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人形レストランで食事をする
しおりを挟む無事念願の魔石を手に入れた私達は、本屋に向かった。
途中、奏那が屋台をじっと見つめたり、飲食店を覗いたりと、そわそわしていたが、私は無視を決め込んだ。
先程の暴挙を反省してもらわなければいけない。
落ち着かない奏那を引き連れて、本屋に到着した。中に入ってみると、とても小さなお店で、置いている本も少なかった。
私は奥のカウンターに向かい、白髪混じりの老人を見つけ、話をすることにした。
まずは、事前に言葉を書いておいた紙を取り出し、老人に見せる。
【突然すみません。伺いたいことがあるのですがよろしいですか?私は声を出すことができませんが、聞くことはできます。】
老人は文字を読み終わると、にっこりと、人の良さそうな笑顔で快く頷いてくれたので、私は新しい紙にスラスラと質問書いた。
【賢者様と呼ばれる人のことをご存知ですか?】
『ええ、知っていますよ。彼は人類の救世主とも呼ばれている偉大な方ですね。』
【その賢者様のことを詳しく知りたいのですが、教えていただけますか?】
『なるほど、では、そこの棚にある本をお勧めしますよ。賢者様の功績などを詳しく記されていますので。』
老人が教えてくれた本をいくつか手に取り、奏那にアイテムバックの本と照らし合わせてもらう。
どの本も持っていなかったので、購入を決めた。
お礼をいいつつ、また紙に文字を書く。
【魔王や、魔族に関する本はありますか?過去の歴史についてを勉強しているのですが】
『それでしたら、あちらの棚にありますよ。それにしても、不思議なことを勉強しているんですね。』
奏那に本をお願いして、私は店主との会話を続けた。
【ええ。過去のことは知っておくべきだと思いまして。ある程度知ることができたら、他に興味が移ってしまうんですけどね。】
嘘を交えながら、そう答える。
老人は感心したように、ほぅと息を吐き、でしたらこちらも読んでみるといい、と言いながら老人の後ろにある本棚から一冊の本を取り出した。
『これは魔族が書いたとされる本でしてね。以前に知人から譲り受けたのですが、何が書いてあるかさっぱりわからんのですよ。あなたの好奇心を刺激する物だと思いますよ。いかがです?』
私はその本を手にとりパラパラとめくってから、その本も購入することに決めた。
本の代金を支払い、最後にオススメの食事処の場所を聞いた後、丁寧にお礼を言ってから、本屋を出た。
老人に紹介してもらったお店は、こじんまりとした居酒屋風のお店で、二人の恰幅のいい女性が営んでいた。
私達が席につくと、いらっしゃい!何にする?と元気に声をかけてくれた。
紙に、肉料理とオススメの料理一人分づつと書いて女性に渡すと、はいよ!と厨房に入って行った。
(どんな料理か楽しみだね!)
ワクワクしながら奏那に話しかけると、奏那は紙を見て
(なんで一人分づつなの?この身体は、いくらでも食べれるのに。)
と不満そうに、呟いた。
そうきたか。と、頭をひねりながら、なだめる言葉を探した。
(私はこの後に家具が売ってるお店に行きたいの。二人でゆったり吸われるソファとか、テーブルを買おうと思ってる。あとは、コンロも欲しい。もちろん自炊の為にね。こっちで、料理をするのは初めてだから、たくさん味見をして欲しいの。ねぇ、奏那。森の中でゆったりソファに座って食べる食事を想像してみて。絶対に美味しいと思うよ?)
(そうだね!そっちの方がいいね!!)
わかってくれたらしい。
私は頷いて、何の料理を作るかを話し合った。
しばらくすると、料理が運ばれてきて、お互いの料理を分け合いながら食した。
料理を作ってくれた人には大変申し訳ないが、日本での食事を知っている私達はがっかりしてしまった。
お肉は豪快にステーキのように焼いて、濃い味付けのソースがかかっていた。お肉は火を通しすぎて硬くパサついていて、ジューシーさのかけらもなかったし、ソースも柑橘系の果物から作られた、しょっぱくて酸っぱいだけのものだった。
オススメ料理も、野菜炒めのようなもので、こちらも野菜のシャキシャキ感が無くなるほど火を通されいたし、味もステーキのソースと同じものだった。
甘みも、旨味も感じられないような味付けに、レストランよりも屋台の方が美味しいかもしれないと思った。
食事を続けながら、先程の本屋で手に入れた本について話をした。
老人がオススメしてくれた、魔族が書いた本について、気づいたことがあったのだ。
老人は読めないと言っていたが、私は問題なく読むことが出来た。恐らく、龍のコアのおかげだと思う。もしかすると、この世界の全ての言語が理解できるのではないかと思ったのだ。
(また、すごいチートだね。)
奏那はお肉をムシャムシャとほうばりながら言った。
(うん、本当によかったよ。魔族の書いた本もすごい興味あるし、早速今日の夜読んでみるよ。)
(感想聞かせてね。)
自分では読む気はないらしい。
そのまま、話をしながら、食事を続けた。
あまり、好きな味ではなかったが"お残しは許しまへん"の日本人精神を発揮し、綺麗に完食した。
私達が食べ終わったことを確認して、皿を下げにきた店員さんに、お代を支払い、新鮮な食料を購入できる場所を聞く。
すると、市場を紹介してくれた。
大きな路地の両脇に出店をだして、様々な物が売り買いされているらしい。
家具や武器などの出店も出ているとの、嬉しい情報を聞き、早速買いに行くことにした。
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