あの日あこがれた瞬間移動

暁雷武 

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冒険者編

冒険者編5 レッツゴー初ダンジョン

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 以降、俺とラズはさまざまなクエストを受けていった。クエストといっても実際に魔物と戦うものはほとんどない。ただのお手伝いって感じだ。冒険者というよりも何でも屋の方が名前としてあっている。農場の護衛という名目で農家の手伝いをさせられたり、ただの採取クエストだったり、大工さんお手伝いとか。まぁ色々である。
 Fランクだからというのもあるだろうがそれにしてもイメージと違いすぎてやる気をなくしそうだ。だが、お金がかかっているからするしかない。

 もちろんクエストの内容はシータの街の人々の手助けなわけなのでシータの街で俺とラズは少しずつ有名になっていった。

「俺とラズ」というのは正確ではない。「ラズとラズの主人」って感じだ。人型のよく喋る珍しい精霊と、主人のはずなのに圧倒的に精霊よりも立場が下の俺。不服だがもうそのイメージで固定されている。
 三か月くらいたつと、ラズのせいでギルドの中で俺は不憫キャラになっておりいろんな冒険者から好かれるようになった。そのおかげと、順調にクエストを達成していったからなのか、ランクは二つ上がってDになった。ランクが上がるごとに段々と魔物と戦うことが増えて行った。Dランクになるとようやくダンジョンに行くことができる。



「こことここ、あとはこのダンジョンですね。」

 そういって、ミールは受付のテーブルに三つのダンジョンの資料を広げた。

 それを凝視しても、どれに行けばいいかなんてわからない。
「お勧めとかってある?」
「そうですねー。…キリアスさんであればどこのダンジョンでも問題はないと思うので、一番遠いですがこのシルバダンジョンがお勧めですね。Dランク推奨ダンジョンなので中にいる魔物の強さはほとんど一緒です。
 なので魔物の量が一番多いシルバダンジョンがお勧めですね。」

 そういって、一つの地図を手渡してきた。
「これがシルバダンジョンのマップです。このマップでは三階層までの地図と現れる魔物が書かれています。
 キリアスさんはDランクなので三階層までですが問題なければ三階層以降に行ってもらっても大丈夫です。
 三階層以降の変化は魔物の数が増えるだけです。」

 この説明の感じなら三階層以降に言っても問題なさそうだな。いざとなればラズもいるし大丈夫か。
「ありがとう、ミール。とりあえず行ってみるよ。」
「感謝されるようなことはしておりません。当然のことをしたまでです。
 ただ、感謝されるのは悪い気分ではないのでどんどん褒めてほしいです。今すぐダンジョンに出向くのですか?」
「あぁ、行こうと思ってるぞ。」
「それなら馬車を用意しますのでその馬車でダンジョンに行ってください。ギルドからの紹介なので安く済みますよ。
 気をつけて、いってらっしゃい!」

「……あぁ、行ってくる。」
 俺は振り返り、すぐにギルドを出た。


「ねぇ、主。ニヤニヤしてて気持ち悪い。ミーちゃんに惚れてんの?」
「!!そ、そんなわけないだろ!惚れてるわけじゃない。それに可愛いと思うのは悪いことじゃないだろ。」

「主の気持ち悪いところはしっかり開き直るところだよね。まぁいいや、さっさいこ。」
「?なんか怒ってるか?」
 ラズは俺のことをじっと見た後に、

「……主、嫌い。」
 何だこいつ。



 その後、ラズと一緒に馬車に乗ってシルバダンジョンに向かった。
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