戦力より戦略。

haruhi8128

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杖の真価

ある冒険者の二つ名

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「え?ほんとに?」
自分の予想とあっていても信じられず、周りを見渡す。
誰を見てもそこに{嘘}は浮かんでいない。
「だってさ、レインってそんな特別強いってわけじゃなかっただろ?」
そして俺のように策をめぐらすタイプでもない。なにがどうなってレインが二つ名ダブルもらうようなことになったんだ?

「…君のせいだと思うよ?」
「俺?」
「リブレ君がいなくなってからしばらくは特に心配もしていなかったようなんだけどね」
そりゃ罰として街道に俺の名前つけようとかやってるくらいだからな。
「でも、少ししたら心配しちゃったみたいでね。リブレ君のことというより、自分のことを。君に見捨てられちゃったんじゃないかって」
レイン…。

「それで、無理にでも探しに行こうとするもんだからエルメさんと一緒に行かせることにしたんだよ。レイン君は優秀だけど、その時には他のことが手につかなくなっていてね。城に滞在する口実を作るのも難しくなってたんだ」
あくまでレインが受け入れられていたのは俺の後ろ盾があったからってことか。レインの功績を信じてる奴も少なかったしな。
「僕がついて行きたかったんだけど、さすがにそういうわけにもいかなくてね。エルメさんにお願いはしたんだけど、彼女はけっこう向こう見ずっていうか、猪突猛進なとこがあってね?」
おいおい。
「彼女が大抵のことはどうにか出来ちゃうからけっこうな強行軍になったらしいんだよ。レイン君もいつもなら断固拒否するんだろうけど、冷静ではなかったしね」
そうだよな。レインは危機管理がしっかりしてるからそんなことは承知しないはずだ。

「その結果いくつか死線を超えるようなこともあったようでね。ここに帰ってきたときには二つ名を受けるにふさわしい実力を得ていたんだ」
「つまり、レインは強さで二つ名を受けたんだな?」
「そう。今の彼女は【魔妖精】という二つ名を貰っているよ」
かっこいいな、おい!【探求スル者エクスプローラー】よか数倍かっこいいぞ。

「で、それがレインがエルフさんたちのところにいるのとどう繋がるんだ?」
「…エルフの中で二つ名っていうのは本当に大きな意味をもつんだよ。わかるよね?」
「あぁ」
神を崇めるエルフにとって神からその二つ名の能力を授かるというのは神託を受けるようなものなのだと考えられる。
「すると、彼らはこう考えるわけだ。『神のご加護のあるレインこそエルフの長にふさわしい』とね」
勝手すぎるだろ!今まで迫害しててなんじゃそりゃ!
「さすがに今のところは譲られないだろうけど、近々エルフの長の地位につくようになるんじゃないかな」
「…レインは逃げようとしなかったのか?」

「そこで君だよ」
キラは初めて俺に咎めるような目を向ける。
「君を探し出せなかったレイン君は結論をだした。『リブレさんが本気で隠れたなら僕には見つけられない。見つからないのはそういうことだからだ』とね」
「誤解だ!!」
「そうだよね。でも、実際に君は見つからなかった。僕らも止めはしたんだが、君に見捨てられたショックが大きかったようでね。自分からではないにしろ、エルフの街に行ったよ」


キラがそこで言葉をきると、静寂がその場を包む。
「重い、な…」
改めて自分の浅はかさを思い知る。魔界に落ちた時もレインは気にかけていたが深刻だとは感じていなかった。自分の状況を打破するので精一杯だったというのも言い訳だろう。
俺には、責任があった。あの少女を決して一人にはしないこと。彼女を、もう悲しませないこと。
あの俺がこの世界に来た初日に助けてくれた彼女の恩に報いること。
今実感しても遅いのかもしれないが、取り返しのつかないことではない。

「俺は…、レインに会いに行く」
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