クレハンの涙

藤枝ゆみ太

文字の大きさ
上 下
73 / 149
【クレハンの涙】第二章

73話

しおりを挟む
 ミルキーの元を発って二日。

 二人はラビの母が昔働いていた、歴史資料館れきししりょうかんのある隣町へとやって来たのだ。

「お母さんは第五大陸だいごたいりくの歴史や、遺跡の調査をしている人なの。だから大陸全土を駆け巡る遺跡調査隊いせきちょうさたいに選ばれた時は、そりゃあもう小躍りして喜んでたわ」

「へぇ……で?第五大陸とは何だ?」

「え?あー……知らないのか」

 ラビは疑問符の浮かんだフェグの顔を見つつ、その両腕をいっぱいに広げた。

「第五大陸ってのは、今いるこの大陸の事を指してるのよ。ほら、あそこ見てっ!大陸の中心に、大きな柱があるでしょ?」

 ラビが指す方向には、こんな遠くからでも分かる程の、それは巨大な柱がそびえ立っている。

 天上に伸びた柱は流れる雲に隠され、その全体を見る事は到底叶わない。

「あの柱はね、雲を突き抜けはるか上空、神々の国までつながっているそうよ。神々の国の下に、第一大陸。第二大陸。第三大陸。第四大陸。そして、私達が今いる第五大陸があるってわけ」

しおりを挟む

処理中です...