受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128

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教師2年目

逆算

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いくらなんでも、情報がなさすぎる。
辺境の学校でもあるまいし、家に向かうルートも多種多様。
ライヤとヨルで見回りをしていた時はライヤがヨルを抱えて空中をショートカットしていたがヨルだけではできない。
逆に言えば、地面の入り組んだ道にいるのでいたとしても上からでは簡単に見つけられない。

「白ローブなら目立ちそうなもんだけど……!」

日は既に落ち、街灯が夜道を照らす。
学園周りは街灯もあるが、王城と逆の方向に向かうにつれて減っていく。
教師が白ローブなのは、どこにいても目立つ白ローブでも賊ぐらい撃退できるぞ、という自信の表れらしい。
逆に生徒が黒ローブなのは何があっても有利になるようにするため。
校外実習で野獣と戦う際に身を隠すのにも適している。

生徒の黒ローブは置いておくにしても、見回りに行ったらしいヨルは白ローブを着て出かけているはずだ。
相当に目立つはずなので、目撃者がいてもおかしくはない。
だがひとまずは自身で探すしかない。
1人での聞き込み程意味のないものもない。

「先生?」
「……よく会うな」

呼び止められ、足を止める。
そこにいたのは見覚えのある馬車から顔をのぞかせているエリアル・グランドだった。

「今日は馬車のチェックはしなくて良いので?」
「信用してる。で、なぜここに?」

貴族街は事件が起こってからというもの警備がかなり強化された。
よって学園の教師が見回る必要がない。
より多く平民が住んでいる方が危なくなるはずなので、そちらを見回っていたはずだとライヤは探しに来た。
つまり、ここは平民街。
公爵家のエリアルが来るはずのない場所である。

「見回りのまねごとです。実際に私が来る必要はなかったですが、無理を言ってついてきています」
「……偉いと言っていいのか悪いのか……」
「馬車でも辛いです」
「だろうな。馬車の方が辛いんじゃないか?」

もちろん高貴な方々の馬車用の整備なんてされていない道路。
相当に揺れただろう。

「どういう道を通ってきただけ教えてもらってもいいか?」
「構いませんが……。何か問題が?」
「確証はないが、ヨルが巻き込まれた可能性がある」
「ヨル先生ですか……。女子生徒を狙った犯行ではなかったのですか?」
「相手の目的もわからないのに誰が対象かなんて判断できるわけないだろ。とにかく、いなくなったとしたら今晩なんだ。まだ追い付けるかもしれない」
「地図を」

御者から地図を受け取り、線を引くエリアル。

「この辺りは私たちが見回っていたはずです。ヨル先生の姿もなかったですし、おかしな動きもなかったはずです」
「助かる。また学校でな」

ライヤは地図を片手にすぐにその場を離れた。




「進捗はどうです?」

空をスイスイと移動しながらヨルを探していたライヤの横にフィオナがつく。

「ないに等しいです。俺の魔力感知も気絶させられていたり寝ていたらあてになりませんし……」

特定の人間の魔力を覚えるライヤの得意技も本人が起きていなければ意味をなさない。
範囲もかなり限定的なため、それだけで判別できることは無いだろう。

「これを見てください」

フィオナが差し出してきたのはエリアルから受け取ったものよりも遥かに解像度の高い地図。

「詳細な情報のある地域にはまずいないと思って大丈夫です」
「……明らかに地下室とか、碌でもなさそうな部分があってもですか?」
「そこまで把握して放っているだけなので。情報は取れています」

「俺の勘になるんですけど……」
「なんでしょう」
「ここまで大規模で、遂に教師にまで手が及んだとなればその組織はでかいし、並みの実力じゃないです。平民の有象無象ではできない犯行の完成度だと思います」
「確かに」
「となれば、誰かが手引きしているか指揮を執ってるか。国外からの干渉ではないんでしょう?」
「暗部としてお答えしますが、我々には把握できていません」
「それを信用します。となれば、国内に犯人がいます。そして、婦女子を優先して狙っていることから、恐らくは体が目的。となれば、連れ去った先が平民街の方とは考えにくいのでは?」
「確かに……。私たちのような貴族が動くとなれば馬車くらいは出さなければいけませんし、最低でも護衛がつきます。悪目立ちしますね」
「であれば。連れ去る先は貴族の館。どうでしょう?」
「……至急、人員を確保します。失礼」

すぐにフィオナが姿を消す。

「で、俺の仮説があってるなら。エリアルとは別でこの辺りに馬車か何かが来てたはずだ」

平民街を貴族の馬車が移動してても、貴族街を平民の荷馬車が移動してても目立つ。
どちらにせよ目撃されているはずだ。

「待つしかない、か……」

結局、聞き込みに落ち着いてしまった。
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