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ゲームスタート
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※エル視点※
1日が経って、恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだった。
あんなところに指を入れられてあんな声を出して、俺の体はいったいどうなってしまったんだ?
男なのにぞくぞくしてゼロとの行為が止まらなくなってしまった。
とはいえ、男が好きなのかと言われたら、正直好きになった事がないから分からない。
ゼロ以外にそういう事をされたらと考えるとぞぞぞ…と悪寒が走る。
なんでゼロだけが平気なのか、自分の気持ちなのに自分の気持ちじゃないようで戸惑う。
気を取り直して昨日はゼロに料理を作ってもらったから今日は俺が作ろうと、学校帰りに街に出ていた時ふと見覚えがある黒髪を見つけた。
少し遠くて会話までは聞こえないが、腰が低いお婆ちゃんの荷物を持ってあげていた。
俺も急いで駆け出して二人の前に立って、残りのお婆ちゃんの荷物を抱える。
なにが入っているのか黒い風呂敷はとても重かった。
「俺も運びます!」
「エル、帰ってたのか?」
「うん、俺も困っている人を助けたいから」
「ありがとうねぇ、坊や」
お婆ちゃんはにこりと優しく笑い、お婆ちゃんの家の前まで運ぶ。
最後に飴をもらって、カラフルな水玉の包み紙を外して口に運ぶ。
甘い味が口の中で広がり、顔が自然と緩む。
そんな俺をゼロが微笑み、頭を撫でてくれた。
まだゼロは仕事が残っているらしく、街のシンボルとなっている女神様像の噴水広場の前で別れた。
俺は買い物をして、騎士団の兵舎に戻った。
「おっ、かえり~」
「…た、ただいま」
兵舎のドアを開けるとちょうど通りかかっていたヤマトが声を掛けてきた。
兵舎の中で俺に声を掛けてくれるのはゼロとヤマトしかいないから驚きつつも挨拶した。
ヤマトは気さくに俺の肩に腕を回して密着してきた。
ゲームのヤマトも初対面のヒロインにとても馴れ馴れしかった事を思い出す。
ゼロにヒロインを会わせるわけにはいかないから何となく探りを入れる。
もうゲームが始まっても可笑しくないから、怪しまれないようになるべく自然を装って話す。
「ヤマト、なにか変わった事ない?」
「変わった事?うーん、相変わらず俺は元気だよ!」
「……そ、そうなんだ」
「あっ、なんか興味なさそうだね…傷ついちゃうな」
ヤマトにグリグリと頭を撫でられて、髪がボサボサになる。
ヤマトの事じゃなく騎士団の事なんだけど、上手く伝わっていないようだ。
ゼロがまだ騎士団長だから現れないのかな、それだったらそれでいいんだけど…
もっとなにかないのか、ヤマトに詰め寄って聞いてみる。
ヤマトは「うーん、うーん…」と口に出してわざとらしく悩んでいる。
世話役のメイドがいるとはいえ男所帯の兵舎に女性が出入りしていたら、それはもう変わった事だ。
異世界から来た少女は騎士団の兵舎で一緒に住むんだから…
しばらく悩んでいて、思い出したかのように手を合わせていた。
やっぱりなにか変わった事があったんだ。
一応ヤマト以外の話と釘をさすと苦笑いされた。
「そういえば女の子が一人兵舎に住む事になったんだよ、」
「え、誰!?」
「人間の子なんだけどね、身寄りがなくて…弟くんと歳も近いし仲良くしてあげてね」
「……その子の名前は?」
「確か日奈子ちゃんっていう名前なんだよ」
身寄りがない女の子が兵舎に住むと聞いて、もしかしたら…と思っていた。
日菜子、やっぱりそうだ…ゲームのヒロインの名前だ。
どくんどくんと心臓がうるさく鳴る。
とうとうこの時がやってきたんだ。
いつ来たのか、ゼロは会ったのか…食い気味にヤマトに聞いた。
俺がこんなに興味を示しているのが珍しいのか、目を丸くしている。
ヤマトの話によると、日菜子が来たのは昨日の事でゼロは騎士団長だから一度だけ挨拶しただけだと言う。
…騎士団長なら兵舎に住む事になるんだから一度挨拶するのは当然だ。
ゼロは悪役として現れたわけではないから、日菜子が困っているところをヤマトが連れてきたそうだ。
「そんなに気になる?可愛いと思うけど普通の子だよ?」
「……う、うん」
「まぁ、普通度で言ったら弟くんに敵う奴はいないよー」
なんか失礼な事を言っている気がするが、俺はゼロとヒロインを会わせないようにするにはどうしようか考えているだけだ。
俺の吐く息が白く変わり、急激に寒くなった気がした。
ヤマトも同じ事を考えているのか、震えていた。
すぐに俺の体は暖かい上着に包まれて、体温が戻ってきた。
安心する、大好きなにおいだ。
「ヤマト、エルに何してる」
「ほっ、ほんの冗談だろ~、こんなところで魔力解放すんなよ」
ヤマトの肩を掴んでいる手から冷たい冷気が溢れていた。
ゼロはヤマトと俺をすぐに引き剥がして、俺を後ろから包み込んだ。
もう仕事は終わったのだろうか、あ…そうだ…俺ずっと買い物袋持ってたんだっけ。
いつものようにおかえりのキスを交わすとヤマトは変な顔をしてこちらを見ていた。
本物の兄弟はどうだか知らないが、俺とゼロは子供の頃からこれが常識だった。
もはや兄弟というより恋人のキスだと思うのは当然だ。
もしいつかゼロに恋人が出来たら、ゼロのおはようもおやすみのキスもその恋人に取られてしまう。
何だか、気持ちがもやもやしていてキュッと胸が苦しくなる。
俺はただの兄弟なんだから当たり前だし、祝福しなきゃいけないのにな。
ちょっと気分が落ち込んでしまったが、ゼロに心配掛けないように気持ちを切り替えよう!
これからどんな事があってもゼロを守るんだから!
「兄様、もう仕事終わり?」
「いや、部屋で作業が残ってる…それが終わったら終わりだ」
「そうなんだ、じゃあ…」
「あー、その前に俺の用事優先してくれない?」
ヤマトはゼロになにかの書類のようなものを見せている。
忙しそうだなぁ、俺の用事は急じゃないし…また後でにしよう。
ゼロにご飯作って待ってると二人に手を振って部屋に向かって歩いた。
ふと後ろを振り返ると、ゼロとヤマトは真剣な顔をして何処かに歩いていった。
今日はスタミナが付きやすいお肉料理にしよう。
疲れて帰ってくるゼロを想い、歩き出した。
ヒロインの部屋を教えてもらった方がもっと警戒出来るが、さすがにそこまで聞いたらヤマトに怪しまれるな。
俺が見ていないところで二人が会いませんように、と祈るばかりだ。
※ヤマト視点※
あの少女と出会ったのは、別件で失踪事件の調査をしている時だった。
最近無抵抗の人間を捕まえてコレクションにしているヤバい性癖の貴族がいるという報告を受けた。
俺に報告したのは、人間の部下の騎士だ。
魔法使いの部下は人間絡みの事件にあまり乗り気ではなく、報告を受けるのは人間の部下からの方が多かった。
俺達が差別の法律をなくしたから、魔法使い達がいい気しないのは分かってる。
でも俺は、俺の意思で間違っている事を間違っていると言っているだけだ。
親父の影響じゃない、俺がそう思った…それだけだ。
今日も取引がある情報を聞いて張り込んでいた。
俺と部下数人で店の前に積まれた木箱の影に身を潜めた。
すると、一人の老人の男と強面の男が現れて老人に連れられた少女を見た。
あれが人売りの現場か、金の受け渡しを確認してから姿を現した。
男達は俺達に驚いていたが、懐から小さなナイフを取り出して向かってきた。
騎士団って名乗ったのに、こんなんで見逃すと思っているならおめでたい頭だな。
二人の男達の肩を掴んで手から電流を発生させて、痺れさせて動けないようにした。
魔法の相性が悪かったら、俺の電流は使えなかったが相性はそんなに悪くはなかった。
まぁ、相性が悪くても俺の魔力で押し切るつもりだからいいけど…
男達を縄で縛り付けて、後ろの騎士達に連れて行くように言った。
被害者の女の子のケアならお手のものである、ゼロは「チャラいのが映るからエルに近付くな」なんて酷い事を言っている。
ゼロもそろそろブラコンを卒業すればいいのにな、もう弟くんだって学校に通ってる年齢なんだしさ。
騎士団入団の頃からゼロを知っているが、ゼロは誰にも関心がない男だった。
騎士団を変えたいと思っていても、誰かに夢中になる事はなかった。
なのにある日から早く家に帰るようになり、それだけでゼロの変化には驚かせた。
ゼロが人間らしくなったって事だからいい事なんだけど、それが弟となると…ちょっと心配になる。
確かに弟くんをからかうのは面白いが、そういう事ではないのだろう。
「君、大丈夫?」
「…は、はい」
変わった服を着た少女に聞くと、戸惑いながらも頷いてくれた。
家に送り届けようと思って家を聞いたが、話してくれなかった。
…これはなにかあるな、長年いろんな人達を見ていたから俺には分かる。
少女の口を割らせるように、優しく…話しやすい雰囲気を作る。
それで少女に聞いた話はとても不思議な話だった。
前例がないからすぐに信じる事が出来なかった。
別の世界からやってきた…なんて…
それで助けてくれた夫婦に売られそうになったらしい…それはありえる話だった。
実の家族でも、魔法使いの間に稀に生まれる人間を売ったり捨てたりしている話を聞く。
彼女もきっとそうなんだと思った。
そして、彼女の別の世界の話にも興味があり騎士団の兵舎に連れていく事にした。
どうしようかゼロと相談しようと思っていた。
ゼロは買い物袋を持っていて、なんか可笑しくて笑うと睨まれた。
彼女の話を教えると「お前の好きにしたらいいだろ」と言っていた。
本当に弟くんの事以外興味がないんだな。
男所帯の兵舎だが、メイド達が泊まっている部屋がいくつもある場所があり…そこなら女の子も安心だろうと思った。
彼女の事はまだよく知らないのに、何故だろう…知っているような気もする。
不思議だな…まぁ、俺には関係ないと思うけど…
1日が経って、恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだった。
あんなところに指を入れられてあんな声を出して、俺の体はいったいどうなってしまったんだ?
男なのにぞくぞくしてゼロとの行為が止まらなくなってしまった。
とはいえ、男が好きなのかと言われたら、正直好きになった事がないから分からない。
ゼロ以外にそういう事をされたらと考えるとぞぞぞ…と悪寒が走る。
なんでゼロだけが平気なのか、自分の気持ちなのに自分の気持ちじゃないようで戸惑う。
気を取り直して昨日はゼロに料理を作ってもらったから今日は俺が作ろうと、学校帰りに街に出ていた時ふと見覚えがある黒髪を見つけた。
少し遠くて会話までは聞こえないが、腰が低いお婆ちゃんの荷物を持ってあげていた。
俺も急いで駆け出して二人の前に立って、残りのお婆ちゃんの荷物を抱える。
なにが入っているのか黒い風呂敷はとても重かった。
「俺も運びます!」
「エル、帰ってたのか?」
「うん、俺も困っている人を助けたいから」
「ありがとうねぇ、坊や」
お婆ちゃんはにこりと優しく笑い、お婆ちゃんの家の前まで運ぶ。
最後に飴をもらって、カラフルな水玉の包み紙を外して口に運ぶ。
甘い味が口の中で広がり、顔が自然と緩む。
そんな俺をゼロが微笑み、頭を撫でてくれた。
まだゼロは仕事が残っているらしく、街のシンボルとなっている女神様像の噴水広場の前で別れた。
俺は買い物をして、騎士団の兵舎に戻った。
「おっ、かえり~」
「…た、ただいま」
兵舎のドアを開けるとちょうど通りかかっていたヤマトが声を掛けてきた。
兵舎の中で俺に声を掛けてくれるのはゼロとヤマトしかいないから驚きつつも挨拶した。
ヤマトは気さくに俺の肩に腕を回して密着してきた。
ゲームのヤマトも初対面のヒロインにとても馴れ馴れしかった事を思い出す。
ゼロにヒロインを会わせるわけにはいかないから何となく探りを入れる。
もうゲームが始まっても可笑しくないから、怪しまれないようになるべく自然を装って話す。
「ヤマト、なにか変わった事ない?」
「変わった事?うーん、相変わらず俺は元気だよ!」
「……そ、そうなんだ」
「あっ、なんか興味なさそうだね…傷ついちゃうな」
ヤマトにグリグリと頭を撫でられて、髪がボサボサになる。
ヤマトの事じゃなく騎士団の事なんだけど、上手く伝わっていないようだ。
ゼロがまだ騎士団長だから現れないのかな、それだったらそれでいいんだけど…
もっとなにかないのか、ヤマトに詰め寄って聞いてみる。
ヤマトは「うーん、うーん…」と口に出してわざとらしく悩んでいる。
世話役のメイドがいるとはいえ男所帯の兵舎に女性が出入りしていたら、それはもう変わった事だ。
異世界から来た少女は騎士団の兵舎で一緒に住むんだから…
しばらく悩んでいて、思い出したかのように手を合わせていた。
やっぱりなにか変わった事があったんだ。
一応ヤマト以外の話と釘をさすと苦笑いされた。
「そういえば女の子が一人兵舎に住む事になったんだよ、」
「え、誰!?」
「人間の子なんだけどね、身寄りがなくて…弟くんと歳も近いし仲良くしてあげてね」
「……その子の名前は?」
「確か日奈子ちゃんっていう名前なんだよ」
身寄りがない女の子が兵舎に住むと聞いて、もしかしたら…と思っていた。
日菜子、やっぱりそうだ…ゲームのヒロインの名前だ。
どくんどくんと心臓がうるさく鳴る。
とうとうこの時がやってきたんだ。
いつ来たのか、ゼロは会ったのか…食い気味にヤマトに聞いた。
俺がこんなに興味を示しているのが珍しいのか、目を丸くしている。
ヤマトの話によると、日菜子が来たのは昨日の事でゼロは騎士団長だから一度だけ挨拶しただけだと言う。
…騎士団長なら兵舎に住む事になるんだから一度挨拶するのは当然だ。
ゼロは悪役として現れたわけではないから、日菜子が困っているところをヤマトが連れてきたそうだ。
「そんなに気になる?可愛いと思うけど普通の子だよ?」
「……う、うん」
「まぁ、普通度で言ったら弟くんに敵う奴はいないよー」
なんか失礼な事を言っている気がするが、俺はゼロとヒロインを会わせないようにするにはどうしようか考えているだけだ。
俺の吐く息が白く変わり、急激に寒くなった気がした。
ヤマトも同じ事を考えているのか、震えていた。
すぐに俺の体は暖かい上着に包まれて、体温が戻ってきた。
安心する、大好きなにおいだ。
「ヤマト、エルに何してる」
「ほっ、ほんの冗談だろ~、こんなところで魔力解放すんなよ」
ヤマトの肩を掴んでいる手から冷たい冷気が溢れていた。
ゼロはヤマトと俺をすぐに引き剥がして、俺を後ろから包み込んだ。
もう仕事は終わったのだろうか、あ…そうだ…俺ずっと買い物袋持ってたんだっけ。
いつものようにおかえりのキスを交わすとヤマトは変な顔をしてこちらを見ていた。
本物の兄弟はどうだか知らないが、俺とゼロは子供の頃からこれが常識だった。
もはや兄弟というより恋人のキスだと思うのは当然だ。
もしいつかゼロに恋人が出来たら、ゼロのおはようもおやすみのキスもその恋人に取られてしまう。
何だか、気持ちがもやもやしていてキュッと胸が苦しくなる。
俺はただの兄弟なんだから当たり前だし、祝福しなきゃいけないのにな。
ちょっと気分が落ち込んでしまったが、ゼロに心配掛けないように気持ちを切り替えよう!
これからどんな事があってもゼロを守るんだから!
「兄様、もう仕事終わり?」
「いや、部屋で作業が残ってる…それが終わったら終わりだ」
「そうなんだ、じゃあ…」
「あー、その前に俺の用事優先してくれない?」
ヤマトはゼロになにかの書類のようなものを見せている。
忙しそうだなぁ、俺の用事は急じゃないし…また後でにしよう。
ゼロにご飯作って待ってると二人に手を振って部屋に向かって歩いた。
ふと後ろを振り返ると、ゼロとヤマトは真剣な顔をして何処かに歩いていった。
今日はスタミナが付きやすいお肉料理にしよう。
疲れて帰ってくるゼロを想い、歩き出した。
ヒロインの部屋を教えてもらった方がもっと警戒出来るが、さすがにそこまで聞いたらヤマトに怪しまれるな。
俺が見ていないところで二人が会いませんように、と祈るばかりだ。
※ヤマト視点※
あの少女と出会ったのは、別件で失踪事件の調査をしている時だった。
最近無抵抗の人間を捕まえてコレクションにしているヤバい性癖の貴族がいるという報告を受けた。
俺に報告したのは、人間の部下の騎士だ。
魔法使いの部下は人間絡みの事件にあまり乗り気ではなく、報告を受けるのは人間の部下からの方が多かった。
俺達が差別の法律をなくしたから、魔法使い達がいい気しないのは分かってる。
でも俺は、俺の意思で間違っている事を間違っていると言っているだけだ。
親父の影響じゃない、俺がそう思った…それだけだ。
今日も取引がある情報を聞いて張り込んでいた。
俺と部下数人で店の前に積まれた木箱の影に身を潜めた。
すると、一人の老人の男と強面の男が現れて老人に連れられた少女を見た。
あれが人売りの現場か、金の受け渡しを確認してから姿を現した。
男達は俺達に驚いていたが、懐から小さなナイフを取り出して向かってきた。
騎士団って名乗ったのに、こんなんで見逃すと思っているならおめでたい頭だな。
二人の男達の肩を掴んで手から電流を発生させて、痺れさせて動けないようにした。
魔法の相性が悪かったら、俺の電流は使えなかったが相性はそんなに悪くはなかった。
まぁ、相性が悪くても俺の魔力で押し切るつもりだからいいけど…
男達を縄で縛り付けて、後ろの騎士達に連れて行くように言った。
被害者の女の子のケアならお手のものである、ゼロは「チャラいのが映るからエルに近付くな」なんて酷い事を言っている。
ゼロもそろそろブラコンを卒業すればいいのにな、もう弟くんだって学校に通ってる年齢なんだしさ。
騎士団入団の頃からゼロを知っているが、ゼロは誰にも関心がない男だった。
騎士団を変えたいと思っていても、誰かに夢中になる事はなかった。
なのにある日から早く家に帰るようになり、それだけでゼロの変化には驚かせた。
ゼロが人間らしくなったって事だからいい事なんだけど、それが弟となると…ちょっと心配になる。
確かに弟くんをからかうのは面白いが、そういう事ではないのだろう。
「君、大丈夫?」
「…は、はい」
変わった服を着た少女に聞くと、戸惑いながらも頷いてくれた。
家に送り届けようと思って家を聞いたが、話してくれなかった。
…これはなにかあるな、長年いろんな人達を見ていたから俺には分かる。
少女の口を割らせるように、優しく…話しやすい雰囲気を作る。
それで少女に聞いた話はとても不思議な話だった。
前例がないからすぐに信じる事が出来なかった。
別の世界からやってきた…なんて…
それで助けてくれた夫婦に売られそうになったらしい…それはありえる話だった。
実の家族でも、魔法使いの間に稀に生まれる人間を売ったり捨てたりしている話を聞く。
彼女もきっとそうなんだと思った。
そして、彼女の別の世界の話にも興味があり騎士団の兵舎に連れていく事にした。
どうしようかゼロと相談しようと思っていた。
ゼロは買い物袋を持っていて、なんか可笑しくて笑うと睨まれた。
彼女の話を教えると「お前の好きにしたらいいだろ」と言っていた。
本当に弟くんの事以外興味がないんだな。
男所帯の兵舎だが、メイド達が泊まっている部屋がいくつもある場所があり…そこなら女の子も安心だろうと思った。
彼女の事はまだよく知らないのに、何故だろう…知っているような気もする。
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