戦力より戦略。

haruhi8128

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お留守番

165日目 宿

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「快眠でしたね!」
「……ふっかふか」

 1日目は移動日としてそのまま部屋で休みましたが、思っていた以上に快適でした。
 うちのベッドもかなりいいものだと思っていましたが、次元が違いましたね。
 乗ったところがふんわりと沈み込んで体を包み込む感じで。
 そもそも何人が寝ることを想定されているのかわからない大きさでしたし。
 3人寝る私たちにはちょうど良かったですけど。
 というか、もはや余っていましたけど。

「こんなに大きな部屋と、ハンネさんの部屋みたいに小さな部屋が隣り合っているのはちょっと違和感がありますけど」
「……『どんなお客様にでも対応する』っていうポリシーらしい」
「にしても万全すぎません?」

 4人で来て3:1で別れるとかかなりレアケースだと思うんですけど。

「まぁまぁ、いいじゃないかね。おかげでゆっくりできたんだからさ」
「!? ハンネさん!? 一体どこから……」
「あそこ」

 ハンネが指差すのは天井の一角。
 空調のための穴だった。

「網で塞がれていたのでは……?」
「ん? その程度じゃあたしはとまらないよ」
「いえ、まずはなぜ天井裏に上がったのかを教えてもらってもいいですか?」

 なぜ天井裏にいるのが当然のように?

「簡単に言えば、セキュリティのチェックね。アミラ殿があなたたちの友人だったとしても、他の人にここに誘導するように言われている可能性はゼロではなかったからね」
「と、いうことは?」
「怪しいところは見当たらなかったよ」

 ひとまずは良かったというべきか。

「で、なぜ上から?」
「やってみたくて」

 はぁ……。
 予想通りの回答でもはやありがたいですけれど。
 ため息くらいは許して欲しいです。

「じゃあ、ご飯でももらいましょうか。部屋から注文すれば届けてくれるらしいですし」
「……おなか、すいた」

 自分たちで食事を用意しなくてもいいというのはかなり幸福です。
 朝ごはんの準備に費やしていた時間を、眠ったり、のんびりすることに使えるのですから。
 長の館に住んでいた時は本心ではありませんし、祭り上げられていて居心地が悪かったですからあまり便利だとは思いませんでしたが。
 お金があるなら使用人を雇うというのもわかる気がします。

「それで、今日はどこに行きます? 私はわからないのでやはりプリンセちゃんに案内をお願いしたいんですけど」
「……うーんとねぇ」

 しばしの沈黙。

「……わかんないや」
「よし、じゃあ、アミラさんに聞くとしましょう」
「切り替え早いね?」

 プリンセちゃんは割と言いたいことはすぐ言ってくれますから、少し考えたという事は知らない可能性が高いのです。
 そもそも、6歳でどこがいい場所かなんてわかってる方がおかしいですから。
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