を利用してあれこれこすっからく儲けている。そんな彼のどこが善人なのか?
たとえば、不良に「このまえ助けた恩を返してくれ」といって荷物運びのバイトを押しつけ、上がりをハネる。
運び役となった不良は「ただの小荷物」と思っているが、中身は麻薬だ。警察に見つかればただではすまない。
ではもし不良が逮捕されたらどうなるのか。事情を聞きにきた警察官にピーターは言ってのけるだろう。
「そんな野郎は知らねぇ。俺と何の関係もない」
トカゲの尻尾切りだ。後のトラブル処理はマフィアが行う、運び役は一部始終を誰かに話す前に口封じされ、二度とジョイントに来なくなる。
こうしてピーターの行いは表面化せず、いい人という評判が保たれる。
彼は口封じとは具体的に何なのかを知らない、知りたい気持ちはある。だが絶対に探らない。
なぜなら、「面倒な話がつつがなく終了した」という結果だけが重要だからだ。過程はどうでもいい。むやみにいろいろ調べて命を危険にさらすリスクは御免だ。
マフィアは違う。己の利益に関わることはどんなにハイ・リスクであろうと必ず調査し、犯人を突き止めてケジメをつけさせる。
もっとも、それがLMであればさすがに諦める。勝ち目のないケンカは意味がない。だが今回の事件に関していえば、はたしてLMは犯人か?
彼女は国家予算を好きなだけ使える。わざわざマフィアの金に手を出す必要はない。ということは、彼女以外の誰かが犯人なのだ。
ならばいくらでも強気になれる。敵対マフィアの仕業であれ、不良やチンピラの犯行であれ、いつの日か「罰すべき相手は必ず罰する」ルールを実行する。
そのためにも早く犯人を捕まえなくてはならない。そして例の駐車場はピーターの情報網の範囲内にあるのだから、彼が事件解決のヒントを知っている可能性は高い。
ジェーンはジョイントに入る。店内のラジオから流れるジャズが耳に入ってくる。客は誰もいないらしい、話しこむにはちょうどいい。
彼女は(ツイてるな)と思う、そのタイミングでピーターが挨拶する。
「おぉ、ジェーン! いらっしゃい!」
「お邪魔します」
「いやー久しぶり! まま、立ち話もなんだしよ。そこに座ってくれ」
カウンター席を使えということらしい。ジェーンは指示された通りに行動し、物静かに腰を落ち着ける。
「で、今日はどうした? 仕事絡み?」
「ちょっとあなたに聞きたいことがあってね……」
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