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ゼロの友達
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でもゼロの精神世界とはいえ、俺の気持ちも溢れて止まらなくなる。
寂しくて、悲しくて…自分で制御出来なくなっていた。
頬を濡らす涙を拭ってくれてゼロは壊れ物を扱うように優しく抱きしめてくれた。
「エルがいなくなったら、死んでしまうよ」
その声はとても冗談のように聞こえずに、俺もゼロの背中に腕を回した。
俺だってゼロがいなくなったら生きていけない、それほど俺の人生でゼロは必要不可欠なんだ。
そう言いたいがとうとう限界が来て、回していた腕に力が入らなくなった。
夢を見る事なく深い眠りの底に落ちていってしまった。
最後にゼロがどんな顔をしているのか、俺には分からなかった。
※※※
目が覚めたらそこは真っ暗だった、さっきまで眩しいほど真っ白だったのに不思議だ。
そんな暗い暗い空間に丸い小さな光がふよふよと浮いていた。
手を伸ばすと届きそうだったが届かなかった。
それでも必死に伸ばすと、丸い小さな光はゆっくりと移動した。
そして俺に近付いてきたと思ったらキラキラとした粉が舞い弾けとんだ。
すると暗かった空間がだんだん明るく開いていった。
気が付くと、そこは人通りがない路地裏の真ん中で俺は座っていた。
すっかり雨は止んでいて、濡れた体が冷えて体を震わす。
近くにゼロが俯せで倒れていて、ゼロの前に誰かがしゃがんでいて見ていた。
ゼロに触れようと手を伸ばされていてとっさに大きな声を出した。
目が覚めたばかりのふわふわした思考の中でもゼロが危ないと単純に思ったからだ。
ゼロを助けないと…それだけが頭を支配して、立ち上がった。
「ゼロに触るな!」
「あれ?起きたんだ」
ゼロを守ろうと突進しようとして、水溜まりに足を滑らせて倒れた。
最初から濡れていたんだ、更に濡れても気にする事はない。
元の場所に戻れたとかそんな事を考える余裕はなかった。
ゼロに変な事をする奴は、誰だろうと許さない!
とりあえずゼロから離そうと近付く男を押すとクスクスと笑われた。
視界に騎士団の服しか見えないから、あの騎士団長が帰ってきたのではないかと思った。
体格ですぐに騎士団長ではないと分かるものだが寝起きで慌てていて、気付いていなかった。
俺だって本調子ならこんな奴倒せるのにとバカにされて不機嫌になる。
弱々しいパンチを繰り返して、ゼロから離れろと訴える。
顎を掴まれて、上を向かされてやっと目が合った。
視界がはっきりと見えて、その人は面白そうに笑っていた。
「そんな弱々しいパンチじゃ、俺は倒せないぞー」
「………あ」
ニヤニヤと俺を見つめて、まるで小さい子供に言うように言われた。
小さい頃、俺を誘拐しようとした庭師から助けてくれたヤマトがそこにいた。
ゼロになにかしようとしている奴という事だけしか頭になかったから顔は見ようとしなかった。
ヤマトもこの時騎士団に入っているし、騎士団の服を着ていても不思議ではない。
ゲームでは少しの間は副騎士団長としてゼロの右腕だったから、ゼロに変な事をするとは思えないが、何をしていたんだと疑いの眼差しを向ける。
ヤマトも警戒しているが、今はゼロの傍にいる事を選びゼロに駆け寄る。
「兄様!兄様!」
「へぇ、ゼロに弟がいたなんて初耳だなぁ…アイツ自分の事話さないから」
ゼロを抱き寄せると、安心したような穏やかな寝息が聞こえてきて一安心した。
もうゼロには闇の力が表に出てきていないからこの時のゼロの悪役フラグは折れたようだった。
しかし、何故フラグが折れたのか理由は分からないし…今回の事でゼロの精神が不安定になると、あの精神世界が現れてゼロを闇の力に誘うのかもしれない。
だったら何度でも同じ事を繰り返して、ゼロを助けるんだ!
ふと、後ろから視線を感じて振り返った。
ずっとほっとかれていたヤマトが俺達を見つめていた。
ヤマトはきっとゼロを助けてくれたのかもしれない、なのに俺は疑って攻撃してしまった。
効果はなかったとはいえ、失礼な事には変わりない。
頭を下げて謝るとヤマトはにこやかに手を振っていた。
寂しくて、悲しくて…自分で制御出来なくなっていた。
頬を濡らす涙を拭ってくれてゼロは壊れ物を扱うように優しく抱きしめてくれた。
「エルがいなくなったら、死んでしまうよ」
その声はとても冗談のように聞こえずに、俺もゼロの背中に腕を回した。
俺だってゼロがいなくなったら生きていけない、それほど俺の人生でゼロは必要不可欠なんだ。
そう言いたいがとうとう限界が来て、回していた腕に力が入らなくなった。
夢を見る事なく深い眠りの底に落ちていってしまった。
最後にゼロがどんな顔をしているのか、俺には分からなかった。
※※※
目が覚めたらそこは真っ暗だった、さっきまで眩しいほど真っ白だったのに不思議だ。
そんな暗い暗い空間に丸い小さな光がふよふよと浮いていた。
手を伸ばすと届きそうだったが届かなかった。
それでも必死に伸ばすと、丸い小さな光はゆっくりと移動した。
そして俺に近付いてきたと思ったらキラキラとした粉が舞い弾けとんだ。
すると暗かった空間がだんだん明るく開いていった。
気が付くと、そこは人通りがない路地裏の真ん中で俺は座っていた。
すっかり雨は止んでいて、濡れた体が冷えて体を震わす。
近くにゼロが俯せで倒れていて、ゼロの前に誰かがしゃがんでいて見ていた。
ゼロに触れようと手を伸ばされていてとっさに大きな声を出した。
目が覚めたばかりのふわふわした思考の中でもゼロが危ないと単純に思ったからだ。
ゼロを助けないと…それだけが頭を支配して、立ち上がった。
「ゼロに触るな!」
「あれ?起きたんだ」
ゼロを守ろうと突進しようとして、水溜まりに足を滑らせて倒れた。
最初から濡れていたんだ、更に濡れても気にする事はない。
元の場所に戻れたとかそんな事を考える余裕はなかった。
ゼロに変な事をする奴は、誰だろうと許さない!
とりあえずゼロから離そうと近付く男を押すとクスクスと笑われた。
視界に騎士団の服しか見えないから、あの騎士団長が帰ってきたのではないかと思った。
体格ですぐに騎士団長ではないと分かるものだが寝起きで慌てていて、気付いていなかった。
俺だって本調子ならこんな奴倒せるのにとバカにされて不機嫌になる。
弱々しいパンチを繰り返して、ゼロから離れろと訴える。
顎を掴まれて、上を向かされてやっと目が合った。
視界がはっきりと見えて、その人は面白そうに笑っていた。
「そんな弱々しいパンチじゃ、俺は倒せないぞー」
「………あ」
ニヤニヤと俺を見つめて、まるで小さい子供に言うように言われた。
小さい頃、俺を誘拐しようとした庭師から助けてくれたヤマトがそこにいた。
ゼロになにかしようとしている奴という事だけしか頭になかったから顔は見ようとしなかった。
ヤマトもこの時騎士団に入っているし、騎士団の服を着ていても不思議ではない。
ゲームでは少しの間は副騎士団長としてゼロの右腕だったから、ゼロに変な事をするとは思えないが、何をしていたんだと疑いの眼差しを向ける。
ヤマトも警戒しているが、今はゼロの傍にいる事を選びゼロに駆け寄る。
「兄様!兄様!」
「へぇ、ゼロに弟がいたなんて初耳だなぁ…アイツ自分の事話さないから」
ゼロを抱き寄せると、安心したような穏やかな寝息が聞こえてきて一安心した。
もうゼロには闇の力が表に出てきていないからこの時のゼロの悪役フラグは折れたようだった。
しかし、何故フラグが折れたのか理由は分からないし…今回の事でゼロの精神が不安定になると、あの精神世界が現れてゼロを闇の力に誘うのかもしれない。
だったら何度でも同じ事を繰り返して、ゼロを助けるんだ!
ふと、後ろから視線を感じて振り返った。
ずっとほっとかれていたヤマトが俺達を見つめていた。
ヤマトはきっとゼロを助けてくれたのかもしれない、なのに俺は疑って攻撃してしまった。
効果はなかったとはいえ、失礼な事には変わりない。
頭を下げて謝るとヤマトはにこやかに手を振っていた。
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