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冒険者編
冒険者編22 他人に心配かけすぎです
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「おーい、キリアス。……シータについたぞー。」
カルナの声が聞こえた。どうやらシータについたようだ。
……あら?……からだが、うごかないぞ?
いいや、動かないというより、……いたいぞ?
俺、キリアスにはこういう経験がこれまでに二度ある。だからこそ俺には段々と痛覚耐性すらついてきた。それに、骨が折れているということも感覚的にわかってしまった。
腕と背骨がイっている。特に腕はひどいな。
「なぁ、カルナ。上半身だけでいいから起こしてくれないか?そこからは自分で動ける。」
「何というか、お前は遠慮がないよな。」
「こういうことには慣れている。人に介護され慣れているんだ。」
俺はそんなことを自慢げに言っていた。
「自慢できることじゃないけどな。……ま、それぐらいでいいなら手伝わせてもらおう。」
そこで俺は、あの洞窟にいた時は腕に痛みはなかったことを思い出した。疲労感の方が強かったからだろうか。
なんて考えながら、カルナに上半身を起こしてもらい、馬車を降りた。
「サンキュー。……さて、ギルドに行くか。……さっきシータによろうと思ってたって言ってたが、用事でもあるのか?」
「まぁ、……恩人というか、勝ちたい奴というか。…
……ギルドマスターっているだろ。あいつは…俺の師匠なんだ。」
「え?!あの酒飲みおっさんが、お前の?!……嘘だろ…。」
「ははっ!酒飲みおっさんか!確かにずっと酒飲んでるな。だが、あれでもギルドマスターだし、剣術だけなら俺よりも強い。」
正直あんなおっさんを尊敬したくない。年下の弱みを握ったら煽り続ける奴だ。
……だが、ドンキがこいつの師匠ってことは本当なんだろう。嘘を言ってる目ではない。
なんてことを言い合っていると、すぐにギルドについた。
こんな夜の時間であれば、ギルドの中では冒険者が酒を飲みながら盛り上がっているのが常なのだが今日はなんだか静かである。
もう酔いつぶれてしまったのだろうか。
そうして、俺はギルドの扉を開けた。
「帰ったぞー、何だかいつもより暗いが、いったいどうし、……」
俺が扉を開けると、もはや雰囲気がお通夜だった。テーブルの上には飯もなければ酒もない。こんなの初めて見たかもしれない。
「何、誰かが死んだみたいな顔してんだ。」
俺がそう言うと、ギルドにいた全員が俺の方を向き、ため息をついた。ちなみにミールはカウンターテーブルに突っ伏していた。
俺がそんなみんなを見ていると、グルークがずかずかと歩いてきた。
「お、おい。なんだ、どうした?怖いって!」
グルークは俺の首根っこをつかんで、
「無駄に心配させるんじゃねえ!」
投げ飛ばした。しかも、結構豪快に投げられた。
俺の視界が反転するほど。
「ぐあっ。……ほ、ほんとに死にそうだから。誰か治癒魔術かけてくれ。」
投げ飛ばされた音を聞こえたからか、机に突っ伏していたミールは顔を上げた。目の下を赤くしていてさっきまで泣いてことがよく分かった。
俺を見たミールはすぐに立ち上がり、倒れている俺に抱き着いてきた。
「……ほんとに心配したんだから…。死んじゃったんじゃないかって思った。……生きててよかった。」
やっぱりミールに抱き着かれるのはうれしい。その力が強いからこそ、もっと嬉しい。
うれしいのだが、……俺はいま骨折している。いくら痛覚耐性があるといっても、限度があるわけだな。
さっきまで馬車の中で寝ていたのに、俺はまた意識を失ってしまった。
カルナの声が聞こえた。どうやらシータについたようだ。
……あら?……からだが、うごかないぞ?
いいや、動かないというより、……いたいぞ?
俺、キリアスにはこういう経験がこれまでに二度ある。だからこそ俺には段々と痛覚耐性すらついてきた。それに、骨が折れているということも感覚的にわかってしまった。
腕と背骨がイっている。特に腕はひどいな。
「なぁ、カルナ。上半身だけでいいから起こしてくれないか?そこからは自分で動ける。」
「何というか、お前は遠慮がないよな。」
「こういうことには慣れている。人に介護され慣れているんだ。」
俺はそんなことを自慢げに言っていた。
「自慢できることじゃないけどな。……ま、それぐらいでいいなら手伝わせてもらおう。」
そこで俺は、あの洞窟にいた時は腕に痛みはなかったことを思い出した。疲労感の方が強かったからだろうか。
なんて考えながら、カルナに上半身を起こしてもらい、馬車を降りた。
「サンキュー。……さて、ギルドに行くか。……さっきシータによろうと思ってたって言ってたが、用事でもあるのか?」
「まぁ、……恩人というか、勝ちたい奴というか。…
……ギルドマスターっているだろ。あいつは…俺の師匠なんだ。」
「え?!あの酒飲みおっさんが、お前の?!……嘘だろ…。」
「ははっ!酒飲みおっさんか!確かにずっと酒飲んでるな。だが、あれでもギルドマスターだし、剣術だけなら俺よりも強い。」
正直あんなおっさんを尊敬したくない。年下の弱みを握ったら煽り続ける奴だ。
……だが、ドンキがこいつの師匠ってことは本当なんだろう。嘘を言ってる目ではない。
なんてことを言い合っていると、すぐにギルドについた。
こんな夜の時間であれば、ギルドの中では冒険者が酒を飲みながら盛り上がっているのが常なのだが今日はなんだか静かである。
もう酔いつぶれてしまったのだろうか。
そうして、俺はギルドの扉を開けた。
「帰ったぞー、何だかいつもより暗いが、いったいどうし、……」
俺が扉を開けると、もはや雰囲気がお通夜だった。テーブルの上には飯もなければ酒もない。こんなの初めて見たかもしれない。
「何、誰かが死んだみたいな顔してんだ。」
俺がそう言うと、ギルドにいた全員が俺の方を向き、ため息をついた。ちなみにミールはカウンターテーブルに突っ伏していた。
俺がそんなみんなを見ていると、グルークがずかずかと歩いてきた。
「お、おい。なんだ、どうした?怖いって!」
グルークは俺の首根っこをつかんで、
「無駄に心配させるんじゃねえ!」
投げ飛ばした。しかも、結構豪快に投げられた。
俺の視界が反転するほど。
「ぐあっ。……ほ、ほんとに死にそうだから。誰か治癒魔術かけてくれ。」
投げ飛ばされた音を聞こえたからか、机に突っ伏していたミールは顔を上げた。目の下を赤くしていてさっきまで泣いてことがよく分かった。
俺を見たミールはすぐに立ち上がり、倒れている俺に抱き着いてきた。
「……ほんとに心配したんだから…。死んじゃったんじゃないかって思った。……生きててよかった。」
やっぱりミールに抱き着かれるのはうれしい。その力が強いからこそ、もっと嬉しい。
うれしいのだが、……俺はいま骨折している。いくら痛覚耐性があるといっても、限度があるわけだな。
さっきまで馬車の中で寝ていたのに、俺はまた意識を失ってしまった。
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