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【ミニュモンの魔女】第一章
20話
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クラコとジャムが契約を交わして一週間が過ぎたある日の朝。
「ふあぁ~……うー、もう朝か」
床に寝転がっていたジャムは、清々しい空気を肺一杯吸い込み、う~んと伸びをする。
ボリボリ掻く頭には豊かな髪が……
クラコに切られた汚い長髪は、この一週間で殆ど元に戻ってしまった。
バスタオル一枚でずっと過ごしていたのだが、やはり物凄く周りの目が気になる。
よく菓子を買いにやって来る村の子供達が、珍しいものを見るような目でじーっと見つめてくるのだ。
そして今日も……
「クラコちゃーん」
「おー?何だ坊主、また来たのかよ」
「あー、風船のおじちゃんた」
「はあぁ?何だそりゃあ??」
「おじちゃん、風船みたいなお腹なんだもん……」
「あのなぁ、俺はおじちゃんじゃねぇ。まだまだ若いんだよっ」
「ふぅーん」
「それよかクラコに用だろ?」
「んー」
「どうせ買い物だよな……。ちょっと待ってろ」
ジャムはキッチンへ行き、クラコの作った菓子が入っている箱を持って来る。
「どれがいんだ?」
「あのねぇ……マスマロが欲しーの」
「マスマロー?どれだ???」
「えっとぉ……これー」
「ふぅん、これかぁ。……よっと」
ジャムは箱の中の真っ白い菓子をガサゴソ取り出す。
「……ねぇねぇ」
「あー?」
「おじちゃんはクラコちゃんのおじちゃんなの?」
「だから、おじちゃんじゃ無ぇっつってんだろうが。クラコのおじちゃんでも無ぇっつの」
「じゃあお父さーん?」
「お父さんでも無ぇって。クラコとは姉弟とか家族とか、そう言うんじゃ無ぇんだよ」
「ふぅーん」
「それから俺の名前はジャムミッツだっ」
「ジャムー?」
「そうだ。大体だなぁ、俺はクラコより年下だっつのっ」
「えーっ、うっそだぁー」
「本当だっ!」
ここ数日、遠巻きに見ているだけだった子供達がジャムに絡みついてくる様になっていた。
見た目はともかく、クラコと違って調子よく喋るジャムの方が接しやすいのだ。
菓子を受け取り満面の笑みで帰って行く男の子を見ていると、ジャムはホームにいる小さな弟分達の事を思い出してしまう。
「あいつら、元気かな……」
ボンヤリと故郷の事を考えながら菓子箱をキッチンへ戻し、その途中にあるクラコの寝室に目を向ける。
「クラコ、まだ寝てんのかな?」
ガッチリ閉まったクラコの私室は、絶対入室禁止令が出ている。
たとえ契約を交わした者同士だとしても、入ったが最期らしい。
「ま、まあ……入りゃしねぇけどな、ハハ……。そ、それにしても……ここは本当、平和だよなあっ」
「そうかしら?」
「ぐわぁぁぁっ!!」
「……少し驚きすぎじゃない?」
「い、いや、部屋にいるもんだと思ってたからよぉ」
「ふぅん?」
クラコは相変わらず厚化粧で素顔が見えない。しかし、それ以外は今日も完璧だった。
全身黒の妖艶な魔女ルック。念入りにブラッシングした艶やかな黒髪を揺らめかせてジャムの横を通り過ぎる。
鼻をくすぐる甘い匂いに、思わずぼーっとしてしまう。
「ねぇ?聞いているの?」
「え?……え、な、何だ??」
「はぁ……。あなたもだいぶ元気になったわねって言ったの」
「ふあぁ~……うー、もう朝か」
床に寝転がっていたジャムは、清々しい空気を肺一杯吸い込み、う~んと伸びをする。
ボリボリ掻く頭には豊かな髪が……
クラコに切られた汚い長髪は、この一週間で殆ど元に戻ってしまった。
バスタオル一枚でずっと過ごしていたのだが、やはり物凄く周りの目が気になる。
よく菓子を買いにやって来る村の子供達が、珍しいものを見るような目でじーっと見つめてくるのだ。
そして今日も……
「クラコちゃーん」
「おー?何だ坊主、また来たのかよ」
「あー、風船のおじちゃんた」
「はあぁ?何だそりゃあ??」
「おじちゃん、風船みたいなお腹なんだもん……」
「あのなぁ、俺はおじちゃんじゃねぇ。まだまだ若いんだよっ」
「ふぅーん」
「それよかクラコに用だろ?」
「んー」
「どうせ買い物だよな……。ちょっと待ってろ」
ジャムはキッチンへ行き、クラコの作った菓子が入っている箱を持って来る。
「どれがいんだ?」
「あのねぇ……マスマロが欲しーの」
「マスマロー?どれだ???」
「えっとぉ……これー」
「ふぅん、これかぁ。……よっと」
ジャムは箱の中の真っ白い菓子をガサゴソ取り出す。
「……ねぇねぇ」
「あー?」
「おじちゃんはクラコちゃんのおじちゃんなの?」
「だから、おじちゃんじゃ無ぇっつってんだろうが。クラコのおじちゃんでも無ぇっつの」
「じゃあお父さーん?」
「お父さんでも無ぇって。クラコとは姉弟とか家族とか、そう言うんじゃ無ぇんだよ」
「ふぅーん」
「それから俺の名前はジャムミッツだっ」
「ジャムー?」
「そうだ。大体だなぁ、俺はクラコより年下だっつのっ」
「えーっ、うっそだぁー」
「本当だっ!」
ここ数日、遠巻きに見ているだけだった子供達がジャムに絡みついてくる様になっていた。
見た目はともかく、クラコと違って調子よく喋るジャムの方が接しやすいのだ。
菓子を受け取り満面の笑みで帰って行く男の子を見ていると、ジャムはホームにいる小さな弟分達の事を思い出してしまう。
「あいつら、元気かな……」
ボンヤリと故郷の事を考えながら菓子箱をキッチンへ戻し、その途中にあるクラコの寝室に目を向ける。
「クラコ、まだ寝てんのかな?」
ガッチリ閉まったクラコの私室は、絶対入室禁止令が出ている。
たとえ契約を交わした者同士だとしても、入ったが最期らしい。
「ま、まあ……入りゃしねぇけどな、ハハ……。そ、それにしても……ここは本当、平和だよなあっ」
「そうかしら?」
「ぐわぁぁぁっ!!」
「……少し驚きすぎじゃない?」
「い、いや、部屋にいるもんだと思ってたからよぉ」
「ふぅん?」
クラコは相変わらず厚化粧で素顔が見えない。しかし、それ以外は今日も完璧だった。
全身黒の妖艶な魔女ルック。念入りにブラッシングした艶やかな黒髪を揺らめかせてジャムの横を通り過ぎる。
鼻をくすぐる甘い匂いに、思わずぼーっとしてしまう。
「ねぇ?聞いているの?」
「え?……え、な、何だ??」
「はぁ……。あなたもだいぶ元気になったわねって言ったの」
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